※この作品はR-18です。

あーっ! あーっ困りますっあーっ! メスガキこのっ! この舐めやがってっ! じゅるるるるーっ!   作:道明寺ファンブル

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レイプは最高の文芸なり

「――ぶぐぁ!?」

 

 こぶしが頬にめり込む感覚。

 中年の男は面白いぐらい吹き飛び、ぬかるんだ地面に転がる。

 

「――チッ、おい大丈夫か! おい夢寐ッ!」

 

「かはっ、けほっ、……ぅ」

 

 意識が朦朧としているのか、反応が薄い。

 あの男の巨体だ、乗られていたら酸素が薄くなる。雨で体温を奪われてるのもあるかも知れない。

 なんにせよ――生きては、いる。

 

「いだいッ! いだいよぉおおおおおおおおおおあははははははははァアアアアアアアアアアアアアア!! 誰だ!? ダレダァァァアアアアアア!?」

 

「んのキチガイ……ッ!」

 

 あのチェックのシャツ……この前夢寐の家の前をうろついてたストーカーか!?

 逆恨みか、何かか。しかしあの変わりよう、尋常ではないことは分かる。まるで――

 

「あれ? あれあれーぇ!? 僕、僕僕ワタクシはそれがしはなにをしていたでござるかー!?」

 

 ――薬物中毒者だ。それも正気を失ってる最悪の部類の。

 目はどこかを向いているが、何も見つめていない。五感で動いてはいない。

 あいつを突き動かしているのは本能だけかもしれない。理性があるとは思えないしな。

 

「…………ぁ、ゎ」

 

「――――――」

 

 ――嫌な予感はしていた。

 雨が降っていたからかもしれない。初等部の早下校、何ら不思議はないはずなのに。

 俺はここに来ていた。そして予感は当たっていた。クソが、“前の記憶”ではこんなの――

 

「まさか」

 

 ……あったのか? これが? 俺が知らない、だけ、で?

 

 夢寐の躰は冷たい。低体温症を発症している可能性もある。

 逃げる。逃げるか。このぬかるんだ山道で? 夢寐を背負って、逃げられるか?

 

「うふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇェェエエエエエエ!! 僕、僕はねぇ!! 僕は夢寐ちゃんをォ!!」

 

 ……そのまま、発狂していてくれればいいんだが、な。

 足を踏み出す。ストーカーと反対の方向へ。泥と水が跳ねる。雨の打ち付ける音の中、その音は妙に響いた。

 

「―――」

 

 空気が、変わった?

 嫌な寒さを感じる。雨に濡れたからではない。これは、そう、源十斎と対峙した時のような――

 

「…………斑鳩」

 

 名を呼ばれ、振り向く。このストーカー、俺の名前を知っているのか!?

 

「斑鳩……斑鳩…………」

 

「――なんだ……?」

 

 目の質が変わった? ――澱んだ瞳が、こちらを見つめている。

 感情が失せたように見える。

 

 ……それが“憤怒”の感情であることに、気付くのが一瞬遅れた。

 

 

「――ぃぃい斑鳩ァァァァアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!」

 

 

「が、ハッ!?」

 

 今度は俺が吹き飛ぶ。夢寐だけがその場に取り残された。

 地面を転がり、泥だけになりながらも咄嗟に体勢を立て直す。

 

「うぐっ、ぶ――」

 

 胃酸が吐き出される。今の一撃は――本当に奴のものか?

 重さがあまりにも人間離れしている。金属でも入ってるかのようなこぶしだった。

 

「斑鳩――斑鳩ァ!! 貴様ァァアアアアア!!」

 

「くそが――これだからストーカーはよォ!! 豚箱行く前に地獄に行くか――!?」

 

 地面を蹴って肉薄するストーカーの横っ面を蹴る。

 ……が、それをものともせず右から殴打が飛んでくる。

 

「ァァァアアアアアアアアアアア―――ッ!!」

 

「ぐっ!」

 

 軽い――いや、効かないのか!? どんな肉体してやがる!?

 前会った時と比べれば貧相になったのだが――滅茶苦茶だ、スペックから違い過ぎる。

 

「―――ッ」

 

 なんとか直撃は防いだが、ガードに使った左腕が動かない。

 声を漏らしそうになるのを抑えて、なんとか平静を保つ。折れては無いが、使い物にさせない程度の力を持つわけか。

 

「……、ハァ……っ!」

 

 ――夢寐を助けるときは確かにこいつに攻撃が通ったはずだ。

 豹変と共に攻撃が通らなくなる? 覚醒とか、ジャンプでもあるまいし。

 

 それにこいつ、威力は凄まじいが攻撃の型が適当だ。我武者羅に攻撃してきている。

 それで――どうにもストーカー野郎自身も無事ってわけではなさそうだ。右手の小指がおかしな方向を向いている。

 

 夢寐を助けたい――が、ストーカーの後ろだ。

 助けるには回り込むかしなきゃいけない。あの野郎をやり過ごせるとは思えないが。

 

「……どうする」

 

 考えろ。使えるものはなんだって使え。

 俺がこの時代に来たのは、後悔しないためでもあったはずだ。何か、何かないか――

 

 ――ピロン!

 

「あ?」

 

 こんな時にメッセージアプリの通知かよ。

 電波通ってないし。つーことは、だ。

 

『レイプまだぁ??????????』

 

「うるせぇわボケェ!!!!!」

 

 こいつ――今の状況分かってんのか? いや分からんか。

 レイプもくそもあるか。この野郎。あのストーカーのレイプ画像でも送り付けてやろうか。

 

 …………

 

 ……………………

 

「…………」

 

 ……レイプ?

 

「――――――」

 

 待てよ。それに近しい何かを、俺は知っているはずだ。

 ストーカーから距離を取るようにしつつ回り込むように走りながら、俺はレイプグッズ通販アプリを開く。どうやらこれも電波なしでも使えてくれるようだ。ありがとうゲロクソゴッド。仏教に入信してやる。

 

『あなたにおすすめの商品!』

 

 レイプグッズなんざおすすめされてもいい気分ではないのだが。

 今回だけは――

 

「見つけたぞ――!!」

 

 残っているレイプポイントをほぼ使い込み、それを“2つ”購入する。

 購入完了の画面が表示され、商品が出現する。今回は大きい奴だから、その様子がしっかりと見られた。

 

 虚空の孔が明く。

 黒い光が漏れ出る。

 雨が消え、闇だけが這い出てくる。

 

「斑鳩ァァアアアアアア!!」

 

 ストーカーが車にも劣らないスピードで迫ってくるが、数秒遅い。

 プロセスは完了した。商品は無事消費者の手元に運ばれる。これが『ANAZON』か――!

 

「…………」

 

 現れたのは――2人の巨漢。貌は無く、肥え太った肉体が雨に濡れて嫌に光った。

 着ているのは粗末な下着だけで、それも巨大すぎるイチモツを隠すには足りなさ過ぎた。

 

Order(ご命令を)

 

 だから、彼らがそこにいるからこそ。

 俺は――俺は彼らを信用し、敵を斃す。

 

「力を貸せ――“種付けおじさん”」

 

 傅くこともなく、首肯だけで彼ら――種付けおじさんはストーカーに向き直る。

 

Yes,My Lord(御意)

 

 ノイズのような――金打を思わせる声だけを俺に寄越し、俊敏な動きでストーカーにかかる。

 

 大ぶりな攻撃を横からの打撃でいなし、懐に潜り込んで顎を打つ。

 打撃音が響き、ストーカーの突進が終わると今度はもう1人の種付けおじさんが、横から膝を蹴り砕く。

 

「邪魔だ――邪魔だァアアアアアアアアアアアア!!」

 

「……良し、これなら」

 

 俺の一言だけで意図を酌んでいたのか、種付けおじさんは自然な動きで夢寐の方からストーカーを引き離していく。

 どうにか伏している夢寐のところまでたどり着くことができた。……呼吸が微弱だ。急いで担ぎ上げ、森を抜けようと走り出す。

 

「ぁ、ぅ……ぉ、ぃ、ちゃ……」

 

「悪いが俺は強姦魔だ! ――家が遠いな……仕方ない」

 

 目的地を決め、去っていく。

 最後にストーカーの方を見た。

 

「あ、ぐぁあ! お、前、ら、ぁぁあああっ、がッ!」

 

 ――どうやらあの謎耐久力は消えかけているらしい。

 種付けおじさんにボコボコにされていた。……それでも俺の方へ這ってくる。凄まじい執念だ。

 だがそれもすぐに止まり、されるがままとなる。

 

「だ、誰か、たすけっ、助けて……誰かァ!!」

 

 ……みじめな命乞いだった。

 これ以上は時間が惜しい。背を向け、走る。

 

 

 

「――誰か、夢寐ちゃんを――助けて、くれ」

 

 

 

 雨音に消えぬ願いの言葉だけが、俺の耳朶を打っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……ぐっ!」

 

 雨風は強まるばかりだ。波浪警報まで出てきやがった。

 電車は止まってるし、夢寐の家には行けないだろう。となると――“開発区”のほうへと足を運ぶ。

 見慣れた門と屋敷が見えてきた。

 

「ぶっちゃけ死ぬほど来たくなかったけどな!」

 

 背に腹は代えられない。ホテルとかも意識のない小学生と一緒に入っていったら即通報モンだろうし。

 門をたたく。それほど時間のかからないうちに門が開かれる。

 

「あー、うん、まぁ、その、あれだ! やましいことではないからな!?」

 

 どうやら屋敷の中から俺を見ているらしい誰かに弁明しつつ、屋敷の中へと入っていった。

 風呂上がりなのか湯気を立ち昇らせた、部屋着姿の彩美と出くわす。

 

「わっ……って、お、おにーちゃん!? 夢寐ちゃんまでーっ!?」

 

「彩美! 風呂は沸いてるか!?」

 

「え、あ、うん……さっき入ってきたばっかだし……でも待って、タオル持ってくるから!」

 

 彩美は担がれている夢寐を見てすぐに風呂場の方へと向かう。

 ……いや、そうか。急に温めても心臓に悪いな。

 

「……ありがとうな、彩美」

 

 年甲斐もなく冷静さを失っていたらしい。夢寐の服を脱がしつつ、息を抜く。

 今になって、脳内麻薬で誤魔化していた痛みが主張を始める。これ、本当に折れてないのか!? 死ぬほど痛いんだけど!

 

「おにーちゃん、タオル持ってき――ってぎゃーーーっ!! 雑なラッキースケベ!」

 

「処置じゃアホ! 早くタオル寄越せ! ありがとう!!」

 

「待って待って! それで拭いたら今度はこれ使って!」

 

 乾いたタオルを手に取ると、今度は袋とそれに入ったタオルを見せつけてくる。

 湯気で袋の内側が白くなっていた。

 

「こんな季節だから湯たんぽは無いけど、即席のなら作れるから」

 

「……つくづくありがとうな。軽症であってほしいものだが――」

 

「ぅ、……ぁ」

 

「気、失ってるけど……」

 

「いや、これは」

 

 酸欠によるものだろう。おそらく低体温症が併発して気を失い続けているのだ。

 結構乱暴に担いできたが、特に不調をきたした様子はない。不整脈でもない。軽症だ。

 

 乾いたタオルで夢寐の躰を拭いていく。

 

「なんか手馴れてる?」

 

 気のせい気のせい。

 どしゃぶりに晒されてたから、乾いたタオルもすぐ水を吸わなくなってくる。

 それでも何もしないよりはマシだった。

 

「ん」

 

 タオルがかけられる。頭をぐしゃぐしゃとされる。

 俺も濡れてたんだったな。彩美は楽しそうに俺の躰を拭き始める。

 

「脱がせなくていいからな」

 

「いや処置」

 

「脱がせなくていいからな!?」

 

「やだーこのおにーちゃん面倒くさいー」

 

 ぐいぐいと俺の制服を引っ張ってくる彩美を適当にいなしつつ、彩美が持ってきた服を夢寐に着せてやる。

 夢寐の呼吸が少し落ち着いたような気がした。お姫様抱っこし、屋敷に上がる。

 

 廊下の突き当りから急ぎ足の音が聞こえた。

 

「――な、何の音……って右京様!? その子はいったい!?」

 

「騒がしいわよ女中! 彩美とおにーちゃんの友達が大事なの。空いてる部屋に連れて行って、布団に寝かせて毛布を掛けてあげて」

 

「は、はひぃ……わ、わかりました……」

 

「すまない。頼めるか?」

 

「ええ。お二人の友達とあらば。……でも右京様、先ほど学園の方からあなた様がいなくなったとお電話がですね」

 

 小言は後で聞くから、とっとと行ってくれ。

 夢寐を女中に預け、俺は風呂場に向かう。正直色々疲れた。ちゅらい。

 

「おにーちゃん、お風呂入る?」

 

「ん、ああ」

 

 こういうのは全部洗い流すのが良い。水に流すのだ。

 ……いやまぁ、やるべきことは山積みではあるが。

 

「じゃあ彩美もはーいるっ♪」

 

 …………ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「えへへーっ! なんだか久しぶりだねーっ、お風呂なんて!」

 

 おかしい。なぜ実妹に背中を洗われているんだ?

 お前、風呂入ってきたんじゃないのかよ。それと、だ。

 

「ボディタオル、使わんの……?」

 

「いーのいーのっ。こういう方が、身体に良いんだよ、おにーちゃんっ♡」

 

 夢寐より小さな手。くすぐったいような、なんというか。犯罪的?

 いや、うん、家族で裸の付き合いなんて普通だろう。変な想像する方がおかしいのだ。

 

「……えいっ」

 

「ッ!?」

 

 ――突然、彩美に抱き着かれる。幼女特有のやわっこい感覚が背中に強烈に押し付けられる。

 まだセーフだから。セーフ。……誰に言い訳してんだろ、俺。

 

「っ♡ こっち、のっ、ほうがっ♡ あらいやすいね、おにーちゃん♡」

 

「……そうだな、身体に良いしな、うん」

 

 お前は何を言ってるんだ。そして俺は何を言ってるんだ。

 

「――――――」

 

「どう? おにーちゃん……♡」

 

「ど、うって……お前……」

 

 やわっこい感触に、硬い2つの小さな感触。

 考えるな。考えるんじゃない。妹だぞ、あのアホみたいな。

 

 そうだ。実妹に興奮なんてエロ漫画じゃあるまいし。俺は近親相姦はしないねこなのだ――

 

「じゃ、前失礼しまー、すっ♡」

 

「んぉおっ!」

 

「あっれぇー? お客さん、凝ってるねー? こりこりだねー?」

 

 こ、こいつ……なんで俺の乳首が性感帯なのを知ってんほぉぉおお最近こんなんばっか♡

 身体を上下させながら、洗うように執拗に弱いところを触ってくる。裸の付き合い……裸の付き合いだから……

 

「……おにーちゃん、彩美と一緒だね♡」

 

「なに、が」

 

「よわいところ♡」

 

「―――っ!」

 

 耳元でささやかれて身体が跳ねあがる。

 

「ねぇ、どーして急にこんなことしだしたのか、知りたーい?」

 

「……そ、そうだ、今日ちょっとおかしいんじゃないのか……」

 

 いつもおかしさ満載だけど。

 泡だらけの手を下腹部へツツ……と滑らせていく。

 

「夢寐ちゃんとたっくさーんえっちなことしてるんでしょ」

 

「―――ッ!?」

 

「そんなアリスコンプレックスなおにーちゃんにぃ、彩美がオシオキしてあげるの……♡」

 

「な、なんで……知って…………!?」

 

「ふーん。やっぱりそうなんだー? もう、ドーテーじゃないんだね♡」

 

 こいつハメやがったな!?

 

「くっ、殺せ!」

 

「それすぐ堕ちる奴――じゃんっ♡」

 

「~~~~~~っ!?」

 

 ついに――いつの間に怒張していたイチモツが握られる。

 右手の指先で亀頭と尿道を、左手で竿――特に裏筋を弄ばれる。

 腰が浮きそうになるのを抑えられ、襲い掛かる快楽のなすがままになってしまう。

 

「ほーらっ、ほーらっ♡ 堕ちちゃえ堕ちちゃえ♡ 気持ちよくなって、妹にダメにされちゃえ♡」

 

「う、ぉ、ぁ」

 

 彩美の手が上下するたび、ぐちゅぐちゅと艶めかしい音が鳴る。

 

「あー♡ 我慢汁出てきちゃったねー♡ クソザコおにーちゃんっ♡ 小学生にイかされちゃうんだーっ♡」

 

 学園では生徒会長として厳格な仮面をかぶる彩美とのギャップが興奮を覚えさせる。

 背徳感に近い。罪悪感に近い。モラルの無い行為が、なにかとエロかった。小学生をレイプした影響だろうか。

 

「でもいいんだよ♡ 堕ちちゃっていいんだよ♡ 彩美、おにーちゃんのこと好きだもん♡」

 

 幼い声はどこか蠱惑的で、脳が犯されているような感じさえする。

 どうにか呑み込まれないようにするのが精いっぱいで、行為に抗うことができなかった。

 

「んっ♡ あはぁっ♡ おにーちゃんの背中、きもちいよっ♡ おにーちゃんもきもちーんだねっ♡」

 

 彩美の乳首が背中でこすれている。時折体を震わせ、甘い声を漏らす。

 モラルハザードチンポがさらに硬度を増す――!

 

「はぁっ♡ あんっ♡ イキそうなのっ♡ イかされちゃいそうなのっ♡ 彩美もねっ♡ 大好きなおにーちゃんでイっちゃいそう♡」

 

 しゅ、しゅ、しゅ、と手での抽送が早くなる。

 カリの部分を責め立てられ、金玉を弄ばれる。耳に直接響く喘ぎ声も快感となる。

 

「イけっ♡ イーけっ♡ 敗北ちんぽっ♡ 惨めに射精しちゃえっ♡ んぁはぁっ♡」

 

 限界はすぐに訪れ、射精となって表れた。

 

「「~~~~~~~~っ♡♡♡」」

 

 2人して震え、絶頂の余韻に浸る。

 彩美の手にはべっとりと精液がついており、彩美はそれをぺろりと舐めた。

 こくんと小さな喉が鳴り、恍惚とした表情でこちらを見つめてくる。

 

「…………」

 

「…………」

 

 …………

 

 ……………………

 

 

 

「……そろそろ、湯船につかろっか」

 

「……ああ」

 

 

 なにか、すごいことをしてしまったような気がする。

 裸の付き合いのパワーだろうか。風呂の熱に浮かされたのだろうか。

 

 

「――彩美だって、おにーちゃんのこと、好きなんだからね……」

 

 

 拗ねたような声をどこか遠くで聞きながら、1日の疲れを吹き飛ばすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして今に至る。夢寐と同衾していた。

 ……だからなぜなんだ。最近ずっと一緒に寝てたから良いけどもさ。

 

 時刻は真夜中を指していた。源十斎と話したり女中に小言言われたりで散々だったな……

 風呂入ったのに疲れた。……何かあった気がするが気のせいだろう。

 

 学園の方には早退だと伝えておいた。禾几先生が手をまわしてくれたようで、大ごとにならずに済んだようだ。

 感謝しとこう。光るコンドームでもあげるか。

 ついでに夢寐の家には友達の家に泊まると夢寐のスマホから送っといた。俺は一旦家に帰るとだけ。

 

「…………ぅ」

 

 雨は少しだけ弱まっていた。風が強いままなせいで、寝るにはちょっとやかましすぎるが。

 呼吸も安定して、安らかに眠る夢寐の頬を撫でてやる。彩美の言葉を思い出していた。

 

 

『――夢寐ちゃん、集団下校してなかったみたいなの。たぶん……おにーちゃんのこと、待ってたんだと思うよ』

 

 

 俺のせいでもあるのか。……となると疑問なのは、夢寐が山にいた理由か。

 気付けてやれてよかったが、あのまま俺が気付かなかったらと思うとゾッとしない。

 そしておそらくあの一連の事件は、タイムスリップ前の今も起きていたことなのだ。

 

 ――存在Xの介入か? ストーカーの野郎は種付けおじさんに丸投げしてきてしまったが。

 いや、夢寐を使って俺を陥れたほど、周到で狡猾な存在Xのことだ。あいつも捨て駒ってところか。

 

 そうなると、存在Xが夢寐を狙っていたことになる。夢寐が存在Xである線は消えるわけだ。

 

 つまり――あの山へ連れて行った奴、ストーカーを手引きした奴が存在Xという可能性が高い。

 

 だとするならば、俺は――

 

 

「……お、にぃ、ちゃん……?」

 

「…………夢寐」

 

 

 目を覚ました夢寐が、俺の目をのぞき込んできた。

 寝ぼけているのか? 夢寐の額に触れてみる――熱い。風邪をひいたのか、無理もないが。

 

「あ……」

 

「おはよう。今はおやすみの時間だけどな」

 

 もぞもぞ、と夢寐が俺に抱き着いてくる。そういえば、抱き着き癖があったっけかな。

 ともかく、自分の家ではないことに気付かない程度には判断力が低下しているみたいだ。

 

「おにぃちゃん……夢じゃ、ない……?」

 

「ああ」

 

 抱きしめてやると、安心したように躰の力が抜けた。

 怖い目に遭ったもんな。まだ小学生だというのに、トラウマになっていないと良いが……

 

「おにぃ、ちゃん」

 

 きゅ、と俺の服を掴み、か細い声で紡ぎだしていく。

 

「夢寐の、お話、聞いて、くれる……?」

 

「……うん」

 

 呂律の廻らないまま、夢寐はゆっくりと話し始めた。

 

 

 自分が本当は、遠い所に住んでいたんだということ。

 

 ストーカーは、自分が引っ越す理由になった、あの時のストーカーであったこと。

 

 

「夢寐が……悪いこと、しちゃったから…………」

 

 

 だから、自分に返ってきたのだということ。

 

 それから―――

 

 

「いやだ、って……助かりたいって、思っちゃって……」

 

 

 エゴに染まったこと。仕方のないことを、拒絶したこと。

 

 自分は悪い子なのだと、後悔を吐き出した。助かって、安堵していることも。

 

 

「…………」

 

 

 黙って聴いていた俺に、夢寐が訊いた。

 

 

「右京、おにぃちゃん、に……夢寐、は……どんな悪いこと、しちゃった、の…………?」

 

 

「――――――」

 

 

「夢寐は、悪いことしてても、自分じゃ、わからなくて……」

 

「…………」

 

「右京、おにぃちゃんは……本当は優しくて、彩美ちゃんの、おにぃちゃんで……おにぃちゃんとも、仲が良くて……でも、怒ってた、から」

 

「それ、は」

 

「……夢寐、また嫌なこと、しちゃった、の」

 

 それは違う。その一言でさえ、喉奥でつっかかり出てこない。

 真実を言ったところで何になる? 俺には分からない。だが1つ、言えることはあった。

 

「俺は優しくはないよ、夢寐」

 

 夢寐の肩がピクリと反応した。

 

「お前が思ってるような奴じゃないさ。正真正銘悪い奴だ」

 

「でも、夢寐が見てきた、右京、おにぃちゃんは……嘘じゃ、ない」

 

「…………そうだとしても、な」

 

 強姦魔の寒い芝居のようなものだ。それは覆らない。

 ――さらけ出すのが怖いのか、俺は?

 

「……助かりたいって、思ったんだな?」

 

「…………う、ん」

 

「俺はそう思ってくれて嬉しいんだ。諦められてもらうよりは、何倍も、何十倍も。お前の言う悪いことを喜ぶなんて、悪い奴以外ありえないだろう?」

 

 ――だから所詮、俺は縋っているだけなのだ。

 一瞬でも、俺の悪意に触れた彼女にこそ、縋っているのだ。

 

「……やっぱり、優しい」

 

「悪い人だ」

 

「悪くて、優しい人」

 

「…………」

 

 夢寐の瞼がだんだん閉じてくる。また眠るのだ。次起きれば朝だろう。

 最後に、俺は一言だけ。

 

 

「……お前はなんも悪くないんだ、夢寐」

 

「…………」

 

「おやすみ」

 

 

 さて――俺も寝なければならない。

 悪くて、優しくもない人だからな。そういう血が流れてるんだ、俺には。

 

 なぁ、源十斎。

 

 

 思い起こすのは、咲洲組の代紋。

 “首を七つ切り落とされた八岐大蛇”――それが今の咲洲組の代紋だった。

 

 かつては八つの派閥に分かれていた咲洲組を、三代目組長――つまりは源十斎が、七つの派閥を潰すことで実質的に統一させた。

 その時生まれた代紋なのだ。その残った一つだけの派閥こそが、派閥の中でも最も気性が荒く、危険な、それこそ龍のようなものだった。

 

 その血が流れている。

 

 

 彩美の言葉を、思い出していた。

 

 

『彩美ちゃんのほかにね――栗生ちゃんも、残ってたよ』

 

 

 そうか。

 そうか。

 やることは、一つだけではないか。

 

 

『レイプする』

 

『――おう、楽しみにしておるぞ、今度こそ、な』

 

 

 

 

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