創立百二十二年を迎える名門校、私立百華王学園。
上流階級・政財界の子女が数多く通うこの学園では、生徒同士のギャンブルによる階級制度が確立されていた。
休み時間や放課後はあちこちで生徒同士のギャンブルが行われ、現金が飛び交っている。
基本的には子供の小遣い程度の賭け……とはいえ、ほとんどの生徒が富裕層の人間だけに万札が平気で行き来してはいるが。
それでも基本は笑って済ませられる額のお遊びギャンブルだ。
しかし時には熱くなり、身の丈に合わない金額の負債を抱える者もいる。
借金を抱え、生徒会への上納金が足りなくなればこの学園では人権が消失する。
“家畜”と呼称される非協力傾向生徒達は他の生徒に何をされようと逆らえない。
暴力を振るわれようと、金や私物を奪われようと、黙って耐えることしか許されない。
女生徒の家畜がストリップを強要されたという話まであるくらいだ。
だから俺は目立つことなくこの学園で暮らしてきた。
敵を作らず、適度にわざと負けながら穏やかに狂った学園生活を送っている。
いじめはいけないことだなんて青臭い正義感ではなく、純粋に自分自身が被害者になるのが嫌なだけなのだが。
家畜に理不尽な振る舞いはしないが、かといって助けもしない。
そこにいる可哀想な人種として、なるべく視界に入れないようにする。
そんな日々を送っていたある日、俺は見てしまった。
放課後に忘れ物を取りに教室へ戻ると、そこでは女生徒の家畜が同級生に性的奉仕を行っていたのだ。
嗚咽を漏らしながら同級生の男根を両手で扱く姿を、俺は物陰で隠れて見ていた。
思春期の欲望はあっという間に膨れ上がった。
この学園ではギャンブルが強い人間こそが偉い。
俺も女相手に欲望を吐き出したい。
ギャンブルで勝ちさえすれば、それが叶う。
そうと決めてからは、俺は手加減の仕方を変えた。
以前は大勝も大敗もしないように調整していたが、逆に勝ち負けを大きくする。
勝つも負けるも、とことん大きく目立つように。
ある程度の資金力もさりげなくちらつかせ、カモを狩りに来る奴らを待つ。
油断して甘い声をかけてくる奴を逆に喰ってやろう。
地道に活動を続けていると、数週間後には一人目が釣れた。
「ねえ、放課後暇? もしよかったら私とギャンブルしない?」
放課後。
帰宅しようと廊下を歩いていると、背後から声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのは二年華組の有名人。
名前は確か、早乙女芽亜里だったか。
金髪のツインテールが目立つ美少女。
気の強そうな彼女を家畜に堕としたら、どんな反応をするだろうか。
「……うん、“僕”でよければ、喜んで」
俺は少し悩む素振りを見せ、芽亜里の後を付いていく。
さて、どんなギャンブルが待っているのやら。