休日、昼。
多くの若者が行き来する繁華街入り口に、俺は夢見弖ユメミを呼び出していた。
学園以外でも、彼女らは俺の家畜だ。
命令に逆らうことは許されず、苛立ったというような表情で彼女は俺を待っていた。
家畜たちと学園以外で会うのは、これが初めてだ。
それはつまり、制服ではない私服を見るのも初めてということ。
変装の目的もあるのだろう。
ユメミは純白のキャペリンハットを深く被り、通行人たちから瞳を隠していた。
飾り気の少ない白のワンピースを身に纏う姿は、外見だけなら清楚で純朴な少女に見えなくもない。
軽く覗き込めば、そこにあるのは細められた険しい瞳だが。
このままでも十二分に目の保養はできるが、それでは物足りない。
性欲という主目的のために、俺はユメミを連れて裏路地へと歩いていく。
「予想はしてたけど、このっ、変態……!」
誰もいない路地で、俺はユメミの衣装を性的に変えていく。
上下の下着を脱がせ、代わりに銀色のピアスを装着させる。
穴を開けない、フェイクピアスと呼ばれるものだ。
両の乳首と秘部の陰核に、計三つのピアスを取り付ける。
首にはギリギリオシャレなチョーカーに見えなくもない首輪を嵌める。
そして首輪の前から延びた細いチェーンを股下に通して後ろまで一周させた。
ややキツめに長さを調整したため、ユメミの秘部にチェーンが食い込んでいる。
ワンピース越しに見れば、ほとんど変化はない。
だがその中身は完全に家畜としての性的なものへと変化した。
ただ立っているだけで、ユメミは顔を赤く染めている。
羞恥の感情を更に高めてもらうため、俺はユメミの手を取ると再び雑踏の中へと歩きだした。
喫茶店で軽食を取り、屋台でクレープを買い、町中を歩く。
まるでデートのような平和な光景だが、彼女の限界は案外早く訪れた。
他者から隔離されたカラオケの個室に入った瞬間、ユメミはその場に座り込んでしまう。
「くっ……ふぅっ……!」
顔は真っ赤に紅潮し、全身にはうっすらと汗が浮いている。
息は荒く、体は小刻みに震えていた。
ただ街を歩くだけで興奮したのか。
煽るようにそう問うと、帰って来たのは無言の視線。
睨みつけるようなそれは、しかし潤んだ瞳と荒くなった呼吸によって色気へと変換されてしまっていた。
夢見弖ユメミは理解している。
逆らうことに意味はなく、従順に従うことが最も被害を少なくする方法なのだと。
しかしその精神は反発を望んでいる。
故に彼女の視線や態度はどこかちぐはぐなものとなっているのだ。
「んっ……あぁっ……!」
ユメミの胸を掴み、軽く揉む。
それだけで彼女の喉からは甘い声が響き出した。
煽る目的で口にしただけだったが、案外本当に露出趣味に目覚めかけているのかもしれない。
そう感じ、俺は新たな場所へと彼女を連れだした。
そこは裏路地の奥の奥。
人気が限りなくゼロに近い空間。
その先にあるのは、一店のアダルトグッズ専門店だ。
「……っ」
店員たちの視線を避けるように、ユメミは身を小さくして俺の後を付いてくる。
女性客など滅多にいない店舗だ、すれ違う客や店員は皆がユメミに注目していた。
彼女は店内に所狭しと並べられた性具を見ては、悲鳴に近い声を漏らしている。
俺の気まぐれ一つで、ここに置かれたすべての道具が自分を襲うことになるとでも想像しているのだろう。
そして、その想像はあながち間違いではない。
俺はコスプレ衣装のコーナーへと向かい、二着の衣装をユメミへと見せる。
梱包された二つの袋の片方には猫耳メイド服、もう片方にはゴスロリ衣装と商品名が記されていた。
どちらがいいかと聞くと、ユメミは躊躇いがちにゴスロリ服を手に取った。
まだこちらの方がマシだと呟くユメミを尻目に、俺は会計を済ませ、店員に試着室を借りる。
そしてユメミと共に、衣装を手に試着室へと入っていく。
この場で着替えるように命令すると、ユメミは顔を紅潮させプルプルと震えだした。
そしてこちらに聞こえないほど小さな声で何かを呟きながら、脱衣を開始する。
躊躇いがちに、しかし素早くワンピースを脱ぎ捨てた。
残った首輪とチェーン、そしてピアスがユメミの肉体を淫猥に彩っている。
全裸以上に淫らな恰好を晒し続けることに耐え切れないという様子で、ユメミはゴスロリ衣装を袋から取り出す。
そして手早く袖を通し、鏡を見た。
「こ、これっ……!」
ユメミの瞳が驚愕で開かれる。
その衣装はゴシックロリータではなくゴスロリ、つまりはコスプレ用の衣装である。
このような店で売っているような代物が、無論まともな衣装であるはずもない。
真っ黒なゴスロリ衣装は、異常なまでに布地が少ない。
ピッタリのサイズだというのに、ユメミの下半身は太股が丸見えになっている。
パニエやドロワーズを履いていたら立っているだけでそれらが見えてしまいそうなほどにスカート部分の丈が短く、薄い布地で作られているせいで僅かな風でもふわふわと舞い上がってしまう。
上半身はボレロによって胸と肩の一部は隠されている。
しかし中に着るインナー生地が存在しないせいで、その他が一切隠されていない。
申し訳程度に肌の見える部分はリボンとフリルで彩られてはいるが、肝心要の布地が足りないせいで何の慰めにもなっていない。
ヘソや太股どころか胸の膨らみや肌に浮き出る骨盤まで衆目に晒す衣装。
激しく動いて衣装が乱れれば、内側に施されたピアスやチェーンの痴態まで見えてしまうだろう。
硬直し動けないユメミを尻目に、俺は彼女が着ていたワンピースを回収して先に試着室を出る。
「ちょ、まっ……!」
引き留める声を無視し、待ち合わせ場所だけを伝えて俺は店を出た。