あれよあれよという間に話が進み、カリンとパトリシアの2人は桜を取り返すため、黒マントと
桜を人質にしている黒ローブや、ランスロットたちが居る王城要塞最上段から見える斜め下前方。その右側に書かれた円の中に、威風堂々と立っているのが黒マント2号で、対戦相手はスマイルセーラーのカリン。
左側の円の中に悠然と立つのが黒マント1号で、対戦相手はピュアセーラーのパトリシア。
勝利条件は『1度でも彼ら黒マントに攻撃を当てる』か『立っている円の中から外へ出す』のどちらかだ。
ひっくり返して言えば黒マントの2人は、わずか1mの狭い場所を1歩もはみ出す事なく、攻撃を避けなければならない。その決められた時間は10分と結構長く、普通に考えれば無理難題。達成は、極めて困難だろう。
しかも、一切の攻撃は禁止である。これでは牽制の類いもままならず、サンドバッグに近い状態だ。逆に言えば、カリンやパトリシアにとっては、またとない好条件になるだろうが。
「
カリンは真法剣で俊敏性を向上させると、その瞬発力を持って連続攻撃を仕掛けた。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッシュッシュッ。
その剣筋は、あらゆる角度を網羅する如く。もし、その剣筋の範囲に木の葉が舞い落ちれば、瞬く間に粉微塵へと変貌してしまうだろう。そんな妄想を容易く抱く、鋭い攻撃だった。
「!?」
しかしながら、その手応えは皆無。剣筋は、彼女の驚愕と共に空を切った。彼女の剣は、完全に見切られていたのだ。
「よ、余裕ねっ!」
「……」
「何か言いなさいよ!」
彼女は黒マントを褒めた訳ではなく、極わずかの尊敬。驚愕の中にそれを感じてしまったため、つい声をかけてしまった。
しかし―― 無言。
彼の表情を包み隠す黒マスクは、羽虫など相手にするだけ無駄。とでも思わせるような無表情。つまり、ガン無視。
それを高度な挑発行為と受け取ったカリンは、スピードを維持しつつ空中を蹴り、立体的な攻撃に出た。
しかし、それでも届かない。
時間は残り5分。
全く通用しない自身の剣技。それを認めざるを得ない彼女は
「そこから出られない相手に卑怯だけど、使うわよ。
黒マント2号が動ける唯一の領地。その外周をなぞるように、魔法を発動させたのだ。
近付いただけで、ゴブリンを火ダルマにする防壁。それが、全周囲を包んでいるのだ。まぎれもなくその中は、
「早く逃げなさいよ。あなた、死にたいの?」
しかし、彼女が防壁の中に問いかけるも、全く逃げ出す気配はなかった。このままでは間違いなく、ゴブリンと同様に黒マント2号も、黒焦げが末路だ。
彼女はその結果、たとえ人殺しになったとしても、手を緩める気はこれっぽっちもなかった。何故ならこの戦いは、桜を取り戻す勝負なのだ。お友だちを助けるためなら、その手を血に染める覚悟もなんのその。
「忠告はしたわ」
その言葉と同時に、炎の防壁はひとつの炎柱に姿を変え、黒マント2号を飲み込んだ。
「うそ!?」
炎の中に、飲み込まれた黒マント2号の姿が見え隠れする。その姿は相も変わらず威風堂々と、微動だにしていなかった。まるで『この程度の炎では、脅威にもならない』そう体現するように。しかし、この炎がアスモデウスの作り出した
呆然と立ち尽くす彼女の視線を受けながら、黒マント2号は時間切れまで悠々と、その場を動かなかった。まるで、焚き火で暖を取るが如く。
これでは攻撃が当たったなどと、口が裂けても言えなかった。防壁に包まれても微動だにしなかった姿を目にした瞬間、彼女の負けは確定していたのだ。
カリンの負けが決定したその時、左側の黒マント1号とパトリシアの戦いも勝敗が決していた。
△△
それは、開始直後だった。
「
黒マント1号は魔法を使い、自身を包むように黒い壁を出現させたのだ。それは、陽二の使う闇魔法『
まず
「ピュアスター!」
杖の先にある正体不明の正十二面体は、ピュアセーラーの基本攻撃であると同時に、遠近両立と利便性が高く、かなり高威力の物理攻撃だ。
『闇壁』は対魔法の盾なので、ピュアスターの敵ではない。ところが黒マント1号の『黒い壁』は、パトリシア渾身の1撃である正十二面体を、あっさり弾き返した。
そして
「
「
「
彼女が放った全ての魔法は『黒い壁』に吸い込まれるように消えてしまったのだ。
つまり『闇壁』とは異なり物理攻撃にも強く、魔法攻撃にも強かった。この性能は、アスモデウスや唯が使う『結界』に近く
「あの黒い壁って、魔法を吸収するの?」
彼女の予想通り、
「どうしよう……」
絶対などと考えたくもない。『黒い壁』にも必ず弱点が存在し、吸収できない魔法属性や、貫通しうる物理攻撃が必ず存在するはず。彼女もそう考えたが、時間は有限である。なので彼女は取りあえず『1撃――』は諦めて、もうひとつの勝利条件『円から出す』を目指す事にした。
「
『黒い壁』に魔法が吸収されるなら、足元の土を盛り上がらせて円の外に出せばいい。ところが『黒い壁』の下にある地面は、魔法が発動せず微動だにしなかった。ならばと、周囲に『土の壁』を作り出して、押し潰そうとした。しかしながら、その壁も魔法と見なされたのか、あっさり吸収される始末である。
「もうっ!」
こうなれば、やぶれかぶれである。彼女は制限時間まで、手当たり次第に試す作戦に出たのだ。
ピュアスターで「えいっ」と力いっぱい叩いた。
吸い込まれる事なく、あっさり弾かれた。しかし不思議な事に、当たった衝撃を感じる事はなかった。
次は、落ちていた石を「えいっ」と投げてみた。すると、逆再生するように跳ね返って、おでこに当たった。その結果、涙目になった。
跳ね返りは危ない。と恐怖を覚えた彼女は、きっと通用する属性があるはず。と、使える属性魔法の『水』『火』『土』『風』『氷』『嵐』を試した。案の定すべて吸収されてしまったが……
とにかく、色々試しているうちに約束の時間になってしまい、彼女の負けも決定したのだ。
△△
「まったく話にならないよ、弱すぎ」
黒ローブは、もう少し楽しませてもらえると考えていたのか、力なくうなだれたカリンとパトリシアを見ながら、彼女たちを体たらくと評価。そして、吐き捨てた。
「次は私の番だな!」
「私も妹の敵は、取らせて頂きたい」
黒ローブの言葉に『なにっ!?』と
しかしながらそれは、今ではないようだ。
「時間切れかな」
黒ローブが、
「本条流二段。紅蓮・魔神昇!」
「立花流二段。
そんな唯とアスモデウスの声が、確かに聞こえてきたのは。
すると、唯とアスモデウスを閉じ込めた2つの黒い半球に、大きなヒビがピシッと入った。と思ったら、見る見るうちにヒビは半球全体に走り回り、ガラスが割れるような音と共に崩れ落ち始めると、その中からそれぞれ影が飛び出してきた。
「くだらぬ罠なぞ仕掛けおって!」
アッパーカットみたいな姿勢で飛び出して来たのは、唯だった。それは天井まで届く勢いで、その上昇中に周囲の状況を素早く確認。天井の手前で水泳のターンのようにくるっと回転、天井を足場に蹴りつけその反動を利用すると、黒ローブの元へ急降下!
「
その形相は、まさに鬼。その表情をたまたま目にしたカリンは、チビリそうになった。とのちに語る。
「この魔法陣は知っています。あなたはマモンですね!」
拳を突き出したままの体勢で、半球の側面から飛び出して来たのは、アスモデウスだ。彼女はフジヤマで、ランスロットが倒れていた周囲を入念に調査しており、『闇の牢獄』の魔法陣跡を発見していたのだ。
その彼女も、瞬時に周辺の状況を理解すると、目の色が変わった。
「誰に、刃物を向けているのですかぁ!」
地面を蹴り、マモンと同じ高さまでジャンプすると、くるっと回転して、ライダーキックみたいな姿勢で突っ込んだ。
両雄ともに、脱出から攻撃体勢まで、わずか数秒の出来事だ。
それもそのはずで、2人の大切な宝物が、傷つけられようとしていたのだ。唯は産みの親として、アスモデウスは育ての親として、その行為を絶対に、許す訳にはいかないのだ。
「
だが、アスモデウスに正体を見破られた黒ローブ。マモンもしたたかである。彼は、素早くスキルを発動させる。
この『同志時間』は、使用者と仲間の時間を、数秒間だけ引き伸ばす効果がある。さらに詳しく説明すると、一切の負荷なく高速で行動できるようになるのだ。
そして念のため、人質である桜の身を『瞬間移動』で隠したのだ。
その間にも両雄の距離は、マモンへと猛烈な速度で近づいていた。そして、攻撃の間合いに入った。
その時、信じられない現象が起こる。
攻撃の間合いに入った瞬間、2人の体が嘘のようにピタッと停止したのだ。ただし、この現象を理解しているのは本人のみで、他人に理解できる代物ではない。
これは、マモンの攻撃なのだろうか? いいや違う。
実は、ピタッと停止したと思われる2人だが、攻撃に関する部位だけは、今までよりも力強く迅速に動いていた。
これぞ魔技の真骨頂とも呼べる普通ではありえないモノで、マモンへ向かうのに使っていた全身のエネルギーを、最低限だけ残し攻撃する力に加算しているのだ。これにはニュートン先生も運動の法則さんも、全力でツッコミを入れるだろう。
残念ながらこの方法は、『真の入り口と言われる初段』にすら届いていない桜やランスロットでは、使う事はできない。
「本条流初段。紅蓮!」
唯の鋭い手刀が、マモンの頭部を貫いた。
「立花流弐段。
アスモデウスの黒い雷を
ところがマモンは、2人の攻撃を受けたのにもかかわらず、
「!?」
「!?」
一瞬2人は驚いたものの、すぐにカラクリだと気づいた。と、その時『同志時間』で接近していた黒マントたちが、不意打ちを仕掛けてきたのだ。
「死ねえ。
唯の背中を、黒マント2号の黒剣が強襲する。
「甘いのう。
左肘を後ろに振り抜く力を利用して、体を反転させた唯は、両腕に巻き付くように出現させた『迷迭香』で、黒マント2号の黒剣を受け止めた。
この
「からの蹴りじゃ!」
ズシュ!
反転させた反動を回し蹴りにつなげていた唯は、黒マント2号の脇腹に、ピンヒールの先端を突き刺したのだ。
「ぐはっ。ま、まじかよ。こっちは『同志時間』を使っているのに」
その言葉を残すと、黒マント2号の姿はスウッと消えてしまった。
そして、もう片方の黒マント1号は
「あなたが、1番の危険人物だそうです」
アスモデウスを真上から襲った彼は、左手に瓶を持っていた。
「
超至近距離の彼の手の平から、パトリシアを完封した『黒い壁』が現れた。壁と呼ぶよりも闇と説明すべきか。もし、その闇に飲み込まれてしまえば、身体にどのような影響があるのか。当然、ただでは済まされないだろう。
なので、彼女は遠慮するのだ。
「
この『
アスモデウスは、超至近距離からの攻撃に
「同志時間に対応できるのですか?」
暗黒魔術が反射された!? その驚きを隠すように黒マント1号は、問い掛けに乗じて瓶を投げつけようとするも
「
それよりも先に放たれた黒い雷により、瓶ごと手を貫かれてしまった。
「こ、このっ化け物めっ!」
破壊された瓶ごと暗黒魔術で包んだ黒マント1号は、そんな捨てゼリフを残し姿を消したのだ。
この2人の攻防も、わずか1秒の出来事だった。
△△
突然、目の前からマモンが消え去ると、変わるように姿を現わしたのは、唯とアスモデウスだった。
それに驚いたランスロットとパトリックは、今、何が起こったのか半分も理解できていなかった。
とは言え『闇の牢獄』からの脱出と再会を喜んだり、今の戦闘云々を、ランスロットたちに説明している余裕はない。唯は具現化武器を解除しつつ、消え去ったマモンの行方を慎重に探り始めた。
「ランスちゃん、黒ローブの正体はマモンです。カリンさんもパトリシアさんも、すぐにこちらへ戻ってください!」
見事な役割分担である。桜の捜索を取りあえず唯に任せたアスモデウスは、テキパキと指示を飛ばす。その声を耳にしたカリンとパトリシアは、急いで戻り出した。
―― あいつがマモンなのか……でもなぜ、私の事を知っているのだ?
黒ローブの正体を知ったランスロットが、疑問を抱いてしまうのは自然の事だろう。だが今は、そんな悠長に考え事をしている場合ではない。
その姿に気づいたアスモデウスは、尻を叩くように声をかける。
「ランスちゃん、桜ちゃんが捕まっているのですよ。それと、マモンや黒マントの実力は未知数なので、弱体化は解除。そして、できる限りの強化です」
「わ、分かった」
「おったぞ」
唯が、崩落した通路の前にマモンの姿を発見した。しかし、黒マントたちや桜の姿はなかった。
「桜は、どこじゃあぁ!」
唯はそう叫びながら、王城要塞が陥没する勢いで飛び出した。少し遅れて、アスモデウスも後を追う。
「ま、待てアスモ!」
呼び掛けるも、飛び出したアスモデウスを、止める事はできなかった。ランスロットもマモンの姿は確認しているし、黒マントたちの姿が見えない事も確認済みだ。なので尚更、アスモデウスを止めたかったのだが、戦力的に。
しかし、戻れと呼び掛ける最中に、スキを突かれては身も蓋もなくなる。
ランスロットは、アスモデウスが戻ってくるのを期待しつつ、ナーナを下ろし最大の警戒体制を持って、カリンとパトリシアの到着を待つ
△△
「そこで止まれ。あの女の子が、どうなってもいいのかい?」
マモンは怒り迫って来る唯へ、そんな言葉を投げかけた。当然アスモデウスにも聞こえており、2人はその場で緊急停止。
桜の行方は不明なので、マモンの言葉を無視する訳にはいかないのだ。
そんなマモンの言葉と同時だった。カリンとパトリシアが最上段まで戻ったのは。そしてその直後、背後に黒マントが現れたのは。
「暗黒魔術!」
「暗黒魔剣!」
弱い者から先に狙う方策なのか、黒マントたちの
だが、ランスロットも警戒を怠ってはいなかった。
乙女大剣を、地面すれすれの下向きに構えたまま飛び出し
ギィィーン!
カリンと黒マント2号の間に乙女大剣を振り上げ、暗黒魔剣を見事に防いでみせたのだ。
「私の名はランスロット。私の目が黒いうちは、好きにはさせん!」
黒マント2号は、内心で驚愕を覚えたものの、弾かれた黒剣の勢いを利用してそのまま後ろに回転。
青い瞳のランスロットも負けてはいない。柄を持ち上げ、乙女大剣を縦に構えて足でおさえると、剣腹で受け止めた。
ギィィーン! 先ほどより鈍い金属音がした。
そして黒マント2号は、またもや驚愕する。それもそのはずで、彼の思惑では、ランスロットは黒剣の
ギギッ、ギギギッ
そのまま
「我が
「私は、そのような言い方をしていない!」
体勢を整えスマイルソードを構えたカリンは、心の中で『どっちでもいいわ!』とツッコンでいた。
△△
「
その反対側のパトリシアを守ったのは、正真正銘お兄様のパトリックだ。
その間に無事、パトリシアはパトリックの隣に辿り着いた。
「
さらに、囲った『城の壁』で挟み潰す。
しかし挟まれるその前に、囲まれた『城の壁』に暗黒魔術が通用しないと理解した黒マント1号は、瓶を投げつけ穴を開けると『
しかし、無傷で脱出したはずの黒マント1号は、
「なぜ、暗黒魔術が
パトリシアを背中に
「私の名はパトリック。勇者だ!」
「勇者ですって? ふっバカバカしい」
パトリックを鼻で笑った黒マント1号は、手に持った瓶を見つめながら呟く。
論より証拠。
「ならば、勇者の力をお見せしよう。
△△
―― 飛び出したのは失敗でした……
後悔後先に立たず。アスモデウスは少しずつ後ずさりしながら、王城要塞へ戻るチャンスを狙っていたが、その動きを見抜いたマモンに
「あちらの戦いに、手出しをしては駄目だよ?」
と、その場で動けない状態の唯の隣へ呼び戻された。
―― 困りましたね……
「マモン。桜をどこにやったのじゃ? うぬはタダで済むと思うでないぞ」
唯は、今にも噛みつきそうだ。
ともあれ、2人ともマモンと直接向かい合うのは、これが初めてだ。しかしながら、豊の中に居たマモンは、この2人の事をよく知っているのだ。
なので唯に対しても、見下した態度が取れる。
「魔王ユリシーズ
マモンにとっての唯とは、かつて簡単に1撃を浴びせた事のある相手なので、格下も格下。負ける気など微塵もなかった。あの日逃げ延びた先で、とっくの昔に朽ち果てたと思っていて、彼女の姿を見るまで、忘れていた程度の存在なのだ。
長い年月を経て再び目の前に現れた事に、少しの疑問を感じない事もないが、それだけの事だ。
なので、勝てない相手はアスモデウスだけ。と考えて警戒していたが、先程の攻撃で実力の底は見えた。
限界突破でレベルを上げまくった自分と比べると――
『この程度の強さに、何を怯えていたのか』と笑えてしまう。いつの間にか、追い越して突き放してしまったようだ。
「くっくっく。僕は、強くなりすぎたようだ!」
ゼラゴールドの姿が一瞬だけ頭に過るが、あの時は不覚を取っただけで、たまたまだ。次戦えば、確実に勝てる。
そう思っていた。
そんな彼の目の前に居る唯は、昔の名前を気安く呼ばれた挙げ句、モゴモゴ呟くマモンにイラッとしていた。
「桜と司はどこじゃ? 司が生きておるのは分かっておるんじゃ。キリキリ
今にも
「桜ちゃんはどこですか? 早く返すのが身のためです」
マモンは、そんな格下2人の必死さに、笑いが込み上げる。
―― でも、なぜだ? 豊じゃあるまいし、どうしてあの少女ひとりに、ここまで必死になれる? 何かあるな……
実は
―― 少し、揺さぶってみるか
「確かにユリシーズの言う通り、司くんは、生きてるかもしれない。教えて欲しいかい?」
「あたり前じゃ」
マモンには、他にも訊ねるべき事がてんこ盛りなのだが、やっぱり1番知りたいのは、愛する司の事一択である。唯は、前のめりになりそうな自分を抑えながら、あくまで淡々と、マモンに言葉を返した。
「それじゃあ教える代わりに、君たち2人で戦ってみてよ」
バカにしているのか、マモンは笑いながら言う。
「そんな、できません」
アスモデウスはそう呟くが、唯は違うようだ。
「ふむ、確かに。本条と立花の魔技、どちらが上なのかハッキリさせておくのは悪くない。まあ、本条流じゃがのぉ」
唯は、あえてアスモデウスを
「唯。こんな時に何を言っているのですか。桜ちゃんが捕まっているのですよ……ですが、立花が上に決まっています」
コクッと唯は
「マモン。
「そんな事? ふーんいいよー。まあ、僕より弱い物同士、頑張ってね」
ひょんな事から始まってしまった流派の争い。
果たして、勝つのはどっちなのか