※この作品はR-18です。

異世界生活 冒険譚~   作:すったふ

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王都へ

 

 

 

 王都にある地下施設。そこに転移門専用の大きな部屋というか空間がある。副領主ヨーシンと共に陽二がその施設にある転移門へ登場すると、ひとりの女性が待っていた。

 

「ヨーシン殿、お待ちしておりましたわ」

「これはカリン様。お久しぶりです」

 

 その女性は、身長160センチくらいの細身で色白。腰まである長い黒髪が特徴的な女性。しかし幼さも残っており、陽二の目から見ても十代後半に思えた。そして、今まで目にした女性の中でも、間違いなくトップ5に躍り出るであろう美しさだった。

 

 しかしながら。それよりも陽二が注目した点は、着ている服装。水色を基調とした、どこぞのアイドルが着ていそうなセーラー服で、布地に厚みがあるのか薄くヒラヒラとした感じは全くしない。その代わり、着ている人物も相まってどこか神秘的モノに感じた。

 

 そんな服装に目を奪われていると、陽二の不躾な目が気に触ったのか『ん、んん!』と女性は咳払い。

 

 ――失礼だったか?

 

 すぐさま女性の顔に目を移す陽二。初っ端からやらかしてしまったらしい。

 

「初めまして異世界人様。本日から、あなたのお世話係りに任命されたましたカリン=レットイルですわ。お名前を伺ってもよろしいかしら?」

 

 目を向けた陽二に自己紹介を済ませたカリンは、まぶしい笑顔と共に握手を求めてきた。早くもボディタッチのチャンス到来か?

 

「初めましてカリン様。中山陽二と申します、陽二とお呼び下さい。以後、お見知り置きお願いします。とてもすてきな方でしたので、思わず目を奪われてしまいました」

「ふふ、ありがとうございます。お上手な方ですわね。私の事はカリンで結構ですわ。陽二様、分からない事がありましたら、何でもおっしゃってくださいね? よろしくお願いしますわ」

 

 飛び付くように握手をした陽二は『様』付けで呼ばれた事もあってか、口から思うままに自己紹介をした。あとから思い出したら赤面必死だろう。

 

 しかし慣れているのか、カリンは軽く返す。

 

「それでは私は、大臣に報告しに行きますので、陽二君をお願いしますよ」

「わかりましたわヨーシン殿。では陽二様、私について来てくださるかしら?」

 

 と、カリンは陽二の手を引いてきた

 

「ヨーシンさんありがとうございました」

「それじゃあの」

 

 陽二はヨーシンにお礼をして、カリンと一緒に歩きだした。

 

 

 *

 

 

 転移門の部屋を出て、カリンに手を引かれながら石造りの階段を上ると、カーペットが敷いてある廊下まで出た。

 廊下には等間隔に花瓶が置かれ、壁には剣やオノが飾られていた。窓の外には中庭があり、木や花などの植物が見える。高さから3階くらいだろう。

 反対側にはドアが等間隔で並んでおり、ドアには文字が書いてあるが、陽二には読めなかった。

 

 その道中、カリンに服装のことを尋ねる。

 

「その服、学校の制服ですか?」

「違いますわ。私の家にこの服と似たデザインの服がありまして、それを元に作られた特別な服なんですわ」

 

「そう、なんですか……とても似合っていますよ」

「ありがとうございます。あら? 先ほど目を奪われていたのは、私じゃなくて服の事だったのかしら?」

 

「正直、両方です」

 

 ――まあ、見知っている制服と似ているからって、どうでもいい事か……

 

 

「こちらが、お部屋になります」

 

 部屋には高価なダブルサイズのベッドと、丸テーブルに椅子が2脚。風呂トイレなしのシンプルなワンルームで、窓の外には兵士が訓練する広場や町の風景が見える。

 

 陽二は部屋に入り軽く見回すと、あらためて自己紹介をして『様』付けは勘弁してほしいとカリンに頼む。するとカリンは快く了承してくれて、普段の口調で話すことになった。

 

 カリン=レットイル17歳。

 王都から北にある町、ソラマン領主の娘。

 王都には魔法の勉強に来ていて、お客の世話役も大切な勉強とのこと。

 

 カリンの事を聞きながら、メイドさんが運んでくれたお昼ご飯を一緒に食べる。メニューはパンとサラダとスープ。

 

「次は、今後の予定を説明するわね」

「うん、よろしく」

 

 カリンは紅茶をすすり、口を潤(うるお)す

 

「まず最初は謁見(えっけん)かしら、謁見は今日の16時からよ」

「謁見って作法とかあるのかな? 何も分からないんだけど」

 

「なんとも言えないけど、陽二の謁見は会議室で行うらしいわね。先に入室して、王が許可を出されるまでは口を開かずに、質問にだけ答えればいいんじゃない」

「分かった」

 

「そのあとは自由よ、王宮を案内してあげるわ」

「頼むよ」

 

「明日なんだけど……午前中は各室長とのお話。この部屋に来てくださるから、待っていればいいわ。午後からは自由時間になるわね。私と一緒なら王宮の外に出てもいいわよ」

「それなら、町を見てみたいな」

 

「一緒ならいいわよ?」

「デート!?」

「ち、違うわ。何を言ってるのかしら、あくまで世話係としてよ」

「ですよねー」

「へぇ~、ずいぶん雰囲気が変わったじゃない」

「お互いさまじゃない?」 

「そうね。そう言えば陽二って、歳はいくつなの?」

「よ……17歳だ」

 

 ――あぶねぇ、今は17歳だった。別にアレコレ狙ってるわけでもない事はないけど……年上に見られてかしこまられても面倒だしねぇ

 

「同い歳なのね。良いお友だちになれそうだわ、よろしくね!」

 

 そう言って笑う彼女は、キャラでも作っていたのか初めて見た印象とは違い、きれいなんだけど、とてもかわいらしい少女に見えた。

 

「もちろん。こちらこそよろしく」

 

 早速お友だちをゲットした陽二。それも、こんなにかわいい女性である。テンションは爆上がりだ。

 そこで、カリンが何を勉強しているのか思い出した

 

「カリンは魔法を習ってるんだよね?」

「そうよ、私は水魔法が使えるわ」

「おお! 見せてもらってもいい?」

「いいわよ。何にしようかしら?」

 

 カリンは立ち上がり、窓に向いて指を伸ばすと、なにやら聞き取れない言語で呟(つぶや)いた。

 

「****.*****.******水の攻撃(アクアニードル)!」

 

 すると、右手人差し指から10センチ程の細長い水の塊が『ブシュッ』と音を立て、ものすごい勢いで窓の外に飛んでいった。

 

 ―― ほとんど見えなかった……

 

「今のすごいね。アクアニードル?」

「そう、水系レベル1の攻撃魔法よ」

 

 ―― どうして水が出るのか、その原理は全く理解できないけど、殺傷力高そうだな……すごいな魔法かぁ……ん?

 

「そう言えば『イガネオ』も魔法なんだよね?」

「勇者からの贈り物(ギフト)のことね。ギフトは誰でも使える魔法で、勇者が作ったと言われているわ。この魔法の登場で、人の生活が向上したとも言えるわね。他にも魔道具や魔弾砲(パレット)も有名ね」

 

「パレット?」

「魔法が使えない人でも魔法が撃てる道具よ。あらかじめ魔法をこめた弾、魔弾(まだん)って言うんだけど……それを装填して撃つのよ」

 

「いいな、それ欲しい」

「魔弾砲(パレット)も魔弾もとても高価で、手にいれるのは難しいわ。王国兵士なら話は別なんだけどね。でもスノームに行く機会があれば、お店にたくさん置いてあるから見ることは簡単よ。見るだけならタダだしね」

 

 なるほど、機会があれば見に行こう

 

「スノームってどこにあるの?」

「王都から北東にあるわ、魔車ですぐよ」

「魔車?」

「馬の代わりに魔力で動く荷車のことよ、馬車の3倍のスピードで走るからスノームなんてあっと言うまよ。その代わり慣れていない人だと大変なことになるわね……でも本当に、こちらの常識がわかっていないのね。あきれるわ……」

 

「異世界人なんだからあたり前じゃない?」

「ここに来るまで、何を見ていたのかしら?」

 

 カリンの視線が痛い。だが、分からないことがあったらその都度聞く姿勢は変えない。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ。ちなみに、教えるは一時の優越感。教えぬは一生の優越感ってのも何かの本で読んだ。

 

「最後にこの国のお金のことを教えてよ」

 

 この国のお金は4種類。いろいろな物の値段をカリンに聞いた結果、日本円に換算すると

 

 銅貨100円

 銀券1000円

 銀貨10000円

 銀貨100枚で金貨1枚、で決定した。

 

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