皇伊月は、俺という人間の情報を芽亜里からの言葉のみに頼っていた。
持ち金、人物像、その他諸々がデタラメな情報を得て必勝を確信していたのだ。
「数億程度の借金じゃ一流企業の社長令嬢を破滅させるのは難しいと思っていたんだが、まさかここまでリスクリターンを考えない奴だとは思っていなかったな」
手元でイカサマトランプを弄びながら、俺はため息を吐いた。
唯一の想定外がそこだ。
この女、想定を下回る馬鹿だった。
このトランプは一定以上の温度で模様が浮き上がるようになっているらしい。
こんなもの、他者に露見した時点で会社が傾く不祥事だ。
九億七千万円の借金だけなら、無理をすれば払えなくはないかもしれない。
だが、このイカサマトランプが露見した場合のリスクはそれを遥かに上回る。
だからこそ、皇伊月は無様に頭を垂れているわけだが。
全身から冷や汗をダラダラと流しながら、伊月は俺へ向かって頭を下げている。
「な、なんでもします。だから、どうかこの事は……!」
なんでもする。
そう、伊月は宣言した。
ならば取引だ。
伊月の要求は、イカサマトランプについて公言しないこと。
そのためになら対価を支払う覚悟はあるという。
話が早くて助かる。
こちらの要求を伝えると、伊月はまず驚き、そして困惑し、最後には覚悟を決めた。
「う、うぅっ……」
俺と芽亜里、二人の視線を浴びながら、伊月はゆっくりと着ている制服を脱いでいく。
まずは上着、次にスカート。
下着姿になった伊月の顔は、羞恥で真っ赤になっていた。
伊月はしばらくの間、両手で胸を隠し俯きだす。
俺も芽亜里も、声をかけることは無く伊月をただ見ていた。
こちらの要求は伝えた。
伊月はその取引に同意した。
ならば後は伊月が誠意を見せるだけだ。
上下関係は既に決定しているのだから。
「うぁ、ぁぁ……」
悲鳴とも嘆きとも取れそうな鳴き声じみた声を上げ、伊月は下着を脱ぎ捨てた。
放課後の教室で全裸を晒す光景に、芽亜里は不愉快だとでも言いたげに視線を逸らす。
伊月はそんな芽亜里に気付く余裕もないようで、目尻に涙を浮かべながらその場に跪く。
足元に用意した契約書に、震える手でサインをしているのだ。
内容は芽亜里の借用書とほとんど同じだ。
負債の帳消し、そしてイカサマの秘匿。
それらを対価に、伊月は俺専用の家畜となる。
犬のように這いつくばったまま、伊月は芽亜里を見上げていた。
もう伊月も理解している。
芽亜里もまた、今の自分自身と同じ末路を辿っていたのだと。
芽亜里が同族に向けた視線には、憐みの感情が混じっていた。
そして同時に、負担が減るという安堵の感情も。
サインを確認し、俺は伊月に隷属の証として首輪を渡す。
芽亜里に渡したのと同じ形の、黒い首輪だ。
伊月はその首輪をしばらく呆然と眺め、そして意を決したように己の首へ装着する。
ジャラリ、と繋がった鎖が音を立て、伊月の心を蝕んだ。
二匹目の家畜、皇伊月。
後輩である彼女を売った芽亜里には、今回は休息という褒美を与えた。
俺の手元から伸びる鎖の先では、黒の首輪を身に着けた伊月が悶えていた。
伊月は四つん這いになり、俺の椅子と化している。
今の伊月は全裸に首輪のみを着用した状態だ。
秘部にはローターが挿入され、小さな振動音を鳴らしながら伊月の膣を責め立てている。
「うぅ、くぅっ……」
呻き声に近い嬌声を漏らしながら、伊月は四つん這いの姿勢を保ち続けている。
その背中に俺は腰を下ろしていた。
右下を向けば伊月の後頭部が映り、左下には控えめに膨らんだ尻が。
時折胸や尻を撫で回すと、敏感に伊月の肉体は反応する。
息を荒げ、四肢を震えさせながらも必死に耐える姿が嗜虐心を煽って仕方がない。
「――ッ!」
乳首を強くつまんだ瞬間、耐え切れなくなった伊月の体が潰れ、倒れる。
秘部から溢れる愛液の量を見るに、どうやら絶頂したようだ。
「や、やめっ……」
途切れ途切れの声で懇願する伊月を無視し、俺は彼女の膣に二つ目のローターを挿入する。
すぐさまスイッチを入れると、伊月の体がビクンと大きく跳ねた。
「ひ、いぃっ……!」
絶頂直後の敏感な肉体に刺激を追加され、伊月は芋虫のようにもがいている。
手錠で両手を後ろ手に拘束してやると、より一層芋虫のような姿に変貌した。
「――ッ!!」
背中を大きく反らし、伊月は再び絶頂に達した。
眼から涙を流し、口端からは涎を、そして股からは愛液を零している。
「ひ、あぁ……」
三つ目のローターを伊月に見せつけると、ようやく彼女は趣旨を理解したらしい。
カチカチと歯を鳴らし、伊月は震えていた。
そして、一時間ほどが経過した。
「あ、うぁ……」
何度も絶頂を繰り返し、反応が鈍くなった伊月。
流石に飽きてきたので彼女の拘束を解く。
愛液塗れのローターを抜き取り、荷物をまとめて俺は教室を後にした。
これで二人目。
さて次はどうしようかと考える俺に、伊月は何も言葉を発しなかった。
いや、そんな気力が残っていなかっただけか。