日光が僅かにしか差し込めないほど閉ざされた森の中、切り株に座る人影があった。しかし、それは人間ではない。
枝を絡み合わせて構成した両腕と、同じく根をブーツ状に絡み合わせた両足。木の幹を連想させる樹皮に覆われた胴体、その胸に柔らかく弾力のある片手サイズの果実が一対成っている。
髪の毛のように生えている細長い葉の束に、直に咲いている色とりどりの花。そして顔そのものである木彫りの仮面には、両目と口にあたる3つの単純な穴が空いていた。
「うーん、今日の仕事はこれくらいにしよっか」
切り株に座ったまま、枝の両腕を上に伸ばして組み、脊椎を模した樹皮が覆う背筋を伸ばす。
植物の頂点者――ガーデナー。
ヒトデナシを生み出した元凶――異形の少女ゼノノアのお気に入りの一つ。
ガーデナーの縄張りに含まれる森と花畑は、連れ帰った人間を“苗床”や“肥料”にして作られたものであり、人体を模している悍ましい木々や花々が生えているのが特徴だ。今、彼女がいる森もその一つである。
「さーて、あたしも肥料を吸おっか♪」
人間の死体で成り立っている森の管理を終えたガーデナーは、楽しみにしている時間に入ろうとしていた。
懐に手を入れ、何かを取り出す。枝の手に摘まれているのは、乾燥した葉を棒状に固めたモノ――煙草だ。嬉しそうに眺めたそれを、口の方の穴で咥えると、枝の指先から植物油を染み出させる。油に覆われた指を擦り合わせ、指先で点いた火を煙草の先端に近づけ、ゆっくりと息を吸った。
煙草の紫煙が喉を通って肺を満たす。植物の身体にニコチンとタール、二酸化炭素を染み込ませると、口の穴から煙を吐いた。
「フゥー……今日も人間狩りでタバコが美味い!」
大好物の煙に、両目と口の穴を滑らかに変形させ、木彫りの仮面を笑顔にする。
人間の時から煙草とクスリに依存していたガーデナーは、火に弱いはずの植物の異形と化した今でも喫煙をやめるつもりはない。むしろ、煙草の畑まで作って栽培、加工するほどだ。
彼女に接する機会がある他の頂点者が副流煙の苦情を訴えても、ガーデナーは聞き入れることなく吸い続ける。もしも、我慢できず煙草を取り上げた瞬間、喫煙の楽しみを奪われまいと、ガーデナーは執拗に抵抗するだろう。たとえ、相手が死ぬことになっても。
邪魔する者がいない今、のんびりと煙を味わっていたところだった。
「み、見つけたわよ……! この雑草女!!」
「ん?」
突如、聞こえてきた怒声に、火のついた煙草を咥えたままガーデナーは振り向いた。
視線の先には、ヒトデナシを倒す実力を持つ人間――自称勇者のヒロイナが立っていた。こちらに向ける無駄に派手な剣と長い茶髪、アホ面といえる顔つきが特徴的だ。
しかし、それより目立つ異変が彼女の身体に起こっていた。
ヒロイナが常に着用しているビキニアーマーを着用していない。インナーも着ておらず、いつもは隠しているはずの乳房と股間が丸見えになっていた。
装甲で押さえられていた乳肉と乳首が丸見えになっているだけでなく、硬く勃っている乳頭から白い母乳が絶えることなく噴いている。陰裂の方も大陰唇が濡れきっており、隙間から愛液と潮、尿といった様々な体液が滴り落ちていた。
性行為したばかりかのように敏感な裸体をガクガクと震わせ、紅潮した頬に涙を流しながらも、ヒロイナはガーデナーを睨む。一方のガーデナーは、煙草を吸って煙を吐いてから口を開く。
「フー……ひっどい目にあったみたいだけど、あたし慰めなんて出来ないよー」
「あんたが酷い目にあわせたんでしょーが! 自分がしたことも覚えてないわけ!?」
「え? ほんと? あたし、君みたいな痴女なんか知らないけど」
「あたしを人食い花に呑み込ませた挙げ句、大量の媚薬に浸したのよ! あんたは!!」
涎まみれの口から大声を上げる度に乳首からミルクが噴き出るヒロイナを見ながら、煙草を吸いながらガーデナーは思い出そうとする。
――――
確か……数時間前だった気がする。いつものように煙草畑の見回りに向かっていたガーデナーが、その道中で奇妙なモノを見つけた。
森の中にある池のほとりにビキニアーマーと角つき兜、インナーが脱ぎ捨てられてあった。おまけに、成金が使いそうな装飾が施されている剣も転がっていた。
そして、それを着ていたと思われる者を呑み込んでいる巨大ウツボカズラだった。袋状の捕食器官が派手に動き回っており、内部で暴れているのが分かる。
どうやら池で水浴びしようと全裸になったところを、ガーデナー特製の食人植物に襲われてしまったようだ。ヒトデナシが彷徨く場所で水浴びをするなんて、警戒心が薄すぎる人間だ。
「無駄な抵抗はやめた方がいいよー。無駄に苦しむだけだし」
ガーデナーは口に咥えていた煙草の紫煙を吐きながら、ウツボカズラの中にいる間抜けにそう呼びかけた。しかし、ガーデナーの声が聞こえていないのか、もしくは抵抗を止める気がないのかは分からないが、捕食器官の内部での大暴れは収まらない。むしろ、激しくなっている。
「はあ、せめて気持ち良く逝くようにしてあげるよ」
ニコチン混じりの溜息をついたガーデナーは、枝の指を鳴らして袋状の捕食器官から空気を抜いた。内部の空気がなくなったことで気圧が下がり、捕食器官が獲物の身体に張り付いた。
空気が抜けた袋の表面に両腕や両足、顔だけでなく、豊満な乳房、腹回りのくびれ、丸みを帯びた尻肉といった女体が浮かび上がった。内側に密着されたことで身動きが取れなくなり、先程までのように暴れることが出来ない。せいぜい身体を震わせるのみ。
しかもウツボカズラの捕食器官には消化液だけでなく、獲物を発情させて抵抗を無くさせる媚薬も分泌する。哀れな獲物である女は、空間が狭まった捕食器官の中で媚薬漬けにされる羽目になった。
「それじゃあ、ごゆっくり~。まあ、二度と会うことはないかなー♪」
ガーデナーは別れの言葉を告げ、喫煙しながら煙草畑に向かった。ウツボカズラの中で媚薬漬けにされている人間を残して……
――――
「うん。確かに媚薬に漬けるようにしたのはあたしだよ。でも、花に食べられちゃったのは不用心な君が悪いんだよ?」
人間を主食にするよう改造したウツボカズラから脱出したヒロイナに、ガーデナーは意外と思いながら軽々しく言う。しかし、イキながら植物の栄養になるところだったヒロイナの怒りは鎮まることなく、涎が出ている口から怒声を上げ続けた。
「うっるさいわね! あんたがあの変な花を作ってるのが悪いのよ! ヒトデナシが生み出すものなんか、害悪しかないわよ!!」
「……ほんとはやみつきになったんでしょ? ガーデナーちゃん特性の惚れ薬に。なんならまた味わってみない?」
「だ、黙りなさい! さっさと勇者であるあたしに倒されなさい!!」
ヒロイナはそう叫ぶと、ガーデナーに向けていた剣を構え直す。あのウツボカズラから脱出するほどの身体能力を、戦いに活かせれば頂点者であるガーデナーも無事では済まない。
しかし、戦闘態勢に入った彼女に怯えることなく、ガーデナーは気楽そうに喫煙する。ヒロイナの足元を見つめながら……
「ここがどういうところか分かる? 木、草、花……あたしの縄張りに生えている植物は、あたしの思い通りに動かせるんだよ」
「ふん。この剣は硬い鱗を持つヒトデナシを真っ二つに出来る名剣よ。そこら辺の木だって、簡単に斬れるわよ!」
「でもね……君が目を向けるのはそこら辺じゃなくて、足元だよ」
ガーデナーの言葉に、疑いながらもヒロイナはとっさに視線を真下に移す。
そこには草に覆われている地面があり、両足の間に当たる箇所で土が盛り上がっているのが見えた。
すぐさま跳んで回避しようとしたが間に合わなかった。地面から細長い植物――蔓が生え伸び、まっすぐヒロイナの股間に迫る。ショーツ型の装甲がない今、蔓の挿入を防ぐ方法がなく、あっさりと濡れている膣口に挿れられてしまった。
「お゛っ!?」
媚薬で解された膣道で止まることなく、植物の先端に子宮口を強く突かれ、ヒロイナの口から喘ぎ声を漏らしてしまう。あまりの衝撃と快感に剣を手放し、ビクビク震える片足のそばに落ちた。
蔓によって突き上げられ、下腹部の肌が盛り上がる様子が視界に入る中、ヒロイナはどうにか剣を拾い上げようとする。だが、ガーデナーは見逃そうとしなかった。
「ダーメ♪ あたしのターンはまだ終わってないよ」
膣に納まっている蔓がさらに伸び、ヒロイナの裸体を垂直のまま持ち上げる。地面から彼女の両足が離れ、落ちている剣に手が届かないほどの高さで停止した。
両腕と両足は拘束されていないが、強烈な快楽で力が入らない。四肢を垂らすことしか出来ず、膣内の蔓で立たされている案山子のようにされていた。身体を痙攣する度に揺れる豊満な乳房と、蔓を挿れられている陰裂が丸見えだ。
「あ、あたしを……おろしなさい、よぉ……」
涙を浮かべながらも、その目でガーデナーを睨むヒロイナ。しかし、異形の植物は聞き入れることはなく、枝の片手を“何かを握るような形”にすると、上下に振り始める。
それに合わせるかのように、ヒロイナを突き上げている蔓も上下に動き始めた。膣壁を擦られるだけでなく、子宮口を連打されるヒロイナの身体は垂直方向に揺らされる。柔らかい乳房は同じ方向に弾み、蔓を挿れられている膣口の隙間から愛液が漏れ出る。
「ほぉおおおっ! お゛ぉおおおおっ!」
淫らな喘ぎ声と共に、大量の愛液がヒロイナの足元に降りかかった。注ぎ込んだ媚薬効果で、乳房や子宮への刺激だけで絶頂に達してしまいそうだ。
そして、ヒロイナを上下に揺らし続けていた蔓の先端が、膣内で裂けた。まるで花のように開き、中から男性器を思わせる雄しべが子宮口に密着すると、子宮に花粉を注いた。それは粘り気のある白濁液であり、生物の精液のようだった。
「お゛ぉおおっ! な、なにこれぇえええええ!?」
ヒロイナは子宮内に注がれる花粉の感触に戸惑いながらも絶頂し、地面から離れた高さで身体を仰け反らせる。しかし、蔓は止まることなく彼女を上下に動かし続け、先端の雄しべで膣内を掻き回す。その快楽と痙攣がヒロイナの身体を揺らし、再び絶頂へと誘った。
「おっほぉおおっ! らめぇっ! もうイってるのぉお!」
首を振り乱しながら叫び、涎を撒き散らすヒロイナ。自称勇者の無様を眺めていたガーデナーは、穴同然の口の端を上げながら煙草を吸う。
ピストン運動していた蔓は地面の中に戻り、ヒロイナも両足を地面につけられるようになった。しかし、媚薬を盛られた状態で植物に犯された彼女は自力で立つことができず、膣から蔓が抜けた瞬間、地面に倒れてしまう。
白目を剥いた眼に大量の涙を浮かべ、頬が赤くなり、口から涎まみれの舌を垂らす。とても勇者には見えない品のない顔だ。
上下に揺らされた乳肉は大量の汗で覆われており、ぽっかり開いた膣口から白濁液の花粉が愛液と共に逆流していた。尿道口からも潮混じりの黄金水も噴いている。
「お゛っ……ほぉお……♡」
ヒロイナは絶頂の余韻に苦しむように、濁った眼で涎を垂らす口から呻き声を漏らす。媚毒で変えられた身体は元に戻る気配を見せず、快楽が治まるまで時間を要するだろう。
だが、ガーデナーには関係ないことだ。彼女は煙草の煙を吐きながら、勇者に近づいていく。
「もう終わりなのー? あたしをやっつけるんでしょー?」
瀕死に近い状態になっているヒロイナの前にしゃがみ込んだガーデナーは、木彫りの仮面にニヤニヤとした笑みを浮かべながら尋ねる。それに対して、未だに荒い呼吸を続けるヒロイナが気丈に睨んだ。
「はあ、はあ……そ、そうよ。あたしはまだ、戦える……」
ヒロイナは震える手で剣を拾おうとするが、それを許すほど甘くない。
ガーデナーは彼女の得物である剣を蹴り飛ばし、片腕を掲げる。掌に蕾を生やすと開花させ、毒々しい色合いの花をヒロイナに見せつける。
「それを決めるのは敗者じゃなくて、あたしみたいな勝者でしょ? せめて勇者様の最期は華やかにしてあげる、花そのものに生まれ変わるけどね♪」
そう言い切ると、ガーデナーは掌で咲いた毒花をヒロイナの顔に押し当てた。顔全体を覆う不快な感触と息苦しさに、ヒロイナは枝の腕を掴んで抵抗を試みるが、絶頂したばかりで力が入らず、またガーデナーの異様な腕力に敵わなかった。
顔を毒花で押さえられている間、ヒロイナの裸体が痙攣し続け、やがてガーデナーの腕を掴んでいた彼女の両手は地面に落ちた。それは勇者が力尽きたことを意味していた。
「ふう……接ぎ木成功っと」
煙草を咥えたままの口から紫煙を吐くと、ガーデナーはヒロイナの顔から手を離す。勇者の死に顔は毒花に覆われ……いや、毒花を食い込まれていた。まるで花の顔をしたヒトデナシだ。
毒花の根はヒロイナの顔だけでなく、全身に張り巡らし、彼女の身体を作り変えていく。
全身の肌が緑に変色するだけでなく、至る所に硬い樹皮が覆う。
それぞれ両手の指全てが一つになって平たくなり、一枚の葉と化す。
両足は捻じれ曲がって一本になり、異形の根に変わっていく。
やがて異形化が進み終えると、ヒロイナだったモノが花の顔を起こし、次に身体を起こした。
長い茶髪といったヒロイナの面影はある。が、その顔は花そのものになっていて悍ましい。薄っぺらい葉と化した両手は剣を握ることも出来ず、地面に根付いた下半身では逃げることも出来ない。
人間の女性だったと分かる女体も残されており、乳房のような果実の先端からは果汁が滴り、股間の割れ目からは樹液が溢れ出ていた。
「にひひ♪ 勇者様だったお花がかんせー! あっ、でも、“自称”みたいだから価値が下がっちゃうか。ちぇー」
ガーデナーは残念そうに呟き、吸い終えた煙草を元勇者の顔に押し当てる。
花の中心が焦げ、煙草の灰に塗れてしまった。
どうも、エルデンリングDLCをクリアしたばかりの影絵師です。一度は諦めたこのゲームですが、再挑戦したら楽しかったです。しかも壺女とか、虫人間とか、好みの異形も出て良かったです。
以前、仕事で負担が大きい作業による疲労でリクエスト募集をストップしていましたが、その作業もなくなったので募集を再開しようと考えています。とはいえ、少々こちらからも注文するかもしれません(このシチュエーションは書けない、うちの子と絡ませてほしい等)