パワポケアブノーマルss集 作:艶 紫苑
関西弁が恐らく間違ってます。広島弁とかいろいろ混ざってると思います。関西弁むずかしいです。
ルッカさんに二人をディスらせまくってしまいました。
パワプロ×和那な場面もありますのでご注意ください。
あとたぶんネタバレな部分もありますので、パワポケをまだやってない、これからやろうかなーと思ってる方はご注意を。
10主人公がちょっと悪者に見えるような書き方をしてしまいましたが、これは、ヨリを戻したという言葉をどうとるかによってあれですね。
「そんな、なんで…」
視線の先には幸せそうな夫婦の姿。
ヨリを戻したはずの彼。
別の女と新たに授かった幸福をかみしめていた。
――ウチ、だまされた?
このタイミングで。
運命、あるいは相手の方が一枚上手だったのかもしれない。
だとすれば完敗。
愕然と崩れ落ちる。
ハッピーエンドはなお遠く、どころではない。
もはや絶望的だった。
気が付けば地面に這いつくばっていた。
起き上がることもできず、指先でゆっくりと地面をなぞった。
「ウチのハッピーエンドはどこ?…ここ?」
「何をやっているのですか」
「うわっ、びっくりした…!お前はっ」
とび起き、鬼の形相でにらみつける。
「怖い顔ですねぇ。ここは番外編とでもいいましょうか?メタといいますか…まあ、特別な空間ですから、とりあえず過去の因縁は忘れてください」
「はあ!?なにわけのわからんこと言うとんねん!忘れられるわけあるか!」
いまにもとびかかろうとする鼻先に携帯機器がつきつけられる。
「ん?なにこれ?パワプロアプリ?」
画面を見ているとまるで魔法でもかけられたかのように意識が変化していく。
「あ、ウチや!ウチがおるで!紫杏もおるやん!あんたは…あれ?」
「私はいませんね。なぜでしょう?」
「そらあんた…胸に手を当てて考えてみ?あんなひどいことやらかしたやつが選ばれるわけないやん。自業自得やね」
「やかましいですよ。あなただって似たようなものでしょう。鬼のように暴れ回り、人々を傷つけ。そしてなにより私の腕を…。あのときの台詞!あの邪悪な顔!悪趣味な笑い声!私は忘れていませんよ」
「うっ、ウチも誰彼構わずボコボコにしたわけやなくてやな…。でも、反省してます…。」
「ダメですね。もっともっと反省しなさい」
「はい…。って、あんたに関しては別や!!反省しとるんはあんた以外のこと!」
「なんだと!?」
「自分がどんだけひどいことをしたか考えてみ。それに、あんたさっき言うとったよな?」
「なにをです?」
「ここは特別なあれなんやろ?過去は水に流してーな」
「ぐっ…」
画面に視線を戻す。
「なつかしいなあ。これはピュアなときのウチやな。このころにもどりたいなあ…」
「ピュア?」と、女が噴き出した。
にらみつけてもなお笑っている。
「失礼。ぷくくっ。どういう、意味です?」
「あの高校にいたのは大江和那。おどおどして、目立たないように背中を丸めて――」
「大きな体を精一杯小さく見せていたわけですね」
「やかましい!!そういう意味…もあるけどちゃうわ!!」
「はいはい。それで、いまはなんなんです?大江和那ではないんですか?」
「大江ちゃうよ。高校に入学する前と卒業した後は茨木和那――ケンカ好きで力を誇示することが好きな鬼」
「そんなごまかしが通用すると思っているのか!」
「もっとひどいことをやっとるあんたに言われなくないわ」
「確かに私も色々やりました。ですが、いまはあなたのことについて訊いているのです。幼稚な反論はいりません。さっさと説明してもらいましょうか」
「うっさいわ!説明する義理なんかないし」
「そんな答えで有権者の皆様が納得すると思いますか?」
「有権者ぁ?」
再び携帯機器をつきつけられる。
「ここにいるものたちで票を奪い合い、トップになったものはなんとイベントキャラになるのです」
「はえぇ~。すっごい。イベントキャラっていうんは?」
「こんな感じです」
「おお~。ええやん、トップっていうと…トップ10ぐらいに入ればええのかな?」
「何をバカなことを」
「ああん?」
「一位だけです。ほら、ここに書いてあるでしょう」
「はああ~。あほくさ。ウチなんかが紫杏に勝てると思えんし、その他にだって人気のありそうな人がぎょうさん。一位なんて無理に決まっとるやん…」
がくりと肩を落とす。
「有権者の皆様が納得するような説明をすればわかりませんよ。昔とは違う、昔はやんちゃをしていたけれど今は真面目にやってますアピールすればあるいは」
「なんちゅう言い方や…。ウチの荒れとった時期…そもそもウチのことを知ってくれてる人が投票者のなかにおるんかな?」
「いるでしょう。ですが、あなたの荒れた時期を知っているせいで毛嫌いしている人もいるかもしれない。そういう人たちに向けて、説明を」
「ぐぬぬ…」
しょうがないさ。戦いだったんだもの。とはいわずに真摯に説明をする。
そのへんの詳細は書けないので、パワポケ10~14あたりをプレイしてもらうとして、
「あんたらに余計な横槍入れられんかったら、いまごろ大江和那…、いや、その場合別の名字やな。彼と名字を重ねた、――和那として、しあわせに…。ふふ♪」
「楽しそうですねぇ。むなしくなりませんか?」
「だから、あんたらのせいやろ!こんな、バッドエンドまっしぐらの人生なんて、こんなぁ…ううっ…」
涙を浮かべていると女が珍しい表情を見せた。
皮肉抜きで心から憐れむような表情。
「な、なんやねん、その顔…あんたにそんな顔されるとなんか気持ち悪いわ…」
「気持ち悪いとはずいぶんな言われようですね…。私も少し丸くなったのですよ。色々と後悔もしています」
「…」
「私はあなたがどれだけ苦労したかを知っています。どれだけ辛い目にあったか、どれだけ彼のことを想っているのかも知っている。せめてもの償いとして、何も知らずに他の女としあわせそうに暮らしている彼に真実を知らせてあげましょうか」
「なっ…よけいなことすんな!!全部あんたらのせいやろ!なんべんも言わせるな!」
「私たちのせいだからこそです。私は罪を償いたい。彼だけではない、周りの人間にも真実を伝えなくては。何かの拍子にここ最近のあなたと彼の関係が明るみに出たら泥棒猫だと誤解されてしまうかもしれない」
「いやいや…」
「何も知らないくせに正義感だけは一丁前の偽善者どもに非難され、心身ともに傷つけられてしまうかもしれない!そうなる前に真相を伝えなくては!!」
「そんなんええから…」
「償いをさせてください」
「うそやろ…?頭でも打ったんか?」
困惑しつつ、やり取りを続ける。
真実をぶちまけてやると息巻く彼女をなんとか説得する。
しばらくすると女が穏やかに笑った。
「思えば彼に好意を表した女性は一人の例外をのぞいて皆、不幸になっていますね。彼は疫病神か何かでしょうか」
「お前、なんちゅうこと言うねん!あいつはそんなんやない!半分以上あんたのせいやろ!」
「他にもいるのですが、まあいいでしょう。あなたも、ミス神条も、この世界で報われなかった分、あちらの世界で幸せになれるといいですね」
「あ?」
「きっとあちらの世界の主人公が憐れなあなたたちを救済してくれますよ。投票で一位になれれば、の話ですがね」
「なんやと!?ウチらのことバカにしよってからに…。反省したんやなと思ってしんみりしたこっちがバカみたい……ん、ちょお待て、なんやこれ!?」
ほわんほわんほわん。
意識が混濁する
………
妙な映像が脳内に流れ込んでくる。
羞恥で頭が沸騰してしまいそうな喘ぎ声が鼓膜を震わせる。
ぼやけていたものが徐々にはっきりとしてくる。
「やあん♡ウチには向こうに好きな男がおるから、あかん、あかんて♡」
モデルにもなれそうな、しなやかな長身の女性が体をなまめかしくくねらせている。
――なんやこれいったい…え、これウチやん!?
彼女のとなりには見たこともない男がいた。
――腰に手ぇ回されて…ああ、あかん…
耳元に何かささやかれて、恥ずかしそうに体をくねらせている自分。
唇を奪われ、体をまさぐられている。
ちゅっちゅっと卑猥な水音、「やあん♡」ともっと淫らな喘ぎ声が淫らなハーモニーを奏でる。
ときおり耳元に愛をささやかれている。
とろけた唇を体をこすりあわせている。
おでこを触れあわせて、頬に手を添えられキスなんてことまで。
――あかん…あんなんされたら頭おかしなるで…
遠くから映画でも見ているような感じ。
どうしようもできない。
慣れた手つきで制服を脱がされていく自分を見ていることしかできない。
赤いリボンを、青いブレザーを、白いブラウスを脱がされてみずみずしい肌があらわになる。
「ああっ、でもパワプロ様もす・て・き♡このままやとウチ、惚れてまいそう♡子宮がきゅんきゅんして♡狂わされた運命からウチを救い出してくれたあんたの赤ちゃんがほしい!」
――な、なにアホなこと言うとんねん!!
スカートも下着も取り払われた。
男はそんなもの意に介していないように見えた。
嫌がるどころか、いとおしくてたまらないとばかりにキスしている。
――ウチのからだ、傷だらけやのに……
視線の先の自分も同じことをつぶやいた。
「きれいだよ」
「やあん、そんな、きれいなんかじゃないよ…こんな、みっともない…」
否定するも、男に「そんなことはない」と強く言われ、恥ずかしそうに顔を隠した。
体をくねらせ、まんざらでもなさそうに笑っている。
――どうなってんねん、完全にこの男のとりこやん…ウチか…?見た目はウチやけど…。ああ、このままやと…あかん、見てられんわ…
その気になればはねのけられるはずなのに、むしろ股を開いて男の槍にぬぷりと奥まで貫かれた。
目をそらそうとするが、槍に縫い止められている自分が気になって、ついつい視線を向けてしまう。
「んひぃっ♡あううっ♡うあああああっ♡」
ぎりぎりまで引き抜かれ、再び貫かれると断末魔のような声をあげた。
ぬぷぬぷと淫らな抜き差しがはじまる。
ぽってりと充血したひだが、いとおしむように肉槍に吸い付いているのが見えた。
男に翻弄され、開いたり閉じたりする口から絶息せんばかりの悩ましい喘ぎ声があふれだす。
じゅぷじゅぷと体を貫かれ、唇を奪われる。
舌を絡めあわせ唾液をやりとりするディープキス。
二人の体が激しく絡みあう。
見方を変えれば命のやり取りをしているかのような壮絶な光景。
正面から。後ろから。ぬぷぬぷと貫かれている。
唇だけでなく、首筋や頬、胸元。背後をとられたときには耳や首筋、背中にまで口づけされている。
ちゅっと吸い付かれるたび、傷だらけの体がびくびくと震えていた。
「うああ♡あかんっ♡そんなんされたら、おかしなる♡」
もっとおかしくなって、可愛いカズを見せて、と男はさらに激しく
獣のように絡み合い、最後は正面から。
主にお腹も乳房もさらす完全屈服した犬のような体勢で男に貫かれる。
「いくよ、カズ」
「うん、きて♡ウチも、もおっ…んぅうううっ♡」
男に熱い思いをぶつけられる。
戦いを終えた後のように二人は息を乱していた。
男にやさしく抱きしめられて、愛撫されて、自分そっくりな少女は「もお、すけべなんやから♡」と甘えた声で身を寄せる。
しばらくじゃれあって、おでこをくっつけた至近距離で見つめあう。
「ウチの夢は好きな人と結ばれて、アホほど子ども作って、――♡♡」
陶酔した表情で男に夢を語り始める。
「俺も頑張らないといけないな」などと言いながら男も優しく笑っている。
………
「――どうでしたか?しあわせな光景が見えましたよね」
「し・あ・わ・せ♡って、なんでやねん!!!」
「うるさいですね…」
「なんや今の!」
「投票で一位をとったかもしれない世界線のあなたです。どうにか記録して彼のもとへ届けましょうか」
「なんでそんなこと?」
「倦怠期を狙うのがいいでしょう。かつて好意を持っていた女が他の男にかっさらわれた事実を知り、後悔するでしょうね。」
「認めたくないけど、あいつには美人な奥さんがおるんやで?ウチなんかが他の男にかっさらわれた…かっさらわれてないな…。ええっと…、別の世界のうちがかっさらわれたところで別に――」
「人は基本的にないものねだりなのですよ。それに夫婦生活を続けていれば綺麗な面ばかりでなく嫌な面も見えてきます。そんなときに、あなたが他の男に…と知れば後悔しますよ。逃がした魚は大きかったとね」
「う~ん。そうかな~…?そもそも、そんなことして、なんかメリットあるん?」
「他人の不幸は蜜の味。彼の後悔する顔が見られてハッピーというわけです。一緒に見ますか?」
「ほんま最低やな、あんた…」
「それはさておき。あちらのあなたの方がしあわせそうでしたよね?」
「そんなわけあるか!」
「投票で一位になれば、しあわせになれますよ?」
「いまの方がしあわせ――うん、絶対に、ぜぇーったいに今の方がしあわせや!」
「強がりを」
「強がりやない!」
「ふふふっ、断言しますか」
「まあな」
「元気になりましたね。やはりあなたはそうでなくては」
「なに…?まさか、あんた…」
「しかし、あまりに予想通りの反応、つまらない反応だ。思い通りに事が進みすぎてむしろ虚しくなりますよ」
「はあ!?なにを言うとんねん!?」
「また会いましょう。片腕の借りは必ず返しますから覚悟しておいてください。ミス大江――ではなくて、ミス茨木でしたか?」
「正解!って、待たんかい!逃げるなぁ!!」
穏やかな微笑を浮かべたまま夜闇に消えていく。
「お前には言いたいことがぎょうさんあるんや!!待てコラ!!」
即座に駆け出した。
しかし、敵の姿はもうなかった。
「くそっ!」
地面を蹴っ飛ばす。
と、光が降り注いだ。
――ええ!?まさか、ヘリで攻撃!?
そんな音は聞こえない。
だが、あまりに強い光にそんなことを思ってしまう。
慌てて天を仰ぐと、涼やかな音が聞こえてきそうな丸い月が浮かんでいた。
――なんか、めまいがする…
清かな光にあてられた鬼のように。
ぐらりと視界が揺れた。
夜のとばりが崩れ落ちて闇がのしかかってくる。
………
「あああああああああああああっ!」
思わず絶叫して、体をはねあげた。
いつの間にかあたりが明るくなっている。
見知った場所、そして、
「あれ?」
「…」
「んん?」
「心配になってきてみたら…。いきなり大声をあげるなんて…鼓膜が破けるかと思ったわ」
「ええ?」
「うなされてるかと思ったら、急にだらしない顔したり、怒り出したり…」
「なんの夢見てたんやろ?なんか、めっちゃ腹の立つ夢やった気はするんやけど…あかん、思い出せんわ」
「急に倒れたって言うから心配したのよ」
「ええ!?倒れた?覚えてない…」
「あのニュースでショックを受けたんじゃない?」
「ニュース?あ、思い出した――」
「…ピンク」
「うわっ、しまった。いまのなし!忘れて」
「…もう手遅れ」
ショックで号泣するだろうと予測して二人が後ずさる。
しかし訪れたのは静寂。
「――なんの夢を見てたかも思い出した」
「夢?」
「ぶん殴りにいかな、あかんやつのことも」
「…彼のこと?」
「ははは、まさか。そっちも気になるけど、いまはええ」
「…」
「それより。そんなことより、紫杏の仇をぶん殴りにいかんとな」
笑顔を浮かべる。
悲しみを押し込め、怒りがこもり、ぐにゃぐにゃに歪んだ、今にも泣きだしそうな、ちぐはぐな表情。
それでもいちおうは笑顔。
「よくわかんないけど、無理してない?」
「心配かけてごめん。でも、もうだいじょうぶやから。さっさといくで!」
「いくって?どこに!?」
「言ったやろ。紫杏の仇――あの女をぶん殴りに行く!」
「ちょっとぉ!?」
「ううん…」
「いつまで寝ているのです?起きなさい」
「んう?ああっ、お前は!」
怒り狂ってなぐりかかろうとした鼻先にスマホをつきつけられる。
「んん?なんやこれいったい…中間発表?あ、うち16位やん…。紫杏は?もっと上?すごいな…」
「私がいうのもなんですが、彼女には一位をとり、向こうの世界でしあわせになってほしいものですね。」
「せやなぁ…って、どの口が言うとんねん!そのしんみりとした表情もやめろ!調子狂うわ!」
「せめてもの償いとして彼女の健闘を祈っているというのに、そんなことを言われるとは…」
「絶対思ってないやろ!なーんか裏があるよな?」
「ないです」
「いいや、ある!」
「ない」
「あるやろ!!」
「向こうの主人公に攻略され、箱の中から引きずり出され、発情したメス猫状態になった丸裸のミス神条の映像をどうにか記録してあの男に、なんてことは考えていませんよ」
「裏ありまくりやないか!ふざけんな!」
「あの小娘がトップをとれば、私は人気投票一位の小娘を討ち取ったものとして名を馳せることができます」
「何が名を馳せるや!悪名やろ、それ!」
「勲章ですよ。彼女がここまで人気があるとは意外でした」
「あ?」
「彼女を殺めたというのに誰も私の首を獲りに来ない。最強の男と対峙したこともありましたが、殺す価値がないとすかして私の命をとらなかった。私はあの女を殺した仇だというのに。彼らにとって、彼女の存在とはその程度のものだったようだ」
「そんな連中のことは知らんわっ!」
「だからこそ意外でした。人気投票の結果、そしてあなたの反応」
「ウチにとっては…いや、ウチらにとっては大事な存在やったんや!ウチがお前を――」
「そんなことよりも、この途中経過はどうなんでしょう?」
「うわっ!それ、やめろ!あああっ……」
スマホをつきつけられるとなぜか殺気がしぼんでいく。
メタなやりとりへ強制的にいざなわれる。
「ここから巻き返せますかね?中間発表16位の大江和那さん」
「ウチは茨木和那やって、この前言うたやろ!!」
「中途半端でどうにもいじりにくい。関西人としては致命的な順位をとってしまったのではないですか」
「ぐぬぬっ、確かにそうかも…。16位か…。あはは」」
「とまってしまった時間を再び動かすチャンスだったというのに…。落ちこみましたか?」
「まあ多少はね…って、近っ…なにジロジロ見とんねん…」
「しかし同時に、どこかほっとしたような表情だ。晴々としたとでも言いましょうか」
「そりゃウチはあんまり注目されるのは苦手やし…あんまり上にいきすぎても落ち着かんから、16位で嬉しいような…、でも、もっと上にいきたかったから残念なような…半々って感じやな」
「投票はまだ終わっていませんから何とも言えませんが、救済のチャンスがかなり厳しいものになってしまったのは確かですね。パワプロ様にもこのままでは会えなさそうだ。くやしいですよね?」
「べつに。その点に関してはなんも。別の世界の話や。ウチには関係ないもん。救済なんて必要ないし」
「またまた強がりを」
「強がりやないって」
「まるで牙を抜かれた虎ですね。ダメですよ。そんなことだから大好きな男を他の女にとられてしまうのです。もっと闘争心を見せなければ」
「なんやとゴラァ!!もういっぺん言うてみぃ!!」
「何度でも言ってあげますよ――」
「闘争心?見せたるわ!後悔すんなよ、こんダボがぁ!!投票一位にならんでもなあ!あらたな時間を動かしたるっ!ウチとあんたの戦いの始まりや!!新しい世界に旅立つ紫杏のはなむけに仇をうったるわっ!!」
「怖いですねぇ。こちらの話題はいいのですか?」
再びつきつけられたスマホ、今度はパワプロアプリではなくニュースサイトがひらかれていた。
しあわせそうな二人の写真つきのニュース。
無言で払いのけ、目の前の女をにらみつける。
「そうですか。この話題はもういいですか。はははははっ!!いいでしょう!!魔王を討ち取りしこの私が、宙ぶらりんなあなたに終止符をうってあげますよ!」
「お前っ、絶対に許さへんからな!!」
「いいですねぇ、その顔!まるで鬼のようだ!他の連中と違ってあなたはちゃんと反応してくれる。嬉しいですよ」
「やかましいわボケェッ!」
ドカッ!
「誰も彼もあなたを見ていないというのに、健気に、無駄な努力を続ける憐れな鬼っ!私が、とどめをさしてやるっ!」
バキィッ!
「なんや!全然痛くないで!口だけか!ウチが弱いものいじめしとるみたいになるやろ!全力で来んかい!!」
「なんだと!?これならどうです!!」
ボコッ!
肉と肉がぶつかり凄惨な音が響く。
殴りあい、罵りあう。
――全然痛くない!アドレナリンが出まくってるおかげやな!このまま押し切る!紫杏を殺したこの女を、――
ぶつりと場面が切り替わった。
………
「――この悪夢、まさか続き物だったとは…」
「…投票は11月26日13時59分まで」
「へえ!?リーダー!?…ちょっと待て、ひょっとしてここ最近の夢、全部あんたの仕業やないやろな」
「…まさか」
「まだ見せてないヒーローの特殊能力とか――」
問いつめようとしたところで意識が遠のき、風景が切り替わる。
「――ん、あれ、いまのも夢!?」