「ただいま……」
森の中の生き物たちを怯えさせないように慎重に、けれど熱を帯びた肉体をそのままにするわけには行かずに急いで家へと直行した。
挨拶をしながら扉を開けると、水道の蛇口が開いているのか水が流れる音がする。そちらに対して視線を向けると、長い髪を後ろでポニーテールにまとめて洗い物をしているユーフィーの姿が見える。彼女は俺の存在に気がついて、一度水を止めてこちらに笑顔でやってくる。
「おかえり、ソラ。怪我はしてない、よね?」
「ああ、大丈夫」
「私がいるんです。ただのミニオン程度では傷なんて負わせられるはずもないですよ」
抱きついて、一度キスをしてくる。触れ合った唇からはマナが送り込まれて、わずかに体の熱が治まる。その直後のユーフィーの言葉に、先ほどまで本来の神剣としての姿になっていたアリスも化身としての姿に戻りふわりとスカートを膨らませながら降り立つ。その姿にさらに笑顔になるユーフィーに、かつてのことを思い出す。
最初期のユーフィーは、両親を失った影響か本当にひどかった。自分の目の届かないところに行ったら二度と帰ってこないのではないかと怯えて、何があろうと離れないという意思表示を体全体で行なっていた。そんな彼女をなだめて、泣き疲れたところを眠らせて、その間に抹殺する。そんな流れを、気がつけば構築していた。
「ユーフィー、ごめん……」
「あ、うん。わかってるよ」
アリスに抱きついていたユーフィーだが、俺の言葉に察してくれたのか離れてくれる。
体に帯びた熱。これはエターナルとなる前からある習性で、ユーフィーもそのことは知っている。そして、詳しい内容については一切教えていないが、それを解消するにはアリスが必要であることも。
今日は三人で買い物をするために出かけることに決まっているので、放置してはどうなるのかわからないこの熱を排出するために、アリスを連れて先に一度寝室に向かう。
寝室に入ると同時、アリスを押し倒すようにしてベッドに倒れこむ。
───
呟いた言葉とともに、俺の意識が現実から離れゆく。体から乖離しているような気配すら感じる。しかし、それも当然のこと。
”干渉”。それは俺の持つ能力。永遠神剣と契約したことで得たものではない、俺自身が生まれつき持っていた能力。他者の精神に潜り込む力。どういう理屈で、どうしてこんなものを持っているのか、そんなことは一切わからないが、この能力があるからこそ、俺はアリスと契約してそれを扱うことができる。
眼を一度閉じて、そして開く。その時点で、俺の視界に映るのは木漏れ日が注ぐ部屋ではなくなっていた。
開いた瞳に映るのは、脈動する肉塊のみ。壁も、天井も、ありとあらゆる全てが汚肉へと変貌している。その最中に、たった一人だけ、アリスは普段と同じエプロンドレスを着たまま立っていた。
「アリス」
「はい……」
彼女の首肯に応じて、俺が近づく。同時に背後にはオーラフォトンが収束して、触手という形を構成する。
俺には、「天命」と契約できるだけの資質が本来なら存在しない。そこをちょっとした裏技で出し抜いているのだが、だからこそ使用の度に”治療”を行わなければならない。
彼女の精神と同調し、特殊な空間へと潜り込ませる。そこで一体化して、俺の精神を彼女に近づけ、彼女の精神を俺に近づけ、俺の一部であると認識できるようにすること、それを称して治療と呼ぶのだが。
───やることに関してはただのセックスである。
幸い、と言ってもいいことなのか、ユーフィーがアリスのことを受け入れていることが救いであり、アリスもこれを受け入れてくれていることはもはや感謝しかない。
他人から見れば、俺は二股をかけているクソ野郎でしかないわけなのだから。
「それじゃ、いつも通り、治療を始めようか」
「はい、始めちゃいましょ」
にぱっと微笑んだアリスの幼すぎる肢体に透明ながらも濁ったままの触手が絡みついていく。気がつけば、その裸体を隠していたエプロンドレスがいつの間にか消えていた。愛嬌を振りまいているアリスの姿と、その肉を取り巻く触手の汚辱にまみれた姿、それらのミスマッチが余計に彼女の今の淫靡さを醸し出している。
「ん……ぁ……」
「ん……」
触手が彼女の肌の上をいやらしく這い回る中、キスを交わす。
彼女の口内に突き入れた舌を絡めて、お互いの唾液を交換する。
晒された裸体は己のためだけに。幼いとはいえ十分に美姫と言える容貌を持った少女。彼女が経た年月を思えばこそ、そこに見た目にそぐわぬ妖艶さを醸し出していたとしても何もおかしなことはない。
本来、現実であればオーラフォトンで構成された触手は相手のマナを奪い取るためにこそ使用されるものなのだが、この世界では現実でない、精神でしかない以上肉の世界にしか存在しないマナを吸収する、なんてことは不可能。そもそも吸収できたとしても、アリスは俺と契約している永遠神剣である以上はマナをお互いの中で循環させるだけにしかならない。
だから、俺が奪ったのはマナではなく存在力と呼ばれる力。名前の通り、彼女の存在を構成する力。それを己の中に奪い取り、己のものと溶け合わせ、己が
手を握る、キスをする。それだけで満足できるユーフィーとの関係とは違って、現実的な恋人関係に近い相手。それが、アリスの立ち位置。
「! ……もう、そんな程度でいいんですか?」
「いいわけ、ないだろ」
気がつけば、彼女のお尻を掴んでいた。ここは精神世界であるがゆえに、お互いが望んだ姿でいられる。寸胴体型と言わざるを得ないアリスだが、ここでだけは女性らしい姿になれる。そのはずなのだが、実際には変わったりしていない。彼女自身は変わっていると信じているのだが、実際にはそんなことがないのは彼女のイメージが存在しないからなのか、その実態はわからない。
「お前の全部をくれ」
「もう、全部あげてます」
その言葉に、逸物に血が集まってくるのが感じる。もう、幾度となくこうして彼女の精神を貪ったというのに、それではまるで足りない、まだ奪えるだろうと迅る己の精神に呆れすら湧いてくるが───
その時点で既に、俺の
「あ……やぁ……」
気がつけば、彼女の菊門に小さな触手が潜り込んでいた。嫌がっているような声のくせして、実際にはどこか快楽の色が乗っている。このオーラフォトンによる触手も、俺が「天命」の力を行使して作り出している代物なので、アリスに対しての親和性が一番高い。
ここは精神世界。そのために、この空間での肉体は直に精神の影響を受けやすい。こうして一切の前戯がなくとも、多少犯されただけで彼女の秘所が愛液に濡れているのも、つまりは彼女自身がこれからの好意を楽しみにしているからであった。
「行くぞ、アリス……!」
「はい、来てください……っ!」
言葉とともに、秘所に押し当てられた俺のペニスが、彼女の体に飲み込まれて行く。
現実では決して受け入れられないのではないかと思うほどの大きさ。現実の俺の逸物が彼女の秘所で受け入れられるのかはわからないが、少なくともこの空間であれば何も考える必要はない。
体を痛いほどに、跡すら残るのではないかと思うほどに抱きしめて、そのまま全力でピストン運動を開始する。
肛門から入り込んだ触手が、俺のピストンと交互になるように抽送を繰り返している。休ませるつもりのない連続しての快楽。それに、彼女の体がビクビクっと震えるのは、そう遠いことではなかった。
軽い絶頂。水音を立てながら、少女が愛液を溢れさせながらビクビクと体を揺らす。同時、アナルに潜り込んだ触手がその先端からなんら効果を持たない液体を放射する。本来であれば何も価値のない液体。むしろそれを構成するマナの浪費にしかならない代物。
けれど、
打ち付けるたびに激しい水音がこの不気味な空間の中に響き渡り、その音に隠れるほどにか細いながらもアリスの口からは甘い声が漏れている。
少女の柔肉を貪りながら、その膣内を己のものを受け入れるためだけのものへと強引に変えていく。受け入れられないほどに狭い膣内を強引に逸物で押し広げる。そんな乱暴な行為ですらも喜悦を以って迎え入れる、その少女に対して、様々な欲望が湧いては消える。
与えられる極上の快感に、あったかどうかも定かではない理性が一片の残りもなく犯され尽くしていく。
「くっ……もう、
「はいっ……! 中に
気がつけば、そんなことを口にして、返事の途中で射精していた。子宮口に押し付けられた肉棒の先端から勢いよく白濁とした精液が溢れ出し彼女の子供を作るための部屋を染め上げていく。
ここが精神世界であるために実際に孕むことはないし、そもそもが神剣の化身である彼女は人の姿をとっていても子供を産むことはできない。
けれど、彼女の精神の内側に、己の精神の一部を注ぎ込んだという事実が最も大事。俺と彼女の間に繋がりを作り上げることで、俺に資質があるように誤魔化す。そして、それは精を放ったことで成し遂げられている。
故にその瞳を閉じて干渉を停止する。
もう一度目を開くと、その時点で部屋の中に戻ってきていた。
「それじゃ、行こうか。さすがにユーフィーをこれ以上待たせるのも……」
「はい。今日は最初からユーちゃんと出かける予定でしたもんね」
「最初から、って言ってもミニオンが出てくる前に決まったことなんだけどな」
わずかな苦笑。視界の端に入る時計には入った時からほとんど時間が進んでないことを確認する。精神だけの作業であるから、現実のそれとは時間の進み具合が違うことはわかっている。
そうして、二人で部屋の外に出て。一人リビングで待たせてしまっているユーフィーの元へと向かうのだった。