「ん?…あれ?ここって…」
どうやら俺は眠っていたらしい。
重たい眼をこすり天井へ、そして周りの風景へと視線を渡す。
「確かユキの…」
ベッドも確かに自分のモノとは違うふかふかとしたものだ、それになんかいい匂いもする。
俺はユキとえっちしたあとそのまま寝ちゃったんだ、その結論に至るには時間はかからなかった。
時計は夜の2時を指していた。
眠っていたのはだいたい2時間ぐらいか。
「ん?そう言えばユキがいない…」
俺は辺りを見渡しユキの姿を探す。
しかし俺が目に見える範囲でユキの姿は見当たらない。
「くしゅん!さむっ…!」
俺はくしゃみ一つ。
そう言えば俺今何も着てなかったっけ。
自分の格好を思い出した瞬間今まで気にならなかった寒気が一気に襲ってくるようだった。
「あ、お兄ちゃん起きたの?」
と、ユキの声がキッチンの方からかかる。
ひょこりと顔だけ出して俺の様子を確認するユキ。
「おう、ユキ、おはよう…ってそんな時間でもないか」
「そうだね。…あ、今あったかい飲み物用意してるからちょっと待っててね」
俺はユキが用意してくれる飲み物をベッドで横になって待つことにした。
(別にユキのベッドの匂いを堪能したいとか言うわけじゃねぇぞ…って誰に言い訳してんだろ…)
だんだんと甘い匂いがキッチンの方からやってくる。
その匂いはだんだんと強くなり俺の胸を満たす。
今か今かと待ちわびているとユキがマグカップを二つ持ってキッチンから出てきた。
「お兄ちゃん、はいできたよ~…ってお兄ちゃんなんで服着てないの!?ちゃんと服着てよ!」
さっきキッチンから覗いたときに気付けよと俺は思ったがそこよりもツッコまなければならないところはもう一つあった。
「なぁユキ…その言葉そっくりそのまま返すぞ。お前も何で服着てねぇんだよ!」
そう、ユキはこんな寒い中裸一貫でキッチンにいたということになる。
淡い光に照らされた肌はキラキラと輝きを放っているように見えた。
(まぁあれだけ激しいエッチした後だしそんなにムラムラはしねぇな…って俺そんなことより言い訳!)
「え~とな…起きたら裸だったし、それに昨日来てた服もないんだけど…で、なにも着るモノがなかったのでそのままでいたってわけだけど…」
俺はしどろもどろそう伝えた。
この言い訳に嘘はひとつもない。
「あ、そうだった…お兄ちゃんの服汚れてたからお兄ちゃんが寝てる間に脱がせて洗っておいたんだっけ…」
俺寝てる間に妹に脱がされていたのか!?
これは何という羞恥プレイ!
まぁ俺の言い分は伝わったので今度は俺がユキの言い分を聞く番だ。
俺はユキにどうしてそうなったかを話すように促した。
「え~と…あのサンタ服で過ごしてもよかったんだけど…エッチなお汁がいっぱいは寝ちゃってかぴかぴになってて…それで寝るだけだしいいかって思って…」
「うん、まぁ分かった…で、寒くはないのか?」
「寒くなんてないよ!だって私氷の異能使いだよ?こんな寒さなんて全く大丈夫だよ!」
異能者とは全く便利なモノである。
ではもし炎の異能者がいたなら暑さを感じないのだろうか?
もしそうなら夏とか羨ましいな、と俺の頭にはそんなくだらない妄想が浮かんだ。
「ってお兄ちゃん!これ、早く飲まないと覚めちゃうよ?」
そう言ってユキは俺にマグカップを差し出してくる。
「お、ありがとな」
カップの中身は薄い赤茶色をした液体だ。
甘い匂いが俺の鼻孔をくすぐる。
俺はその液体をやけどしないようにゆっくりと喉に流し込む。
「ん…ココアか、これ」
俺の体の中にチョコレートの甘さが染み渡る。
「で、ユキ?お前何で俺の隣にいるんだ?」
俺がココアを味わっている中シレッとベッドにもぐりこんだユキは俺の隣に陣取っていたのだ。
「え~、いいじゃんちょっとぐらい」
ユキはそう言って俺の体に肩を預けてくる。
少し冷たくも温かみのある妹の肌が俺の体に触れる。
「ったく…甘えん坊な妹だな」
ぶっきらぼうにそう言った俺だが内心とてもうれしいのは内緒だ。
「えへへ、クリスマスの夜にお兄ちゃんとこうやってココア飲むの、夢だったんだぁ」
「抱き合った後にお互い裸でココア飲むのがかぁ?」
「むぅ…お兄ちゃん意地悪だよぉ…違うよ、クリスマスの夜にお兄ちゃんとココアおいしいね、とかちょっと寒いな、とか言い合って普通に楽しく過ごすってこと!エッチなことは関係ないの!」
ユキはぷいっとそっぽを向いてしまう。
そっぽを向いたユキがとても幼げで可愛く俺はついついその頬に触れた。
「お、お兄ちゃん!?急にほっぺ触んないでよ…」
「悪い、でもなんか我慢できなかった」
俺はそう軽く言うとユキの顔に自分の顔を近づけた。
もちろんキスするためだ。
なぜか急にユキが愛おしくなってキスしたくなってしまったのだ。
「今はだ~め!」
ユキは俺の顔を抑えて無邪気にそう言った。
「今はお兄ちゃんの恋人じゃなくて妹としていたいの…だからキスはダメ。お兄ちゃんはただの妹にもキスしちゃう変態さんなの?」
「はは、そうか。分かった。じゃあ俺は今は優しいお兄ちゃんってことだな」
俺はそう言ってユキの頭をやさしくなでる。
頭を撫でられたユキはふにゃっと表情を緩めて満足そうな笑みを漏らす。
「ありがと、お兄ちゃん」
ユキはふにゃふにゃに緩んだ顔でそう言ってきた。
この笑顔は普通の時ではなく俺の妹であるときじゃないとできないんじゃないかと思ってしまうほどにやさしく可愛らしいものだった。
そのあとお互い適当な会話を交わした。
話が一段落したところで俺は残っていたココアを飲み干す。
ふぅと自然に口からため息が漏れた。
それとほぼ同時ユキの身体がさらに俺に密着させられる。
それも柔らかくもふにふにな小さな胸が当たるほどにだ。
「?ユキ…?」
俺は不思議そうな顔でユキの方を見る。
「すぅ…すぅ…」
と、ユキは気持ちよさそうに寝息を立てていた。
その寝顔は本当に幸せそうで安心しきったものだった。
「ったく…勝手に寝ちゃってよ…」
俺はそうつぶやいた後ユキの頭に手を乗せわしゃわしゃとなでてやる。
するとユキはふにゃりと表情を崩した。
「ふへへ…お兄ちゃぁん…くすぐったいよぉ…むにゃ…」
ユメのなかでも俺に撫でられているのだろうか、ユキはそんな寝言をこぼした。
俺はそんなユキの姿に笑みがこぼれ落ちてしまう。
「フフ…おやすみ、ユキ…メリークリスマス」
俺は聞こえもしないそんな言葉をユキに向けて放った後にユキに寄り添うようにして眠りについた。