濡羽綾女はスピンオフ作品である“賭ケグルイ妄”に登場するメインキャラクターです。
今後登場するスピンオフキャラの時系列は都合の良いパラレル時空と思って下さい。
三人の家畜は、今まで以上に必死な様子で新たな生け贄を求めていた。
本番行為という一種の線引きを破壊した以上、これから先家畜の扱いは一層酷くなる。
実際に身を持って体験したユメミと芽亜里はもちろん、その様を見ていた伊月も同様に必死だ。
運よく降りかからなかった不幸が、次に自分に来るかもしれないという恐怖。
実体験していないからこそ空想の中で恐怖は肥大化し、彼女の精神を蝕んでいく。
都合が良いので、俺は黙ってその様子を眺めていた。
時折奉仕をさせたり痴態を鑑賞したりはするが、本番行為はあれっきりだ。
正直我慢は辛いし、あの快楽をもう一度味わいたいという欲求は強い。
だが軽々しく行わないからこそ、彼女たちは必死に次の家畜候補を探して働いてくれているのも事実だ。
自分自身が動くことなく新たな家畜を手に入れるというこの状況を捨てるには惜しい。
だからこそ、伊月が新たな候補を連れて来た時俺は満面の笑みで彼女を出迎えた。
その少女の名は濡羽綾女。
眼鏡をかけた瞳は伏し目がちで、気弱な子犬のような印象を受ける。
伊月曰く、彼女は鳳那々という生徒とのギャンブルに負け続け現在一千万円の借金があるという。
返済のために援助交際を強要されていたという彼女を、伊月は持ち前の口八丁で連れてきたのだとか。
警戒……というよりは怯えた様子の彼女の眼前に、俺は黙って一千万円を積み上げる。
これであなたの借金はチャラだ。
そう言うと、彼女……綾女はより一層怯えの色を濃くした。
無論、ただで一千万円を渡すほど俺は裕福でも無ければ善人でもない。
これから俺と綾女でギャンブルを行い、綾女が勝てば一千万円は彼女の手に渡り借金完済。
俺が勝っても一千万円で借金の返済は行われるが、彼女は俺個人の家畜となる。
見知らぬ無数の男に股を開くよりは、たとえ負けても俺一人相手の方がマシ。
そう伊月が言いくるめたのだろう。
彼女はこの提案に了承し、誓約書にサインを行った。
これで鳳那々への借金は一旦消え、綾女は代わりに俺へ一千万円の負債を抱えた形になる。
これから始まるギャンブルで一千万円を稼げば、綾女は晴れて自由の身だ。
「……そ、その」
躊躇いがちに、綾女は手を上げた。
「ギャンブルはいいんですが、私、お金が……」
掛け金を用意できないというのだろう、問題は無い。
俺は準備をしながら、綾女へと説明する。
俺の手元にある十枚のチップ。
これが一枚百万円。
十枚集めれば綾女の勝ちだ。
そして綾女はチップの代わりに、着ている服を賭けてもらう。
一枚脱衣でチップ一枚、もしくは指定した性具の着用でもチップ一枚分だ。
「……えっ」
綾女の瞳が震える。
驚愕、そして恐怖だろうか。
彼女の心はあっという間にかき乱され、平静を保てずにいる。
無論、律義に慰める必要なんてない。
嫌なら帰れと、立場が上であることを利用し選択を突きつける。
綾女は涙目で数分悩み、最後にはこのギャンブルを受け入れた。
勝負内容は単純明快。
三枚のトランプから、一枚の当たりを引けば綾女の勝ち。
外れの二枚なら俺の勝ち。
ベット額は綾女が指定。
当たりの確率は三分の一で綾女には不利だが、この勝負で掛け金は一方的にしか動かない。
無限に続ければいずれ勝てる以上、むしろ綾女に有利と言えるだろう。
二枚のジョーカーと一枚のAを見せ、目の前でシャッフル。
手で隠し目で追えないようにし、三枚を机に並べた。
「……一枚ベットで」
ベットとして認める衣服は、全部で五枚。
ジャケット、シャツ、スカート、ブラジャー、ショーツだ。
靴下やリボンはカウントしない。
綾女はジャケットを脱ぎ、脇に置く。
まだシャツを着ている以上、羞恥はない安全な状態だ。
「これに、します」
震える指で、綾女は真ん中のカードを指さした。
俺が促すと、ゆっくり彼女はカードを表返す。
「うッ……!」
表になったのはジョーカー、外れだ。
左右のカードを俺が表にし、一枚がAであることを知らせる。
これで一ゲームが終了。
次のゲームを始めるためにカードを回収し、再びシャッフルする。
「い、一枚ベットで……」
綾女はそう宣言し、今度はショーツを指定した。
スカートの中に手を入れ、スルスルと純白のショーツを脱ぎ捨てる。
「こ、これ、です……」
綾女は右のカードを捲るが、見えたのは再びジョーカー。
またもや外れ。
「あ、あれ……?」
頭に疑問符を浮かべる綾女。
第三ゲーム、外れ。
第四ゲーム、外れ。
あっという間に、綾女はスカート以外の衣服を剥ぎ取られた。
一応靴下やクロスタイは残っているが、そんなものは気休めですらない。
当然、これは綾女の運が悪いというわけではない。
彼女は単純だった。
伏せた三枚の内外れの一枚にさりげなく、しかし気づかれるように目線をやる。
それだけで彼女はそれが当たりのカードだと錯覚し、外れを指定する。
一千万円の借金を背負うだけはあって、綾女はギャンブルが、特に駆け引きが異常に弱い。
四連続で外しても何かおかしいと疑問に思うだけで、自分が嵌められているのだという発想に至らない。
伊月から伝え聞いてはいたが、これではただのカモだ。
いくつか用意していたイカサマも、これでは出番が無い。
第五ゲームも、当然一枚ベット。
綾女はスカートを躊躇いがちに脱ぎ、秘部が晒された。
靴下とクロスタイだけを身に着け、椅子に座っている姿は滑稽でもある。
「ま、真ん中で……その、代わりに捲ってもらってもいいですか……?」
右手で両胸を、左手で秘部を隠す綾女はそんな提案をしてくる。
オマケにじっと見つめていたら、恥ずかしいのかこちらから目を逸らしだした。
マジかこいつ。
遠慮なく当たりだった真ん中のカードを左とすり替え、ジョーカーを表にする。
「な、なんで……!」
なんでじゃないだろう。
漏れそうになるため息を堪え、俺は続行を促す。
「くっ、うぅっ……!」
賭ける衣服がなくなった綾女は、着用という掛け金を支払いギャンブルを続行した。
無論、彼女は一度も当たりを引けないまま負け続けている。
両胸と秘部にローターを付け、振動に身を捩じらせる。
視線を何度もカードから逸らすせいで、こちらはイカサマし放題だ。
「――ッ!」
沸き上がる快楽に耐え切れなくなった綾女は絶頂し、愛液を噴き出しながら机に突っ伏した。
ビクビクと体を震わせながら、綾女は最後の決意を固めたようだった。
「じゅ、十枚、ベット……」
追加のローターにバイブ、電極パッドや陰核への吸引機に身を包む綾女はもはや性具が衣服であるかのような恰好と化していた。
無様を通り越して、もはや滑稽といえる。
「――ッ!」
シャッフルを終え、カードを並べ。
スイッチを一斉に入れた瞬間、彼女は盛大に絶頂し意識を失った。
「ほ、ほうまけでいぃ……だかりゃ、と、とめてくだはぃ……!」
意識を取り戻した綾女は呂律の回らない声で真っ先に降参した。
四人目の家畜を手に入れたというのに、沸き上がる感情は歓喜ではなく徒労感だった。
今までの相手がいかに実力者であったのかが、比較対象が生まれたことで実感できる。