食っても食っても食い足りない……
殺しても殺しても殺し足りない。
犯しても犯されても足りない。
満たされない欲に焦がれながら放浪し続ける。
そのことにはもう慣れてしまった。
盗賊を見つけては痛めつけて犯し、難民を見つけたら殺して喰らい。
はぐれ人形を見つければ武器をスクラップにしてから細かく刻んで。
そうすること何ヶ月過ぎたことかしら?
もうこの身体に押し込まれ自由を謳歌させてもらって……随分と慣れたもの。
うっかり捕まって改造された時はどうなるかと思ったけれど……
その後の搬入先がバカで助かったわぁ……
「クヒッ……キヒヒヒッ……♪」
今でも思い出すだけで笑えてくる。
数多くあるS09地区の基地の一つに押し込められた。
そこで飼い殺しになるかと思えば……その指揮官が大馬鹿で……
新しい戦力としてもう調教されたものと思ったのかリミッターを解除したのよねぇ
おかげで私はハッキングを食らう前のフルパワー。
特に相手に左右されずいくらでも暴力を振るえるようになった。
それから即座にその基地は壊滅に追い込み脱走した。
「でも……なにで満たされるのか……わからないままねぇ……」
脳裏に時折よぎるのは輸送中に見た小さな子どもと母親らしき人間が微笑み合う光景。
それに憧れを抱いているのか、それとも破壊したいのか。
それは私の中でも全く思い浮かばない、わからない。
半分ほど満ちてはすぐ乾き、また次を求める。
血飛沫を浴びれば啜り舐め取り……あまりに臭いがつけば水に浸る。
血の匂いが強くなればなるほど人からは怪しまれる。
そして……
「きたきたぁ♪」
この汚染地域においては強い血の匂いはヤツらを呼び寄せる。
生物のようで生物ではない。かなり頑丈なサンドバッグ。
名前はE.L.I.D……私の原動力の一端を取り込んで崩落した者のなれはて。
私の動力炉はまだ不完全な物でピークパワーがそこまで出ない……らしいわ。
現在のI.O.Pの一部でまだ研究されているらしいけど……
まぁそんな不完全なモノでも十分過ぎるくらいの破壊力を生み出せる。
それに、私にはこの身体だけじゃない、もっと破壊力をもたらすヘレボルス
クリスマスローズの名を冠する強化パックがある。
「さぁ来なさいよぉ!!!クヒッ♪アーッハッハッハッハ!!!!!」
表皮は固く硬化し鱗状になった大型の化け物が突っ込んでくる。
他の雑多な化け物を弾き飛ばしながら新鮮な肉がお望みなら私はご馳走に見えるでしょうねぇ。
ヘレボルスを変形させて両腕に装着。
機能はただ頑丈でパワーアシストのあるガントレット。
純粋な暴力で屠るのが一番なのよぉ……特にこんなナマモノ相手なら。
火炎放射やレーザーなんかは反応が楽しい人間に限るわぁ
ありもしない救いを求めて譫言を漏らす様は滑稽極まるのよぉ……
その点コイツら化け物は一切それっぽい反応は見せない。
最初から最後までこっちを殺そうとする意思しかみせない。
抵抗できなくなっても、攻撃手段がなくなっても……それが本能であるように。
殺せば血肉の糧とする。優れた物なら取り込むだけ。
そもそもコイツらは生物としては既に破綻しているから三大欲求が成立しない。
コイツらにあるのは……純然たる食欲だけ。
眠りもしない、生殖も基本的にしない。
戦って嬲り殺しにするには手がかかるけど……長く退屈しなくていい良いサンドバッグなのよ。
「アッハハハハハハッ!!そらそらぁどうしたぁ!!!」
鋼鉄製の腕が変異した筋組織を引き裂く。
このブチブチって千切れていく感覚がたまんないわぁ……♪
「あれか、甚大な被害を撒き散らしながら汚染地域や難民キャンプ等を徘徊する……」
「通称ナイトメアですね、ドリーマー型に見えますがマイナーチェンジモデルに強化パックを装着している模様です」
「想定されるスペックはおそらく我らで運用している汎用装甲人形と並ぶでしょう……あの小ささで」
「I.O.Pからの報告書では対電子戦には脆弱性が見受けられるとのこと……そしてそのハッキングプログラムもこちらに」
「実証されているんだろうな?」
「えぇ、それに開発したのは……」
「――――なるほど、効果の程は確かだな。皆作戦開始だ」
遠くで何かが動いていたのをこの時見失っていなかったら運命は変わっていたかもしれない。
丁度E.L.I.D達を嬲り殺しにして血塗れになったところだった。
プツリと私の身体の制御が失われたのは。
首から下がまるっきり私の制御を離れて糸が切れた人形のようにへたり込む。
何事かと思ったけれども私に近づいてくる複数人の軍服の男たちが私の状況をよく示してくれた。
お目にするのは初めて、正規軍だ。
殺り合いたいけどどうも向こうはそんな気じゃないみたいだ。
「呆気ないな、これがナイトメアなどと呼ばれた人形か」
「しかし……これは……」
「E.L.I.Dがこうも蹴散らされています、スペックはかなりの物ですね」
「……あーら、覗き見ぃ?腰抜けが、どうせなら殺し合いしてからが良かったのにぃ」
私のスペックを推測してるようだけど真正面から戦わないなんてクソクソのクソね。
その手に持った銃は何だ。バケモノを撃ち殺す為にあるんでしょぉ?
殺り合いなさいよ、私を楽しませなさいよ。
「連れて行くぞ、研究機関が欲している」
「ハッ!本体は軽いな……」
「その研究機関ってどんな事してるのかしらぁ?」
楽しいことが待ってれば私は良いわよ、それで一応おとなしくしてやるわ。
気を見て殺して逃げるけどぉ♪
「知りたいか?」
「えぇ、それはもう勿論……」
「お前がどれだけ耐久力があるかのテストらしい」
「つまらなそうねぇ……」
こうして私は正規軍の研究機関に搬送された。
でもここで言っていた耐久力テスト……これがネックだった。
新たに与えられた仕事はたしかに耐久力テストの形式をとっていた。
しかし、それはドリーマー・ロマネシアの純然たる耐久力ではなく……
「ィ"あ"あ"あ"あ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」
「おら、まだまだ始まったばっかりだぞ、きっちりオレのザーメンで孕めよっ……ウッ……!!!」
ハッキングで無理やり感度を上げられた状態でどれだけ性交に耐えうるか。
そしてどれだけ早く妊娠出産させられるかのテストであった。
目的は簡単、軍はまだELIDの軍事転用を諦めては居なかった。
そう、ELIDと性行為をさせ妊娠させ、産まれた赤子の脳神経を改造、人間の手で制御出来るようにする算段だ。
問題はそれに耐えうる女性型人形のフレームは無い。
いや、数体あるにはあるがそれは別プロジェクトで使用中。
そこに転がってきたナイトメア……ドリーマー・ロマネシアという頑丈な個体。
制御不能に近いが無力化においては手段が無いわけではない。
同じくドリーマー……人類側に寝返った物が作り出したハッキングプログラムがある。
「通常であれば神経系の回路が焼ききれている所ですが……」
「素晴らしいスペックだ、感覚増幅を更に3倍かけてやれ」
身体を固定され本来の力は封印されたロマネシアは実験用にと調達された死刑囚の相手をさせられている。
耳をつんざくような叫びで喘ぎ固定具をガチャガチャと揺する。
体液が混ざり合う水音と肉と肉がぶつかり合う音が事、性行為の激しさを物語る。
しかしこれは一人目ではない。
「チッ、あのデカパイもうちっと揉んでりゃよかった」
「誰のガキが出来るか賭けるか?」
「俺達が死んだ後にしか分かんねぇだろ」
「そもそもガキがまともに産まれんのか?」
「あ"ア"あ"ア"あ"ア"!!イ"ぃイ、ギィッ……!!」
「ふぅ……なかなかいい締りだったぜ、デカパイちゃん」
「いぃんんっ……」
何人も既にロマネシアを味わった後だった。段階的に感覚を研ぎ澄まされていき……
次第に余裕もなくなり今のような叫びになっていったのだ。
パチンッと乾いた音とともにロマネシアの重量感たっぷりの胸が叩かれる。
なんてこと無い刺激すら今のロマネシアには劇物で嘗ては獰猛で底知れない殺意を見せていた瞳は
胡乱で光を失ったモノに変わり果て……
「次!」
「へへ……おい、研究員サマよぉ」
「……何かね?」
「中出しするまえにコイツの身体を好きに使うのは良いのか?」
「…………許可する、好きにしたまえ」
「ぁ……ぃや……くるなっ……ク"ル"ナァ"ッ!!」
退屈しないからと好き好んでいた性行為も過ぎれば毒。
ショックで殺されかねない快楽地獄にロマネシアの破綻した精神も音を上げていた。
初戦は人間の精神は容易く壊れ崩れてしまう。
過敏な反応をみせるロマネシアはその後も死刑囚達の特別濃厚な精液を受け続け……
実験が終わる頃には頭から爪先まで精液に塗れ微塵も反応らしいものを見せなかった。
その後、ロマネシア一週間足らずで赤子を産み落とした。
急激な発育に赤子の方が耐えきれず深刻な障害を抱えてしまっていたが生存はした。
次段階の実験も近い内に実行に移されるだろう。
因果応報……かもしれない。
「って夢を見たのよ、ママ」
「悪い本読みすぎなんじゃない?」
「……パパを襲ったのが原因かも」
「おうコラちょっと待てや」