ランス10 - エールの旅はまだまだ続く(2部後) 作:鳩ぽっぽー
ワンドロ企画の短編です。
続き物として書いてみました。
ランスとシィルはいつものように旅を続けている。
追いかけてきたあなたを連れて。
次の目的地はJAPAN。
その中心、香姫のいる織田城に向かっていた。
ランスが魔王となってからこれまで15年以上もの間、彼の中で香姫に再会した記憶は無い。
彼女の成長ぶりを見るため、そして新たな美女を求めてかつての英雄は今日も東奔西走していた。
既に織田家領内まで踏み入れ目的の場所まであと僅かというところで、懐かしい団子屋が目に入った。
店先の長椅子にちらりと目を向ける。
少し肌の露出が多めだが、まだ容姿は幼く愛嬌のある女の子が足をぷらぷらと遊ばせながら美味しそうに団子を頬張っている。
「お?お前は.........鈴女?」
「む、またでござるか。だから拙者はウズメ・・・あ、父上殿!それに主君も!こんなところまでどうしたでござるか?」
ランスの言葉に気づいた女の子は食べるのを中断して駆け寄ってきた。
「新たな女を発掘しに来たのだ。俺様の側には奴隷一人では足りんからな」
「父上殿の女好きは噂通りでござるね...」
「ランス様。せっかくだから少し休んでいきませんか?」
ウズメと軽く挨拶を済ませたシィルはランスに休憩の提案をする。
ちょうどよく店主が新しい団子をウズメの元に置いて行った。
「まあだいぶ歩いたしな。少しぐらいいいだろ」
そう言うとウズメのであろう新しい団子をぱくぱくと遠慮なく平らげていく。
「あっ、あー......父上殿ひどいでござるよぉ」
「何を言うか。世の中は食うか食われるか。食われる方が悪いのだ。がはははは!」
「そ、それは何か違うような...」
シィルは苦笑いを浮かべながら追加で4人分の団子を注文する。
暫し小腹を満たした後、カンカンに熱い緑茶を啜る。
ほへー。
ランスとウズメ、そしてあなたは親子を再確認させるような気の抜けた表情で全力でくつろいでいた。
「そういえば、ウズメちゃんは何をしているところだったの?」
「実は最近、北条家で長く封印していた厄災が解かれてしまったとかで、その捜索をしているでござるよ」
「厄災?なんだそりゃ。またオロチみたいなやつか」
「オロチが何かは知らんでござるが...外見は人間の女で、他の人間に変化もできるようで油断を突かれ逃げられたらしいでござる」
「ほう、女か。可愛いのか?」
「拙者は直接見てないでござるが、美麗な容姿をしているみたいでござるよ」
そう言いながら、ランスに人相書きの手配書を渡す。
「これは...なかなか、というかかなり可愛いではないか!ぐふふふふ、JAPANでの用事が一つ増えたな」
「でも父上殿、かなり危ない者らしいでござるよ?」
「関係あるか。悪いことしてるならちょっとおしおきして俺の女にしてしまえばいい。で、どこにいるんだ?」
「だから、それを今探してるところでござる・・・」
「なんだと。・・・・・・・・・居場所が分からないんじゃ探すのも面倒だな。まあいい、見つけたら教えるんだぞ」
「ういうい」
ひとまず諦めたような口ぶりではあったが、一瞬期待を膨らませたランスの欲求もむくむくと膨らみつつあった。
「父上・・・なんだか視線にいやらしさを感じるでござる・・・ぞわぞわ」
「鈴女っぽいからやはりお前なら抱けるのでは無いかと思って見ていたからな」
「こわっ!」
「しかしダメだな、うむ。鈴女のようなエロさが無い。やはりお前は俺の娘のようだ」
「当たり前でござるよ!・・・・・・そういえば、その鈴女という人はどんな人でござるか?」
「先日母上殿に伺ったら、母上殿のお師匠様でウズメはその生まれ変わりと聞いたでござる」
「なんだ知らんのか。ま、だいたいそんな感じだ」
鈴女。
一時ではあったがランスと息の合ったパートナーであり、悪友のような存在だった。
シィルが氷漬けとなっていた間、ランスを支えた一人である。
にょほほほ、といつも陽気で常に明るく楽しく生きていた変わり者。
鈍臭いかなみをいつも振り回し、ランスと一緒になっていたずらばかりして。
「ランスと一緒にいる時が一番楽しいでござる」
それが彼女の口癖。
そして紛れも無いくノ一の天才だった。
彼女に並ぶ者はいないとされるほど超一流の腕前。
今のウズメが挑んだとして、技術の差で到底太刀打ちできないだろう。
かなみをランスの忍者として一人前にするため修行をつけ、とても厳しかったが、同時に優しかったとかなみは話していた。
そして、早くに死を迎えることが運命付けられてもいた。
ランスはふと、あの夜のことを思い出す。
月の光に照らされ、美しく、そして儚くその命の灯が静かに消えたあの日を。
「......あいつはな」
「あいつは?」
「いい女だったな。エロいやつだった。あいつとのセックスは最高だったぞ。あと一回くらい抱いておけばよかったな」
「えー...」
ウズメは呆れていた。
「おい、ウズメ」
「は、はいでござる」
初めてきちんと自分の名前を呼ばれ僅かに身体が強張る。
「くノ一にはなるんじゃないぞ」
「え?」
「くノ一はセックスして相手を殺す技だからな。そんなあっさり殺されるような間抜けとセックスなんぞしてはいかん」
「父上殿、言ってることが滅茶苦茶でござるよ...」
しかし不真面目に語っているようで、あなたの父はいたって真面目な表情をしていた。
その真意をウズメやあなたが理解することはなかった。
ふと見た、お茶のおかわりをランスに手渡すシィルの表情はにっこりと柔らかいものだった。
一方その頃――――
かつて世界最大の宗教として栄えたALICE教の総本山、カイズ。
この世から神が消え加護も失われた今もなお、中心部の教会本部では名ばかりの教徒が少人数で維持管理をしている。
その教会の奥深く、とある保管庫では世界中の封印指定された存在やバランスブレイカーが今でも厳重に保管されていた。
コツ・・・コツ・・・・・・
普段誰も足を踏み入れることはないそこに、不穏な足音が静かに木霊していた。
足音の主は、多くの重要なアイテムが封印されている中でも一際堅牢な箱に目を付け、それをあっさりと解錠する。
「みーつけた♪」
手に取ったのは、真っ赤に輝く小さな球が二つ。
球体の中心からは僅かに禍々しい漆黒が渦巻いていた。
「待っててね、ランス君。これからとっても楽しい舞台を用意してあげるから♪」
続く