転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
ネタ:もっと増やせ。
長さ:今のところ5000字くらい。
という感じでした。
「で、だ……なんで俺がこんな場所で縛られているのか分かりやすく丁寧に教えてくれるか? 出来れば2文字」
「朕」
「よーしわざと言ってるならてめぇのタマキン引きちぎるからな覚悟しろクソメガネ」
「まぁまぁ。 ふざけた僕も悪かったよ」
「もってなんだよ。 ”も”って」
ふざけた顔をしてふざけた事を吐かすクソメガネこと菊岡。
その菊岡は椅子に縛られている晴美の前で優雅に浴衣姿でかなり大きなコンソールの上に座っている。
で、当の晴美はなんか拉致られてオーシャンタートルへと運び込まれ、そのままちょいキツめのぐるぐる巻きにしてここまで連れてこられたのだ。
「説明は、いるかい?」
「いらん。 どうせ分かる」
「ははは、そうかそうか。 じゃあ話は早いね。
どんなアカウントがいい?」
「飛ばしすぎ飛ばしすぎ。 俺どころか読者も置いていってる」
「いやぁ、どうせ地の文とかで説明が入るだろう? ならここは省いても問題ないと思ってね」
メタ発言に目を瞑る。
それはそれとして、晴美は今現在何故ここに拉致られたかを考える。
オーシャンタートルへと拉致られたと考えられる理由2つ。
アンダーワールドへのダイブ。
アンダーワールドの外側からチートでなにかする。
だろうか。
どちらにしてもタダで飲む訳にもいかないため、晴美はやる気ねーぞ、と視線を菊岡へと送る。
「まぁまぁ、そんな目はしないでくれたまえよ、晴明君」
「……」
軽い違和感。
晴美は縛られている状態の自分を見る。
星空色のツインテになっている髪、無い胸、ロリ。
つる、ぺた、すとんな体。
しかもそれを世界に反映している。
晴美が晴明だと認識しているのは嫁達……明日奈達だけである。
それに、今の俺は晴美だ、という自己暗示も掛けている。
それなのに、菊岡は晴美の事を晴明と言ってのけた。
「おん……なんて言った?」
「おや、聞こえなかったのかな、晴明君?」
「……その名前、誰から聞いた?」
菊岡は悪びれず、臆さず、あっけらかんと
「君の大事な娘さんから」
「︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ 」
轟音。
晴美を縛っていた縄が消し飛び、座らされていた椅子が爆散し、辺り一面の壁に亀裂が入る。
耐火性だの耐水性だのが意味をなさなくなったそれらを気にすることなくニヤニヤと笑みを浮かべたままの菊岡の首に手をかける。
「おっと、そこまでだ、晴明君。
僕を殺してしまっても構わないが、それをすると君の大好きな人達は皆死んでしまうよ」
ぐっ……と力を入れようとした瞬間に言われた言葉に、手の力が抜ける。
投げ込まれた特大の爆弾を破裂させることは、今の晴美には出来ない。
「そう、それでいい」
猛獣を手懐ける調教師のような声で言ってくる菊岡を睨む。
「 ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ 」
「ん、なんだい?」
「……何が目的なんだ」
「君なら分かるだろう? 僕達はAIを作りたいんだ。 あぁ、いや、そうだな……自己で判断をし、人を殺せるAIを作りたいんだ」
「はいせんせー、しつもーん」
「まだ受け付けてないよ」
「しねばいいのに」
しっかり悪態をつく晴美を見ても笑みを崩さない菊岡。
それに舌打ちする晴美だが、はよしろ、と促す。
「君が止めたんだろうに……
……まぁいい、僕達は……」
「そろそろ悪役ムーブはやめた方がいいっスよ菊さん」
後ろから。
正確には罅の入った耐圧扉からチャラそうな男の声が聞こえた。
「ちッス、晴美さん」
「比嘉。 弱みでも握られてる?」
ちらりと、だが菊岡から視線を外さずに背後から回ってきてる比嘉に意識の3割を向ける。
「やー、これは俺の意思でー……って、そうじゃなくて……
晴美さんが更にブチ切れて菊さん殺されちゃわないように、ネタばらしに来たんス」
「比嘉君、すこしはや」
「死にたいんなら言うの辞めるっスよ」
「はい……」
しょんもりする菊岡を尻目に、土下座をする比嘉。
はて?
「ほんっとーに、申し訳無いッス!」
という言葉から、比嘉の話が始まった。
~~~~要約~~~~
晴明の名前は、何故か改変されてなかった菊岡の頭の中に残ってた。
それを利用しようとは考えていなかったが、アンダーワールドにダイブさせる口実にはなると思った。
だけどまだそれが本当の名前か確証が取れなかったから会って聞こうとしていた。
会いに行ったらなんか気絶してたから拉致した。 (???)
その際にスマホのロックが外れてたから、スマホの名前を見たら
もちろん、ユイ含む全員が無事だし、菊岡達は接触すらしていないようだ。
紗知と詩乃、悠那だけ例外だが。
で、晴美が起きてから悪役ムーブしたら楽しくなっちゃったらしい。
しねばいいのに。
「いやぁ……ははは、申し訳無い」
「しね」
「直球だなぁ……」
「信頼度マイナスになった菊さんだと話にならないから俺が継ぐっスよ。
本当なら、晴美さんに色々テストしてもらいつつ、アンダーワールドで生活……もとい、性活してもらおうとしてたんス。
まぁ、あんまりむりくりするとバグとか起きかねないんで、ちゃんとした手順でおせっせ……っていう感じッスね。
要は先行体験プレゼント……みたいな感じッス」
「そっすか」
「そっス」
……しーん。
「……はいそうですか、とは行けないんだが?」
「まぁ、そッスよね。 どーすりゃいっかなぁ……」
うーむ、と頭を抱える比嘉を見つつ、終始笑顔なクソメガネから視線を外す。
「まぁ、とりあえずスマホ返せ。 んで、明日奈達に連絡取る」
「スマホを返すのはいいけど、明日奈さん達に連絡するのは許可できないかな。 一応、極秘施設、だからね」
クソメガネからの言葉に、まぁ、一理あるか、と舌打ちをしながら了承してやる。
小さくため息を吐き、亀裂の入った耐圧扉からでてきた坊主な自衛官の方を見る。
その手に小さい盆が、さらにその上には見慣れたスマホが置いてあり、それを持って晴美の前に持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「いえ……」
申し訳なさそうな表情をする自衛官に苦笑いしながらスマホを受け取る。
特にデータ削除やコピーなんかをされた形跡は無い。
チートのアイコンもしっかり表示されている。
「で、だ。 アカウントはどれにするかって話だったっけ、比嘉さんや」
「……ん、あぁ、そうッスね。
どのアカウントでアンダーワールドに降りたいかってヤツっス」
しっかりスマホを回収出来たし、とチート画面で晴美が認めた人間にしか触れられないように設定しつつ比嘉に話を振る。
せっかくだし強いのがいい、と案を出せば、スーパーアカウントである神のアカウントを表示してくれた。
「地形を操作できるステイシア、飛行能力持ちのソルス、無限回復のテラリア。
これがメインの三女神ッス。
他にも剣神とか鍛治神とかのアカウントはあるんスけど、オススメはこの三女神ッスね」
「ふむ……じゃあ、この端っこにあるベクタで」
「えぇっ!?」
なんでそれを選ぶんだ、みたいな声を上げる比嘉ににやけ顔を見せてやりながら、再度ベクタで、と言ってやった。
~~~~~~~~
「……システム・コール、ジェネレート・アンブラエレメント、ポゼッシヨンヒューマンユニット、ID……」
オブシディア城城下、暗黒術師ギルド本部にて、ディー・アイ・エルの指導のもと、暗黒術の訓練をしている最中のセイメイ。
今やっているのは、闇素を他者へと憑依させて意のままに操る術式だ。
まぁ、もちろんディーしか知らないし使えないものだ。
それをセイメイは「エロいから!」という理由で習得しようとしている。
いいよね、憑依……
……それはそれとして、今相手をしてくれているのは、褐色肌で白髪、おっぱい大きい子。
そんな子を操れたら……なんて楽しそうにしている。
チート使えば一発なのに、なんて思考は無い。
「……あまり上手くいかぬな……」
「初めは誰でもそうですわ」
「むむむ……」
相手をしてくれている子と横にいるディーとは別の、周りで見守っている術師たちから、可愛いだの綺麗だのと言われている。
それで気が散っているのかもしれないな! なんて。
「陛下、ここにおられましたか」
と、そこに鎧を着たままのシャスターが現れた。
「シャスター。 どうした?」
「先日の指令に関してです」
「分かった、人気のない場所にいこう」
ディーに密談にもってこいな部屋を教えてもらい、そこに向かう。
……一応、ディーにもついてきてもらう。
「……それで、あちら側はどうだった?」
「は、和平に関してはあちらも乗り気のようです。
しかし、最高司祭達は交渉の材料には出来ないと」
「んー……まぁ、そうであろうな。
自らが王と仰ぐ者を差し出す騎士は居らぬ。
であれば……そうさな……
他にいくつかの条件を出すとしよう」
誰も来なさそうな部屋へと入り込めば、すぐに扉を施錠。
シャスターにいくつかの条件を聞かせ、場合によっては……と予備の条件を持たせる。
通れば予備は必要なくなるが……さて。
とりあえずシャスターは、数日後に山脈哨戒任務という名目で暗黒界入りする整合騎士第一位との会談のようなものに向けて用意させる為に部屋から追い出す。
「……さて、これが上手く行けば……」
「あの、陛下……」
「……あぁ、確かディーって不老不死の法……とは違うけどそういう術式を最高司祭が持ってるって考えているんだったな?」
「はい……」
「あー、えーと、やめとけやめとけ。
不老長寿程度ならどうとでもなるが、不老不死となるとかなり大変なことになるよ」
大変、とは……?
とウェーブの効いた髪を少し退けながら首を傾げるディー。
「……魂が壊れる。 記憶が無くなる。 意思が無くなる。 例外が二人いたと聞いたが、お前では無理だ。
無論、余でさえもな」
チートがどこまで万能か分からない。
原作でも2人の記憶を消さないとどうなっていたかすら分からない。
そんなふうにはなりたくない、と不死の法を諦めかけているディーを撫でながら
「まぁ、さっきも言ったが、不老程度ならどうにかなるはずだから、頑張って探しなさいね」
そう言って部屋を出た。
のだが、わいわいきゃいきゃいと暗黒術師ギルドのメンバー(かなり可愛い子たち)がセイメイを取り囲んだ。
「ディー様と密室で何をしていらしたのですか!」
「総長との密談、ふひひ……捗りますなぁ!」
「えっち、えっちはしましたか!?」
「さっきシャスター出てったみたいだけど、三角関係?」
「私の皇帝陛下ー!」
「お前のじゃねぇ私のだ!」
「お前のでもねぇよ!」
「はー、生き返るわぁ……」
「うっ……ふぅ……」
などなど、凡そ女の子とは思えない事を口走ってる残念美人が数人いたが、まぁ、良しとしよう。
「む、む……余の好みを聞かれていたのだ。 だがこれは内密ゆえ、ディーにしか聞かせておらぬ。
シャスターは……好きな人いそうだったから部屋から弾き出した!」
あらあらまぁまぁ……なんて近所のおばさん染みた声を出す残念美人達。
何人かわかっていそうだなぁ……
菊岡の根性はクソメガネ。
エリスの胸はパット入り。
それはそれとして、アンダーワールド編第2話、いかがだったでしょうか。
なんか動きが納得いかないけど、晴明だもんね、しょうがないね。
それでは、また次回、お会いしましょう!
……
「ふむ、ダークテリトリーにベクタが降臨したのか」
少女は1人、本棚へと向かう。
「ならば、そうじゃな……ベクタの力であれば奴を屠る事もできるじゃろう……
……あとはどう接触するかだが……」
本には目もくれず、ほぼ唯一となってしまった古き友へと声を掛ける。
「ふふ……そうじゃな。 わしが出向けば、あのベクタならころりと堕ちてしまうじゃろうな」
ひとり、小さく笑う声が本に埋もれた伽藍の洞に響く。