転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
ファナティオとデュソルバートを捕まえてから、周りに注意しながらバラ園を進む。
「そろそろだと思うが……」
原作ではエルドリエが優雅にワイン飲んで慢心した噴水を通過し、チートを使用。
遠距離通信術は知らないため、こちらからカーディナルに連絡をすることは出来ない。
そのために無理やりチートで接続する。
「カーディナル、聞こえるか?」
『うむ、聞こえておるぞ。 そろそろ着く頃だと思っていたが、どうじゃ?』
「みちにまよった」
『………』
呆れたようなため息と共にナビゲートを開始してくれる大賢者サマ。
2人はしっかりと辺りを警戒してくれているが、今のところ襲撃はない。
無事に大図書室への扉を潜り、埃臭い感じがする気がする図書室へと到着する。
『よし、着いたな。 ではそうじゃな……今入ってきた扉に触れよ』
カーディナルの言う通りに扉に触れる。
ドアノブではなく、表面にただ触れる。
『ほいっと』
軽い声で杖でも振るったのだろう。
軽く扉が光るだけでそれ以上の事は起こらなかった。
『完了じゃ』
ドヤ、という感じの雰囲気は感じられずさも当然の様だ。
『ほれ、2人とも。 準備は出来ておるのじゃろう?』
マイクの後ろで何かをやっているかの如く促しているようだが、その2人の声は聞こえない。
少しして扉が漸く開き、中から金髪と白髪の女性二人が出てきた。
1人は頭に白い装飾の着いたリボン(?)とエビフライみたいな三つ編みが特徴の16歳位の子。
1人はロングヘアーだが……外ハネロングと言うらしい髪型をした、同じく16歳位の子。
片や魔術師のような水色のローブを着込み、片や紫の騎士鎧を着込んでいる。
「え、と……お待たせしました、ご主人様……!」
「……え、アリスぅ!?」
アリスだった。
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「それで、どういうことだってばよ」
「私とドロシーが、カーディナルさんにお願いして強くしてもらっちゃった」
『うむ。 必死におぬしの役に立ちたいと言うのでな、100倍速空間を作ってそこで修行してもらったのじゃ』
錬金術とか色々使っていそうな100倍速空間を作り出したと簡単に言ってのけるカーディナルにすげー……となりながら、大きくなった二人をみんなでじろじろ。
「一目見た程度だったが、あの子供がここまでとはなぁ……」
「……アリス、ドロシー、メイドとしての作法は心得ておりますか?」
「いません!」
「……」
あ、これは後で俺を巻き込みながら説教か訓練すんぞという顔だ。
おれしってる。
「ま、まぁ、それはそれとして、二人が援軍か?」
俺としてはあまり嬉しい援軍ではない。
アリスを狙ってきてるであろうガブリエルと遭遇する可能性が高すぎる。
「はい、小官……ドロシーとアリスの二人が援軍となります」
「そっか……ふむ、よろしく頼むよ、ドロシー」
「はい!」
「……ところでご主人様、なんだか変わった? こう、受け答えというか……?」
「それを言ったらアリスだってかなり違うような……?」
2人揃って首を傾げながら、とりあえず大仰な話し方は疲れたから、人が少ない時はこんな感じにしてる、と雑に説明をし、アリスからは「……慣れ?」と言われ、感じが変わったことに関しては終結した。
子供のまま大人になったようなアリスを見て、内心複雑だが、いまは気にしないようにしよう。
「……」
図書室内を少し歩き、1人で考え事ができるスペースを見つけた。
アニメでキリトとユージオが、カーディナルと話していた東屋(?)だ。
そこの椅子に腰を下ろし、これから先のことを考える。
整合騎士に関してはゲットアミでゲッチュして行けば良いだけだが、その後ろにいる、外界からの「来訪者」。
十中八九、ガブリエル・ミラーとヴァサゴ・カルザスの2人だろう。
アリスを攫うのが目的だろうから、本来であるなら会わせない方が得策だが……
チラリと図書室中央でガヘリスに扱かれているアリスとドロシーを見やる。
「なんで、こんなに裾短いのぉっ!?」
「ご主人様に何時でも触っていただけるようにです。 ほら、言葉遣いが崩れていますよ」
「な、なぜ小官も……」
手伝いたいという彼女達を無碍に扱うのは、俺にはできない。
だからといって、ただ鍛えただけのアリス達を戦場に立たせる訳にも行かないから、対策とかを沢山講じておくとしよう。
「それはそれとして、どこからミニスカメイド服なんて取り出したんだ……?」
「ガヘリスの嬢ちゃんのスカートから出てきたぞ」
ぬっ、と顔を出してきたベルクーリに驚く。
「マジで? 本当にあのスカート四次元ポケットなんじゃないのか?」
「四次元ポケットとやらが何かはわからねぇが……あのスカートは何でもとりだせそうだな。 だが……皇帝さんよ、覗こうとは思わない方がよさそうだ」
「中覗いたら腿で頭潰されそうだからねぇ。 ……や、まぁ、ぷにぷに腿にスリスリしたい」
「……」
「変な目で見ないでくれよぅ! わかってる、変態なのは自覚してるんだから!」
「……まぁ、それは置いといて、だ。 これから先、あの嬢ちゃん達を連れていく気じゃないだろうな?」
小さく息を吐き、こちらを見つめてくるベルクーリ。
「連れていく気は無い。 連れていく気はね。 だけど、2人は着いてくるよ」
「であれば閉じ込めればいい。 そうすれば」
「やー……無理だね」
ほら、と視線を向けた先には、かなりじっとりと湿度の高い視線を向けてくるアリスとドロシーが居た。
アリスを盗られる可能性なんかも色々考えているが、直で俺が守れない時の方が危険だという結論しか出ない。
その沈黙を、2人を守る自信が無いとでも取られたのか、小さく
「……私の命くらい自分で守れます。 ご主人様も守ります。 そのためにカーディナル様に頼んで特訓したんですから……」
魂はまだまだ10歳そこらの少女にそこまで言われてしまったのなら。
「ベルクーリ」
「あぁ、俺はもう何も言わん」
「だそうだ、2人とも、本当に大丈夫だな?」
「「はい!」」
「よろしい。 ならば俺と戦え」
青の魔道士と紫の騎士に、二人で協力して俺を倒せと、俺を納得させろと命じる。
2人は最初お互いを見やりどうするかというようなアイコンタクトをするが、すぐに己の獲物に手を伸ばす。
「ルールは簡単だ。 俺に深手を負わせろ。 こちらも本気で行く」
「えっ、それは……」
「納得させたいなら、着いてきたいならそこまでやれ」
回復のみチートを使う。
それ以外にチートは使わない……つもり。
「……とりあえず、場所移動しようか。 ここじゃまともに戦えないし」
図書室内の東屋(?)から、併設されていた運動場のような場所に移動する。
なんでこんなのあるんだ?
それはそれとして、ベルクーリには審判として立ってもらい、2人の対面に立つ。
「はじめッ!」
「……内なる三合、外三合より勁を発す。
これなる拳は、六合大槍!」
フッ! とガヘリスが作ったドレスのまま右脚を踏み込み、地を揺らす。
両の手を拳に、前へと突き出す。
「アリス、お願いします……!」
「システム・コール!」
震脚に触発され、ドロシーがこちらへ突撃を開始。
アリスは詠唱を開始した。
流石に拳闘士連中みたいなことは出来ないが、一度響を纏った身だ。
それなり以上の力は出せる。
踏み出した右足に力を入れ、鎌を振りかぶっているドロシーの足元狙って跳ぶ。
迎撃の為に横振りされた刃の下をスライディングでくぐり抜け、振り切られた直後に左足でブレーキ掛けて右足を跳ね上げる。少し近すぎたせいで胸当てにぶつかり、顎にまで当たらない。
「ぐっ……」
バックステップで下がるドロシーを追撃しようと脚に力を込めるが、そうはさせじと氷の礫が飛んでくる。
拳で礫を殴り弾くが、その隙にドロシーは体勢を立て直して再度切りかかってくる。
「ドロシー、それは魂の無い魔物で、自分より弱い相手への戦い方だ」
鎌の柄を掴み、こちらに引き寄せて顔面に肘を……入れられずに、溝尾を膝で蹴り抜く。
「っ゛っ゛!?」
胃の中に何も入れていなかったのが幸いしたのか、胃液を吐くだけに留まるドロシー。
それを見ることなく後方支援に徹していたアリスのいた場所へと目をやる。
だがそこには魔法を放つ準備をした杖だけが放置されていた。
「近接戦が出来るのは、ドロシーだけじゃないわ!」
死角からアリスが袈裟斬りをし、ドレスのお腹辺りがぱっくり裂けた。
ちょっと油断した。
油断……いや、甘いだけか。
ドロシーの顔面を殴ることも出来てないしな。
「……」
息を吐き、距離を取ろうとするアリスの剣を掴み、こちらに引き寄せる。
だがそれを読んでいたアリスは剣から手を離し、殴りかかってきた。
カウンターなぞする必要もなくただ殴
「小官を、忘れないでください」
左拳の振りはじめに合わせて鎌が振られ、左腕が半ばから断たれる。
だがその程度。
すぐさまドロシーの鎌に蹴りを加えようと左を向いた瞬間に、アリスの渾身の右ストレートが俺の顔を捉える。
「っ……」
残っている右手でアリスの頭を掴み
「そこまでッ!」
ベルクーリの言葉でアリスを降ろす。
「……あぁぁぁあ! クソっ! 負けた!! あーくそー! くやしい! 最初から全力で行けばよかったァァァァ!!」
床に倒れ、じたばたと血が滴る手を振る。
一通り悔しがった後、ひょいっと立ち上がる。
「ドロシー、ごめんな、大丈夫だった? アリスもごめんね?」
左腕を治しもせず2人の心配をする。
「ご主人様の方が大丈夫そうじゃ無さそうなんだけど!?」
「し、小官こそ、申し訳ありませんっ……!!」
腕を切り落とすつもりは無かった、と切れた腕を持って謝ってくるドロシーに、その程度きにしなーい。 と言いながら腕を受けとり、チートを使って復元していく。
アリスとドロシーの体力等も回復させ、ベルクーリを見る。
「どうだった?」
「まだ連携や戦術は拙いが、磨けば輝く原石だな、2人とも」
「なるほど……」
「ご主人様!?」
連れてくかー、なんて考えていたところにガヘリスの声が運動場に響く。
忘れていたことに今気がついた。
女の子の顔面は殴れないよね!
殴らせたくないし!
……もし須郷が可愛い女の子だったら殴れないかもしれな……いや殴るわ。 ボッコボコに殴るわ。
遅くなった理由は2人を連れていくかどうかをどうやって決めるかで悩んだ結果れす。
しょうがないね。
ベルクーリも晴明も連れていきたくなかったんだもん