カリンは、激怒していた。
特別な日の為に買った高級ショーツは、見るも無残な姿だ。
領主の娘とはいえ、贅沢できる立場ではないのに
鼻血を流し倒れている兵士たちを『キッ』と
回復したのは3割程度。もう一本取り出し口に
△△
場所は変わり、パトリックの野営地よりさらに南下した結界路付近に、トパンから逃げ出したゴブリン将軍がいた。
本当に偶然だった。小腹が空いたので何か持ってこようと地上へ顔を出したその時、風景の違いと血の臭いに気づいた。
警戒色を強めた将軍は、息を殺し周囲を観察。
飼育穴の近くに、見知らぬ女を発見した。通常なら、しめしめとすぐに襲いかかる場面だ。しかし動けなかった。本能が危険信号を発し『襲え!』よりも『逃げろ!』と叫んだ。
その声に従い、
落ち着きを取り戻した将軍は、パトリックの野営地に潜入させていた仲間の事を思い出した。1人では寂しかったのか、将軍は野営地へ向かい歩きだした。
到着した将軍は、結界路の外に仲間の死体を発見した。もう、何が何やら。
――もしかして追い詰められているのか?
恐れ
本来ならば、隠れる必要もビクビクする必要もない。将軍は、ファイヤーイグナスを1体で倒せるほど実力があり、王国兵士の馬力を1とするなら100馬力は余裕であるのだ
それなのに何故だろうか。将軍の脳裏には村で見た女性、アスモデウスの姿があったのだ。こう見えて意外と臆病だった。しかしそれが、長生きして将軍まで上り詰めた秘訣でもあった。
クンクン、クンクン。
ゴブリンの嗅覚は、そこまで優れている訳ではない。しかし、とある匂いには
将軍は花の蜜に誘われる蜂のように、荷車の中に進入を果たした。そのフェロモンの発生源を特定。舐めるように顔を近づけると、大きく鼻から息を吸い込んだ。
将軍は大興奮! アドレナリンはドバドバ。臆病者は、狂気の
匂いで理解した。この女は
△△
その頃カリンは、野営地より300mほど北上した場所をプリプリと怒りながら歩いていた。
――
のちに彼女は、1人で野営地に戻った事を後悔する事になる。なぜ彼らを放置して帰ってきたのかと……
野営地には『待ってたよ。お帰りハニー』と言いはしないが、初めて見る恐怖が待ち構えていたのだ。
到着した彼女は、簡易のベンチに座りひと休み。そこに、隠れていた黒い塊が姿を現した。
筋肉隆々とした大きな体に凶悪な面構え
「あ、えっ!?」
彼女は、初めて感じる恐怖に腰を上げることができず、唖然と見上げる事しかできなかった。
「俺はゴブリン将軍。おまえは上物、俺の子を産んでもらう」
将軍は優しく彼女を抱き抱えると、首筋に舌を
その彼女を逆さまに持ち直すと、将軍は黄金水を
その恐怖と絶望の中、温かい黄金水が彼女の体を伝い、激を飛ばした。
―― 何もせずに終わっては駄目よ!
黄金水で活力を
カリン、貞操のピンチ!
将軍は爪で器用にショーツを引っ掛けると、ピッピッと腰の部分を裂いた。
ペロン
彼女の大事な部分が、白日の元に晒されてしまった。
剥ぎ取ったショーツを口に頬張った将軍の暴れん坊は、ピピーンと暴れん坊将軍に進化を遂げた。
その
そんな些細な事よりも、このピンチを脱するため羞恥心すら力に変えた。彼女は頭の中で、丁寧に丁寧に、威力を高めるように詠唱を続けた。
―― 好きなだけ見ればいいのよ、目にもの見せてあげるわ
「アクアニーーードル!」
込めに込めた魔力を、鍛錬の成果といわんばかりに細く硬く作り上げた。それを、暴れん坊将軍に向かって放った!
これは、愚直に練習を繰り返した彼女の成果。魔力操作の『圧縮』だ! パトリシアにも言える事であるが、祝福で知られる『水の属性』のお陰で、クールタイム知らず。正に産まれながらの魔法使い、規格外である。
圧縮されたアクアニードルは、約7発分。勝手に名付けるならプレッシャーニードル! その威力は7発分を凌駕するだろう。
「ギョーーーーーーーーーーー!」
彼女の魔法と、暴れん坊将軍の攻防は
しかし、圧縮された彼女のプレッシャーニードルでも、暴れん坊将軍を貫く事はできなかった。弾き返される事はなかったが、魔力が尽きて消えてしまったのだ。
だが、その長い攻防が功を奏した! 暴れん坊将軍に激痛を与え暴れ回ったため、彼女を手放してしまったのだ。将軍は堪えきれず、股間を押さえ
ゴンッ
落下の衝撃で頭を強かに打ち付けたカリンは、集中していた油断もあって気絶してしまう。危険信号なのか、
激怒した将軍は、大きく足を振り上げた。
「ガギン!」
その時、炎賜珠から盾が出現して攻撃を防いだ。
その盾を支えるのは10本の腕。そして腕が1本、また1本とガラスが割れるように砕けて行く。
『『カリン、叫べー!!』』
4本目の腕が砕けたところで、彼女は目を覚ました。
「い、今の声はっ!? 思い出したわ」
5本目の腕が砕けた。将軍の力に抵抗する残り5本の腕にも、亀裂が走り始めていた。限界は近い。
「スマイルセーラー
残り5本の腕が同時に砕けた。将軍の足が、彼女をプチッと踏み潰すべく襲いかかった。
しかし、彼女の叫びに応えた炎賜珠から、半径1mはある不可侵シールドが発生し、逆に将軍を吹き飛ばした。
「何だこれは?」
将軍が驚いているその時、外からは見えない不可侵シールドの中の彼女は、下着を除いた衣服が全て消えていた。つまり、ショーツを取られていたので、ブラジャーだけの姿になっていた。
そして目の前には、競泳用の白い水着に似た、伸縮性抜群の薄いインナーが現れていた。まるで、身に付けろと言わんばかりに。
ブラジャーを脱ぐように外し、インナーを着こんだ。それと同時に次は、黒いミニスカートが現れた。
パッと見では黒一色のスカートに見えるが、濃い黒と薄い黒のチェック模様になっており、薄い部分にはハートマークが描かれていた。
スカートを身に着けると、濃い朱色の半
スカートの中にINするのは厳禁。お腹は、インナーで保護されているので冷える心配はない!
次に現れたのは、上着と同じ朱色のニーハイソックスとロンググローブ。
次に現れたのは、ニーハイソックスの存在を引き立てる、黒色のロングブーツ。ヒールなしのタイプだ。
ブーツの両側には、翼の飾り物が1つずつ飾られている。なんとこのブーツは、空気を地面のように蹴る事ができるのだ。
最後に現れたのは、スカートと同色同柄のワンタッチ式ネクタイ。首に近づければ、自動で襟下に装着される。
ネクタイの長さはおへその上までで、同時に装着された炎賜珠が、存在を主張するように輝いた。
『カリン少し説明するぞ。その服は
「あっ……ううん。ゼラニオンみたいに、なれたって事?」
懐かしい声だ。どうして声が聞こえるのか? それを尋ねるのは無粋というものだ。彼女はもう知っているのだ。
何はともあれ、お陰で憧れのゼラニオンに近づけた。彼女の中に、決意が生まれた。あの魔物を倒す!
『聞くんだカリン。攻撃を受けるとダメージを軽減するためMPが減る。残量には注意して戦うんだ。行け! 2代目スマイルセーラー!』
「分かったわ! 任せて」
今回は初めてなので仕方がないが、一度装着すると記録され、次回からは全て自動で装着される仕組みだ。
因みに可憐ウィッチのMPは、炎賜珠に貯められているMPで補われる。MAXは1万。そこから変身の500をマイナスした数値から始まる。残量は9500。
目を覆う程の光と共にシールドが開放、変身完了だ!
「う、うがぁー」
パチンパチンと、不可侵シールドを調べていた将軍は、目の眩みと共に、またもや吹き飛ばされた。
シュピーン!
「私はウィッチ、あなたとスイッチ。今日もにこにこ、にっこにっこにー! 私の笑顔は世界を救う、スマイルセーラー推参!」
彼女が
(身バレ防止機能。変色するしないは、自在)
「待たせたわね!」
そう言い放つ彼女に怒り心頭。その場に戻ってきた将軍は、有無も言わせぬ打ち下ろしの右パンチで襲いかかった。
それを彼女は、よんでいたかのようにジャンプで避けた。
しかし流石は将軍。空中へ逃げた彼女に対して、すぐさまアッパーカットで追撃をしかけた。だが彼女は、
「何だと?」
着地した彼女は
「スマイルソード! スマイルシールド!」
と武具を呼び出した。
左手のスマイルシールドは、直径30cmの丸いシルバーの盾だ。右手のスマイルソードは長さ80cm、シルバーの片手十字剣だ。
頭の中に、声が聞こえる。
その声に従い将軍の左フックを屈んでかわすと、右下から左上に斬った。手応えは薄いが、この剣は魔物にも通用する。
「この剣、凄いわ!」
『その剣は魔銀製、あたり前だ! それより、踏み込みが甘い』
そんな話を頭の中でしていると、将軍の拳が目の前に迫ってきた。咄嗟に盾で受けるも吹き飛ばされてしまう。
空を蹴って方向転換すると、追撃に来る将軍を三角蹴りの要領でトントンと空を蹴ってかわし、死角から二の腕を斬りつけた。
「手応えあり!」
『その前の受け方が良くない。体格の差を考えて流せ』
「懐かしいわ……そう言えば、いつも怒られていたっけ」
『それだけ心配だったんだよ』
「
将軍は、彼女の立体的な動きに
将軍は力をためると大きくジャンプ。着地の反動で周囲の地面を大きく揺らしてみせた。攻撃に身構えていた彼女は、思いもよらず一瞬だけバランスを崩してしまった。
ドンッ!
将軍は着地と同時にひざをバネのように使い、ロケットダッシュからのラリアット攻撃!
バランスを崩した彼女は、避けられないのを察知。盾でガードするべく構えるが
『カリン跳べ、力を抜いて流せ』
当たる寸前、盾を斜めに傾け軽くジャンプして力を抜くと、将軍ラリアットは盾を滑った。彼女の体は、落ちる木の葉のように風圧で舞い上がると、するりと攻撃を避けた。
「危なかったわ」
『油断するな! だが、上手くやったな』
避けられた将軍は、ちょこまかと動くカリンにイライラが爆発。腹いせのように、そのまま荷車へ突撃。
荷車はあっさり大破、兵士の武器や荷物がそこらじゅうに散乱した。
「あなたの相手はこっちよ。物に当たるなんて……好都合だったわ」
そんな彼女の声を無視した将軍は、ニマーとしていた。将軍の得意武器である、ハンマーが目に入ったのだ。
ハンマーを手にした将軍は、落ち着きを取り戻しカリンに相対した。
「スマイルセーラー遊びの時間は終わりだ! こっからはビンビンに行くぞ」
彼女は『誰のこと?』と、ピンときてなかった。
『カリン。おまえの事だ!』
「そうだったわ」
「ふわっはっはっ、まずはあいさつ代わりだ」
将軍は、ハンマーをゴルフのように振り上げると、地面に叩きつけた。
「
ハンマーで
「
粘度の高い水の壁が出現し、打ち出された破片を防いだ。と思ったが、本来の実力を取り戻した将軍のパワーは凄まじかった。
将軍散弾の勢いは、粘度の高い水の壁で落とされたものの、一部の破片が防壁を通り抜け彼女の体を襲った。
「軽減されてこの痛み、物凄い威力だわ」
『あまりダメージを受けすぎるな、MPが持たなくなるぞ』
変身した直後は9500もあった彼女のMPは、残り5000を切っていた。
「どんどん行くぞぉ! 連続、将軍散弾!!」
将軍は大地を抉り飛ばすと、すぐ後ろに下がり次々と攻撃を繰り返した。もしここに王国兵士がいたのならば、数百人規模の犠牲者が出ていただろう。
受けてしまえば、すぐにでもMPは尽きてしまう。彼女は、素早く横に走りながら避け続けると、将軍散弾を隠れ蓑にして上空へ跳び上がった。
「スマイルロッド!」剣が、杖に変わった。スマイルロッドは、魔鉄製の杖。先端が、輪っかの形状をしていた。
「
カリンの発射した
「いっけぇー!」
それを合図に、ドドドドドドドドドドドドッ! 本体から無数のアクアボールが発射された。
「生意気な! うおおりゃゃー」
将軍は、ハンマーでボールを打ち壊して防いだ。何発か当たってはいるが、ダメージは少なそうだ。
「水魔法は、あまり効果なさそうね」
『カリン、接近戦だ。
「わかったわ、スマイルソード!」
彼女は魔法を放ち牽制。空を蹴り急降下すると、将軍の背後をとった。
「うらーー」
それを察知した将軍は、振り返りながらハンマーで強襲。彼女だって負けていない。将軍の懐へ入る、そんな前に出る行動で跳び避けると『ブシュ』横を通りすぎながら脇腹を深く抉った。
「ぐわっ!」
くるっと反転。着地と同時に地を蹴り、将軍の背中を追撃
「どわりゃりら!」
流石は将軍、脇腹のダメージなどなんのその。その場でハンマーごと体を回転させ『キィィン!』彼女の剣を弾いた。
考えがあるのか、将軍は回転を増していく。ブオンブオンからブオーンと、まるで竜巻のようだ。
『カリン、上だ!』
将軍の竜巻ハンマーは容易に近づけない。だが、真上はがら空き。彼女はタッタッタッと空中を駆け上がり、将軍の真上をとった。スマイルソードを両足で挟んで固定すると、そのままの姿勢で急速落下!
「馬鹿め!」
しっかり彼女の動きを見ていた将軍もジャンプ。回転を維持しながら体を地面と水平にした。
ガガガッ!!
回転に正面から突っ込む形になった彼女は、弾き飛ばされ地面に落下。受け身で衝撃を和らげたものの、ダメージは大きい。
「くっ……」
普通なら死んでいてもおかしくない攻撃だ。その攻撃を魔法少女衣装が、打撲程度まで軽減した。その代償は大きく、今の攻防だけで2000もの魔力を削られてしまった。
『カリン避けろ!』
ゾッとする感覚が、首筋にピリリと走った。彼女は声に従い素早く横に飛んだ。
ドゴーーン!
その直後、今まで居た場所に将軍のハンマーが、遠心力で一撃必殺の凶器になったハンマーが着弾して
「っ――!」
直撃は避けたものの、彼女は石や土と一緒に吹き飛ばされてしまった。
「うっ、あっ」
ドンドンと地面に叩きつけられながらバウンドを繰り返し、転げ回ったあとやっと止まった。
今の攻撃で、彼女の体はボロボロになった。
残りMPは1050。魔力の残量が少ないせいなのか、体中に走る激痛で涙がこぼれ落ちた。
「ガハッ、ゲホッ、ゲホッ」
口の中には、錆びた鉄の味。
それでも将軍を目で捕らえると、気合いを入れて立ち上がった。
将軍は、既に勝った気でいるのだろう。追撃もよそに、新たなハンマーを探して荷荷車を漁っていた。
「なんて強さ、なの……でも、まだよ!」
吹き飛ばされた時に手放してしまった剣と盾を目で探した。
『カリンよく聞け、私たちに残された時間は短いようだ。もう少し目に焼き付けて置きたかったが、これ以上は危険だ』
「逃げろって事? イヤよ!」
『いいや、違う。一気に決めるんだ。次はないぞ!』
「でも、どうすれば……」
『初代を超える力!
超変身とは、MPを1000消費する2段階目の変身。攻撃と防御、ステータスがさらに上昇する。
ただし、その時間は1分間と短く、別名ハートモードと言う。ハートモードは、ピンチの時ほど効果が高くなる。
そんな話をしていると、見つけたハンマーを片手に将軍がやって来た。
「ガッハッハッハ! おとなしくしていたら命だけは助けてやる。苗床でな! げぇーへっへ」
「冗談は顔だけにして! 断固、拒否するわ!」
彼女は『
ゴブリンは火に弱いのか、必死に避けた。将軍が気づくと、彼女の姿が消えていた。
「どこに行った?」
「ここよ!」
後方50mの位置に、盾と杖を持った彼女が立っていた。
魔法少女衣装のネクタイ、そしてスカートの薄黒いチェックの部分に、ハートのマークが浮かび上がり、ネクタイに付いていた炎賜珠はハートの姿に変形、それが杖の先端部分、輪っかの中心部分で回転していた。
「
彼女は、杖を将軍に向けて横に振りながら「
この魔法は、ハートモードで使う事が可能になる火の上位魔法『炎魔法』である。
炎の塊が杖の軌道に5つ現れると、塊から炎の矢が連続で発射された
ビュシュ! ビュシュ! ビュビュビュビュビュビュビュビュ
最初のうちはハンマーで何とか防げていた将軍だったが、1発当たると、面白いように次々と当たりだした。体中に炎の矢が突き刺さると、それは自然と大きな炎になり将軍は包まれてしまった。
「ぐわ~」
将軍は、両膝を着き声を上げながら、顔の火を消そうと必死にもがきだした。
「炎剣、スマイルハート!!」
杖が剣に変わった。柄の中心部に炎賜珠が見える。彼女がぐっと握る手に力を込めると、剣の大きさがふたまわり程大きくなり、剣身がピンク色に輝いた。
「行くわよ!」
剣を両手で構えた彼女は、地を蹴り火だるまの将軍へ一直線。その姿はまるで、低空飛行するツバメのようだった。
「攻め斬り! 受け斬り! ガチムチ落とし!」
右斜め
「うぎゃーー!」
将軍は、黒緑の血を吹き出しながら前のめりに崩れ落ちると、火は消えてしまいプスプスと
それと同時にハートモードは終了。彼女の変身も解けた。
『カリンよくやった。これで、さよならだな』
「みんな、ありがとう……さようなら」
『じゃあな!』
これ以降、仲間たちの声が聞こえる事はなかった。そしてこの時彼女は『火の属性』と『火魔法』を手に入れたのだった。
「まだだあー!」
将軍は、焼け
しかし体の傷は深いようで、
「うそ!? あの攻撃でも倒せないなんて……」
体力も気力も、そして魔力も尽きかけの彼女は膝を地面に着いてしまった。しかし、将軍からは決して目を離さなかった。
―― まだよ、まだ終わってないのよ。立ちなさいカリン・レットイル!
彼女は、自分を
「スマイルセーラー。ここまで追い詰められるとは思いもしなかった。だが、これならどうだ? 虫達よ今こそ力を!」
将軍の叫びに、虫達が応える。
潰れた目や体の傷が塞がると、将軍の体に黒と青のゼブラ模様が浮かび上がった。力が、力が
「う、うそ……」
みるみる活力を取り戻していく将軍を目にして、鼓舞した気持ちが折れそうになる
「がっはっは。これぞ、トパンの村で得た新たな力! ゴブリン将軍ゼブラだぁ!」
ケガも癒え以前より力を増した将軍ゼブラは、一瞬で距離を詰め彼女の首に腕を伸ばした。
絶体絶命、万事休す。
そんな状況下でも彼女は、目を逸らす事はなかった。
ベキッ。
圧倒的な力の差で掴まれた首から、ハッキリと骨の折れる音がした。