あーっ! あーっ困りますっあーっ! メスガキこのっ! この舐めやがってっ! じゅるるるるーっ! 作:道明寺ファンブル
こっそり修正はいるかも
――斑鳩右京という男について知ったのは、本当に偶然の賜物だった。
今は横で自分に『お兄ちゃん』だの『あれ買ってほしいなぁ~?』だのとあざとく擦り寄られ悪態をつく彼であったが、第一印象は最悪も最悪、底を抉り取るレベルで最低であったっけ――と天宮栗生は彼に見えないように笑う。
彼の、栗生に買わされた荷物を持つ手とは逆の手を掴み取り、子供のいない街中を少し新鮮な気持ちで歩きながら、記憶を遡ることにした。
――“あの男は猫屋敷夢寐に危害を加える可能性がある”。
そう告げられたのは、今年に入ってからすぐのことだった。
治安が良いとは言えなくとも現代日本だ――増してや、
結局、どちらを信じたのかは先日の光景がすべてを物語っている。まだ異物感に苛まれている下腹部をさすった。
(……あの時は流石に何度も警察に通報しようかとも迷ったけど)
最初から人を信じ切れるほど栗生の心は隙だらけではない。そんな彼女が斑鳩右京という見ず知らずの人間よりストーカーという前科を持つ男を信じたのは、やはり彼女自身が右京を危険だと判断したからに他ならない。
――状況証拠、というものがある。
直接的に犯罪を証拠立てるものではなく、間接的に犯罪を示唆するものだ。
ストーカーが言うには、“斑鳩右京は日夜夢寐をストーキングしている”――らしいのだが。
栗生は自分勝手だと思いながらも毒づいた。
“いや、ヤクザの子だったり実際怪しい風貌しているんだしそりゃ勘違いするでしょ”――と。
(で、まんまと私は右京を敵視したわけで……あーあ、ホントーに、何やってんだか)
無論ストーカーにも疑ってかかった。
危ない人間がいる、なら警察かそうでなくとも大人に頼れ、とも言った。もしかして、自分をストーカーする気なんじゃないか、とか。
ストーカーは否定したが……そう猜疑する栗生自身を否定することは無かった。
怪しまれて当たり前だ、と。それでも――と続けて。彼の目的は、栗生が聞いた限りでは――
(夢寐を危険な目に遭わせない、そして謝りたい、か……)
右京が彼の言う通り危険人物だとして、挙げられる危険性はいくつかある。
人身売買、売春――アイドルならでは、というにはあまりにも暗いものがピックアップされていった。
確かに、ヤクザというのは風俗だとかで資金を集めていたりもすると聞いたことがある。
しかもその上、それらしい理由付けをされて可能性について詳しく解説されたのだから、信じるまではいかなくとも偽りであると斬り捨てることもできないでいた。
当初の目的は夢寐と右京を接触させないこと――何があるか分かったもんじゃないから。
だが気付けば二人は関係を持ち、更には親し気に、また家族までも交流を深めていったのだ。何の前触れもなく、突然に、だ。
(…………というか、ラブラブ?)
夢寐の頭を気安く撫でまわしていた時の彼には、思わず親の仇を見るかのような目で睨んでしまったが。
ともかく、そういった状況の変化もあり、手段を選んでいられないというところに話は運んだ。
しかし同棲までしている夢寐に、右京に秘密で話をする機会というのは中々訪れなかった。
だからこそ、あの時の早下校というのは僥倖だったのだ。すぐさま行動に移し、彼女に右京という男の危険さを知ってもらおうとして――
「――おい、栗生? どうした、顔が青いぞ? ――熱中症かぁ? やめろよ、ただでさえ複雑な関係なのに病院になんざ連れて行けないぞ」
「……複雑にしたのはどこの誰よこの腐れペドフィリア……ただちょっと疲れてるだけだから。どっかの誰かさんにいっぱいいーっぱい汚されちゃったわけだし」
いーっ、と、ちょっとした仕返しのつもりで彼に反抗する。……多少自爆気味に思い出して悶絶しそうになってしまったが、涙目になってもサングラスで隠れるのは幸運だった。
痛いところを突かれたように右京は言葉を詰まらせる。いつもの厭味ったらしい笑顔を浮かべたまま、
「……ま、あんなカロリーの権化みたいなパフェ完食したんだ、少しぐらい休んだ方が良いんだろ。吐かれても困るしな」
「…………だから、ちょっと疲れちゃっただけだってば。変に気を回さないでよ……」
「疲れてんならなおさら休むべきだろ……というかお前がいちいち目に付くもの手あたり次第俺に買わせたおかげで! しかも荷物持ちに任命してくれやがったおかげで腕が限界なんだよ!」
(……汗一つかいてないくせに)
モヤモヤした胸中に渦巻くのは、彼のそんな、不器用に優しい態度のこと。
――何が危険だというのか。
危険な一面があるのは否めないし、世間はきっと彼の方を厳しく罰するだろうことも分かっている。
だが彼は、今までの栗生の中にあった斑鳩右京像とはまるで違う、気の遣い方を知らないでも慮るその様は正しく『兄』のようで。
そんな彼を、何も知らないくせに憎んでいた自分が嫌になりそうだった。
(でも……ちょっぴり言い方が刺々しくなるのも、しょうがないと思う)
そんな、自分を慰めるような擁護の言葉が心の中で浮かんでは消えていった――。
――休むついでに、栗生の告白を聞いた。あの大雨の日の事についてのことだ。
彼女は俺の言葉を挟ませないように、矢継ぎ早にすべてを吐露した。まるで、悪戯を叱られたくないと縮こまる子供みたいに。
俺は広場のベンチに改めて座り直し、揺れる木の葉の間から空を見上げて、風の音に耳を傾けていた。
「そうか」
「そ、そうか、って……それだけなの? そんな簡単に信じられるわけ……?」
横に視線を巡らせてみれば、木陰のせいか、話題のせいか、いつもの小生意気さがなりを潜めた一人の少女が不安げな瞳をこちらに向けていた。
サングラスを取ってしまえば、目の前にいるのは正真正銘の現役アイドル、天宮栗生だ。彼女らしくない言葉を鼻で笑って、俺は空を見上げながら、“あの子”のことを思い描く。
「お前はこんな俺を信じると言っただろう? いや、信じてみてもいい、だったか? ……まあどっちでもいい。そう思ったのはなんでだ、栗生?」
「それは……あの子が、夢寐がアンタを信じるって言ったから……あとは、自分で考えてみて、それで」
「一緒だよ。夢寐はお前を信じている。友達だからと意志を曲げようともしなかった。……だから俺も、お前を信じるよ」
栗生はその言葉を聞いて何かを言い返そうにも、何も思い浮かんでこなかったのか口をパクパクさせて、それから微妙な表情を前に向けた。
納得はいってないけど、自分だって一緒だし――なんて拗ねたような声が聞こえてくるようで、俺は思わず笑ってしまう。訝しむようにジトっとした目を向けられて、それから少し躊躇うように口を噤んでから、栗生は呟いた。
「じゃあ……信じるっていうのなら、私はそれを信じる。……けど、それなら……私はアンタを知ったような気になって悪人に仕立て上げていたのよ……? アンタから夢寐を引き離そうとして、それで、それで……! アンタは、何も思ってないの……? ――怒って、ないの……?」
「怒ってるんだとしたら、パフェなんか奢らないだろ。こうしてお前のためだけに貢物を買うぐらいには、全く何にも気にならないな」
「でも私は酷いこと言った! アンタの家族をバカにした! 遠回しに……アンタを、否定した……」
――さっきから妙に刺々しい言い方をしているのも、やけに俺に突っかかってくるのも、それが気に掛かるせいか? とは訊かずに。
覇気もクソもない、新鮮でありながらもどこか寂しく思える彼女の頭を優しく撫でて、息を吐くように告げた。
「事実――俺は悪人だ。そう言われるだけの
「そんなこと――」
「だからもう何も気に病むな。お前にしてしまったことはもう消えない。だけど、その悪人を信じてくれるんだろ? 重要なのは過程じゃなくて、目に見える結果だ。……そもそも、友達を守ろうとするなんて立派な行為を咎められるわけもなかろうに」
「…………アンタだって……アンタだって、夢寐を守ろうとして……っ! ……私だって、全部が全部、正しい行いだったわけでもないのに! 結果が大事なら、それなら私はもっと酷かった! なのに、どうして……!」
何も答えず、ただゆっくりと彼女の頭を撫でる。
帽子は彼女の膝に置かれていた。夢寐のくせっ毛とはまた違う、さらさらとした感触が掌に残るようだ。
それからも、栗生は小さな声で何かを言えば、また黙り込んで頭を撫でられ続けるという、そんな動作を繰り返していた。
「少しぐらい……恨み節でも、吐いてよ……」
――きっと、彼女は叱られたいんだろう。
正しいと思っていた行為が実は間違っていて、でも夢寐も、俺も、誰も彼女の事を責めはしない。あれでいて正義感の強い少女だ――自責の念に駆られでもしているのかもしれないし、恨まれるだろうとした理想と現実のギャップに戸惑っているのかもしれない。
だがそれは俺だって同じだった。この子には恨まれても仕方が無いと高を括っていたというのに――彼女はちょっとした悪戯で“手打ち”にしてしまったのだから。多分、俺が罪の意識に苛まれるのを防ごうと、子供じみた手法で執拗にからかってきたりしているのだから。
一方的に責め立てることなどできるはずもない――俺たちはどちらも、きっと、夢寐という少女への加害者にすぎないのだから。
彼女が赦したのなら、もうこの話は終わりであろう。そして事実、彼女は赦したのだ。
「ちがう……そうじゃない……ちがうでしょ……?」
掠れるような声で、絞り出すように自分に言い聞かせてから、
「――ごめん、なさい……疑って、ごめんなさい……酷いことして、ごめんなさい……っ、…………夢寐も……夢寐も、ごめんね……」
「……ああ……俺も、悪かった。酷い事、してしまったな」
そうして彼女は贖った。
きっとこれが、俺らなりの“手打ち”であると――
“でも、やらかしたことに関しては赦すつもりはないからね――”
それでもお互いを赦さず、それ故に対等な関係であれると信じて。
鼻をすする音が聞こえてきたが、俺はそちらに目を向けることなく、ずっと頭を撫で続ける。
そのまま数分が経過した時には、風の音と、頭上の葉擦れの音しか聞こえてこなくなっていた。
静かな空間に、隣の少女に語り掛けるよう、俺は口を開く。
「……全部、あの子が中心になってるんだよな」
彼女を復讐の相手だと思い込み、執念が俺をこの時代に呼び。
俺を夢寐に害するものだと考えた栗生が、躍起になって友達を守ろうとして。
そんなすれ違った俺たちを、夢寐はいとも簡単に繋げてしまったのだから――最早、笑うしかない。
そう語ると、栗生もただ小さく笑って柔らかく頷いていた。
「本当に……最初はただの子供だと思ってた。ジュニアアイドル、天才だと持て囃されて天狗になっているとさえ思っていた。……だけどその実、ただの女の子で、一見か弱いのに芯だけは人一倍強くて……気付けば、あの子は俺の日常の一部になってる。おかしな話だ、まったく」
「……そういう割には、嬉しそうな顔、してるけど……?」
「お前こそ――自分の大切なものを褒められた子供みたいな、だらしない顔してるぞ?」
猫屋敷夢寐という渦に巻き込まれることを嫌とは思っていなかった。
きっとその渦は近くのものを何もかも呑み込んでしまうもので――そしてとても温かく、居心地の良いものなのだろう、と。
「あの子のこと……私も、好き」
「……そうだな」
それについては、もう否定しようもない。
信じられないことだが、彼女は自分に向けられた敵意を丸っきり好意に変えてしまったわけだ。
この、日差しを遮り、程よい空間を提供してくれる大木のような。
そんな安心感さえ与えてくれる彼女をこそ、絶対に守り通さねばいけないと決意すると同時。
彼女にした仕打ちを、俺は胸に深く刻み込んだ。
あの子が赦した俺を、俺は赦せるのだろうか――そう遠くを見つめる俺に、横から声がかかる。
目元を拭い、いつものような覇気を取り戻し立ち上がった栗生から……多少、不機嫌気味な声が。
「……それで、ね。あの子のことが好きだからこそ、結構気になってるんだけど……あの子、アンタを擁護する時随分と熱が入ってたと言うか、完全に恋する乙女的なアレだったと言うか」
「………………………………あのそのえっと」
「……手、出したの」
ずい、と俺の太ももに手を置いて、鼻息が当たるほど顔を近づけてきた栗生に俺の心臓はデッドヒート。
冷や汗だらだらな俺は、数秒後にどうやって誤魔化そうかと、存在Ⅹについて思案する時以上に脳みそを働かせるのであった――
「――じゃあ、ほんとーーーーーーーに、夢寐とは何でもないわけね?」
「だから……何度もそう言ってるだろ? あーもー、そんな怪訝そうな目を向けてくるんじゃねぇ、俺のこと信じるんじゃなかったのかよ」
それからも俺たちは街中をぶらぶらして――気が付けば空は橙色に燃え上がっていた。
さすがに学生や教師に見つかるのはマズいので、今は何の変哲もない住宅街の間隙を縫うように二人で歩いている。
同じ質問を繰り返し投げかけてくる栗生の表情は、夕陽に照らされているせいか年相応な明るい表情になっていた。
悪態をつくように栗生の腕が絡まる手をぶんぶんと振り回すと、彼女は「わっ、わっ」と慌てたように声を漏らしてから、
「…………ふーん、そう」
また何度か繰り返したような反応を返すのであった。
それが、俺と夢寐の関係を咎めようとするだけの質疑ではないことはなんとなく理解していたが、だからといって彼女の本意を推し量れることもなく。どうしたものかと頭を掻こうとして、左手には栗生に買わされた荷物があったんだ――と思い出す。
相変わらず生意気そうな顔をしているが、あの休息からずっと手を離してくれない。
どういうつもりなんだか、と栗生の横顔をじっと見つめていると、彼女はその視線に気づいたのかこちらに向き、目が合ってから柔らかく微笑んだ。
「なあに、お兄ちゃん」
「……その呼び方は……もう周りには誰もいないんだから、いつも通りに呼べばいいだろ」
――私たちの関係をこれ以上なく分かりやすくまた周囲にも納得させやすく誤魔化せる完璧な呼び方でしょ、お兄ちゃん? ――そう、笑った栗生の表情と重なって、諦めたように空を見上げることしかできなかった。
夕方でも暑さが残っていたから、栗生が着ていたジャンパーは彼女の腰に巻かれ、そのせいで微かにしっとりと汗ばんだ肌に俺の右手は蹂躙される。ついでに言えば、微かなふくらみも感じられた。まあ、確かに、傍から見れば仲睦まじい兄妹に見えるだろう――が、見る人が見れば即通報モンだろうな、とも思わなくもなかったり。
だが、嫌ではない。
居心地の悪さというものが、今の俺達には微塵もなかった。
「先週までの私が今の私を見たら……どう思うのかな」
「さぁな、もしもの話なんて不毛なもの、と言いたいところだが……きっと最初は怒るだろうな、それか最初っから信じないか。結局、最後にはお前は納得してしまいそうだが」
なんで? と言いたげな瞳を向けられ、笑った。
「今のお前が楽しそうだからな」
「…………ん」
それだけじゃなく、彼女は賢く、ある程度冷静さを保てていれば理性的でもある。
……夢寐に関わればどこまでも理性を捨てることも出来るし、夢寐のためならばどこまでも冷静になれる――歪ともとれる、彼女の“芯”がそれなのだ。
「そっちは? ……お兄ちゃんは、楽しかった? 今日の事は……退屈じゃなかった?」
「……ああ、悪くなかったな。次は……次は、夢寐も誘おう。二人だけじゃ、あの子だってやきもちを妬いてしまいそうだし」
こくりとうなずく栗生の表情に、一瞬翳りが差した気がした。
夕陽を背にしているからだろう――伸びていく影の先を見つめていると、周りの家屋から少し浮いた一軒家が見えてくる。
表札には、『天宮』と刻されていた。
どうやら随分と波乱万丈だった今日一日の終わりが来たようだ。
「ここまでだな……ほら、荷物もちゃんと持ってけ。俺の存在は絶対にちらつかせるなよ、今日はお前ひとりが家を抜け出して、遊び惚けて帰ってきた――良いな?」
「う、うん……分かってるわよ、ちゃんと……」
荷物を手渡しするが、受け取る彼女の動きがどこか緩慢だ。
今日は俺でさえ疲れたんだ、小学生である栗生はもっと疲れているだろうし……あえて指摘せず、小さな背中を押す。
本当のことを言えば、ここまで栗生の家に近づくことは避けるべきだった。
家族でなくとも、栗生を知っている人間に見つかれば言及は避けられないから。
仕方なく、栗生の、“もっと、一緒に”なんて我儘に付き合ってやったが、これ以上は危険だ。
押した右手は、少し涼しくなった。
「家族が心配してるだろうし、怒られるかもしれないが……まあ知ったこっちゃないな。それじゃあな、栗生……また、明日」
「…………」
大量の荷物を抱える栗生は、俺の半歩先から動こうとしなかった。
「ねぇ」
それどころか、こちらを振り返り、物憂げな雰囲気を纏いながら、
「ウチに――来てよ」
そんなことを、宣いだした。
突然の事に返そうとした踵が途中で止まり、それから数秒言葉を発することが出来なかった。それから、落ち着いた思考が呼吸すら止まっていたことを認識し始めると、彼女の言葉が嘘でもなんでもなく、本心からの誘いなのだということすら理解し、俺は瞠目する。
何かを言い返そうとして、
「今日、お父さんもお母さんも帰ってこないから。それに、よくよく考えれば、一日って二十四時間じゃない! だから、だから……も、もう少し、私のお兄ちゃんでいなさいよ」
命令的な言葉であったが、どこか懇願的な響きも含まれていて余計混乱しそうになる。
この子は一体何を求めている? 堪らず黙り込む俺に、答え合わせだと言わんばかりに栗生が言った。
「……あなたを、もう誤解したくないの。すべてを理解したいなんて言うわけじゃない。だけど、理解できるところは理解したいって……今日一日一緒にいて、思った」
そこで、ようやく気付いた。
彼女の表情には、寂しさや、悲しさが募っていた。
「あなたは……本当に、夢寐に……手を、出してない?」
「……だから、俺とあの子は何でもないって――」
「五月の、中頃に」
「――――ッ!?」
ピンポイントに告げられた時期に心臓が跳ねあがる。
だって、それは、俺がこの時代に来て、あの子に――
「隠さないで、答えてよ……それはもう、私に関係ある話じゃないから――あの子が赦して、あなたと笑えているのなら、私はもうそれでいい。だから、あなたの口から聞きたい……どう、なの?」
「……あの子から、聞いたんだな……なら、あの子の言う通りだろう。夢寐は嘘を吐く子じゃ――」
ずい、と、栗生が半歩の間を一気に縮めて、俺を見上げた。まるで、俺の答えが納得いっていないかのように――いや、おそらくその通りなのだろう。
“YESかNOか”――求められている答えに、見当がつかないわけじゃない。だけど、きっと言ってしまえば俺は楽になる。
栗生の表情は、そんな俺の様子を見て見る見るうちに曇っていく。
「あの子は赦しているのよ? ……なのにあなたは、あなた自身を赦していない」
「…………」
「ねぇ……私って、そんなに頼りないかなぁ……? 信じる、って……信頼じゃなくて、信用だった……? あなたは、お兄ちゃんは……自分が赦せないから、自分の心に踏み入らせようとしない……遠いよ、こんなに近いのに」
背負わせろと、彼女は言う。
お前がお前を赦せないのなら、一緒に苦しむと言う。
それが、距離。
縮まない、俺と彼女の。
「あなたは、本当に誰かを信じられてる――?」
その問いに即答できないのが、答えだった。
「それは、“こいつは疑わなくていい、だから実質信じている”――そんな逆説的なものなんじゃないの――?」
縮まないはずの、距離。それがどうしてか、手繰り寄せられているような気分にさえなってくる。
俺は、信じられていないのか? 誰も?
夢寐でさえも、信じることは難しいというのだろうか?
……眩暈がしてくる。これ以上、踏み入ってくるな。
栗生の肩を掴み、彼女を下がらせ、俺は声もかけずに踵を返して――
「――帰った場所に、あなたの居場所はあるの……?」
その声に、足が止まった。動けと言う脳の命令に背かった。
命令さえ出なかったのかもしれない。脳は別の考えにリソースを割いてしまっていた。
俺が、心から信じられる人間?
……いない? そう、だろう。だって。
だって、誰しもが――
“――故にそれは誰しもが存在Ⅹ足りうる証左であることに疑いはない”
「うぐっ、ぶっ――っ!? ぁ、はっ――!」
「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん!? 大丈夫!?」
俺の帰った場所に、いるはずなのに。
心から信じられる人間なら、いるはずなのに。
しかし理性は全てを疑わしきと処断する。
「――あの子は、あの子は、違う……彩美、は、絶対に――違う……ッ!」
大切な家族である斑鳩彩美という最愛の妹でさえも、俺には信じることが出来ない。
居場所は、無く。故に、故に、俺は――
「……私は、全部、あなたに曝け出すから。あなたにそれを強いる気は無いけど、でもあなたが、信頼してくれるようになれば、それでいいから……」
荷物を地面に置き、温かな言葉を優しく投げかける、
「…………来て、お兄ちゃん」
彼女の手を、振りほどくことが出来なかった。
「――おかえり、お兄ちゃん」
門扉の先の広い庭に敷かれた飛び石を伝い、彼女の――栗生の家に上がり込む。
両親はいないという話だった。人気は無く、黄昏時の少し昏い屋内は寂寥感に満ちているようにすら思える。
後ろでドアが閉まる音がすると、栗生は振り向いて俺に抱き着いてきた。愛おし気に、どこか妖しい光を瞳に携えて――“お兄ちゃん”、という呼び方にこれ以上ないぐらいの気持ちが込められているように感じた。
そこに刺々しさは無く、生意気さもなく、あるいはアイドルでさえなくなったような……そんなただの女の子になってしまったかのような。彼女のそんな豹変ぶりに、抱き返そうか迷っていた俺の両手は結局だらりと下げられ、俺の横に落ち着いた。
栗生は俺を離さない。怯えているような気がした。どこか遠くに行ってしまいそうなものを、必死に繋ぎとめようとするみたいに。
「…………」
どうすることもなく視線を巡らせていると、ふと、近くの靴箱の上に立てかけられた写真に目が付いた。
年端もいかない少年だ。中学生くらいだろうか、サッカーユニフォームを着てわんぱくに笑う姿はどこか――目の前の栗生によく似ている。
……そしてやっと理解する。彼女の“お兄ちゃん”に込められた思いが。
「……そうか。お兄ちゃん、か」
位牌が横に添えられていた。真言宗のものだろうか、戒名の刻まされたそれは、写真の彼がすでにこの世に存在しないことを意味する。
……甘いものが好き、だったか。この子の異常なまでの甘党加減は、その寂しさを紛らわせるためのものだったのかもしれない。そして今の彼女は、俺を本当の兄のように認識している。
本当の彼女。
誰もが持つような、弱い部分をさらけ出して。
「お前も……家族を、喪っていたのか」
無意識のうちに、彼女の頭を撫でてしまっていた。
大切な家族を喪った人間を同類視するのは失礼なことだと理解しているが……その寂しさは、分からないわけではなかったから。たぶん、俺のように
それから少しして、栗生は俺からゆっくりと離れる。歪で危うい心情を瞳にも顕しながら、微笑んだ。弱さを隠そうともしないで、涙した。
「二回目、ね」
何が、と答えるより先に――栗生はその衣服を脱ぎ始めた。
触れれば壊れてしまいそうな、そんな脆さが一際彼女を妖艶に彩っていく。
「お兄ちゃんは、優しい人よ……だけど、善人にも悪人にもなれない、中途半端な……普通の人間。普通じゃないなんて、言わないで……?」
脱ぎ捨てられた衣服が玄関先に置かれる。彼女が今まで日常を過ごしてきたであろうその空間が、淫靡に支配されていく。正しく、逢魔が時に、良くないものに憑りつかれたかのように。
……本当に、どこかおかしくなってしまったのだろう。まるで現実から乖離した
栗生は俺から目を離さない。俺もまた目を離せない。ファーストブラを外すと、ピンク色の乳首が立っていた。
「違う……俺はそんなんじゃない。俺は……極悪非道の、クズ野郎だ」
「……分からない」
そして止まることなく、下の布にも手を出して、
「見せてくれなきゃ分からない。“そこ”に踏み入らせてくれなきゃ、永遠に分からない。でも、それが嫌なら……お兄ちゃんが来て……? そうして私に、お兄ちゃんを
栗生の――紫ががった青い瞳が、俺の心を見透かしてくるようで。その瞳を見つめていると、俺にも分からなかった、あるいは分かりたくもなかった部分が浮き彫りになってくるようで。
「……こんな私に……お兄ちゃん」
だからこそ、最後の枷が、彼女が一糸まとわぬ姿となったおかげで、彼女が俺の心を揺さぶったおかげで、歯止めが利かなくなった。
小さな身体を、押し倒す。小さな悲鳴が、零れ出る。馬乗りのようになり見下ろす少女は、それでも微笑みを携えていた。俺という人間を推し量ろうと。
「んっ……!?」
気に食わなかった。人生という大河を知らず、破滅という大過を知らず――そんな子供に、いったい何が分かるのか。
その小さな口腔を凌辱するべく両手の親指を差し込み、ぐいっと横に拡げさせる。目を白黒させる栗生の――その舌を啜り上げる。
「んんんんっ――!? ん、ひ、ゃ、あんっ、んぶっ、んんんんっ! おにぃ、ひゃ、ぁ」
彼女に何もさせず、ただこちらだけが玩具のように弄ぶ。舌を甘噛みしたり、それこそ彼女の舌の裏まで味も香りも堪能し、息つく暇も与えずにそれを繰り返していく。息が苦しくなってくるのか藻掻こうとするが逃れられず、足をばたつかせるばかりで状況は改善しない。助けを懇願するような視線に、気付かないふりをした。
「んぐっ、ぅ!?」
とどめとばかりに彼女へ唾液を送り込む。逃げられないよう顔を上に向けさせ、さもなくば窒息するぞと言外に脅しをかけて。驚く栗生だったが、しかし、俺の両手に細い手指を絡めるよう手を置くと、その欲望を余すことなく飲み干していく。
「んっ、こくっ、んくっ……ん、はぁ……はぁ、はぁ……お兄ちゃんの、味がする……」
酸素が薄いのか、こんな状況で興奮しているのか栗生の顔は赤い。俺に乗られていることもあり息苦しそうに呼吸を整えようとしていた。栗生の味に満ちた口から長い息を吐き、それから彼女の細い首へと手を伸ばす。
「これが、俺だ。……いや、こんなもんじゃない。もっと滅茶苦茶にするぞ……お前らの日常を破壊するぞ……我が物顔で、お前らの居場所を侵してやるぞ!? 良いのか!? 俺は――お前らとは違う、悪人だ!」
「……本当に? それがお兄ちゃんの本当の想いなの?」
力を入れてしまえば、へし折ることだって出来た。それなのに彼女は柔和な笑みを崩さずに、また俺の手に自分の手を重ねてくる。
「……出来るの、あなたに」
「――ぅ、ぁ」
――まただ。また、この感覚だ。この子をレイプした日の夜、夢寐の強さを知った時のような――まるで自分が矮小な存在のように思えてしまう、この感覚。壊せるものだと思っていたものが、だけど俺を包み込む存在の大きさを持っていた。……力が、入らない。入るわけがなかった。
「やっぱり、お兄ちゃんは悪人にはなりきれない。かと言えば、善人というわけでもない。中庸で、どちらにも転がるただの人間」
「――違う! 私利私欲のために……私怨で、それも勘違いであったことすら知らず! 未来ある少女という芽を踏み躙った外道が――人間であるはずなど、無い!」
「そうやって苦悩するのが、人間ってもんじゃないの……そんな風に辛そうな顔しておきながら、全部背負い込もうなんてしないでよ、お兄ちゃん……!」
ハッとして自分の顔に触れる。……酷く、しわだらけだった。悔恨に歪んだ顔が、栗生の瞳に映り込んでいる。そんな顔を見たくもなく、手で覆い隠すように顔を隠しながら、訊いた。
「なんで……お前たちは、そんなに俺を……こんな俺に手を差し伸べる!? 分からない――俺にはお前たちが、何も分からない!」
「放って、おけないからよ。あなたの、自分の艱難辛苦を棚に上げて、私たちを気遣うあなたのことが……! 信じて、頼ってよ! 辛いなら、辛いと言いなさいよ、お兄ちゃん!」
「違う! そんな立派なもんじゃない! お前たちを穢し傷つけておきながら、嫌われたくないと……俺が、俺自身の罪を贖った気になるために――! 本当に気遣ってるのは、俺自身なんだ……我が身が可愛くて仕方のない、
「なら――それならちゃんと自分の事だけ考えてよ! 私たちの事は良いから、辛いもの、全部吐き出しなさいよ……!」
「――ッ! ぁ…………あ…………」
――存在Xの名を出そうとした。俺の、辛いもの――この背中にのしかかる罪科の原因たる存在の事を――告げようとしても、出来なかった。信じられないんじゃない、ただ……この子たちを、巻き込むわけにもいかなかったから……この子、たちを……………………。
「無理、だ……」
「…………お兄ちゃん…………」
「……お前たちが、大切だから……自分で壊してしまったものでも、手元にあるから、大切にしたくなる……最低だと、自分勝手だと分かっていても、そう思えてしまうから」
「…………そう」
それを聞いた栗生は、納得したような、どこか寂しそうな表情を浮かべた。
「私たちは、守られるモノ、なのね……お兄ちゃんの横に立てるぐらいの、存在じゃない、ってことね……?」
「…………」
俺はもう、何も答えられない。
「それも……やさしさ、か。……辛いわよ、きっと……悪にも善にもなりきれないのは」
彼女は俺の頬に手を添えて、
「でも、もし、お兄ちゃんに辛い時があって、どうしようもなくなったら、頼って……あなたの背負っているものの重さを軽くすることは、私にだって出来るだろうから」
「栗生……――っ!?」
「んっ……んちゅ、ん……は、ぁ、んむ」
身体を起こし、俺を抱き寄せ、唇を奪った。拙く舌を差し込み、慣れない動きで奉仕しようとしてくる。
「ぷはぁ……ね、お兄ちゃん……触ってみて……? 私の、本性――」
彼女の、秘部。一度凌辱した聖域に触れると、トロリとした蜜が指に纏わりついた。それも少量じゃない――蕩けた瞳をこちらに向ける栗生が、笑った。
「ジュニアアイドル“天宮栗生”は――あの乱暴なエッチが忘れられない、変態なの」
そして俺と栗生は、彼女の部屋へと移動していた。
ぬいぐるみの並べられたその光景は夢寐の部屋とも被る。一際大きな、着ぐるみぐらいのクマのぬいぐるみが目立った。
花のような香りが満ちるその部屋の中で、ベッドに横たわる俺達は裸で抱き合っていた。
「んぁっ、はふっ、んぅっ、おにいちゃ、んむっ、~~~~~っ♡」
何回も唾液を交換し、身体と身体を擦り合わせる。先ほどとは打って変わって、彼女が主導権を握っていた。
顔を離せば銀の橋が架かり、斜陽は口の周りを照らし、その激しさを物語るようにてらてらと反射させ光らせる。
「あっ……♡ もう、大きくしちゃってる……本当に大きいわ、お兄ちゃんのって……」
「栗生、やっぱり――んぐっ」
抗議の声は彼女のキスにより遮られてしまう。
「私が、したいの……“私が”――良いでしょ、お兄ちゃん」
「…………」
そう念押しするように言われて、考えていた言葉も霧散してしまった。無言になった俺を見て、小さく頷いた彼女は屹立する俺のイチモツを後ろ手で握った。少々汗ばんで、上下に動かすだけで微かに水音がしそうだ。
そして、男の性というものはやはり実直で――こんな状況であってもまだ大きくなり、興奮冷めやらぬまま脈動を早めていく。惚けたように息を吐く栗生は、それからベッドに立ち上がった。
「これが……挿入っちゃったのよね。本当に、怪物みたい……見るだけでおかしくなっちゃいそう……」
俺のイチモツの上で足を開いて立つ栗生が、見せつけるように秘部を両手で開く。ぴったりと閉じていたものがこじ開けられ、引くついた膣への入り口がまた淫猥で――彼女の蜜がポタポタ、と俺のイチモツへ降り注いでくる。彼女の陰核も、俺の陰茎も、これ以上ないほど硬くなっていた。
「……は、あ、んん……っ♡ 挿入れちゃうね、お兄ちゃん……♡」
甘イキしたように身体を震わせた栗生からさらに多くの蜜が垂れてくる。それを気にも留めず、栗生はゆっくりとその細い腰を俺のイチモツ目掛けて沈ませていった。小さな手は俺の手を掴み、興奮による涙と唾液に塗れた顔をこちらへ向けて、俺と彼女の距離が、ゼロになる。
「ん、ぁ、んんんんんん~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡」
ぐぐぐ、と、肉をかき分けてイチモツを穿っていく。愛液に濡れた膣内は温かく溶けてしまいそうで、亀頭が呑み込まれただけでも背筋に電流が走るぐらいの快感を覚えた。
「は、ぁッ♡ も、っと♡ もっと、お兄ちゃんっ♡ は、ぁぁぁあああああああ♡♡」
さらにイチモツが呑み込まれていく。大きすぎるイチモツは、栗生の腹部を内側から押しているようで、膣に沿って彼女のお腹がボコりと膨らんでいた。そして最奥に当たる。イチモツの先が子宮口にぶつかったようだった。しかしまだ全部挿入ってないと言わんばかりに栗生は腰を揺らめかせ、俺のイチモツを求める。
「ん、ぎ、ぁひっ♡ こ、ぇ……ホント、すご、ぃぃ……♡ お腹、苦しいの……きもち、いい……っ♡」
狭すぎる膣内に彼女の動きが合わさって、腰が浮いてくる。レイプした時とは比べ物にならない――まるで快感を与えることに特化した別の生き物のようだ。栗生は握った手をぎゅっと握りしめ、それから倒れ込むように俺の胸へと飛び込んだ。早まる鼓動の音が彼女の胸から聞こえてくる。
「は、あ、ぁぁああっ……♡ めくれ、ちゃいそっ……♡ あたま、なにもかんがえられない……♡」
抽送が始まった。上半身は俺の身体にくっつけたまま、その小ぶりな尻だけを上下に動かし始めたのだ。ぐぢゅぐぢゅ、とあふれ出る蜜とイチモツの間で泡立つように音が鳴った。すでにベッドのシーツには染みが出来上がっており、部屋の中には彼女の香りで満たされていた。
「あ、んんっ♡ は、あぁぁっ♡ あんっ♡ ん、おぁっ♡ は、かっ♡」
激しさを増し、肉同士がぶつかり合う音が大きくなってくると、何度かイチモツが子宮口をこじ開け、そのたびに悲鳴にも似た嬌声を栗生は上げた。俺の胸元で、ジュニアアイドルが快楽に溺れ、情けない表情を晒しているのだと考えるだけで、イチモツは硬度を増していく。
「ま、た大きく、ぅぅっ♡ こわれ、ひゃぅって、お兄ちゃ、ぁんっ♡ んぅぅっ♡♡」
ただの欲望のぶつけ合いを――彼女は悦んでいた。性行為が愛情の延長線上にあるなんて口が裂けても言えないような、快楽だけを貪り合う饗宴を。栗生の汗に濡れた脚が俺の脚に絡みつき、無理矢理開かせる。よりイチモツが奥を突くように、俺を逃がさないというように。
「あ゛ぁッ♡ しゅ、き、ぃぃっ♡ うちがわっ♡ ぐちゃぐちゃに、されりゃうのっ♡ すきぃっ♡♡」
興奮は絶頂に達し、行為はヒートアップしていく。狂ったように喘ぐ栗生の秘部からは滝のように愛液が噴き出してくる。汗をかいた肌はくっついて、まるで一つの生き物になったように感じさせる。それほどまでに、俺達は同一の――快楽というものを追い求めていた。
「あ、ひぃぁあ゛っ♡ だめ、もう、だめ♡ お兄ちゃんっ♡ お兄ちゃんっ♡♡ もう、限界なのっ♡」
幾度もの抽送に這い上ってきた射精感が、栗生の甘えたような声に反応して一気に限界へと近づいてくる。彼女もまた限界らしく、息は荒くなり、背筋も微かに反り、小さく痙攣を繰り返していた。そうなってしまえばもう手加減は無く、乱暴なぐらいの抽送に様変わりしていく。短いストロークが簡単に俺達を果てまで連れて行こうとする。
「お゛っ……きく、なったぁ♡ お兄ちゃんも、出したいんでしょっ♡ いいの、いいのよ、出しちゃって♡ 私の膣内に、いっぱい……っ♡」
その言葉を皮切りに、俺は精を解き放った――
「あ゛、ひっ!? あ、ぁぁぁああああああああああああああああ~~~~~~ッ♡♡♡」
ビクンビクン、と大きく背を弓なりに反らし栗生が震えあがった。だらしなく開いた口からは唾液が顎を伝って滴り落ちていく。膣内の痙攣に射精の勢いは衰えず、子宮を埋め尽くさんばかりに精が放出され、その度に栗生がまた絶頂を迎えた。何度も、何度も――
そしてようやく絶頂が収まった時、栗生は力が抜けたように俺の上に倒れ込んだ。萎えたイチモツが栗生の膣から抜けると、大量の精液が愛液と混ざり合ってシーツに広がっていく。
火照った頭が段々と冷めていくのを感じる。どうにか息を整えようとして――視界が揺れた。気付けば瞼が重く、俺の身体からも力が抜けつつある。それを胸元の栗生が、焦点の合わない瞳で見て、
「……おやすみ、お兄ちゃん」
抗いきれぬ睡魔に身を任せ、二人ともども夢の世界へと旅立っていった――
なお後日、一緒に通学しようと家を出た二人を出迎えたのは笑顔の夢寐だったり