転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
つらい……
前回の病院のシーン、加筆しました。
安岐さん絡みシーンが無くなってたのを確認したたたためです。
「データ飛んだせいでおかしくなってる」
いつものこと。
「……そこっ!」
指をトリガーに掛けず発砲時に一息でトリガーを引き絞る。
.338ラプア弾が、本来なら出現するはずのバレッドラインを出現させずに飛翔していく。
飛翔した先は分厚そうな煉瓦の壁。
その向こうにいる何故か鎧武者姿の敵。 確か……錆衛門だったかな。
そいつの頭を煉瓦、鎧諸共撃ち抜き消し飛ばす。
deadのタグが、そいつの頭があった位置でピコンと表示されると、Congratulationの文字とともにファンファーレが鳴り響いた。
小さく息を吐き出せば、見計らったかのように転移のエフェクトを出して待機ドームへと飛ばされる。
さすがに2回戦目ともなれば、少し人数は少なくなっているな……
きょろきょろとドーム内を見渡せば、待機してるやつ、何かを飲んでるやつ、武器のメンテをしてるやつ、観戦してるやつ、観戦してるシュピーゲル、襤褸衣マントと、十人十色な奴らが……
「おぉい!?」
何人かがこちらを見てきた。 なんかこう……可愛いなぁ、とかロリ……とか、大体変な感じな視線。
さぶいぼが出そうな視線。
ぶるりと身体を震わせ、その視線から逃れるように襤褸マントの方へと向かう。
座っている襤褸マントの前に立ち、逃げられないように。
「おい、お前」
「……誰だ、お前は」
「セイメイ」
「……お前、鏖殺者か」
「ネーミングセンス。 せめて騎士王とかあっただろ」
「……それで、なんの、ようだ?」
「あぁ、そうだったそうだった。 ……お前、未だに人殺ししているんだってな?」
「それが、どうした」
銀のマスクに揺れる赤い光の目。
その奥にあるであろう顔は一切見えず、感情の抑揚が小さい。
何を考えているか読めない。 人を殺している事を否定をせず、殺人をしているということになんの感情を持っていなさそうな声音で返してくる襤褸マント。
あぁ、これは話し合いじゃどうにも出来ない。
「いや、それがお前か確認したかっただけだ。 今はな」
「……お前には、俺は、殺せない。 捕まえられない」
俺の思考……殺すか捕まえる、という思考を読んだのかと疑いたくなるほど的確に返答してくる。
「お前は、俺を、殺し損ねた。 だから、次は、俺がお前を、殺す」
デデン!
……すれ違いざまに言われたような幻視をしながら、小さく息を吐き出す。
「俺に殺されかけて捕まってしまったお前が、か?」
精一杯の強がり……いや、実際強がりな訳では無いが、こう……なんかちょっと怖い。
精神が体に引っ張られているのか、嫌悪というか、恐怖を覚える。
「……」
ジジ……と仮面に浮かぶ赤い光が明滅した気がする。
ちょっとイラッとしてたかな?
ニヤリと笑みを浮かべ、追い討ちする。
「どうせ今回もお前は負ける。 今回は実際には殺せねぇから心置きなく殺れる。 そしてお前を捕まえる。 お前の共犯者2人もな」
「……っ」
明らかな動揺。
だが、すぐに立ち直り
「不可能だ。 お前は、俺の名前を、思い出せないのだから」
「へぇ……?」
昔のキャラネームを思い出せないなら、住所の割り出しとかそういうのは不可能だろう、なんて考えているのだろう。
だが、それは無駄。
だが、今はそれを言ったらつまらないだろう。
もしかしたら後で戦うかもしれないからね!
「……用は、それだけか?」
「あぁ、それだけだ。 ……殺すなよ?」
釘を指したところで無意味だろう。
こいつは、もう根っからの人殺しとなってしまっている気がする。
……どうなるかな。
なんて考えていたら、第3戦のフィールドへと飛ばされた。
~~~~~~~~~~~~
1分間の待機時間の後、砂漠のステージへと飛ばされた。
見晴らしが良すぎる。
サンドカモなら、だけど。
かなり遠目の方に、しっかり砂の上に伏せているプレイヤーが見える。
すぐにミョルニルを構え、発砲。
だが……
「んっ!?」
転がって避けられた。
いやまぁ、多分向こうからも見えてるだろうから、バレッドラインを良ければいいだけだろうけどさ。
……しかたなし。
スコープを覗いたままトリガーから指を離し、トリガーに触れない程度に抑える。
トリガーに触れていないため、バレッドラインやバレッドサークルは表示されない。
Mやシャーリーがやっている、バレッドライン無し狙撃だ。
アレ、実は銃触ってるなら割と出来るものなのよ。
トリガーなんて触ってたら暴発とかするかもしれないし。
バレッドラインが見えないため、安心と判断したのだろう。 転がりおじさんはゆっくりとこちらを伺いながら立ち上がり、銃……M4のカスタマイズだろうか、かなりゴテゴテしたソレを構えようとし、出来なかった。
左顎、首、左肩が消え去り、M4に見えるソレを落としてdeadタグが表示された。
聞き飽きたファンファーレが鳴り響き、また同じ待機ドームへ転送された。
数秒の暗転の後、待機ドームに戻ってきた。
……あれ、シノンとシュピーゲル君だ。
~~~~~~~~~~
「シノン、お疲れ様。 凄いね、もう本線出場確定だよ」
「ぁ、シュピーゲル……うん、ありがとう」
さっきの、タマモちゃんに怒られる前の気持ち悪さは、全部じゃないけど、無くなっている。
いつもの笑い方、話し方、身の振り方。 まだ少しぎこちないけど、どうにか繕えるようにはなってきた。
「やっぱりシノンは凄い、君は本物の力を持ってるんだね……」
本物の力って、なに……?
良く君の口から力っていう言葉が出るけど、私にはそんなものは無い。
それなのに、彼からは「本物の力」だの「強い心」だのしか言われない。
ただ力を肯定しているだけ。
それに比べて、タマモちゃんは……
ううん、比べられない。 比べちゃいけない。
彼女は彼女で、シュピーゲルはシュピーゲル……
シュピーゲルは彼女にはなれないし、彼女には勝てない。
「……ごめんなさい、シュピーゲル。 ちょっと、次の相手は本気で行かないと勝てないから。 1人にしてくれないかしら」
「そ、そうだよね。 ごめん、シノン。
……ねぇ、シノン、大会が終わったらさ、僕と……僕と一緒に……」
「シュピーゲル」
「っ……」
「大丈夫、いつか……もっと強くなれたら、また戻ってくるから」
……それは無い、と言いきれてしまう。
シュピーゲル……新川君の事を考えると、嫌悪感が出てきてしまう。
まだ、私をいじめ……集ってくるあの3人の方がまだマシ。
「わかった。 それまで待ってるから」
「えぇ、待ってて」
……大会が終わったら、貴方とはもう合わないようにする、なんてまだ言えない。
まだ、私の心は弱いままだから。
ここでそれを言って、お互いに傷つくことが恐ろしいんだ。
…………タマモちゃんの事を考えると、不思議と強くなれる気がしてるのは、気のせいかな。
目の前が青い光に包まれる。
このマップは……大陸間高速道路かしら。
……なら……あのバスが行けるわね。
辺りを見回せば、二階建てのバスが目の前に鎮座している。
そのバスの扉をこじ開け、中へと入り込む。
2回へと駆け上がり、通路に倒れ込みながら
多分、彼女よりも早くいい位置につけただろう。
そう思い、索敵のためにスコープを覗き込むと、彼女も……タマモもこちらを狙うようにスコープを覗き込んでいた。
「っ……!!」
即座に引き金を引く。
タマモも迎撃するように発砲炎を見せる。
だが、窓ガラスが割れ、横の座席が吹き飛んだだけで済んだ。
……ボルトを起こし、手前に引く。
確認することなくボルトを押し込み、元の位置に倒す。
……彼女は、なぜ撃ってこないのだろう? なぜ、バレッドラインが見えないのだろう?
スコープを覗いていると、リロードしたりは一切しておらず、ただこちらを見ている。
その気になれば、.338ラプア弾を10発連射出来るセミオート銃なのに。
ぶんぶんと頭を振り、戦闘に必要が無い余計な思考を放棄する。
再度引き金を引く。 轟音と共に必殺の弾丸が空を舞う。
タマモが同様の爆音を鳴らし、バスの天井や座席から何かが当たった音がする。
撃ち返されているのか、それとも。
「くっ……」
それとも、の方を想像してしまった。
彼女のことを思うと、心が安らぎ。 だが、それでも、今この勝負は別だ。
再度チャンバーに弾薬を送り込み、再度トリガーを引こうとしたところで、スコープの先でタイム、と彼女が言った気がした。
~~~~~~~~
たーいむ!!
と口を大きくあけ、シノンに見えるように、聞こえるように言ってから、手をぶんぶんと振る。
俺は、シノンと、決闘スタイルで勝敗をつけたいんだ!
とは言うつもりは無い。 ……ごめんやっぱり言う。
それはそれとして、ちゃんと吹っ切れたかどうかが気になっている。
もし吹っ切れていなければ、撃たれてやる訳には行かないから。
とりあえずシノンが近付いて来れるように、マガジンを引っこ抜き、チャージングハンドルを引いて薬室内に装填されている弾薬を外にはじき出す。
ミョルニルを地面に置いては、つぎはベクターに取り掛かる。
と言ってもこちらもほぼ同じで、マガジンを引っこ抜いて薬室から弾薬を抜くだけだ。
それだけで戦意はないことがわかるだろう。
……まぁ、もしシノンが関係ねぇズドーン! するタイプならもう撃ってるだろう。
「はっ、はっ……」
シノンの息遣いが聞こえる。
へカートIIのマガジンはささっていない。 だが多分薬室には1発入っているかもしれない。
警戒するため、それくらいならするだろう。
「ありがとうございますシノンさん、タイムに乗ってくれて」
「……それはいいけど、なんで武装解除してるのよ。 乗ったフリして撃ち殺すかもしれないわよ?」
「もしそうならそれでもいいです。 私はただ確認したかっただけなので」
「確認……? あぁ、さっきのあれね。 ……大丈夫よ、今のところは」
「そですか。 なら、撃ち殺されても大丈夫ですね」
見た目上では確かに顔色なども戻ってきている。
シュピーゲル君と仲直りしたのかな?
決別してくれても良かったのに。
「……それだけのために呼んだの?」
「はい。 もしさっきみたいな状態であれば、私は撃たれたくなかったですし撃ちたくなかったです。 勝っても嬉しくないですから」
「そう……」
苦笑いを浮かべるシノンに、はい! といい笑顔(当社比)を見せる。
呆れた……みたいな顔してる。
「はぁ……呆れた。 それじゃあどうやって決着つけるの?」
「……考えてはいました。 こう……数メートルから数十メートル離れて、私が弾を投げて、落ちたと同時に……」
「あぁ、決闘スタイルね。 いいんじゃないかしら?
……でも、お互いスナイパーライフル。 サブはそれぞれ
「う゛っ……そうなんですよね……
……1回仕切り直します?」
「んー……いいわよ、決闘スタイルで。
ただし、お互い1発限り。 当たった方……もし当たっても死ななかったら降参するってどうかしら?」
「いいですね、ノッた!」
じゃあそれで、と離れていくシノン。
こちらも、さっき取りだした.338ラプアを握りしめ、ミョルニルとベクターを抱えて離れていく。
20mくらいだろうか。
お互いが離れて位置についたところで、チャージングハンドルを引いて薬室に弾を入れる。
マガジンをささずとも1発だけなら入れていくことが可能だ。
チャージングハンドルを離せば、カシュン、と軽い音を立てて薬室に弾を押し込んでくれる。
それを確認してから、いつの間にか持っていたグレネードを手に取る。
ソレをシノンに見せて、ギョッとされた。
20m離れていると音聞こえないだろうから、と思ってのことだが……
とりあえずそれでいい、とOKを貰えたので、ミョルニルを構える。
ほぼ必中の距離。
どちらとも放てば当たる距離。
機械仕掛けのグレネードのスイッチを押しこみ、ピピッと鳴ったのを確認してから高速道の下に投げる。
爆発までは1秒前後。
すぐに狙撃体勢に入り、シノンの足を狙う。
炸裂音。
グレネードの爆音が聞こえた瞬間、トリガーを引き絞った。
2つ目、3つ目の爆音が響き、痛みが走る。
ガラスの割れる音が響き、横に倒れてしまう。
ちら、とそちらを見れば、シノンは逆の方に倒れているのが見えた。
「……相打ち、ですね。 どうしましょうか?」
「……あなたの方が発砲音早かったし、あなたでいいわよ。 降参するわ。 リザイン!」
諦めた、というより、自分の反射神経の無さにため息をつくように、イライラをぶつけるように、表示されたリザインウィンドウに手をたたきつけていた。
甲高いファンファーレと共に、予選Eブロックの勝者が決まった。
次回、BoB本戦。
シノンのシーンとか増やしてみたけど、どうだったじゃろうか。
マザーズ・ロザリオ編のアスナ視点でいくつかやろうと思っての先駆けだったんじゃが……
反響があれば、マザーズ・ロザリオ編で取り入れる予定です。
ではでは、一度この辺で。
……キャリバー編とマザーズ・ロザリオ編観て泣きそうになってます。
ユウキには笑っていて欲しいですね。
欲しいですね。
ほしいですよね。