吸血鬼が当主である魔王城の内部に存在するヒムナ姫の部屋で、人外と人間の二人が椅子に座って向かい合っている。
異形に自分から腰を振っていた姿を見られた角とヒビの口が特徴の青白い悪魔――セタンは服を着ており、恐れる様子でヒムナの顔を窺う。姫は何も言わず、ただ俯いている。自分のせいで……人間として生きることを諦める発言をさせてしまった。
「姫様、私は……愚か者です。この身体になっても、あなたを助けるはずでしたのに……」
頭を下げて謝罪するセタンだが、ヒムナは黙り続けている。言葉を続けようとした時だった。
ヒムナが顔を上げて質問してきた。表情は普通だが、背筋が凍りそうだ。
「……何人ですか?」
その質問の意味が分からず答えられないセタンだが、次の細かい質問にも答えられなかった。
「私と会うまで、一体何体の異形と……抱き合ったのですか?」
「ひ、姫様……私は……」
「答えなさい」
ヒムナの言葉には悲しみや怒りは感じられないが、逆に冷静過ぎるのは恐ろしく感じてしまう。セタンは震えを隠せずに答える。
「二桁……だと思います。その時の私は本当に……!」
「『媚薬を飲まされたから』だと仰るのですか? なら何故、そのように自身の体を抱きしめ、足を閉ざし続けるのですか?」
その指摘に自分の異変に気づいたセタン。こうして抱きしめているのは体の疼きが治まらないから。足を閉じているのは濡れているのを知られたくないから。今、助け出すべき姫様の前にいるのに快楽を求めている自分がいる。
首を横に振りながら否定しようとした。
「姫様、これは……!」
「……私もあなたのように堕ちれば、幸せでしょうね」
「幸せではありません! 国王の最後のお言葉をお忘れですが!? 姫様は人間として――」
「黙りなさい!」
突然、大声を上げるヒムナ。彼女の両目に涙が溢れている。
「『人間として』なんですか!? 『お父様の言葉』がなんですか!? 悪魔になり、媚薬を飲まされて乱交していたあなたなんかに、私の重荷を理解できません!」
「姫様……」
「去りなさい!」
部屋の扉を指差すヒムナに思わず、部屋から出ていくセタン。廊下に立ち、頭を冷やす彼女は少々混乱している。
「ヒムナ姫様、何故……あなたは人間として……」
「住む場所を追われ、御父上を亡くし、信頼する騎士様が淫魔同然になっちまえば、誰だって諦めたくなるぜ」
振り向くと、自分を殺した大剣の男がいた。身構えるセタンは口を開く。
「貴様らの仕業だろうが! よくも言えたものね!」
「前者の二つはそうだろうけど、後者はレーシェンの媚薬樹液を飲まされたお前に非があるだろ」
「そ、それは……」
「んなことより、野郎共がお前を待ってるぞ。そのために呼びに来たんだ」
……雄の人外達が私を待ってる理由は分かっている。むしろ、自分から進んでいった。しかし、姫様と再会した今は快楽に囚われるわけにはいかない。姫様を逃がすために耐えなければならない。
この男を殴り倒して、姫様を連れ出すべき――
「……あんたが嫌なら別にいいや。姫の身体を求める奴もいるからな」
顔を逸らしながらも目を向けてつぶやく男の言葉に思考が停止した。姫様が犯される? あの怪物共に?
それだけは……
――――――
男が指定した部屋の前に立つセタン。姫様を人質にされた彼女は自分に人外の性欲を向けようと決める。そう……私は快感なんて求めてない。何度も言い聞かせ、扉を開けて入っていく。鎧を身に着け、剣と盾を手にしているが、戦うのではなくそういう“プレイ”だと装備を命じられたのだ。
強烈であり、求めていた匂いと共に怪物達が待っていた。狼、馬、豚、兎等の獣人がいれば、オークやリザードマン等の異形も混ざっている。それらを束ねている魔王城の主である吸血鬼と男の姿はない。
ここでは、セタンは悪魔でありながら人間である姫を守る裏切り者という“設定”であり、怪物達は制裁する者として迫ってくる。攻撃は許されるとはいえ、大事になれば姫に手出しされると男に忠告されたため、殺気のある怪物に対しては本気で戦えない。
その結果、何体の怪物を気絶させたが、隙を突かれて拘束されてしまった。
剣と盾を手放してしまい、床に押し倒されたセタン。怪物達が鎧の端を掴むと強引に引き剥がし、その下に着た衣服も爪で裂かれてしまう。青白い裸体が露わになり、隠したくても四肢は広げて押さえられている。
爪が生えた手に乳房が鷲掴みにされ、様々な形に揉まれていく。片方の方も乳首を捏ねられていき、声を漏らし始める。
突然、顔を反らされたと思うと、口にペニスを突っ込まれ、喉を突かれる度に衝撃が来る。
太腿を掴まれ、愛液が流れ出る割れ目に陰茎が挿入されてピストンされ始めた。
口と膣を犯されているセタンに手を出せない人外は彼女のペニスを向けて視姦している。
やがて、口内と膣内に射精された時はセタンの体は視姦による精液で白く汚されていた。ペニスを抜き出され、口と割れ目から白濁液を流し出すセタンに次の怪物が迫る。
二本の陰茎を両手でこき、白髪をペニスに巻かせて自慰させ、口、膣、乳房の間だけでなく、尻にも挿れて腸内に射精させた。
最初は姫に手出しさせない目的だったが、自体に快楽を求めていき、やがて……
「おかして……私をもっとおかして……♡ せーえきちょーだい♡」
白目を剥きながら淫語を口にする淫魔としか見えなかった。
――――――
「セタ……ン……んっ」
真夜中の同時刻、セタンの痴態はヒムナ姫がいる部屋に置かれている鏡に映されていた。この現象は魔法と呼べる、人外の能力とでも呼べることはヒムナにはどうでもよかった。
セタンが自分の身代わりになっていることは男に教えられていたヒムナは、セタンを突き放す発言を後悔した。セタンが戻ってきたら謝罪しようと決めるも、最初は耐えていたセタンが堕ちていく姿にヒムナの鼓動が激しくなっていく。同時に体が疼き始めた。
ドレスを脱ぎ捨て、下着に手にかけたところで自分の行為に驚きと衝撃を感じるも、自ら腰を振るセタンの光景を見て躊躇いもなく裸になった。セタンと比べて幼い裸体のヒムナはその場に腰を下ろし、鏡に映る人外に見せつけるように開脚して濡れた割れ目を露わにした。
「王族の私が……このような格好を……」
偶然、人外が視線を向ける度に背筋が震える中、片手を乳房を掴み、もう片方を割れ目に伸ばしていく。乳首を捏ね上げ、クリトリスと膣口を指で弄り始めている。
「セタン、うう……セタン……」
騎士の名を呼びながら自慰していき、セタンの絶頂と同時に達した。陰裂から潮と尿が溢れて水たまりができていく。
それでも物足りないヒムナが再びオナニーをしようとした時だった。
「へえ……」
突然の声に振り向くと、城の主である中性的な吸血鬼が立っていた。咄嗟に胸と股を隠すヒムナだが、表情は蕩けている。
「騎士様が頑張っているのに、姫様がこれだとね。騎士様の無駄だったかな」
「……私の負けです、怪物に変えてください……犯してください……」
腕を退かして体を見せつけ、割れ目を広げて露わにするヒムナの姿に吸血鬼は口の端を上げた。ゆっくりと歩き寄り、ヒムナの首に口を近づけて……
鋭い犬歯を首に食い込ませた。
激痛、しかしやがて強烈な快感に変わっていく。声を漏らしながら倒れ込んだヒムナは死んだように動かなくなる。吸血鬼が口元を手で覆いながら見守り続けた。
ヒムナの身体が痙攣した。急成長して大人の体になり、首に近い背中から無数の触手が湧き出してきた。両手をついて体を起こすヒムナの口から異様に長い舌が垂れ出る。
触手の異形に変わり果てた自分の身体を見続け、吸血鬼に感謝した。
「これで私も怪物♪ 主様、ありがとうございます」
部屋の扉を触手で開け、セタンを求めてどこかに目指すヒムナ。その後ろ姿を吸血鬼は笑顔で見送ってやった。