ヴァネッサ。
僕の名前であり、昔から変えたい名だった。理由は他の奴らに女々しいって馬鹿にされたからだ。母に由来を聞いたら、蝶の名を元にしたらしく、なおさら変えたくなった。同じ虫でもせめてトンボか、カブトムシ、カマキリのようなかっこいい虫の方が良かった。蝶はどう見たって女の子のイメージしか湧かない。
……こう名付けられたからには「蝶のように舞う剣士」と呼ばれるよう、剣を携えて旅に出た。傭兵として山賊や盗賊と戦い、ギルドで仕事を引き受けたりなど、とにかく仕事を選ばずやってきた。
そんなある日、目にしたことのない怪物が町を襲った。どれもが変えられた人間であり、人の知性と獣の凶暴性をかけ合わせた存在に僕ら人間は敗れていき……
僕は親玉である蟲姫に蝶の人外へと変えられた。
村人全てを殺すか異形に変え、巨大な巣に変えられた村。かつては村長の屋敷であり、今の支配者の蟲姫の部屋である場所に蝶の異形に変えられた少年――ヴァネッサが蜘蛛糸で四肢を拘束されており、蜘蛛や蟷螂、蠍をかけ合わせた存在――蟲姫が笑顔で眺めていた。
本来、虫の異形に変えられた男性の身体は兜と鎧そのものであり、女性のような仮面と薄い鎧にはならない。しかし、ヴァネッサを変えてみた結果、兜と鎧の身体にならず、蝶の特徴があるドレスを着た仮面のお人形のような姿だ。雌の蟷螂の異形――マティスとは違う新しい玩具を手に入れてご機嫌な蟲姫はゆっくりとヴァネッサに近づく。両腕と両足を動かせられないヴァネッサは恐怖を感じづつ、男の意地を見せる。
「く、来るな! 僕を人間に戻せっ!」
「あらあら……なんと勇気のある女の子でしょう」
「僕は男だっ! こんな姿……」
そう言い返した直後、目の前に蟲姫が立ち、漆黒の眼でこちらを見る。感情のない視線に背筋が凍るが、それを隠して睨み返す。しかし、蟲姫に何の効果はなく、光沢を放つ紫の殻の両手をヴァネッサの胸に当てる。突然の感触に驚くヴァネッサを気にせず、平たい胸全体を擦り始める。
「な、何をしてるっ!?」
「あなたが男の子であることを確かめているのですよ。人間時の柔らかさは兎も角、盛り上がりで判断します」
雑に擦っているわけではなく、意図的に指を広けたり一点に閉じたりしている。何故かその感触にヴァネッサは耐えていた。苦痛でも不快でもなく、声を出したいほど心地良すぎた。だが、目の前に仇がいる以上声は出すまいと堪えている。
そんな彼の明らかな様子に気づく蟲姫は胸から手を離した。快感から解放されたヴァネッサは大きく息を吸った。どうにか耐えた彼は一つ言ってやろうとする。
「ど、どうだ? これで僕は男――」
突然、大切な何かを握られて声が止まる。口の端を上げている蟲姫の片手が鮮やかな羽で出来ているヴァネッサのスカートに入っていた。
予想外の行動に驚くヴァネッサに蟲姫が顔を近づけ、呟いた。
「ええ、これで男の子だってわかりました。しかし、まさか先程の、しかも化け物と嫌う私にされてこれほど硬くなるとは……」
「ち、違う……これは……」
「どれだけ頭と心で否定しても、あなたは所詮虫ですよ。私と同じような人外♪」
陰茎を握られたまま擦られるヴァネッサ。歯を食いしばって耐えようとするが、擦られるだけでなく先端を指先で弄られ、強弱をつけて握りしめられるなど、それらによる快感に声が漏れ出してしまう。蟲姫が前戯を早めるにつれ、強がっていた顔がだらしなくなっていく。
突然ヴァネッサが甘い声を出したと思えば、扱いでいた蟲姫の手が生熱い何かに濡れた。スカートから手を戻すと白濁の粘り気のある液がべったりとついていた。それを眺めたあと、ヴァネッサの顔に近づける。涙目の彼に言い放つ。
「どういうことでしょう? こんな人外の私によって射精するとは。所詮、あなたの人間性もその程度でしたね」
「う、嘘だ……僕はこんな姿で……怪物なんかに……」
「かつて同じことを言っていた蟷螂の娘がいましたね。人間として死にたがったと言いながらも、同胞の墓の前で乱交をしましたが。壊れた彼女は怪物として人ならざる存在を生み続けているでしょうね」
恐怖と屈辱、恥ずかしさに心が折れたヴァネッサは言葉にならない声を漏らすしかなかった。そんな彼を気にせず、蟲姫はどこかに運んでいく。
牢の役割を持つ薄暗い部屋の中で、二人の人外が性行為をしていた。横たわるヴァネッサの腰に蟷螂の人外――マティスが跨り、上下に腰を動かしている。快感に歪みつつ、悲しそうな笑顔のヴァネッサはマティスを見上げる。みっともなく舌を出し、自分の中に蝶の精液を絞り出すしか考えていない彼女は腰を動かし続ける。
腰を下ろした瞬間、マティスに挿れているペニスから精液が吹き出した。熱い快感にマティスは体を仰け反らせ、ヴァネッサは堪える様子は見せず情けない声を上げていく。
二人の身体は白く汚れており、何度も性行為をしていたことがわかる。絶頂の余韻に浸っていたマティスは挿れられたままヴァネッサの体に倒れ込み、抱きしめる。
「私、蟲姫様に感謝してるの」
笑顔で話すマティスに乗られているヴァネッサは返す体力もなく、ただ聞いていく。
「せっかくこんな姿に変えてくれたのに人間にこだわり続けたせいで、酷い目にあったの。それでも蟲姫様は恩知らずな私を受け入れてくれた。多くの虫と交わって、たくさんの子供を産んでいくの」
「……そ、そんなの……狂ってるよ……」
「そうね……心から愛してる人がほしかったの……それがあなたなの、ヴァネッサ」
「ち、違う……僕はこんな形が愛なんて……」
否定したいヴァネッサは涙を流し始める。その涙の意味を理解できないマティスは腰を動かし、子を作ろうとし始めた。
ヴァネッサ君はマティスと蟲姫だけでなく、いろんな雌の性玩具にされています。