パワフルなシスターが(久しぶりの)蟲姫に負けて、虫に変えられるだけの話です。次の要素があります。
・全裸にされる
・女の子に急所攻撃
森の中、シスターは虫の頂点者――蟲姫と対峙していた。
槍や剣を貫かない外骨格に覆われ、背中の鋭い四脚や両腕に折りたたまれている鎌、様々な毒を注入出来る蠍の尾といったあらゆる武器を持つヒトデナシの長に、シスターが勝てる保証はない。
しかし、放置すれば犠牲になる人間が増える。例え勝ち目がなくとも、弱き者を守る義務があるのだ。
先に動いたのはシスターだ。大地を蹴って素早く蟲姫に迫る。右手に“聖なる光”を集中させて握り拳を作り、蟲姫に突き出す。蟲姫やその配下などの虫のヒトデナシは頑丈な外骨格を持ち、人間程度の攻撃は容易く防ぐ。だが、体内に“聖なる光”を流し込めばダメージは与えられる。蟲姫も例外ではない。
しかし、シスターの正拳突きは当たらなかった。背中に生えている四脚を地面に付き、当たる直前に蟲姫が後ろに跳んだのだ。
「他の人間とは違うと感じていましたが……それを受けるわけにはいきませんね」
「くっ!」
自分の攻撃を警戒されたシスターは歯を食いしばるも、次の攻撃に出た。跳躍して蟲姫との距離を詰め、“聖なる光”を込めた拳と脚を振る。それに対し、蟲姫は四脚を駆使し、後ろや左右、上に跳んで安々とシスターの連撃を回避する。
自分の拳が届かないことに苛立つシスターだが、ある事に気づいた。蟲姫は攻撃を避けているだけで、自分から攻撃してこないことに。そして、時折視界に映る顔そのものの蟲姫の仮面に笑みを浮かんでいることも。
まるでこちらをおちょくっているように……。
「私を舐めないでくださいっ!」
「そんな実力では見下したくなりますわ」
怒りを拳に乗せて殴り飛ばそうとしたが、またしても空振りに終わった。蟲姫の着地する地点を狙った攻撃も、難なく躱された。その大きい隙を突かれ、蟲姫の攻撃が迫る。腕に折りたたまれている鎌を展開し、剣のように振るう。
シスターは回避しようとするが間に合わない。蟲姫の腕の鎌は金属の鎧を容易く断つ。布で出来た修道服程度で、その一撃を防ぎきることはできない。
自分の勝利を確信する蟲姫。しかし、それは過ちだと思い知らされる。
鎌の刃が修道服に触れた瞬間だった。
突然、シスターが弾けるように辺りに閃光が走り、同時に襲いかかる衝撃波で蟲姫は背後に吹き飛ばされる。
予想外の反撃に驚きつつ、咄嗟に背中の四脚で地面にしがみつき、自身が地面や木に衝突するのを防いだ。
拳を振るうことしか能がない修道女だと見下していたが、まさかこんな隠し玉を持っていたとは……。攻撃の隙に反撃したはずが、逆に反撃される自分の浅はかさを呪った。
追撃に警戒しつつ、真っ白にしか映らない視界が徐々に戻り始めた蟲姫が見たのは……
何故かベールとニーハイを含む修道服を纏っておらず、暴かれた豊満な乳房と股間を手で隠しながら睨んでいる丸裸のシスターだった。
「……は?」
突然のシスターの裸姿に、蟲姫は思わずそう漏らした。
別に人間の裸体を見慣れていないわけではない。自分を討伐しに来た人間共を同族に変えるか、オス虫共の性処理に使わせる際に鎧や衣類を剥ぎ取ることがある。
しかし、眼の前にいるシスターのように、戦闘中に全裸になる人間を見たことが一度もない。
ふと、自分と同じ頂点者である二人の言葉が思い浮かんだ。
『あばずれな異教徒がいましたぁ。それはそれは恥知らずな露出狂でしたぁぁぁ』
『聞いてよ蟲姫ちゃん。前に、変態全裸シスターちゃんに襲われちゃってさぁ』
片方は異形の少女への信仰を押し付けに、もう片方は煙草の煙を吹かしながらそう言っていた気がする。「くだらない話ですね」と、その時は聞き流していたが、そんな痴女が目の前にいる。
まさか淫乱な修道女がいるとは思わなかった蟲姫だが、胸と股を両手で隠しているシスターの顔が、赤くなっていることに気づいた。どうやらシスターの方も全裸でいることが不本意のようだ。
だが、蟲姫にとってどうでもよかった。シスターが修道服を着てようが、裸になってようが、暇潰しに使える玩具に過ぎない。
驚きで開いていた裂けた口の端を上げ、シスターの裸体を眺めて言った。
「あらあら、脱皮して強くなったのですか? それにしては少々はしたないですが」
「だ、黙りなさいっ! こ、こんな格好でも戦えます!!」
乳房と股間に両腕を密着させ、見られたくない所を隠したシスターはそう怒鳴り、蟲姫に接近する。しかし、その動きは明らかに鈍かった。
修道服を着ていた時は地面を蹴って、素早く蟲姫に迫っていた。その瞬間のスピードに蟲姫も警戒していた。
だが、全裸になっている今はただ歩いている。跳ぶことや走ることなく、地面を踏みしめるように歩き、両腕で胸と股間を隠すも、盛り上がった尻肉は隠せず風にさらされ、腕で押さえられない片方の乳房は歩く度に揺れる。
衣類に身を包まれていた時と比べてゆっくりと迫るその姿は、清純なシスターではなく、露出癖の痴女にしか見えなかった。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す。服を着ていた時のあなたは、まさにその通りでした。今では……芋虫にしか見えませんわ」
「……ッ! 黙りなさいっ!」
「そんなに裸でいるのが嫌でしたら、また修道服を着ればいいでしょう。それをしないのは衣類を修復する手段がないか……あるいはあなたが露出したいだけでしょう♪」
そう言ってクスクスと笑う蟲姫に対し、さらに怒りが増すシスターは歩みは止めない。
自分だって、一度攻撃を受けただけで消滅してしまう修道服に文句がないわけじゃない。ヒトデナシのどんな攻撃を一度だけ完全に防御する、消滅しても“聖なる光”が十分あれば修復できる等のメリットがあっても、デメリットが大きすぎる。
このまま接近し、殴り飛ばしてやろうとした時、蟲姫の方からも優雅に歩いて近づいてきた。まるで当たってやりますよと言わんばかりに。
舐めないで!!
怒りが頂点に達したシスターは、拳を眼の前の蟲姫に突き出した。その手で隠していた陰毛が覆う地丘が露わになってしまうが、恥ずかしかる暇はない。“聖なる光”に包まれる拳が蟲姫の鳩尾に当たり、直接体内にダメージを与えられれば劣勢を覆せる。
だが、拳が当たる寸前に、前腕が容易く蟲姫の片手に掴み取られた。
「な……!」
分かっていたとはいえ、攻撃の失敗に驚くシスター。
その隙を見逃さず、乳房を押さえている片腕を掴み、振り払われる前に頭の高さまで蟲姫は持ち上げた。
「しまっ!」
「捕まえましたわ♪」
蟲姫の手で両腕を上げている姿勢にされ、胸と股間を隠していたものがなくなる。丸みを帯びた乳肉全体はもちろん、ピンク色の乳輪と乳首や陰毛が茂っている股間まで、蟲姫に全てを曝け出してしまった。
恥ずかしさのあまり、拘束されていない両足をジタバタと動かしてもがくシスター。
「は……離しなさい!」
だが、蟲姫の腕は全く動かない。暴れれば暴れるほど、彼女の豊満な乳房が揺れ、乳首が曲線を描く。
シスターの無駄な抵抗をしばらく見ていた蟲姫は、背中の四脚を彼女に近づけ、その先端で裸体を突っつき始めた。
「な、なにを……!」
誰にも見せたくない裸をいきなり触れられて驚くシスターだが、突つくといっても、皮膚を軽く突かれている程度で痛みはない。
しかし、胸にぶら下がっている乳房を下から持ち上げられるように二本の脚に突かれ、残りの二本で乳輪と乳首を掻かれてしまう。それによる快楽が胸から全身に伝わり、身体を震わせてしまう。
「う、くぅ……あぅん! あ、ふぁんっ!」
蟲姫の四脚によって突かれた乳房が上下に揺れ、刺激された乳首は固くなり始める。シスターの口から甘い吐息と喘ぎ声が漏れ始めた時、蟲姫は囁く。
「あらあら、虫の脚に少し突っつかれただけで、そんな甘い声を上げて……」
ククク、と意地悪そうな表情をしながらさらに脚先で左右の乳輪を掻いて刺激を与え、残った二本だけで乳房を突く。柔らかく形を変える乳肉で蟲姫は楽しげに遊んでいた。
胸を弄ばれ、全裸でいるのとはまた別の恥辱が襲い掛かり、紅潮していた顔はさらに赤くなる。必死にもがいたせいで息が乱れていたシスターだったが、それでも鋭い目つきで蟲姫を睨んだ。
「このぉ……放しな、さい……!」
「そろそろ抵抗するのはおよしなさい」
蟲姫はそう囁いてみるが、相手がまだ諦めていないと分かると、やれやれといった表情でため息をついた。
そして球体関節の膝を軽く曲げると、シスターの露わになっている股間に勢い良くぶつけた。
「ふぐっ!!」
陰裂に襲った衝撃に、シスターは動かしていた両足をたまらず閉じてしまった。大陰唇を潰し、小陰唇を押し退ける膝蹴りの衝撃に、両膝を曲げて震えてしまう。
その状態の彼女の両腕を蟲姫が手放すと、立つ気力がないシスターは後ろに倒れて背中を地面に付けた。
「う、ぐぅぅ……っ!」
あまりの激痛が走る股間を両手で押さえて涙目になるシスター。結果的に股間は隠せたが、豊満な胸の乳首を隠す余裕がなく、ただ地面の上で裸体を震わせるのみ。
そんな彼女の股間を目掛けて蟲姫が蹴る。昆虫の中でジャンプ力を誇る飛蝗のように脚力を持つ蟲姫の蹴りは、シスターの股間に再び衝撃を与えた。
「ひぎぃっ!」
外骨格の爪先でぶつけられた勢いで大陰唇が左右に押し開き、小陰唇もはみ出る。同時に乳房が弾むほど背中を反らせ、シスターは悲鳴を上げた。
あまりの激痛に涙を溢れさせるが、蟲姫の攻撃は止まらない。今度は連続で股間を蹴り始めた。
「ひぎっ! あぐっ! い、いたっ! 痛いぃ!!」
地面に生えている草を握りしめて、痛みを和らげようとするシスターだが、蟲姫の蹴りは止まらない。それどころか力強くなっていく。股間を蹴り上げられる度に乳房が大きく暴れ、子宮に衝撃が伝わる。その衝撃は膀胱も刺激し、今にも恥尿が漏れ出しそうだ。
しばらくして遊びに飽きたのか、一旦蹴るのをやめた蟲姫はシスターを見下ろすと、酷く惨めな姿だった。
乳房の先端にある乳首は四脚で弄られたせいか硬く勃起しており、蹴られ続けた陰裂は痣が出来ていた。赤く腫れている大陰唇の隙間から液体が漏れているのが見える。蹴られた痛みで漏れてしまったか、それとも興奮してしまったかは分からない。
「こ、この程度で……わ、私は、諦めません……」
痛みと恥辱に耐えきれず涙と鼻水を流していたが、それでもシスターは歯を食い縛りながら蟲姫を睨んだ。だが、その顔に覇気はない。涙目で蟲姫を睨みつくそれは、まさに敗者の顔だった。
シスターのそんな姿に蟲姫はますます笑みを浮かべる。
「あなたが戦意を捨てないでいるかは勝手ですが、我々ヒトデナシに敗れた人間はどういう末路を辿るか、ご存知でしょうね……」
そう呟き、臀部から生えている蠍の尾をくねらせる。先端の針から何かの液体が滴っていた。
それを目にし、何をするつもりなのかを察したシスターは焦る。
虫のヒトデナシの長である蟲姫は、両腕に内蔵されている蟷螂の鎌、背中の鋭い四脚、様々な毒を流し込む臀部の蠍の尾などの武器で、討伐しに来た人間を狩ってきた。
そして捕らえた人間を蠍の尾で刺し、ある毒を流し込むことで同胞――異形の虫に変えるのだ。
「ま、まだ……戦える……」
どうにか戦意を保ち、あれ程隠したがっていた乳房と股間を腕で覆うのも忘れ、シスターは立ち上がろうとする。
しかし、彼女の尾の先端にある針が、シスターの首に狙いを既に定めていた。蟲姫の一撃を躱せる確信はない。
「私は……人間として……」
聖掌の修道女の必死の決意も、悪意に満ちた蟲姫を止められない。
毒を流し込まれ、悍ましい異形の存在に変えられる恐怖に耐えようとする裸の女に、蟲姫は目を細めて満面の笑顔で告げた。
「ご立派な心掛けですわね。ですが、さようなら♪」
その直後、蠍の尾が勢いよくシスターに迫り――
薄暗い森の中、湿りきった落ち葉と草が覆う地面に、人を模した生々しい像が転がっていた。
人間と同じ大きさで、頭部には苦痛に満ちた女性の表情が浮かんでおり、半ば溶解した両腕は豊満な胸と股間に密着しており、両足もピッタリと閉じていた。美術館に飾れるような代物ではなく、悪趣味としか言えなかった。
手と足が溶解しており胴体と一体化してしまっているそれは、紛れもなく蟲姫によって変えられた元人間の蛹。
変わり果てた『聖掌の修道女』の姿だった。
「途中から全裸になったとはいえ、修道女らしい姿になればいいのですが♪」
そう語りかけるのは、蠍の尾でシスターの人生を終わらせた張本人――蟲姫。
人間という幼虫から蛹に変えられたシスターは、すぐにヒトデナシという成虫となるだろう。成虫となった時、彼女がどのような姿になるのか、蟲姫には興味があった。
「……そろそろですわね」
しばらく観察していた蟲姫が口を開いた直後、変わり果てた蛹がビクン、と痙攣した。蛹の胴体に亀裂が走り、中からシスターの新しい身体が粘液と共に流れ落ちてくる。
人間の時と変わらず服を着ていないが、腕と両足に肌がなく、代わりに淡いキチン質の外骨格に覆われている。関節も球体のように変化した。
外骨格で構成された体幹は華奢な細長い鎧を思わせるが、胸の丸みやくびれといった人間の女体は残されていた。
仮面のように硬質化した顔は辛うじて原型を留めているが、目は瞳のない複眼となっていた。額には一対の触覚が生え伸びている。
頭頂部には人間時と変わらない金色の髪が残っており、粘液と絡み合ってベトベトになっている。
そして、青い蝶の翅が背中だけでなく、両腕の肘、後頭部に生え、羽化したばかりの虫がするように伸ばしている。
羽化したばかりの蝶のヒトデナシ――シスターは蟲姫に気づくと、頭を垂れた。
あれほど全裸になっても見せていた人間としての戦意は、もはや溶け切っていた。蟲姫という女王蜂に尽くす“働き蜂”に成り下がったのだ。
「おはようございます。早速ですが、私の手足として働くことを誓いますか?」
口角を上げる蟲姫が問いかけると、シスターは無言で頷く。
「ならば人間を狩って、私への忠誠を示しなさい」
人間のままだったら絶対に拒否していたであろう行為を、笑みを浮かべながら蟲姫は平然と命じた。
しかし躊躇することなく、再び首を縦に振ってシスターは応えると、広げていた全ての青い翅を身体に密着させるように閉じた。後頭部の翅は頭を包むフードに、両肘の翅は袖に、そして背中の翅は身体を覆う服に変形していく。
その姿はまるで修道服を着たシスターだが、身体は淡い青の外骨格に覆われており、両腕には鋭い鎌が折り畳まれている。
“聖なる光”でヒトデナシから人間を守ってきた修道女は、その鎌を人間の血で染め上げることになる……