※この作品はR-18です。

白い英雄は少女たちと夢を見る   作:九重くるみ

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No.6

リリというサポーターの存在は、劇的だった。

まず、彼女がバックパックを受け持ってくれたため、僕は戦利品をいちいち地上へ換金しに行く必要もなく、普段より長い時間ダンジョンに潜れるようになった。

これまで探索する階層が下部の層に向かう度、換金所からダンジョンへの往復距離が長くなったので、到達階層が増えたところでそこまで稼ぎが増えるということもなかったのである。いわば時間のロスだ。

それが今日、綺麗に解消された。

僕はリリのおかげで重荷となっていたバックパックを装備する必要もなくなり、身軽になって7階層を暴れに暴れた。

その結果。

ギルドの換金所から受け取ったお金は...

「「.......」」

空いた口が塞がらなかった。

「「2万6000ヴァリス...」」

顔を見合わせ、次の瞬間

「「やったーー!!」」

僕達は歓喜して飛び上がった!

「これ夢じゃないよね!!現実だよね!?ありがとう!ほんとにリリのおかげだよ!!」

「馬鹿言っちゃいけないです!ベル様っ!Lv1の5人組のパーティーが1日かけて稼げるのが2万5000ヴァリスちょうどくらいなんです!つまり、ベル様はお1人で彼らを優に凌ぐ働きをしたことになりますっ!」

いえーいと椅子の上に立ったリリとハイタッチを交わしながら、僕らの高揚感は留まるところを知らなかった。

「では、ベル様そろそろ分け前を頂けますか?」

「うん、はい!」

どばっと換金された半分をリリに渡す。

「.....え?」

「うん?」

「あの...多くないですか?」

「リリが居てくれたからこんなに稼げたんだし、これくらい当たり前だよ!」

「独り占めしようとか思わないんですか...?」

「えっどうして?」

心底不思議そうに僕は問い返した。

「...変なの」

その小さな呟きを僕は見事に聞き逃した。

 

リリと別れて、今日くらいご飯でも食べて帰ろうと思い『豊饒の女主人』によると、

「ベルさん!」

ドンッと後ろから抱きつかれた。

「シ、シルさん!?」

何してるんですか!って叫びそうになったが何とかこらえた、

「どうしたんですか...?」

平然を装って聞いてみる

「寂しかったんです...」

「えっ...」

「最近なかなかベルさんとお話しできなかったから...」

そう言えば全然この酒場にも来れていなかったなぁ

「すみません...」

「いいんです、また会えたので」

「そうですか」

「仕事に戻りますね?」

「はい」

注文を済ませ、しばらく待っていると今度はリューさんが料理を持ってやって来た。

「お久しぶりです、クラネルさん」

「リューさんもお久しぶりです」

リューさんは料理をテーブルの上に置いてから、僕の耳に唇を近づけた。

「最近、クラネルさんがいなくていつもシルがそわそわしていたんです。」

「そうなんですか?」

「ええ、いつもなにかダンジョンであったんじゃないかと心配していたので、なるべく会いに来て下さると助かります」

恋煩いで仕事で失敗されても困るので、と冗談半分に付け足された。

 

料理を食べ終わってそろそろ帰ろうかななんて思っていたら、ふと本棚に立てかけてある1冊の本に目が止まった。

「あんな本、前からありましたっけ?」

「いえ、誰かの忘れ物のようです」

んー、少し気になるなぁ

「興味がありますか?」

「えっと、まあ...」

「分かりました、ミア母さんに貸し出しの許可を貰ってきます」

「えっ」

そんなにでもないから大丈夫です、と言おうとした時にはもうリューさんはそこにいなかった。

「持って行って言いそうなので、どうぞ」

「あ、ありがとうございます。」

「では、またお待ちしてますね」

「はい、近いうちにまた伺います」

そうして『豊饒の女主人』を後にした。

 

ふー、今日も疲れたなぁ

ホームに戻りソファーでくつろいでいると本を借りていたのを思い出した、

「そう言えば...」

借りてきた本を取り出し、早速読んでみることにした。

 

『ゴブリンにも分かる現代魔法』

タイトルはまあ、あれだ

というかゴブリンが分かっちゃダメだろうと心の中でツッコミを入れた。

 

ページを進めていくと、

『欲するなら問え、欲するなら砕け。欲するなら刮目せよ。虚偽を許さない醜悪な鏡はここに用意した』

違う。

【僕の顔】だ。額から上が存在しない僕の顔面体。

違う。

【仮面】だ。僕のもう1つの顔。僕の知らない、もう1人の本心。

ページをめくる。

『じゃあ、始めよう』

瞼が開いた。僕の声が聞こえた。

『僕にとって魔法ってなに?』

分からない。

けど、絶対的な力があるもの

全てを覆せる、圧倒的な力

『僕にとって魔法はどんなもの?』

もの?

想像するとすれば、それは炎だ

魔法と聞けば真っ先に思い浮かぶのは炎。

強くて、猛々しく、熱い。

『魔法に何を求めるの?』

より強く、あの人のもとへ。

より速く、あの人のもとへ。

『それだけ?』

それ以上願うことがあるとするならば、それは...

「英雄になりたい」

全てを救う英雄に、

『子供だなぁ』

...ごめん。

『でもそれが僕だ』

そして最後に本の中の僕は微笑んだ。

 

「.....くん!.....ル君!」

あれ...?神様?

「ベル君!」

次の瞬間、僕は目を覚ました。

「あっ!神様!」

「ああ、そうだよ?どうしたんだい、寝るなら机じゃなくてもっとマシなところで寝ればいいのに」

「そうします...」

 

「そうだ、ベル君。寝る前に【ステイタス】を更新しちゃおう」

シャワーを浴びてから、ベッドに向かう

以前と比べると更新頻度は高くなっている。

「どうですか?神様?」

「ん〜、ん?...むう!」

「『耐久』とかを除くとどの基本アビリティはSに近くなってきてるよ」

「そうなんですか?」

「相変わらず凄い成長速度だね、ベル君はほんとにすご...い...」

と言いかけて、神様の言葉が止まった。

「...魔法」

「えっ?」

「魔法が、発現した」

ん?

「えええええ!!!」

 




サブタイトル、全然思いつかないので番号にしますごめんなさい...
あと、ステイタスの詳細は1話にあるのでもしわからなければ参照してください...

そろそろアイズ出したいなぁ...
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