転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
ラストアタックでエリュシデータ落とすから気にしないで。
あの後、主街区に戻った俺たちは、有無を言わさずにリーファをお高そうな服屋に突っ込んだ。
実はその店、PCが経営していたらしく、「適当でいいからね」と言ったのに、結構本気で動くのにも邪魔にならないドレスを作ってくれちゃった。
若草色の大きな葉っぱを計8枚束ね、中に履いた白のミニスカーの延長上にその葉っぱが均等に並べられている。
上に関しては、リーファがALOで着ていた服に似ているものの、胸の星型みたいな形をしていたアレが葉っぱに変わり、鎖骨あたりまで覆うようになっているうえに、全体に若草色が混ざっている。
……俺の解説だとよくわからない人は、とりあえずまぁドレスだと思ってくれ。
何やかんやあってリーファの服選びは終わった。
お金に関しては、提示された金額の倍を置いていった。
という訳で、48、49層を速攻でクリアしつつ50層の迷宮区。
迷宮、と言う割には、他の階層の迷宮区と違って空に道が伸びている。
その道を、俺、アスナ、ユイ、ストレア、ユナ、リーファの6人で進んでいる。
サチにも連絡したのだが
『ちょっと用事があって……ごめんなさい!』
と返事が帰ってきた。
まぁ、これからこのパーティーだけで50層ボスをぶち転がそうとしているから、チートを知っているメンバーだけになってちょうどいいとは思った事は言わないでおこう。
空へ空へ伸びていく道を遮るかのように飛んでくる虫や龍や鳥や人形を薙ぎ倒し切り倒し張り倒し進んでいく。
「……なんか疲れた」
「早いですよパパ。
まだ歩き始めて2時間じゃないですか」
「いやもう2時間じゃないですか精神的に疲れるんですよこっちはみんなはまだ歩けるみたいな顔して……えっ、まだ皆さん歩けるんですか……?」
死ぬ、という顔をユイに向けていたが、みんなが先にゾロゾロと歩いていくのを見れば、むしろ俺の方がおかしいのかと思ってしまいそうだ。
実際おかしいのかもしれない。
そんな俺を見て、「しょうがないなぁ……」とこちらに背中を向けてしゃがみこみ、おんぶしてくれようとしているストレア。
「お姉ちゃんっ……!」と言いそうな衝動を堪えつつストレアの背中にしがみつく。
おっきいおっぱいがストレアの背中に押しつぶされる感覚がまた変な感じなのだが、まぁそれはいいだろう。
俺がストレアにおんぶされたためにパーティーの編成順が変更になり、アスナ、リーファ、ユイ、ストレアおんざ俺、ユナとなった。
そんな感じで危なげなく迷宮区を突破し、ボス部屋の前にたどり着いた。
「よっこいしょ……10分後位まで自由行動していいよ。 休憩するなり談笑するなりポーション確認するなりして時間を潰してて。
それが終わってから作戦会議するから」
ストレアの背中から降りれば、すぐに皆にそう告げる。
「おー」や「了解」などの声を聞きつつ俺も俺で装備を確認する。
装備ウィンドウを開き、装備ウィンドウの他に出現した【セット】の欄に配置されているチート組ボス戦装備と名前のついたボタンをタップする。
すると、今まで装備していた50層前後ならこの装備じゃね、という名前のセットがポリゴンの欠片になって消え去り、代わりに真っ黒の裾の長いコートに黒の柄のない短めのプリーツスカート。 黒のニーソに膝の少し下位までの長さのブーツに加え、黒の肘くらいまで覆う手甲(ガントレット)、おでこ辺りに着ける、二対の黒翼をあしらったピン留め(左髪には2本の左翼のピン留め、右髪には2本の右翼のピン留め)を装備する。
これら装備は全て99層で手に入る素材を使っている。
オーバーキルなんじゃないのかと聞かれそうなものだが、死なない為にもこっちは必死なんです。
とりあえずは装備完了。
他のみんなも99層前後で手に入る装備を着ている。
ユイも99層の装備に身を包み、紫電を纏っている短剣を装備している。 体育座りしてるの可愛いんだが。
「さて、じゃあまぁ、そんな感じで10分経ったわけだ。
作戦会議を始めるよ」
「「「はーい」」」
洗脳(?)した少女達をボス部屋の扉の前に集め、作戦会議を始める。
まぁ、作戦会議とは言っても、原作じゃ名前すらも出ていないボスのため、「全力でがんばろう」程度しか言えないんだがな。
作戦会議を苦笑いで終わらせ
「それじゃあ、勝って帰りましょうか」
と笑ってボス部屋の扉に手をかけては、一気に押し開けて中に入りこ
「せいっ!」
もうとした瞬間にはもうユイが紫電を纏ったナイフを今丁度出現し始めたドラゴンっぽいモンスターの目ん玉目掛けて投げ、片目を潰していた。
「早い早い!?」
「あ……ごめんなさい……」
「いやいいけどもう少し待ってあげようねあのドラゴンっぽいの悶えてるから!?」
次からはせめてポップするまで待ってあげようねとユイの頭を撫でてあげてから、腰のカリバーンを鞘から引き抜き構える。
ユイの投げたナイフはソードスキルだったのか、ひとりでにユイの手元に戻ってきている。
それを見てから
「各々自由に攻撃! ユイはアレが攻撃してきそうなメンバーとタイミングを指示!」
ユイと他のメンバーに指示を飛ばしつつ、まだ地面に足をつけ、悶えているティアマト・ザ・ロアードラゴンという名のドラゴンに対し、アロンダイト・ストライクの放つ構えを取る。
すぐさま白銀のライトエフェクトをカリバーンが纏い、俺の周囲に半透明の剣が展開される。
あとはシステムアシストに任せるがままに体を動かし、40m弱の距離をティアマトを貫きながら走り(跳び?)きる。
それに遅れるように半透明の剣がティアマトの体に刺さり、爆散。
結構距離を取って着地すれば、ソードスキル後の硬直が体を縛める。
それをカバーする様に、ストレアとユイが俺の背中を守り、苦痛に悶え振り回されるティアマトの尾を弾いてくれる。
「どっせぇーい!」
「ママっ、ユナさんっ、今ですっ!」
弾いて床に落ちた尾をストレアが大剣で串刺しにしつつユイがアスナとユナに突撃指令を命じれば、アスナとユナが
「やぁぁぁぁーーーーー!!!」
「てやぁぁぁぁーーー!」
細剣用突進ソードスキル、フラッシング・ペネトレイター。片手直剣用ソードスキル、ヴォーパル・ストライク。
このふたつのソードスキルを使用し突撃を開始。
片やジェットエンジンの様な轟音を、片や音もなく落ちる彗星を纏い、ユナはお腹を、アスナは頭を貫く。
ヘッドショットの概念は無いのか、ダメージはあまり変わらない。
だが、たった数発当てただけでHPゲージが2本目の半分に差し掛かっていた。
「皆さん、ティアマトが起き上がったら2秒後にジャンプしてください! 2、1、今っ!」
HPゲージをチラ見していた時には既にストレアの大剣は抜けていたのか、指示を聞いている最中に立ち上がっていた。
ユイの合図に合わせ跳躍をすれば、ティアマトが地面に咆哮をぶち当て、振動させる。
地面に立っていたらスタンしていただろう。
指示を飛ばした当のユイは、これ幸いと言わんばかりにナイフを投げまくっている。
本来、ソードスキルに投げナイフ系のものは無いはずだが、投げたナイフには水色のライトエフェクトが煌めいているし、刺さったナイフが手元に戻ってきている。
遠距離系スキルはスローピックや弓だけじゃなかったのか……
ユイのSTRも高めにしてあるため、ジャンプしている間だけで2本目のゲージも吹き飛び、三本目に入っていた。 なんかユイだけ攻撃力エグくね? リーファなんてぽかんとしちゃってるよ。
ティアマトの咆哮が収まり、着地すればアロンダイト・ストライクをティアマトに放つ。
暴れるティアマトの尻尾をストレアが抑え込む、アスナとユナが突撃する、咆哮をジャンプで避けて、ユイがナイフを投げまくる。
これらの手順を数回ぶちかましてやれば、最後のHPゲージに入った時にモーションパターンが変わるモーションをしようとこちらを睨む。
だが残念なことに咆哮を繰り出そうとしたティアマトの上顎と下顎に容赦なくユイのナイフが突き刺さる。
ゴリっとHPが削れ、最後のHPバーの残りが7割。
ここで一斉攻撃だー、と言って突撃するというのもありだが、なんか違う。
つまらない、という訳ではなく、それでいいのかという思いがちろちろ顔を出す。
まぁ、もう少しで終わるんだ。
せめて大きな一撃をプレゼントして終わりにしてあげよう。
片手直剣用10連撃ソードスキル、ノヴァ・アセンション。 その発動モーションを取れば、金に輝くエフェクトが瞬き始め、周囲に9本もの金色の剣が現れる。
【騎士王】専用片手直剣用10連撃ソードスキル、クラレント・アセンション。
ザリザリザリギャリギャリギャリッッと甲高くも禍々しい金属音を響かせながら、俺を中心に展開され、円を描くように金色の剣が地面を抉る。
その状態のまま突きの体勢を取れば、どこかの冥界の女主人よろしく鋒から円を描いていた金色の剣が発射されて行く。
ユイによってダウンさせられていたティアマトの、人間でいえば唇辺りに金色の剣が、寸分の狂いなく同じ場所に突き刺さる。
九本全て打ち込めば、ヴォーパル・ストライクの様に突進し、九本の金色の剣が突き刺さった場所を貫く。
ティアマト・ザ・ロアードラゴンのHPが消え去り、そのMOBも破砕しポリゴンの欠片へと変じる。
少しの余韻の後、クエストクリアの文字と共に鳴り響くファンファーレ。
皆の方を向けば、リーファ以外が喜んでおり、当のリーファは
「攻撃しなかった……」
と嘆いていた。
俺も俺で、ラストアタックボーナスはー……とウィンドウに目をやり確認しようとして。
バキャッ……と割れた、というより折れた音を耳にした。
これを書ききるまで2ヶ月弱。
ティアマトさんいい加減にしてくれと言いたくなったが、ちょっとやりたいことがあったからこれは避けて通れなかったんや。
わいはわるぅない!
……とまぁそんな感じで、久しぶりの1話、どうだったでしょう。
どことなく最後が禁書目録的な効果音だなと感じたあなた、正解です。
新訳読み終わってからやったからだね。
……では、また次回お会いしましょう。