※この作品はR-18です。

白い英雄は少女たちと夢を見る   作:九重くるみ

5 / 6
No.5

「待ちなさい、そこのパルゥム」

冷たい声が路地裏に響く。

私はこの時ものすごいプレッシャーに襲われた。

なんだ、これは...

そう思った時にはもう私は動けなくなっていた。

「その袖に隠したナイフ見せて貰えますか?」

「はい...」

言われるがままナイフを差し出した。

エルフはそのナイフを手に取って見てから

「私はこのナイフを持っている人物を1人しか知りません。」

「そうですか、でもそれは私が買ったんです。」

と言って、その場から去ろうと歩きだそうとした。

 

「ぬかせ。」

 

その一言で体の芯から凍りついた。

「.....っ!」

「【神聖文字】が刻まれた武器の持ち主など、私は1人しか知らない」

見ずともヒューマンの少女がぎょっとしたのが分かった。それほどまでの威圧だ。

「動かないでください」

足音がすぐそこに迫ってくる。

もう逃げるしかない。

別れ道めがけて地を蹴った。

「警告はしました」

曲がり角を曲がろうとした瞬間、途轍もない衝撃が手を襲う。

「いぎっ!?」

何かが飛んできた。

赤く爆発し潰れている。

林檎だ。

「腹に力を入れた方がいい」

足が振り抜かれ、予告通りに脇腹を撃ち抜いた。

「ふぎゃあっ!?」

 

 

やばい...!どうしよう!

ナイフが見当たらず、ベルはダンジョンに向かって必死に大通りを走り抜けていた。

そのうちに大通りを走っていたはずが路地裏の道にいつの間にか入ってしまっていた。

「あれ?道を間違えたかな...」

来た道を引き返そうと回れ右した所で小さな犬人が目に入った。

「リ、リリ!」

「ふぁ...?」

「どうしたの!?なにかあったの!?」

「その声は...ベル様っ?」

リリは大きなダメージを負っているようだった。

「だ、大丈夫なの!?」

そっと彼女を抱き上げ、路地裏から少しずれる。

ポーションあったっけ?と、レッグホルスターに手を伸ばしかけたところで、

「まさか逃げられるとは...」

エルフのリューが路地裏から姿を現した。

「今度はリューさん!?」

「ああ、ちょうどよかった実は貴方の...」

言いかけたところでベルが抱き上げているリリを見て、

「クラネルさんどいてください」

「ひゃっ!」

リリのフードを強引に外した。

しばらくリリを見つめたあと、

「失礼しました」

といって直ぐにフードを戻した。

「な、なにしちゃってるんですか!リリ、大丈夫?」

「は、はいぃ...」

「すみません、人違いでした。」

そしてもう1人路地裏から出てきた。

「もうリュー!食べ物投げちゃだめでしょ!」

「すみません、シル」

いったいなんの事なんだろう...

「あのぅ、そろそろ説明してくれると助かるんですけど...」

「あ、ベルさん」

律儀にこんにちは、と頭を下げるシルに「あ、どうも...」と声をかける。

「ところでクラネルさん、貴方はいま黒いナイフを持っていますか?」

リューが聞いてきた。

「あ、そうだった!2人とも上から下まで真っ黒なナイフ見かけませんでしたか!?」

そうだった!僕はこれを探しに来てたんだった!まあないだろうと思い、直ぐにまたダンジョンに探しに行こうとすると、

「これですか?」

「うわわわあぁぁ!!!」

狭い道にベルの声が響く。

「ほんっとうに!ありがとうございます!!」

「...クラネルさん困ります、このようなことは私ではなくシルに向けてもらわなくては...」

「リューは何言ってるの!?」

シルの悲鳴を聞きながら、ごしごしと顔を拭うベルは漆黒のナイフを受け取った。

「あぁ良かった...。神様ごめんなさい、もう二度と落としたりしませんっ....」

ほっと安堵した所で疑問が出てきた。

「そう言えばこのナイフどこで見つけてくれたんですか?」

「いえ、見つけたと言うより1人のパルゥムが所持していました。」

「パルゥム?」

「もしかしてさっきのは...」

「ええ、先程までそのパルゥムを追い回していたのですが、逃げられてしまい...この場にいた彼女を疑ってしまったのです。」

「あぁ、そういうことですか」

すみません、とリューがベルに謝っているのをみて、リリは終始居心地が悪そうにしていた。

そんなリリの耳にシルがおもむろに唇を寄せた。

「あんまりおいたしちゃダメよ?」

「!!」

ぞくっ、と小さな体が可哀想なくらい揺れた。

シルは何事もなかったかのように立ち上がり、リューと一緒に裏道へ入っていった。

「リリ、今シルさんになんて言われたの?」

「べ、別に...あの、ベル様?」

「なに?」

「あの人達は、何者なんですか?」

「酒場の店員さんなんだ。『豊饒の女主人』ってところの。結構有名みたいだけどリリは知ってる?」

「...ベル様」

「ん?」

「絶対にリリをそこへは連れていかないで下さいね?」

「えっ、あっ、うん」

泣き笑いを浮かべるリリにそう答えるしかなかった。

 

裏道を歩きながら、

「シル、本当にあれで良かったんですか?」

「なんのこと?」

「さっきのことです」

リューはシルがこれ以上しなくていいよと止めてきたから追及するのをやめたのだ、

「ん、まあこれを機に変わってくれればいいですけど」

と微笑を浮かべながらゆっくり歩く

「それにしてもシルがあそこまでクラネルさんに心を許しているなんて驚きました」

「へっ?」

突然、リューからもたらされた言葉に、顔が一気に熱くなったのを感じた。

「この前、シルが一軒家からクラネルさんと仲良さそうに出てきてたのをみたんです」

あの時か!

いやまあ、そうなんだけど、多分リューが思っている以上というか...

「えっと...」

いつもなら友人のからかいなんて、すぐに躱す言葉を思いつくのになぁ、ベルさんのことになるとどうも頭が働かなくなる...

「でも、シルが幸せならそれでいいんです」

言葉は真剣そうだが、目が完全に笑っていた。

「リュー!」

そんな言い合いをしながら『豊饒の女主人』に向かって2人で歩いていった。




色々、小説読み漁ってると、色んなifストーリー描きたいなぁなんて思います。
最近は俺ガイルとかToLOVEるとかもいいですね...

自分に時間と想像力とやる気があればなぁ笑
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。