聖グロリアーナ女学院からの呼び声~英国風淑女たちの秘かな愉しみ 作:ねこぴよ
眼前に広がる寄宿舎の静かな廊下。
薄青色のカーペットは三人の足音を吸ってその静けさを保つ。
三人の足音、といってもそのうち二名は四つん這いなのだが。膝に柔らかく当たるこの上質なカーペットのおかげで、考えていたより肉体の苦痛は少なかった。ただし精神的な苦痛はというと……
「うう……こんなところ見られたら……」
周囲をきょろきょろしながら、四つん這いでのそのそ進むペコ。
彼女が受けている恥辱はいかほどのものか。ダージリンによれば彼女の羞恥は欺瞞であって、むしろ楽しんでいるということだったが、とてもそうは見えない。
それでも俺はただこの状況、この光景を楽しむしかない。俺の身分は今彼女が堕とされているところと同じ、犬なのだ。
「は、恥ずかしい……全部見えてしまっています、ダージリン様」
「そうね。でも今のあなたは犬ですもの、恥ずかしいなんて思わないわね? 犬はいつだって裸ですものね」
ときどきちら、と振り返る顔が真っ赤に染まっていて嗜虐心をそそる。俺を犬と断じていても、「男」として見ているわけか。やはり見られれば恥ずかしいのだ。
恥ずかしい。それはそうだろう。
歩くたびに小さく震える控えめな二つの乳房も、こちらに向けられた丸くかわいい尻も、当然ながらそのすべてが無修正で克明に見えてしまっている。
全裸だから。
一糸まとわぬ姿だから。
まだ春とはいえ、真っ昼間の強い陽射しが窓からさんさんと降り注ぎ、はっきりとコントラストを際立たせてこの自分と同年代の少女の肢体を――マシュマロのように柔らかそうな割れ目の上に本来ならばひっそりと隠れるべき慎ましやかな肛門が暴力的な鞭の柄によって限界まで押し広げられている様まで――照らし出している。その前を進むダージリンもほぼ裸といっていい姿で、静謐な青い廊下と相まって超現実の絵画を見ているかのような錯覚を引き起こしそうだ。
「誰かに見つかったら……誰かに見つかったらどうしよう」
誰か、というのは他の在校生だろうか。もしくは教師か。部屋で見せていた狂気っぷりからすればこれぐらいのことなんでもないだろうと思うのだが、彼女は本気で心配しているようだ。
「見つかったときのいいわけは何か考えておいてね、ペコ」
「そんな! 全裸と半裸で校内をうろついて、こんなの何の言い訳もできないじゃないですか!」
それもそうである。
だがダージリンはこの非日常の中にあって、なおも楽しそうだった。
「こんなことわざを知ってる? 『ありのままの姿を見せている時、人は決してありのままの本心を明かさない』いやよいやよも好きのうちということね。さあ、階段を下りるわよ」
静まり返った階段を下りていく。
階段の壁には「3」という数字が書かれていた。つまりここは三階だったのだ。
今のところ誰にも遭遇していないが、下の二階はどうだろう。いや、そもそも今は春休みなのだから、皆帰省してしまっていて誰もいないんじゃないのか。そう思って自分を安心させたいが、ダージリン達のような寄宿生が何人いるのかわからない以上確実なことはわからない。
そしてやってみて実感したことだが、四つん這いで階段を降りるのはなかなか難儀なものだ。
後ずさりという解釈で足から降りていくならまだいいが「そんな降り方をする犬がいるかしら」とダージリンに尻を叩かれてしまったので、やはり頭から降りるしかない。これがなかなか怖いのだ。
ただの階段が急斜面の崖に見える。頭から転げそうになる恐怖を押さえて、一歩、また一歩と降りていく。
「そう、その調子よ。なかなか板についてきたわね。雌犬の後ろを追いかけるのは楽しいでしょうチャーリー?」
確かに、目の前には同じようにおっかなびっくりで苦労しながら階段を下りていくペコの白い尻と尻尾たる鞭が揺れていた。のんびり眺めながら降りる余裕は俺にはないが、薄い柔毛とストイックに締まった割れ目が眼前にあるというのは悪くない眺めだ。
「どう? なにが見えるのかしらチャーリー? おまえが勃起しながら見ている光景をいってごらんなさい」
「や、やめてくださいダージリン様!」
勃起といわれてどきん、とした。そう、俺も全裸なんだから体の状態は彼女たちに丸見えなのだ。意識を股間に向ければ、確かにそうだった。自分でも気づかないうちに勃起していた。ダージリンの言葉につい歩みを止めてしまったのだが、叱るつもりはないようだ。つまり、この場面では哀れなペコを言葉で辱めたいということか。いいだろう。
ペコがあげた抗議の声は無視されている。
「し、尻尾が」
「尻尾が?」
なぜかかすれた声が出てしまい、いい直す。
「女性の丸くて白い尻が突きだされて、そこに刺さる鞭の尻尾が誘うように揺れています」
「い、いやあ……」
「そう。それで?」
「階段を下りるたびに、尻たぶの間にある暗いピンク色をした肛門が……」
「もういやあああ!!」
下半身を評される羞恥に耐え切れなくなったのか、ペコの悲鳴が響き渡る。
ダージリンの顔に浮かぶ笑みが一段と濃くなった。
「肛門がどうしたのかしら」
「尻尾を咥えてきつく張り詰めた肛門が、階段を降りるときに一瞬緩んでいるようです。緩んで下がった尻尾を再び締め付けて振り上げる。一段降りるたびにまるで振るように上下に大きく鞭が揺れるんです。あれは興奮します」
「あら。おまえ、お尻が好きなの?」
「若い女性の肛門が目の前にあれば男は誰でも興奮します」
「あらあら。ずいぶんとペコを持ちあげるのね。ペコ、喜びなさい。あなたの肛門が緩む瞬間もちゃんとチャーリーは観ているそうよ」
本来他人に対して貞淑に隠さなければならない下半身を曝け出し、あまつさえその状況を語られるという恥辱。
一歩も進めなくなってしまったペコの身体は小さく震えていた。
それが羞恥心によるものかこの理不尽な状況に対する怒りなのかはわからない。だが俺は犬として、さらに彼女に追い打ちを掛けなければならないだろう。
動きを止めているおかげで今ははっきりと見える。全長の半ばまで挿し込まれた鞭の柄を精一杯に飲み込んで、ペコの肛門は哀れなほどに張り詰めている。限界まで拡げられたそこが今にも千切れてしまいそうでゾクゾクした。
ひどい暴力に耐える肛門のその下は、視姦という辱めをはねつけるようにきっちり閉じられた肉の割れ目だ。だが、さらに内側にある桃色の肉唇がわずかに顔を覗かせる部分、肛門にほど近い部分から一滴の輝きが湧き出るのを俺は見た。
「あ」
声を上げてしまう。
「見てください。割れ目の上の方に雫のきらめきが見えますよ。尿でしょうか、それとも……」
「ペコ。どうなの? その滲み出てきたものはなんなのかしら?」
答えはなかった。
ただペコはぶるぶると震えながら、心の内側から沸き起こる何かに耐えているようだった。
「そう。答えないのだったらしょうがないわね。チャーリー、もっと近づいて調べなさい。ただし、犬としての矜持は忘れないでね」
犬としての矜持。どういうことだろうか。
「まだ手を使っては駄目よ。おまえの鼻と口で調べなさい。あの零れ出る体液が何なのか」
「わかりました」
そういうことか。制限ありとはいえ、自由を得られたわけだ。
ならば、復讐をせねばなるまい。この狂気を秘めた娘に。勃起していた俺の男根がぎん、と音を立ててさらに勃ち上がった気がした。
「ま、待ってください!」
「どうしたの、ペコ」
笑みを崩さずダージリンが尋ねる。
「もう……もう許してくださいダージリン様! 二人での『散歩』なら耐えられます。でも、この犬を連れての散歩はあたし耐えられません! は……恥ずかしいです……!」
「……わかりましたわ。では、こうしましょう」
裸同然のダージリンが、するりとその体のどこからか黒いマスク――目隠し用の――を取り出し、ペコの目を覆い隠した。
「ひ!」
「これで恥ずかしくないでしょう? マスクをつけた犬というのも奇妙だけれど、あまりつらい思いをさせるのもかわいそうですしね」
ペコの後頭部できつく結ばれていくマスクの紐。視覚を奪われた彼女はしかしさらに頬を紅潮させていく。
面白い。俺は音を立てないようにゆっくり彼女の裸身に近づいて行った。
「見えない……や……やだ……これ……こ……怖いです、ダージリン様!」
「安心しなさい。チャーリーが調べ物をする間、ただじっとしていればいいだけよ。……そう、こんな格言を知っていて? 臆病な七面鳥は頭を隠してから、し――」
「きゃあああ! は、鼻が! 男の鼻がっ!」
ダージリンの蘊蓄は悲鳴にかき消された。
俺の鼻先が、ペコの白くてまん丸で柔らかい、しかし熱い血潮を秘めた肌表面は空気にさらされて冷たくなっているというみごとな尻たぶに突き当たったからだ。
「あら、なぜ鼻ってわかるの? もしかしたらおちんちんかもしれないわよ?」
「い、いやあああ……」
マシュマロのように柔らかい尻肉に強く押し当てた鼻をそのまま中心へ、両尻の優美な丸みが出会う部分へと滑らせていく。やがて、俺の頬に禍々しい鞭の柄が当たった。
「ひんっ!」
当たった鞭の柄が動き、直腸深く咥え込んだペコの中に強い刺激を伝えたのだろう。限界まで拡げられたはずの肛門と粘膜が、無慈悲な革製の侵入者を宥(なだ)めるように、また崇めるようにさらに締め付ける。
俺の脳内に霊感が閃いた。
突き刺さっている鞭の柄にやにわに噛みつき、上半身の体重を掛けて押し込んでいく。強く噛みしめた歯が革に食い込む。
「ひぁ? ひ、ひぁあああ゛あ゛あ゛……!!」
「あらあら」
衝撃にペコの尻が跳ねた。だが逃がすわけにはいかない。それを顔全体で抑え込むようにして歯を食いしばりさらに押し込んでいく。鼻が柔らかい尻肉に深く潜る。
がくがく跳ね回る尻。すでに彼女の上体は力なく階段にくずおれていた。射止められ、高く掲げられた尻だけが何かの反射のようにびくびく蠕動(ぜんどう)している。
「あ……ああ……」
肌触り良い柔らかな尻に埋もれていた俺はようやく鞭から歯を引きはがし、根元まで侵入者を受け入れて震えるばかりのペコの裸体を見下ろした。
マスクに隠蔽され、彼女の目に浮かぶ感情は見えない。ただ、しどけなく開いた桃色の唇の端から白い泡となったものが滴り落ちるのが見えた。半ばほどまで挿入されていた鞭の柄をとうとうほぼ全長まで飲み込んだ姿は痛々しいが同時にまた煽情的だ。
「ふふ、調べなさい、とはいったけれど……」
ダージリンは自分の身体を抱きしめるように腕を回し、締め付けられて零れ出る乳房を震わせている。時折ぎゅっと力に強弱をつけているのは快感からだろうか。
「すみません、尻尾が邪魔で良く見えませんでしたので。これからゆっくり調べますね」