転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
……元々無いに等しかったけど。
それはそれとして、最近語彙力とか無くなった気がします。
話題も変な方に飛ぶし。
小さい……ユイ位の小さな少女が、身の丈よりも大きい杖を振り、その姿を表す。
茶髪で巻き毛。賢者然としたローブや帽子をかぶり、どことなくおっとりした感じの雰囲気を老齢な雰囲気で包んだような曖昧な雰囲気を出す少女。
「来るのが早過ぎないか……? というか、ここまで飛んでこられたのか……」
「いや、全て飛んできた訳では無いぞ?
東の大門の横道を通ってきたのじゃ」
「ふむ」
は? 知らねぇんだけど。 なんて言うわけにもいかず、顎に指を当て、考えるふりをする。
だがすぐにそれを放棄して。
「まぁ、それは置いておく。
貴様……あぁ、いや、すまない。 君はカーディナルだな?」
「……うむ、いかにも」
少し意外そうにセイメイの方を向くカーディナルと呼ばれた少女。
「余は……ベクタ。 暗黒神だか皇帝だかと呼ばれている」
シャスターがこの場にいる。
隠すように言ってしまったが、後で色々シャスターに念押ししておかなければならないだろう。
「それで、カーディナル殿はどのような要件で参られたのか?」
ベクタとしてのキャラが固まっていないせいで、口調がごっちゃになってしまっているが、気にせずにカーディナルへと問いを投げる。
「……その前に、そこのお前、外してくれぬか?」
「しかし……」
「シャスター、問題ない。 席を外してくれ」
「……御意に」
カーディナルとセイメイ、2人から外してくれと言われてしまったシャスターは渋々といった様子で部屋を後にした。
シャスターが出ていったのを確認したカーディナルは、小さく息を吐き出し。
「……何故わしがここまで来たか、だったな? ……外から来たであろう者への接触と、わしが得た情報の整合性のチェックのため、と言えばいいか?」
「おう、なんとなくわかった。
それで、外から来た者に接触したかったって言ってたけど、接触して何がしたかったんだ?
クィネラに関してはこっちで機能停止させる予定だけど」
「……は?」
唖然としてしまっているリセリス。
そのまま追い討ちをかけるように、これからの流れを軽く教える。
「ち、ちょっとまて、待ってくれ、ベクタ……いや、ベクタのガワを持つ者よ……」
「……一応ここではベクタで通してるけど、2人のときならセイメイって呼んでくれ」
名前に関しては頷いてくれたが、これからやろうとしていることに頭を追いつかせるので精一杯なのだろう。
頭抑えて下を向いてしまっている。
「……ふー……とりあえずやりたいことはわかった。
じゃが、それが上手くいく保証はあるのか?」
「いやぁ、それが割と初期段階で行き詰まってる」
チートが起動出来ない。
先程エルレネとノノンとの情事中に起動を試みたが、うんともすんとも言わなかった。
起動の仕方が違う可能性も考えているが、シャスターとリセリスという来客で試すことが出来ていない。
だがそれは言わずに、ただ行き詰まりになってしまっていると告げる。
「……ふむ……」
「考えていても埒が明かない。
まぁ、だったら埒をこじ開けるのが俺だけど」
「ふむ……?」
「あぁ、こっちの話」
とりあえずは明日に予定されている会談を成功させたらどうにかなるはずだ。
なればいいなぁ。
なんてちょい弱気発言をしつつリセリスに手をさし伸ばす。
「かなり雑い作戦だけど、乗るか?」
「……まぁ、もう図書室へと戻れぬからな……乗るしかなかろう」
カーディナルは自分の目の前に差し出された手を握り、苦笑いを見せる。
おばあちゃんの「しょうがないなぁ」というような表情と雰囲気だった。
~~~~~~~~
「さて、交合うだけじゃなくて、仕事もしないとね」
カーディナルを客室へと案内(また迷い、ちょうど近くを巡回していた暗黒騎士に助けてもらった)をして、自室へと戻る。
「おかえりなさいませ、陛下」
「どなたですかあなた!?」
部屋に入った瞬間、メイドのような格好で出てくる
「あ、申し訳ありません。 私、商工ギルドより参りました、ガヘリスと申します」
厳つすぎて似合わなっ……
銀髪を頭の後ろでシニヨンにし、その上にメイドキャップを被って、更にはモノクルで黒のクラシックメイドドレス。
どう見ても優雅という言葉が似合う格好なのに、名前がいかつく感じてしまう。
「如何なさいましたか?」
「いや……なんでもない。
それより、ガヘリスは何故余の私室にいる?」
「はい、頭領のスコボより、陛下のお傍で仕えよ、と命を受けまして。
陛下が宜しければ、お傍に控えさせて頂きたく……」
「なるほど。
ええよ」
「ありがとうございます、陛下」
カーテシー……スカートの一部を摘み、頭を下げる、貴族がよくする礼を優雅に熟すガヘリス。
「……あ、商工ギルドの1人ということは、戦闘は出来ぬか?」
「いえ、剣術、体術、槍術、弓術、暗黒術、その他様々な武術魔術を収めておりますので、対人、対魔獣、全て対応出来ます」
「すんごぉい……」
何このパワーメイド。
やっぱりガヘリスの名前あってるわ……
「ふむふむ。 じゃあ、護衛を頼むかもしれないが……武器は……」
「ぁ、え、と……こちらに……」
少し口篭り顔を赤くしながら、スカートを軽くたくしあげてぺらりと裏地を見せてくれた。
ナイフ、如意棒みたいなもの、剣の柄だけ、折りたたんだ弓などなど。
暗殺者も真っ青な仕込み武器の量に興奮を隠しきれないセイメイ。
「すげー! かっけー!!」
「あ、ありがとうございます、陛下」
「うん!
……あー、もっと色々見てみたいけど、仕事……」
ふんすふんすと鼻息荒くするオトコノコなセイメイだったが、急に素に戻り仕事をしなければと思い出してしまった。
「……族長達の意見やら人界との交流……? いや、交流というより衝突か、それの頻度とかを調べて……
後は……?」
「後は、明日の予定の見直しでしょうか」
「そうだね。 いや、忘れてた訳では無いけども」
小さくため息を吐き出しながら、ガヘリスに族長達の調書などを持ってくるようにお願いする。
その間に、明日の会談について思考を巡らせる。
とは言っても、行き当たりばったりのはったりしか出来ないよなぁ……
……まぁ、やってみるだけやってみればいいか。
目的は人界と暗黒界の和解。
クィネラの確保。
だが、クィネラの確保を出さずに話を進めなければならない。
「あー、くそ……かなり面倒だな……」
「では、いっそのこと力業で押してしまうのはいかがでしょうか?」
「力業ねぇ……?」
力業、とは言うが、そもそもどんな風にゴリ押せばいいのか。
チート起動しない、ベクタの力も……
「いや、ちょっとまて。
それが使えるじゃないか」
はて、と首を傾げるガヘリスを横目に、ベクタの力の内容を思い出す。
任意の人工フラクトライトへの干渉。
……は?
思い出した力業も力業な能力に一瞬宇宙猫。
「あー……いや、余の力をどう使うか悩んでしまってな」
首を少しかたむけていたがすぐに左様でございますか、と目を伏せるガヘリスに手を伸ばしかけるが、即座に止める。
これしたら俺殺されるかも。
なんて考えてしまった。
~~~~~~~~~~
いくじなしな陛下。
ですが……多分、私やスコボのことを考えてしまったのでしょう。
「寝盗りになるのでは?」なんて考えてしまっているのでしょう。
ふふふ……可愛らしい……♡
「では陛下、能力の試し打ちをなさいますか?」
「……そうだな。 人界人でも捕まえておらぬか?」
「……山ゴブリン族が数人ほど白イウム……人界人を拉致してきているようでして、先程城下に売買しに来ているそうです」
「よし行こう」
「かしこまりました」
私は頭を下げ了承をする。
陛下の後ろに付き、視察を含めたイウム売買……この場合は奴隷売買と言うのでしょうか?
奴隷を買う為に陛下は部屋をお出になる。
「して、ガヘリスよ。 ……お金とかどうすればいい……? 国庫とかから出しちゃダメだろ……?」
ポンコツ可愛い。
このポンコツ陛下、私が守らねば。
「そうですね。 国庫から出してしまったら怒られてしまいます。 が、陛下ならばよろしいのではないでしょうか?」
「やー……怒られたくはないしなぁ……
なにか無いかな」
そういってがさごそと懐を漁るちいさな皇帝陛下。
だが、陛下の懐からは売れるようなものやお金は出てこない。
「……とりあえず、行ってから考えようか」
諦めたように苦笑いを見せ、肩を落としながらオブシディア城の出口へと向かっていきました。
今回は迷子にならずに出口に来れた、と小さく呟いていたようですが、私にはしっかりと聞こえておりましたよ、陛下。
「陛下、そのままで城下へと下りられますと、民たちの注目の的となってしまいます。
ですので、こちらをお被りください」
陛下の為にと持ってきていたフード付きのローブを差し出せば、陛下は「あぁ、ありがとうガヘリス」と笑みを見せてくださり、羽織って下さった。
あぁ……私が作った物を着て、更には羽織って下さる陛下……しゅき……♡
なんて思考は外には出せません。
いつものポーカーフェイスのまま、陛下を城下へとエスコートします。
イウム売り、と言われている店のある城下の外れ。
本来であるならば、陛下をお連れしたくはない場所。
それでも、私は陛下のご意向に背くつもりも反旗を翻すつもりも無いため、ただ襲われないように、はぐれないようにと注意を促し、私は陛下をエスコートし続けます。
~~~~~~
「で、ここがそうなんだな?」
「はい、ここです。
ここで人界の人間を売買しております」
ガヘリスは、思考を読ませてくれない無表情でそう答える。
そっかぁ、ここが……
……どう見てもスラムの丸太小屋。
本当にここなのか、と悩んでいたら、ガヘリスがササッと入場の手続きのようなものを済ませ、俺を呼んでいる。
ガヘリスに連れられるまま、丸太小屋へと入り込むが、入ったら入ったで、即地下へと続く階段があった。
がくんと足を踏み外しそうになったが、ガヘリスがしっかりと支えてくれたおかげで事なきを得た。
そうして、ガヘリスに支えられたまま……なんか鼻息荒くなってない?
……まぁいいや。 ガヘリスに支えられたまま、Y12……くらい? ダイヤ出そうだな? 程度まで地下に降りた。
「ブランチマイニングでもしているのか……?」
「朝食と昼食は掘りませんよ?」
「おん……??」
ガヘリスのボケ……? に首を傾げたまま、案内されるままに扉が沢山ある廊下へとたどり着く。
そのうちの一つの扉に案内されて中に入ると、少し金を持っていそうな商人のような格好をした鼻の長いおっさんが立っていた。
「わが奴隷売買ギルドへようこそいらっしゃいました。 本日はどのようなご要件でしょうか? 奴隷の購入でしょうか? それともそのメイドの売却でしょうか? ンまさか、お客様が奴隷になりたい、とは言いませんよね?」
にやにやとした視線を俺やガヘリスに向ける鼻。
「奴隷の購入だ。 資金は……そうだな。 【貴様の財布から払ってもらう】がいいな?」
鼻は思考を停止させているのか、一瞬フリーズしていた。
ベクタの力を込めた……いわゆる言霊を放って見たが、どうだろうか。
この鼻、なんかこう……イラッとしたから破滅させるつもりなんだが。
「はい、かしこまりました。
ンではでは、これから連れてまいりますので、そちらの椅子に掛けてお待ちください」
一脚しか用意されていない椅子にため息を吐く。
「ガヘリス、座る?」
「それはなりません。 従者が主を差し置いて座るなどと……」
「ん、じゃあ座れ。 余が膝に座る」
「それならばよろこんで」
掌ドリル。
そそっと椅子に座ったガヘリスの膝の上に座る。
なんでこんなことしてるんだろ?
そんな思考は、じゃらじゃらと鉄が擦れる音でかき消される。
「お待たせ致しました。
本日ご紹介させて頂く奴隷達です」
そう言って入ってきた鼻。
その鼻に連れてこられた野暮ったい服を着た少女たち。
「は……? なぜ……なんでこんな所にいるんだ……!?」
その内の1人を見て驚愕する。
ありえない。
有り得てはならない。
右目を失った、金髪の少女。
「はい、ナリタトップ○ードです!」
「違います」
というわけで、本来であるならば会うはずのなかった少女の襲来です。
次回以降、マジでどうしよう。
話はまとまってるけど、晴明君真面目に動いてくれないから……
今回の奴隷も、頭の中で構築した晴明君エミュレーターが
「行こうぜ、奴隷市!」
だったんだもん……
せっかくサブヒロイン枠で作ったガヘリスがいらない子になっちゃう……
あ、ガヘリスのイメージは、ドラゴンなメイドのハスキーとか、ケツで魅せるガンアクションゲーのメイド長とかそんな感じです。
まだまだ話し足りないけど以上、また次回、お会いしましょー!