※この作品はR-18です。

艦これ 貞操逆転   作:もにもい

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筆者の処女作です。私も初体験です。


1 叢雲の初体験

———某月某日某泊地。

明慈か泰正時代の学校じみた木製の廊下を革靴が踏みしめていく。コツコツ、コツコツと。

すらりと伸びる脚は両側の壁にいくつも並ぶ個室の一つへと向かっていた。“叢雲・吹雪”と素っ気なく書かれた扉を力任せに押し開ける。同居人は眉をハの字にしたが、習慣になっているらしく、両手で耳を抑えて彼女の悪態に備えた。

開口一番、満身の怒りに満ちた怒号が吐き出された。

 

「あの司令官、またやらかしたわよ‼今度は工廠の開発にまで口出しして、妖精さんたちを宥めるのにどれだけ時間がかかったか‼おまけに私のいない間に勝手に出撃編成弄って扶桑さんと山城さんが大破して帰ってきてドックがしばらく使えなくなる上に、旗艦の加賀さんにはネチネチ嫌味を言われるしで———もう、最悪‼あの年増、事あるごとにこっちのミスを論(あげつら)ってきちゃ、『秘書艦ならいつでも変わってあげるわ』なんて抜かしてくるのよ‼こっちがどんだけ下積み頑張って、鎮守府でキャリア積んで、ようやく秘書艦の資格を取ったってのに、いけしゃあしゃあと———ああ、もう‼運よく空母の適正があったくらいで調子乗って———、そういう性格してるからこんな僻地に飛ばされてんのよ‼輸送艦の護衛くらいしかすることないんだから、頭冷やして大人しくしてればいいのに、いちいちあのバカを持ち上げて出撃しに行っちゃイ級狩りで鬱憤晴らしって、資材のことくらい考えなさいよ‼それに乗せられる司令官も司令官よ‼『今月は鋼材の消費が少なかった』って⁉それ以外の消費は軒並み倍増してるわよ‼ここは最前線と後方をつなぐ中継地だってのにそこが資材を使い込んでどうするのよ‼毎回あんたが何かするたびに頭下げに行く私の気持ち考えたことある⁉向こうも哀れみの目で同情してくるのよ‼それなら詰(なじ)られたほうがましよ‼なんだって———なんだって、あんな、あんな、馬鹿息子のぉ、面倒をぉ、私が見ないといけないのよぉ‼せっかく、せっかく、順調に、何事もなく進んでたのにぃ、私が徹夜して作ったマニュアル滅茶苦茶にしやがってぇ‼かえしてよぉ、かえせよぉ‼なんで職場がこんなにギスギスしてんのよ‼私はうまくやってたんだぁ‼適度にメリハリがあって、ちょっとしたことで笑い合う、そんな、そんなぁ、———う、うう、ううう…」

 

 感情の発露だろう。それまで鬼のようにまくしたてていた彼女———叢雲は泣き出してしまった。嗚咽を漏らして鼻を鳴らす叢雲を同居人———吹雪は優しく抱き留めた。

 

「大丈夫だよ、叢雲ちゃん。叢雲ちゃんが頑張ってるのはみんなも、勿論私も知ってるから、ね?叢雲ちゃんは凄い、偉いよ。あれだけの書類を毎日処理してるんだから、誰にだってできることじゃないよ。他の場所に行けば叢雲ちゃんと同じくらい凄い人もいるだろうけど、この泊地じゃ叢雲ちゃんの代わりになれる人なんて誰もいないの。十分頑張ったよ。でも、辛かったね。叢雲ちゃんが人一倍頑張れて、我慢できるのはいいところだけど、でもそれだと、辛いよね。辛いのをそのままにしておくともっと辛くなるから、今日はお酒でも呑んで、ぐっすり寝て、それからのことは、それから考えよ?」

 

 うん、うん、うん、と子供みたいに頷いて、しゃくりあげながらも、

 

「———ぐすっ、うん、ありがとう、吹雪。ちょ、ちょっと元気が出たわ。だからもうちょっとだけ頑張らないと。み、皆に迷惑を掛けるわけには———」

 

 駄目だよ!と吹雪は慌てて叢雲を押しとどめた。しかし、

 

「だ、大丈夫よ。まだ目を通さないといけない書類が残ってるの。それに今やっておけば明日は楽になるから。明日は日曜日だから、仕事も少ないし、午後から休めば———」

 

 隼鷹さーん‼吹雪が叫ぶと、一升瓶を抱えた紫色のツンツン頭が突入してきた。

 

「酒が呑める酒が呑める酒が呑めるぞ~♪」

 

 既に上気した頬を緩ませて、隼鷹は手に持つ瓶の口と叢雲の口とでディープキスさせる。

 

「むががぁ⁉」

 

「嫌よ嫌よも好きのうちってなぁ。ほらほら、遠慮なんかせずに♡」

 

 本土ならアルハラどころか犯罪物の暴挙を罪の意識もなしに断行する。

 ぐびり、ぐびりと度数高めのアルコールが喉を通っていくのを満足そうに眺めて、満足したところで隼鷹は傾きを下げていく。

 ぷはぁ、と叢雲が新鮮な空気を求めて喘ぐ。息も絶え絶えながら、獲物を目にした肉食獣さながらに食って掛かる。

 

「じゅ、隼鷹、あんた…昼間っから呑んだくれて、私が、どんな気持ちでいたのか———始末書なんかじゃ済まさないわ…。営倉送りにしてやぁぅ———⁉」

 

「ご注文承りました。五番テーブルに立山のオーダーでーす♡」

 

反論を許さぬおかわりが叢雲を襲う。富山の名水が生んだ純米吟醸が缶ビールの様な気安さで消費を強制される。

 

「こ、このぉ、わ、私に、こんな、こんなことして、ただで済むと…」

 

頼りない足腰で隼鷹に掴みかかろうとするが、ひらりと身を躱されて拳が空を切る。

 

「うーん、これはお気に召さなかったかー。ぶっきー、叢雲って普段何呑んでんだー?」

 

「えーと、隠してるのは赤ワインが十数本あって…いつもはビールとかでお茶を濁していて、熱燗をちまちま呑むって感じですね」

 

「ちょっ、吹雪⁉あんた、なんでそのこと知ってるのよ⁉というか秘密にしている方から話すってどういう神経してんのよ⁉」

 

「この機会に泊地のみんなと仲良くなるのに秘密を一つか二つ喋っておくのがいいかなーっと思って、ごめんね」

 

「で、秘書艦様のワインセラーはこの絨毯の下か?」

 

 柔らかな敷物を捲ったが、不自然な切れ込みはなかった。首を傾げる隼鷹に吹雪は謎を解き明かす名探偵のごとくトリックを披露する。私も引っ掛かったんですけどーと、吹雪は得意げな顔で壁に視線をやって、青ざめる叢雲などおかまいなしに暴露する。

 

「ちょっと前に補修だかで部屋が綺麗になったじゃないですか。それでわざとらしく絨毯なんか敷いちゃってそっちに目が行ったんですけど、今まであったカレンダーとかポスターが微妙に動いてたので叩いてみたら壁が薄くなってて、もしかしてと思って隣の初雪ちゃんと深雪ちゃんの部屋で調べてみたらポスターの丁度真後ろの位置に切れ込みが入ってたんですよ。結構な量でびっくりしました」

 

 吹雪の種明かしに叢雲はばつの悪い顔で視線を彷徨わせる。隼鷹は嬉々として部屋をとびだしていく。叢雲は口をパクパクと開閉させて、呼び止めることもできなかった。視点の定まらないその瞳の奥に何を見て取ったのか、吹雪はいそいそと隣室に向かおうとする隼鷹を呼び止めた。

 

「隼鷹さん、叢雲ちゃんはまだ何か隠し事があるみたいですよ。本当にそこしか隠してないのならもっと遮二無二叫んでいると思いませんか?」

 

 確かに、と隼鷹は一考する。自分だったら真実を知ってしまった吹雪を拳で黙らせて死守する自信がある。にも拘わらず容疑者の態度は従順に過ぎる。諦めとも取れるが、気の強い叢雲に限っては不自然ではある。だらだらと汗を流して俯く叢雲を見るに、吹雪の推理は当たっているらしい。必死に頭を働かせているのだろう。爪の先をこすり合わせて、視線があっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。

 にやりと隼鷹は嗤った。追い詰められた自分を見ているようで親近感が沸いた。これまでは巧く隠していたようだが、彼女からは酒に対する執着のようなものが滲みつつある。もしかしたら、見られてはまずい書類の類を保管しているのかもしれないが、直感がそれを否定する。現に何も言い返していないではないか。職務に忠実な彼女がここまで狼狽しているということはそれだけで、私事(プライベート)だということを物語っている。

 

「隼鷹さん、場所を移してじっくりと話し合いませんか?叢雲ちゃんも一緒に」

 

「いや、ここで聞こうぜ。今、少しだけ口角が上がった。ここにいるのが一番嫌なんだろうぜ。分かってて聞いたんだろ?意地が悪いなぁ」

 

「隼鷹さんにはかないませんよ」

 

 両者二人、あはははははははと高笑いをして悦に入る。叢雲は理論武装が済んだのか、なんとか口火を切ろうとしたが隼鷹はそれに先んじて話し始める。

 

「床、壁ときていい感じに餌も撒いているところからして、恐らく天井が怪しいと思うんだが、吹雪はどう思う?」

 

「そうですね。私も怪しいと思ってましたけど、弄(いじく)ると気付かれちゃうかなと思って触ってなかったんですよね。叢雲ちゃん、何か危ない罠とか仕掛けてないかなぁ?」

 

 鬼畜ぅと隼鷹は戦慄しつつも、吹雪の尋問の手際の良さに胸中で称賛の拍手を送る。艦娘よりも憲兵とかの方が向いているとは思うが、一人くらいは身内でこういうのが欲しいものだ。少なくとも今追い詰められているのは自分ではないのだからどうだっていい。

 

「あ、ああ、その、えっと…」

 

「もしこれで事故とかあったらきっと、叢雲ちゃんの立場が悪くなると思うなー。だからね、教えて欲しいな」

 

 迫力のある笑顔に叢雲は進退窮まり、目尻に涙を浮かべて、この世の不条理を嘆くが如く叫んだ。

 

「も、持ってけドロボー!もう好きにしなさい‼けどね、吹雪、あんたが持ってるコニャック、開けなさいよ‼道連れにしてやるわ‼」

 

「うん、いいよー」

 

「…へ?」

 

 以外にもあっさりと了承した吹雪に、叢雲は気付く。ひょっとして衣装ケースの二重底だけでなく、他にも隠しているものがあったのではないかと。

 

「あ、あんた、他になんか隠してるでしょ⁉ほら、だしなさいよ⁉」

 

「えー、何のことかなー。わかんないなー。そんな事実無根の糾弾で責められて胸が痛むなー」

 

「じゅ、隼鷹、あんたも協力しなさい。絶対にあるはずよ‼」

 

「そーは言っても確信に足る物的証拠も状況証拠もないしなー。そんな風に戦友を責め立てるのは良くないと思うけどなー」

 

 ニヤニヤと自分を見下ろす二人に、孤立無援を悟る叢雲は部屋を飛び出した。これは敵前逃亡ではない。虜囚の辱めを受けないための戦略的撤退なのだ。だからちっとも悔しくなんてない。隼鷹の部屋に行ってガサ入れしてやる。ざまぁ見ろ。どうせ隠しているに決まっている。

 隼鷹さんもうちょっと右、そうそうそこです。おーい、吹雪、あんまり動くな、おちるぞぉ。お、おお。凄いですよ。天井が抜けなかったのが不思議なくらいぎっしりですよ。今夜はワインでバスタブがいっぱいにできますよ。そりゃあいい。今夜の宴会は盛り上がるぞぉ。

 

 

 

「だから、部屋に入れてよ‼絶対にあるんだから‼」

 

「ならそういう令状なりなんなりを持ってきてから出直してきなさい。隼鷹のとばっちりで私の獺祭が持ってかれた上に禁酒までしたのよ?少しは配慮ってものがあってもいいんじゃない?」

 

「う、うう、でも、でも、でも…」

 

 ある艦娘二人の居室の前で秘書艦と狩衣もどきを着た黒髪ストレートの女性が言い争っていた。何ごとかと首を出す隣室の住人に構わずに支離滅裂な押し合いは続く。が、結局折れたのは飛鷹の方だった。涙ながらに、でも、を繰り返す叢雲があんまりにも哀れというか、残念というか、普段の凛々しい姿を思い出すと居た堪れなくなったのだ。ひっく、ひっくとしゃくりあげはじめたので、仕方なく飛鷹は扉を開けて叢雲を部屋へと招く。

 

「はぁ、分かったわよ。取り敢えず中に入りなさい」

 

 とぼとぼとついてくる叢雲を椅子に座らせ、お茶の準備をする。ややあって、ティーカップには澄んだ琥珀色の紅茶が注がれ、戸棚から出されたいくつかの菓子が一緒に供された。

 で、何があったの?と飛鷹が聴くと素直に、今日あったことを話し始めた。仕事の大変さ、友人の裏切りを語り、最後には恨みつらみを吐き出した。

 ぶつぶつといつまでも続きそうだったので、飛鷹は、分かった、と話しを切り上げた。

 

「そういうことがあったのは把握したけど、この部屋には隼鷹が隠したお酒はもうどこにもないわよ。隠し立てするってわけじゃないのよ。隼鷹、あれに懲りて、この部屋に隠すのはもうやめたみたい。一緒に生活してる私が言うんだから間違いないわ」

 

「そ、それでも、他に何かあるでしょ⁉あいつが隠してる何かが出てくる筈よ!」

 

「———叢雲は、隼鷹の弱みを握りたいの?」

 

 剣呑な目つきで睨まれ、叢雲は押し黙った。伏せられた瞳に反省の色が見て取れ、飛鷹は諭すような柔らかい声音で、

 

「確かに、いいようにされて仕返ししてやりたいって気持ちは分かるけど、そこまでやるのはやりすぎよ。それじゃ折角あんたが骨を折って取り持ってきた関係が崩れるわよ。———あと、勘違いしているみたいだけど隼鷹は叢雲に嫌がらせしたいって訳じゃないのよ?さっき出ていくとき、態々避難させてたお宝担いで向かったのよ?あれであんたを気遣ってるんだから、恩を徒で返すのはよくないんじゃない?」

 

「そ、そうだったの…」

 

 まぁ、この機会に禁酒を緩めてもらう魂胆があるのは明らかだが、黙っておこう。なんかイイ話っぽくなっているのだし。

 

「飛鷹、このことは…」

 

「うん、わかっているわ。隼鷹には内緒ね。でもそのかわり、このあとの宴会には私を呼んでね?」

 

 ええ、当然よ、と返事をしてから気付く。えんかい。宴会。宴会?そういえば隼鷹もさっきそんなことを言っていたような。…言葉にならない不安は冷や汗となって叢雲の背筋を伝う。隼鷹でなければ、あの飲んだくれでなければこんな思いはしないのだろうが…。

 

「ね、ねぇ、飛鷹。その宴会のことなんだけど、どこまで聞いているの?」

 

「そうねぇ、鳳翔さんのとこ貸切ってやるとか言ってて、空母勢と重巡勢には言いふらしているのは見たから———」

 

 さぁっと血の気が引いた。千歳、那智、足柄、Polaが非番の時だというのに。

 

「…い、行かなきゃ」

 

 飛鷹が何か言っていたが、これ以上宴会の規模が大きくならないように話を通さないと。今から間に合うとは思えないが、できるだけ早いところで止めないと。組織人として、無秩序なパーティーを統率しなければ。幽鬼のように青ざめた顔で叢雲は部屋を出て行った。

 

 

 

「だぁからぁ、あのぼっちゃんはなぁんにもわかってないのよ!だいたい、女所帯のところに異物が混ざるってだけで、風紀の乱れとか気にしないといけないのに‼こっちの気なんて知りもしないで‼なんかシャツは透けるし、寝起きなんて隙だらけなのよ⁉そのくせ、そういうことをやんわりと言ったら汚物を見るような目で睨みつけてくるし、こっちは心配してやってんのよ⁉」

 

 わかるよー、とか、そのとーりだー、とか、適当な言葉が返ってくる。それでね、それでね、と何度目かもわからない演説は脈絡なく続いていく。

 

「これで五回目だぞ。いい加減話を変えないか?」

 

「駄目ですよー。こうしていいお酒が湯水のように飲めるのはぁ、叢雲さんのおかげなんですからぁ。これ一杯で時給換算しても破格の待遇ですよぉ」

 

「それはそうだが…。全く、水商売は少し憧れのようなものがあったんだが、この心労が毎日続くとなると、倦厭してしまうだろうな…」

 

「姉(ねえ)さんならホストやれると思うんだけどなー。結局、世の中、顔よ、顔」

 

「そんなことはないさ。それなりに話が上手くて物腰が柔らかければ男なんて選り取り見取りさ」

 

「ふふふ。響さんは羨ましいですね。私なんて不気味だとか気持ち悪いとか言われて何度自殺を考えたか。結局、ものをいうのは顔なんですよ」

 

「そーよね、私なんてどれだけ誠実に接してても三枚目扱いだし、ホントのイケメンには敵わないのよね」

 

「おい、酒宴の最中だというのに通夜のような空気にするな」

 

「そーですよー。お酒は楽しく飲んで笑うのがいちばんですぅ」

 

「一体どうした?いつも一番はしゃいでいるお前らが落ち込んでいると、周りも委縮してしまうぞ。こういうときは多少品が無くても明るい話題をだな———」

 

「———хорошо!では私がロシア美少年をとっかえひっかえしたはなしを———」

 

「———同志Верный、少々饒舌にすぎるのではないのかな?真の革命戦士足る者、社交的であれど、ペテンを弄するものではないと教えたはずだ…。君が資本主義の手先の如く虚言を弄する人物ではないと信じているのは確かだが…。先ほどの、事実と異なる発言の真意はどういったものであったのかな?」

 

「こ、これは同志Ташкент…。確かに過酷な労働の後のひと時とはいえ、革命的精神を見失うところでありました。アルコールの効能もあったかと思いますが、私の浅はかな虚栄心が事実とかけはなれた発言をさせてしまったのです。これからは自らを律し、党のために粉骨砕身の努力を惜しまない所存です」

 

「よろしい!同志Верный‼素晴らしい自己批判だ。これからも革命的精神を見失わないでくれたまえよ」

 

「ちょっとひびきぃ、あんたまた露助の政治将校とつるんでんのぉ⁉今は宴会のぉ、私の宴会のぉ、最中だってのに堅苦しいこと言ってんじゃないわよ。いいでしょぉ⁉Ташкентさん?で、響、あんた向こうで何があったのか言いなさいよ!とっかえひっかえ、だって言って———ちょ、あんたたち放しなさいよ⁉誰も聞かないから私が聞いてあげてるのに、皆だって気になるでしょーが⁉む、むむううぅぅ⁉」

 

「失礼したТашкент殿、我らが秘書艦は見ての通り酒に弱いらしく、冗談を真実と思い込んでしまう癖があるのだ。彼女には私が責任を持って言い含めておくので、酒席のこととして寛大な処置をお願いする」

 

「日向殿、そこまで畏まる必要はありません。ただの酔っぱらいの戯言をそこまで大事(おおごと)にする必要はないでしょう。主義主張の違いはいくつもの軋轢やすれ違いを生んでしまうますが、酒宴においては無礼講です。過剰な気遣いはこちらとしても心苦しい。・・・———どうやら、盛り上がりに水を差してしまったらしい。そのかわりといっては何だが、頂いた日本酒(сакэ)のいくつかを皆さんに振舞いたい。ささやかな謝辞だが、堅苦しい話で戦友諸君の楽しみを邪魔してしまった償いとなるだろうか」

 

 空気を機敏に感じ取って呑兵衛が間髪入れず囃し立てて盛り上げる。それに合わせて周囲の艦娘も歓声を上げる。

 

「お気遣い痛み入る」

 

「構わないよ。友好国のよしみなのだから、今後とも良い付き合いを宜しく頼む。では、同志Верный、少し話がある。付いてきてくれ」

 

「Д,Да…」

 

 

 

 居酒屋鳳翔の二階、座敷の宴会場から二人の艦娘が去っていくと、無理矢理明るくしていた面々は一応の落ち着きと緊張の緩みを取り戻した。

 

「漸くイワンが帰っていきましたよ。いるだけで空気が悪くなるってわからないんですかねぇ?」

 

 毒づくポーラをまぁまぁと千歳が慰める。開けたばかりの瓶を差し出せばポーラはグラスを寄せる。すみませんねぇ、いえいえ、とお決まりのやりとりで交互に注ぎ合えば乾杯の音頭で満面の笑みを称えて嚥下する。

 

「ふぅ、美味しいですねぇ。イタリアもいいですけど、ニッポンも捨てがたいです。ドイツに行ったZara姉様には悪いですけど、食べ物も、文化も最高ですぅ。これで仕事が楽だと言うことなしの天国なんですがねぇ」

 

「うれしいこと言ってくれるわねぇ。ほら、もう一杯」

 

 えへへぇ、とだらしない笑顔でグラスに注がれたワインを飲み干していく。

 先ほどまでの緊張は過去のものとなって各々は好き勝手に楽しんでいる。

 その隙間を縫うようにして、人込みをかき分けて一人の駆逐艦娘が呑兵衛の輪に加わる。

 

「いやー、叢雲ちゃんがご迷惑をおかけしてすいません」

 

「全くだぞ吹雪、これは連帯責任として、ほれ」

 

「むぅ、仕方ないですねぇ」

 

 では、と受け取った杯に、並々と満ちる酒を一息に飲み干していく。ごくり、ごくりと音を鳴らしていく様は圧巻で、呑兵衛もケチのつけようのない飲みっぷりであった。

 

「…ふぅ、これでどうですか」

 

「うむ、許そう」

 

「なんでそんなに偉そうなのよ」

 

 あははと粗野な笑いが飛び交う。アルコールが体を巡り、思考が朧げになってきたところで、そういえばと吹雪は切り出した。

 

「響ちゃんのことなんですけど、あの自慢ってホントなんですかねえ」

 

 おいおい、と苦笑気味に話しを遮ろうとするのは日向だった。鍛え上げた肉体は威圧感と包容力が渾然一体となったような不思議な風格を漂わせており、落ち着いた物腰から師匠と渾名されている。そんな彼女に、いいじゃねぇかと割って入ったのは隼鷹だった。酒宴を開くことにかけては右に出る者のいない、飲んだくれ代表。ツンツン頭の言い分は、向こうも無礼講って言ってんだから構やしねぇよぉとのこと。

 

「それを言ったら、身も蓋もないだろう」

 

「だいたい、話を振ったのは日向、てめぇだったじゃねぇか。露助にびびってんのかぁ?」

 

 びびってんのかぁ⁉とPolaが囃し立てる。

 

「まぁまぁ、隼鷹さん。日向さんだって、まさか響ちゃんがあんな暴走するなんて思わなかった筈ですよ。それに、よっぱらいのすることですからここにいる全員が共犯みたいなものですよ」

 

「それもそうか」

 

「そうですよ、主犯は叢雲ちゃんみたいなものですけど」

 

「違いない!」

 

 畳の上で猿轡をはめられているのだから、叢雲に反論の機会はない。彼女の目の前で話はどんどんと膨らんでいく。

 

「そもそもは叢雲ちゃんが助平心を出しすぎたのがいけないんですよ。ムッツリスケベにも程があると思いませんか?」

 

「普段真面目腐った秘書艦様も、一皮むけば処女丸出しだったもんなぁ」

 

公開処刑さながらの仕打ちに流石に千歳が可哀そうになって叢雲の猿轡と全身を縛る縄を解いていく。が、ムッツリスケベの処女だったのは否定の仕様がないので擁護に回る気にはならなかった。

 

「あ、あんたたち、私が喋れないからって好き勝手言って!」

 

 自由を得て大声で喚くが、酔っぱらいの耳には少々遠いらしく、これといった反応はない。ならばとばかりに、手近にあったPolaのボトルを引っ掴むとラッパ呑みをし始めた。勿体ないぃという悲鳴などお構いなしに飲み干した。叢雲は瓶を放り捨てて持論を展開する。

 

「処女で何が悪いっていうのよ⁉ムッツリスケベで何が悪いっていうのよ⁉あんたたちだって処女だったときがあったっていうのに、どうして膜のあるなしでマウント取ってくんのよ⁉普段から卑猥なこと言わないのは社会人として当然のことでしょ。それがちょっとハメを外したらむっつりだの言ってきて、ふざけんじゃないわよ⁉」

 

 ぱちぱちとまばらな拍手が送られ、息継ぎの合間にはマラソンの給水みたくグラスが差し出された。言ってやったとばかりの満足げな表情。勝利の美酒に酔いしれるアスリートのように晴れやかな気持ちをぶち壊しにしたのは、やはり吹雪であった。

 

「うんうん、叢雲ちゃんの気持ちは痛いほどわかるよー。これまで男日照りだった叢雲ちゃんにはピッチピチの若者の司令官は目に毒だったよねー。司令官をレイプする妄想でいつもオナってるもんねぇ」

 

 ぶーっ、と叢雲はワインを噴き出した。再びの勿体ないぃという悲鳴も無視して叢雲は吹雪の喉元を締め上げる。

 

「ふ、吹雪、あんたって、あんたって奴は…」

 

「えー?夜遅くに部屋に帰ってきて、ゴソゴソしてたら嫌でも起きちゃうよぉ。それとも、“野外露出投稿・隣の主夫の秘密”とかの話がよかったぁ?違うかぁ、じゃぁ、“アナル責め、止まらない射精”の方がお気に入りかなぁ?叢雲ちゃん、結構道具とかも揃えてるからそっちのほうが好みかなぁ?」

 

 ぼたぼたと口からワインを零しながら、叢雲は決意を確かなものにする。ここでこいつを野放しにしておくことはできない。何が何でも、首根っこを引っ掴んででも連れ出さなければ。芋っぽい女の襟を掴んでその場から離脱しようと振り返ると、柔らかいものが視界を覆った。

 

「詳しく話をききたいなぁ」

 

「じゅ、隼鷹…」

 

 赤ら顔の中毒患者はいい酒の肴をみつけたとばかりにご満悦だ。ひょいと脇から抱え上げられると、叢雲は呑兵衛の輪の中心まで運ばれた。

 

「まぁ、そうなるな」

 

「叢雲さぁん、お酒を粗末にするからですよぉ。というわけで赤裸々トーク行っちゃいましょう!最初は叢雲さんだけですけど、二回目以降はくじで決めましょう!」

 

「なぁ、あのテレビでさっき言ってたやつ、映さないか?」

 

「ナイスアイディア、那智姉!鳳翔さーん、使っていい?」

 

「ここを汚さなければ何だっていいですよぉ」

 

「あ、ああ…」

 

 ぐるりと取り囲まれては逃げ場などなく、既に叢雲が恥部を曝け出すのは既定路線となっている。

 

「大丈夫、叢雲ちゃん?」

 

「ち、千歳さん…」

 

 涙ぐみながら振り返るとそこには聖母の如き慈愛に満ちた笑みを浮かべる千歳がいた。彼女はなみなみと注がれた日本酒を突き出して、

 

「こういう時はノリと勢いでなんとかなるものよ☆」

 

 ばちこーんとウインクを決められて、叢雲の未来は決まった。

 

 

 

「うわー、こんなとこでチンポ出してるよ。アナルまで丸見えじゃねぇか」

 

「ふん、こんなのなんて序の口よ。このあとに包茎剥かせるんだから、街中で写真撮影ぐらいどうってことないわ」

 

「よく覚えてますねぇ。何回ぐらい見たんですかぁ?」

 

「十回から先は覚えてないわ」

 

「これって二時間ちょいあるのに、よく見るわねぇ」

 

「叢雲ちゃんのコレクションっていい感じにニッチで、お酒が入っているとすっごく楽しくなりません?」

 

「ニッチって…皆、これくらい持っているでしょ?」

 

「いや、ここまで歪んでない」

 

「処女拗らせ過ぎだと思いまぁす」

 

「まぁ、そうなるな」

 

「う、嘘よ!なんだかんだ言って、ここにいる連中全員食い入るように見てるじゃない⁉」

 

「面白映像流していたら、誰だってそっちの方が気になると思うけどねぇ」

 

「私の性癖が変だって言うの⁉」

 

「さっきからそう言っているじゃないですかぁ。そもそもPolaはぁ、そういうのは一つも持っていませんよぉ」

 

「シチュエーションとしてはエロくても、オナれるかどうかは別よねぇ」

 

「わ、私は結構こういうのは好きですよ…特にこういう地味そうな人がやってると興奮するというか…」

 

「早霜、今度いいところ連れて行ってやるから叢雲みたいになるなよ」

 

「なんで私が変態扱いなのよ⁉」

 

「あ、別に経験がないわけではないというか、内地に帰った時は殆んど風俗巡りで休み使っちゃうというか…」

 

「意外ねぇ…。それに引き換え、叢雲はこういうので発散しているから余計に処女くさいのよ」

 

「なんで事あるごとに私をこき下ろすの⁉」

 

「叢雲ちゃん、皆は別に叢雲ちゃんのことが嫌いなわけじゃないから…。弄ると面白いだけだから、気にしなくてもいいんだよ」

 

「その方が気にするわよ!今度休み貰ったら絶対処女捨ててやるんだから!」

 

「今度って言うあたりが処女の処女たる所以よねぇ」

 

「ああ。機会がなければ自分から作ればいいものを…。それだから、処女を捨てられないのだぞ」

 

「このむさ苦しい女だらけの場所のどこに相手がいるっていうのよ⁉」

 

「いるじゃないか。いつも叢雲の近くで一緒に仕事をしている———」

 

「し、司令官に手を出すっていうの⁉バカじゃないの⁉」

 

「いつも仕事でフォローをし、」

 

 

「隙あらばと狙う女を排除して、」

 

「誠実な対応で淑女的態度を崩さない」

 

「そろそろ、提督が来てひと月ってところですかねぇ」

 

「頃合いだろうな」

 

「まぁ、そうなるな」

 

「職場恋愛ってそんなの———」

 

「恋愛ってところが叢雲ちゃんらしくていいですねぇ」

 

「しょ、処女ですよ⁉どうせ私は処女ですよーだ‼」

 

「拗ねないでよ。ほらもう一杯」

 

「だいたい、あんなの好きでもなんでもないわよ!」

 

「でもオナるのには丁度いいんだよね。この前なんて司令官の歯ブラシで———」

 

「わ、わわ、わあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

「叢雲…」

 

「叢雲さん…」

 

「そこまでしてたなんて…」

 

「せめて嘘だと否定してほしかったな…」

 

「これだとお風呂の残り湯とかも…」

 

「まさか…」

 

「いや、でも…」

 

「ありえそうですねぇ…」

 

「し、しし、してないわぁ、ホントのホントにホントなんだからぁ‼」

 

「してますね…」

 

「してるな…」

 

「わ、私は、その…」

 

「よせ、早霜。庇う必要は無い」

 

「…はい」

 

「ち、違うわ…。私は性犯罪者なんかじゃないわよ…。歯ブラシだって古くなっていたから取り換えただけで、お風呂のお湯だって節水の為に———」

 

「いいんだよ、叢雲ちゃん。みんなわかってくれるよ」

 

「もとはといえば吹雪のせいじゃない⁉どうしてそんなことまで知っているのよ⁉もしかしてあんたレズなんじゃないでしょうね⁉近寄らないでよ、この変態‼」

 

「残念、私の性癖は至ってノーマルだよ。ちょっと加虐趣味なだけのノーマルだよ。私だって男の子を言葉責めするほうが楽しいけど、仕方なく叢雲ちゃんで我慢してあげているだけだよ?むしろこれまで叢雲ちゃんに優しくしてあげていたことを感謝してほしいくらいだよ」

 

「感謝の押し売りとか性根を疑うわよ⁉」

 

「まぁまぁ。叢雲さんがチキンの性癖倒錯趣味の異常者だったとしても、Polaは叢雲さんと縁を切ったりしないので安心してください」

 

「その認識はちっとも安心できないわよ⁉」

 

「誰にも、人に言えないことの一つや二つはある」

 

「叢雲の場合は十や二十じゃきかないだろうがな」

 

「他にどこまでやっているんでしょう…?」

 

「我々には及びもつかんことだ」

 

「だぁかぁらあぁ!私は、何も———」

 

「叢雲ちゃんは写真と動画どっちが好きかなぁ?」

 

「お願いします。それだけはしないでください。なんでもしますから」

 

「おー。これが土下座ですかぁ。確かに全力の降伏って感じがしますねぇ」

 

「ちっちっち。違うぞPola、こういうときはな、こう言うんだ」

 

 

『『『ん?今何でもするって言ったよね?』』』

 

 

「う、うう、ううう…。くそう、くそう、くそったれえええぇぇぇ‼」

 

「で、どうして皆さんこのセリフなんですか?何かのネタだというのはわかるのですけど…?」

 

「これはだな、有名なレズ動画の———」

 

「日向師匠、それは後にして今は叢雲ちゃんに何をしてもらうのか考えてみましょうよ」

 

「そうだな。Pola、この話しはまた今度な」

 

「いえ、結構ですぅ」

 

「あ、あんたたち、何をさせるつもりなのよ…?なんでもとは言ったけど———」

 

「はいはい、お酒のんでお酒のんで。さっきから口つけてないでしょぉ?」

 

「そ、そんなに飲んだら———」

 

「わたしがぁ、注いで上げたっていうのにぃ、飲めないっていうのぉ?」

 

「わ、わかりました…。飲みます。飲みますから…」

 

「叢雲ちゃんは千歳さんに任せて、何をしてもらうのか決めましょうよ」

 

「いいねぇ。こういうのは直前まで知らないのが面白いんだよなぁ」

 

「まんま、今見ているAVじゃない」

 

「なら、叢雲ちゃんの好みに合致しますね」

 

 

 

 月の綺麗な夜だった。風が木の葉を揺らし、虫のさざめきが響く、そんな夜だった。とうにてっぺんを越え、草木の眠る穏やかな時間だが、月明かりが差し込む廊下を歩く叢雲には風流な景色に思いを馳せる余裕など無かった。

 心臓はマラソンの最中のように高鳴り、生唾を飲み込む喉はカラカラに乾いている。どうして。なんで。後悔の念が冷静な思考を阻害する。未だに酩酊に囚われた頭脳は言われたことを遂行するための命令を四肢に発するばかりで、問題の解決の役には立たない。

 繰り返される思いのままに、とうとう目的地についてしまった。司令官の居室。上官に特別に割り当てられた区画で、平の艦娘にはない待遇の一つだ。昇進して去っていった上官がいたころには幾度となく訪れたその場所は、昨日までなら禁制の地であっただろう。

 や、やらなきゃ…!せっかくここまできたんだから、やってやるのよ!

 酔いの冷めない内に無理矢理決意を固めて、ノブに手をかける。

 と、そこで中から物音がする。厚い扉のせいでうまく聞こえないが、ひょっとして…。

 明かりもなしに部屋の中でナニをしているんでしょうねぇ?

 ニヤニヤと好色な笑みで耳を当ててみる。既にパンツは湿っていて、これから起こるだろう未来に彼女の先っぽは硬度を増していく。ピタリと耳をつけると意外にもハッキリと中の音は聞き取れた。

 

「やだやだやだやだやだあああああぁぁぁぁ‼もう無理、いや、うそ、駄目、いっちゃう⁉イキたくない‼止めて!腰止めてぇ!」

 

「そら、もっと啼け…!私を満足させろ。このマゾ豚!」

 

「い、いきゅううううううぅぅぅぅぅ!!?」

 

「そら、勃たせろ!でないと、アナルこじ開けて前立腺をぐっちゃぐちゃにするよ…!それとも、アナルを弄ってほしくてそんなことしてるのかな…?嫌ならチンポ勃たせろ!・・・できないのか。ならお望み通り、ガバガバにしてあげるよ…!」

 

「あ、あひ、ああ…。あん、そこ、ああ!」

 

「初めての癖に随分と感度がいいじゃないか…!この感じ、普段から遊んでいるな…?手を使わずに中にいれるんだ!いつもやっているんだろう?さぁ、やれ!」

 

「ふ、ふーっ!ふ、ふぶーっ!ふ、うううううううぅぅぅぅ⁉」

 

「やればできるじゃないか。だが、嘘をついていたから、もう一個追加だ」

 

「そ、そんな⁉」

 

「口ごたえしたね?もう二個追加」

 

「あ、あああ、もう、もう無理です!許してください!パンパンなんです!これ以上は絶対はいらなあああああああああぁぁぁぁぁ⁉」

 

「なんだ入るじゃないか。それじゃぁ、次は出してみようか。いち、にの、さんでいくよ。いち、にの、さんだからね。・・・・・・いち、・・・にの、だせ!」

 

「やああああぁぁぁぁ、ああああああぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

「ふふ。ホント面白い顔。あんなのに騙されて、恥ずかしくないのかい?」

 

「・・・・・・やだぁ、もうやめて…。やだ、もうやだあああぁぁ‼やだあああああああぁぁぁぁぁ⁉」

 

・・・。

・・・・・・・。

・・・・・・・・・。

 そっちねぇ。そっちのパターンねぇ。確かにエロ漫画のジャンルであるわよねぇ。持ってるわよぉ。でも、現実にあるなんてねぇ。うん。中の様子は目ではわからないけど、むしろ音だけというのが想像力を掻き立てるというか、めちゃくちゃ興奮するけど…。

 違うでしょ…!そうじゃないでしょ…!これ以上拗らせてどうするっていうのよ…!ここは乱入からの3Pに持ち込む流れでしょ…!でも、邪魔しちゃ悪いし…。そもそもこれがそういうプレイだとしたら、絶対に白い目で見られるし、何より初体験が乱交は嫌よね。そう。他人のセックスを間近で感じれるなんて一生に一度あるかないかの経験…!これはこのシチュエーションでオナれというエロの神様のお告げに違いない。こんなこともあろうかとボイスレコーダーは常に持ち歩いている。今日はひとまずこの証拠を握って、堪能するべきなのよ…!

 スカートの中に突っ込んだ手はとうに自分の分泌物で濡れに濡れ、薄布の一枚がもどかしい。片足を上げて雑に下着を取っ払うと、外気が秘所にあたって心地いい。

 ふ、ふへへ。露出狂の気持ちが分かった気がするわ。美少年に,マンコみせびらかしたらどんな顔をするのかしら…。ふへへ。

 

 

 

夜は更けていく。またとない初体験で高揚する叢雲は、新たな扉を開いたのだった。

 




おかしいなあ。18禁なのに本番になってないなんて…。
どうしてこうなった…。
次の話では絶対に本番までいきます。

叢雲ちゃんの覗きのシーンを大幅に変更しました。先のこと考えずに書くのはよくないんだなぁ。
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