剣と剣がぶつかり合い、火花を散らす。
大神殿に築かれた巨大な舞台場にて、男女二人の騎士が、互いに思いを刃に乗せ、白熱した戦を繰り広げていた。
「ハァッッ!!!」
裂帛の気合を込めた女騎士の突きを、幅広の剣でいなして、回転させた剣の柄頭を肩に向け叩き込む男騎士。
それを身を引いて半身になり躱した女騎士は、そのままバックステップで距離をとる。
「―――迷いのない、いい太刀筋だ」
「其方こそ」
互いに距離をじりじりと詰めながら、視線を合わせ、ニヤリと微笑み合った。
―――異世界『オークレィ』 この世界ではいまだに剣と魔法が世界を席巻し、魔物たちが跳梁跋扈している。
―――だが今回その辺はほぼ関係ないので割愛する!!
女性を優遇し、女性上位の階級制度を敷く女傑の国「アルマズ」そして、男尊女卑のしきたりを受け継ぎ続け、男性上位の政治形態を持つ漢の国「シィャ」。
二つの国は元々一つの大きな国だったが、宗教的な問題で分割、上記の二国になっている。
しかし、このままでは子種が残せない。故に、神の教えの名のもとに公平に儀式を行い主導を決める戦い。というものを成人の儀式とした。
――――のだったが、コレに宗教が絡んだ結果非常に面倒くさいことになってしまった。
現在はこの1対1の剣戟試合は、こう呼ばれていた。
互いの「魂」を照らし合わせ競い「合」う儀式 すなわち『合魂の儀』と……
「――――――アルマズ騎士団騎士団長……ユミル!!」
「俺はシィャの王国第9師団正騎士、ガリウスだ」
互いに名乗り合い、剣を構える。じりじりと詰まっていた距離は互いの剣の間合いに触れる手前でピタリと止まる。
――――――先に動いたのはどちらだったか……?
「―――ふっ!!」
上段からの唐竹割り、それを剣の峰で受け、滑らせるガリウス。身体を捻り回転しながら胴を抜く勢いで振りぬく。
「――――甘いッッ!!」
地を蹴り側転の勢いで攻撃を躱し、オーバーヘッドキックの様に顔面を蹴り上げるユミル。
その蹴りを、スウェーバックの様に上体を反らして躱して、そのままの勢いでとんぼを切って後方に跳ぶガリウス。
「―――趣味は身体を動かすことだ!」
「良い趣味だ。ともに身体を動かせれば楽しいかもしれん!」
刃を重ねながら言葉を交わし合う。互いに当たればただでは済まない状況下で、それでもにこやかに笑い合う。
余裕の無さは頬を伝う汗でわかるほどだというのにだ。
「――――儀式を終えて大人となったら―――――ッ!!子を為したい!!」
「素晴らしい夢だ!俺は道半ばだが……騎士団長になったら、所帯も良いモノかも、知れない……なっ!!」
逆袈裟の剣閃が切り上げの銀光と交錯し、火花を散らす。甲高い音とともに弾かれた刃の勢いをそのまま身を捻る勢いに乗せ互いに逆方向にコマのように回転し、横凪ぎの一撃が激突する。
力比べにシフトし、鍔迫り合いに移る。
ギリギリと音を立てる刃を挟み、顔を近づけ視線を合わせ押し合う二人。両足に気勢を載せ踏ん張る足が地面をへこませるほどの力を込め合い、互いに押し込まんとする。
「―――――この時がまだまだ続けばいいなって―――」
「―――ああ、同感だ!!だが……そろそろおしまいのようだ!!」
均衡を崩し身を引くガリウスに引き込まれ、ユミルが前につんのめった。
剣から手を放し、片手でユミルの腕を曳き更に引っ張り込むと同時に、逆手で下から掬いあげるように―――
――――――――お姫様抱っこに移行する。
「――――抵抗の余地を奪った。俺の勝ちだ」
「―――ああ、仕様がない。これは、仕様がないな!!」
細かい切り傷を刻み合った剣戟の余韻で少々ハイになったまま、快活に笑い合う二人。
「神よご照覧あったか!?我らの剣にて御前に奉じまする!!」
高らかに宣言してそのままの格好で神事の台座から降りたガリウスは、そのまま逃げ道を塞ぐようにユミルの顔を覗き込み
「―――さっきはああいったが、俺は今この場で所帯を持ちたい相手と言うのを見つけたようだ」
「――――――――それは仕様がないな!!」
口づけを交わし、二人は神に誓い恋人となった。
神の座に奉じる剣舞にて、魂を響かせ合った二人は互いに認め合い、恋人となることが多いという。
そうして、いつしかこの合魂の儀式は、「神の前にて、魂を活かし愛を生むもの」略して「魂活の儀」と呼ばれるようになった――――。
同時に、剣に生き続けて婚期を逃した者たちの最期の水際となっている……かもしれない。
私は一体何を考えていてこんなネタが浮かんだのだろうか?