死んだ人が怪物――ヒトデナシに変えられるこの世界では、墓を建てる、正確には埋葬の風習が薄れてきている。遺体を埋める墓穴を掘る間に遺体がヒトデナシとして蘇るからだ。居住地で人間が死んだ場合ヒトデナシが発生しないよう処理するため、また、人として永眠できるように主に火葬するようになってきた。
では何故墓が存在しているのか? ヒトデナシという異形がいなかった時代があり、その時に運良く埋葬されたものだ。
ヒトデナシが現れたばかりの時代に埋葬された者達は墓から生ける屍として這い上がってきた事があったが、2、3年前に埋められた者達は人として眠り続けていた。好き勝手に墓を荒らされる哀れな者は少なくなかったが。
太陽が輝く青空の下でありながら、重い空気が漂う墓地に一人の女性が一つの墓を手入れしていた。覆っていた蔦を手で引っ張りちぎり、水に濡らしたブラシで墓石を磨いていく。
新品同然とはいかないが、綺麗に出来た墓を前にして女性は額の汗を腕で拭い取った。
「ふう……綺麗になったわね」
それなりに裕福な格好の女性は息を吐き、手に持っていたブラシを木製バケツに落とした。彼女の目の前には磨かれたばかりの墓石にはある人物の名が刻まれており、その場に跪いた女性――未亡人がその名に手をそえてつぶやいた。
「今日も来たわ……あなた」
優しかった夫がまだ若い時に旅立ってから未亡人は一度も墓参りを止めた事はなかった。ヒトデナシが世に現れてからもギルドの傭兵を護衛として雇って墓地に訪れていた。
使用人や知人からは「夫は記憶の中で生きているから、無理に墓参りしなくてもいい」と止められたが、「死んだ人を忘れないようにすることも確かに大事だが、目に見える証である墓は手入れしたい」と返した。
未亡人は墓に眠る夫に、一つの街がヒトデナシに滅ぼされた事、高い防壁に守られた都では物資が不足してきている事などといった最近の出来事を話した。
こうして残された私は人間の天敵であるヒトデナシがいる世界の出来事を、あの世にいる夫に伝えてきた。
墓石からの返答がない中、話し続けた未亡人はポツリとこう漏らした。
「……平和な時代に死ねて、幸運ね」
その直後、自分の言葉に気づいた未亡人は謝った。確かに過酷な世界で生きているが、平穏な時代に死んだ人間を妬んていいわけではない。
「ごめんなさい! あなたも死にたかったわけじゃないのに――」
音を立てて転がってきた何かが視界の端に映り込み、未亡人は目を向けた。
そして口から悲鳴が込み上がった。
「ひっ!? いやあああぁ!」
墓参りの護衛に雇った傭兵の生首だ。首の断面から漏れ出る血が芝生を赤く染める。
必死に後退る未亡人だが、ある事が頭に浮かぶ。亡き夫と二人でいたいために、この傭兵を墓地の入り口付近に待機させていた。
つまり傭兵を殺した何かが墓地にいる。
夫の墓が気になるが、自分の命が優先だ。どうにか立ち上がろうとするが、背後からの足音が耳に入っていく。人のものじゃない。
恐る恐る後ろに振り向いた視線の先には、虫がこちらを見ていた。姿は原型と変わらないが、大型犬を超える程の大きさだ。腹部の先端には鋭い鋏が存在しており、血塗れのそれを未亡人に向けてカチカチと開閉している。
「だ、誰か! 助けて!」
素早く走るのに適さない服装をしているが、それで逃げていけない訳がない。両足を交互に動かし、墓地の出口まで走っていく。
しかし、未亡人のような普通の人間はヒトデナシから逃げられず、殺されて同族に変えられるのがこの世界の常識だ。
逃げる未亡人のすぐ後ろに跳んだ虫――ハサミムシは、腹部を前方に突き出して先端の鋏で彼女を貫いた。
腹に激痛と衝撃が走り、足が動けなくなった未亡人は見下ろした。腹部から鋏が突き出ており、真っ赤な血が付着している。生にしがみつきたい未亡人は鋏から抜け出そうとするが叶わず、息絶えてうつ伏せに倒れ込んだ。
これで夫に会いに行けたらどれだけ良かっただろうか。怪物に怯えることなく、愛しい人と一緒に過ごせるだろうと思っていた。
だけど、この世界は人として死ぬことすら許してくれなかった。
未亡人の全身の皮膚が薄い膜のように裂かれ、その下から黒い外骨格が現れる。
胴体は女体を再現したような鎧に、両腕と両足は球体状の関節が特徴な四肢に変化していく。着ていた服が身体の変化に耐えきれずに破れた。
目の全体が黒く変色し、口が裂け、額から一対の触覚が伸びた無機質な仮面に変化していく顔。
臀部が何度も盛り上がった直後、そこから長い尾が皮を突き破って伸び、先端には鋏が微動していた。
未亡人の身体は自分を殺したハサミムシを人型にしたモノに変化していくのだった。
「お墓は人が来ないので期待できないと思っていましたが……それなりの穴場ですね♪」
喜んでいる女性の声に未亡人が目覚めると、自分を殺した虫とは違うヒトデナシが笑顔で見下ろしていた。
紫色の外骨格の身体、背中の四脚、後ろ腰から伸びている蠍の尾を持つ虫の長――蟲姫だ。その周囲には様々な人型の虫が立っている中、未亡人を殺した巨大なハサミムシも混ざっていた。
このヒトデナシを未亡人は詳しく知らないが、護衛を依頼するために訪れるギルドで「討伐に向かった傭兵達が返り討ちされてきた」と話題に上がっていた。そんな存在が目の前にいる……
すぐさま未亡人は逃げ出そうとするが、自分を今の姿に変えたハサミムシが飛びかかってきた。
六本の脚に掴まれて芝生に押し倒され、ハサミムシの重みで下から逃げ出せない。どうにか尻尾を動かして先端の鋏で引き離そうとするが、感覚が上手く掴めない。
腹部の先端からの陰茎が膣口に接近してくる中、視界に入り込んだ何かに血の気が引いた。
自分が綺麗に磨いたばかりの夫の墓石だ。
「や、やめて……せめてこの墓の前で犯さないでッ!」
自分を押さえつけるハサミムシに抵抗しながら懇願を上げる未亡人。しかし、死んだ人間が化け物に変えられる過酷なこの世界でもそれなりに裕福に生きてきた彼女は、弱者の命乞いを強者が聞いてくれないという常識を知らないのだ。
外骨格に覆われた太腿を広げられ、柔らかい陰裂に虫の肉棒を差し込まれてしまう。夫のモノしか受け入れないと誓った膣が陰茎に挿入されてしまい、その圧迫感と痛みに乳房を模した外骨格の上半身をブリッジ状に反らしてしまう。
イチモツを膣奥まで押し込まれ、ようやく止まった。下腹部はハサミムシのペニスで中から圧迫され、仮面のような自分の顔は兜のような頭に迫られていた。
「お願い、抜いて……私の夫に、こんなのを見せないでぇ……」
「あなたの夫はもういませんよ。それは亡き夫の骸が埋められた事を示す、石で出来た目印ですよ。夫の遺体は今頃土そのものになっているのでは?」
「な、なんでそんなこと言えるわけ……? あなたも、人間だったんでしょ……?」
「『人間だったから非情な事をしない』と? あなたのその思い込みも、人間の悪い癖です」
そう返した蟲姫は触覚で命じ、ハサミムシは体全体で未亡人を押さえつけたまま腹部だけを動かし始めた。
膣道を抽挿され、下腹部から鎧のような全身に伝わるその感覚から逃れたい未亡人は必死にハサミムシの拘束から抜け出そうとするが、強く掴む脚から逃げられなかった。それでも亡き夫の墓前で子種をナカに出される事を防ごうと諦めていない。
そんな未亡人の様子を蟲姫は眺めていた、複数の雄虫と乱交しながら。
普段は輪姦に参加できない虫達は視姦で済ませるが、近くには自分らの長である蟲姫がいた。丸みを帯びた乳房を再現した外骨格の胸部、そして女性らしさを感じられるくびれ、目がくらんだ一匹の雄虫が未亡人に抱きついた。
他の雄虫達が驚きと恐れの色を浮かべる中、無断で抱きついてきた雄虫に蟲姫はうんざりしながらも好きにさせていた。彼女の胸をいやらしい手つきで撫で回し、陰裂に指を埋めても殺されない雄虫を見て、我慢できない他の雄虫達も蟲姫に群がっていく。
蟲姫の正面に抱きつき、性器同士を結合させて腰を突き上げる虫。
背後に回り込み、彼女の武器の一つである蠍の尾を押し上げ、隠れていた尻穴にイチモツを挿入する虫。
前後のオス虫に挟まれている蟲姫の横で自分のペニスを扱かせている虫。
三匹の虫に同時に犯されていながらも余裕を保てた蟲姫は、二本の虫ペニスそれぞれに擦られる膣壁と腸壁の感覚に顔を歪ませながら、陵辱されている未亡人を観ていた。
最初は痛みしか感じられなかったハサミムシのピストン運動に快楽を感じてしまい、陰茎を挿し込まれた膣口の隙間から愛液が漏れ出てしまう。虫に変えられたとはいえ、夫以外の男を受け入れてきている己の身体に未亡人は否定したかった。
「ち、違うの……主人の前で、感じる姿を見せたくないのに……」
そんな彼女に蟲姫は嬌声混じりに囁いていく。
「怪物に変えられた……んっ、その身体を受け入れてくれるでしょうかね……? あんっ」
「あなたが、変えたんでしょうが……はぅっ」
「私に抗う者達は同じことを言ってきましたよ、ひゃん……精神も虫に成り下がったんですがね」
「む、虫なんかに、なりたくないぃ……」
未亡人は拒絶するも、その声は甘く聞こえる。虫に犯されている状況を快楽に感じてしまっているからだ。
そして未亡人と蟲姫をそれぞれ犯す雄虫達の腰の動きが速まり、膣内で動くペニスが膨らむのを感じ取った。もうすぐ射精してくるだろう。
「あなた、ごめんなさい……私、イッちゃうぅぅぅ!」
腰を押し付けてきた雄虫に射精されてしまい、未亡人も絶頂に達してしまった。身体を仰け反らして胸元を突き上げ、両足と尻尾を伸ばしきって痙攣させる。
蟲姫も三匹の雄虫達に同時に射精され、子宮と腸に精液を流し込まれ、胸部を汚されてしまう。
精液を出し尽くして満足したハサミムシから解放され、未亡人は夫の墓前で仰向けになっていた。だらしなく開けた両足の付け根の間には膣口が中出しされた精液をヒクヒクとこぼしており、口から舌を出した状態で荒い息を繰り返していた。
三匹の雄虫に犯されていた蟲姫は立てるほど体力が残っていたが、挿入された陰裂と菊穴から白濁液が滴り落ち、紫色の外骨格の身体が白く汚されていた。絶頂の余韻から抜けきれずに両足が痙攣する中、蟲姫は未亡人に話しかけた。
「気持ち良かったでしょう? それでも亡き夫を愛するのであれば、私は強制しませんがね」
口の端を上げながら未亡人を下僕にするつもりはないと伝える。
虫に変えられただけなら未亡人は蟲姫に従うつもりはなかった。しかし、夫の墓前で雄虫に犯され、その快楽をさらに求む淫乱に成り下がりつつあった。
「お、お願いです。蟲姫様ぁ……もっと気持ち良くなりたいです」
「でしたらあなたの亡き夫に別れを告げなさい、私に従うのなら墓参りが出来なくなると思いますから」
蟲姫の情けと言えるその言葉だけに未亡人は感謝した。人として死んで夫に会うのではなく、蟲姫の下でヒトデナシとして生きることを夫が眠る墓に謝りたかった。どうにか立ち上がり、ふらつく足で墓に近づく。
そんな彼女の背中に蟲姫はあることを命じた。
「それから……あの墓標でオナニーしなさい。愛しい女性の自慰に自分の墓石を使われても、優しい夫なら許してくれるでしょう♪」
「なっ!?」
蟲姫の言葉に未亡人は思わず振り向いた。夫が眠る墓の前で虫と交尾してしまっただけでなく、彼の墓石でオナニーする?
戦いとは無縁の未亡人でも愛する夫の墓を汚すなら蟲姫に立ち向かって死んだ方がマシだ。しかし、虫の異形に変えられて交尾したばかりの彼女は発情を抑えきれなかった。
驚愕の顔を色欲に歪んだ笑顔へ変えていき、蟲姫の命令を聞き入れた。
墓にたどり着いた未亡人は外骨格の両手で墓石を掴み、自分の股間を近づけていく。両目に涙を浮かべながら、下で眠る夫に言った。
「あ、あなた……私を気持ち良くさせて……♡ 蟲姫様に従うからしばらくお墓参りに来れないの。だから私の中古まんこをイジってぇ♡」
オス虫に挿入されて出された精液が漏れ出る陰部を亡き夫が眠る墓標の角に押し付けた。亡くなった者を冒涜する行為だと、虫に変えられた未亡人も理解している。しかし、墓前で虫のヒトデナシに帰られて同族のオスにレイプされ、蟲姫の甘いささやきに快楽を感じてしまった結果、残された人間としての理性が崩れ落ちてしまった。
墓石の角にそって外陰部で擦り始める。すでに分泌されている愛液が精液混じりに、綺麗にしたばかりの墓石を汚していく。球体関節の両膝をガクガク曲げ、腰を動かして夫の墓石でオナニーする未亡人だった雌虫を、乱交に加わった雄虫たちは嘲笑い、白濁液塗れの蟲姫は口の端を上げていた。
「わ、私……そろそろイキそうッ! 夫の墓石で角オナなんかして、またイくぅぅぅッ!!」
腰の動きを速め、繰り返し大陰唇の間に角を擦りつけた時だった。未亡人が上半身を仰け反らせ、口から嬌声を上げていく。同時に陰裂から潮が噴き出し、角オナに使われた墓石が濡らされていく。
絶頂が収まりその場に跪いた未亡人は、自分の愛液と潮、中出しされた雄虫の精液で汚した夫の墓石に抱きついた。複眼に変化した両目から涙を流し、嗚咽混じりに夫が眠る墓に謝った。
「ごめんなさい、あなた……私、最低な雌虫になっちゃった……もう戻れない……」
もう遅い後悔と謝罪をする彼女の姿に、蟲姫は口に手を当てて笑いを堪えていた。
竿役の原型ハサミムシくんは蟲姫の手で変えられた人間です。
「NTRは断る」って言ったのに、なんでNTRっぽい話なんだって?
個人的には彼女を奪われる男性の描写が一切なければ大丈夫な方です(多分)。