※この作品はR-18です。

勇者たちをもっとイチャイチャさせたい!   作:紅氷(しょうが味)

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赤奈ちゃんが『彼』の存在に気が付く前のお話。

エロは────ないです!(断言



天降りつく神の香具山、靡く春さり来れば桜花①

それはここ最近の樹海内での出来事。

バーテックスや星屑たちを率いて勇者たちと対立する。この世界に召喚されて今まで行ってきたことだ。

 

「────どういうこと?」

 

初めの違和感はその時に起こった。

勇者部の連中は人数も集まり全体的にランクアップしている事実は揺るがない。けれど、その中でも一部の人間に対して私は意識を傾けた。

 

────犬吠埼風と白鳥歌野。

 

身体的変化は見られないこの両名だが、他の勇者たちに比べて明らかに戦闘能力が向上していることが分かった。

体力、膂力、殲滅力……およそステータスと評される部分が誰の目からしても一目瞭然だった。

 

「見つけたわよ赤嶺友奈ッ!」

「…ぐっ!?」

 

上空から星屑に乗って戦いを観戦していたのだが、一瞬の隙をつかれて犬吠埼風が星屑を足場にしてこちらに接敵していた。

振りかぶる大剣に私は右手に装着してある神器で受けていく。

 

(…なに、この力? くっ、重い……ッ!)

 

私はそれなりに自信のあった膂力も、今の違和感のある彼女には敵わず徐々に押し込まれてしまう。

まずいと判断した私は大剣を受け流してその場を離れようと跳び立つ……、

 

「させないわ! 赤嶺サン!」

「いつのまに……! きゃあ!?」

 

犬吠埼風に意識を割かれていた私の腕に鞭が巻き付いて星屑から引き離された。

吹き飛ばされている最中、私は苦い顔で二人を見つめる。

 

(……速い。何もかもが一段上の感じ……この短期間で一体なにが────)

 

策を巡らせれば勝機がある感じではあるけれど、それらを上から踏みつぶされるような『ナニカ』が私には見て取れた。

私は星屑たちに指示を出して自分の動きやすいフィールドを作って態勢を整える。

 

「力がみなぎってくる。今のあたしなら負けないわ!」

「ええ犬吠埼さん。これも一重にラブ……一気に決めてしまいましょう」

「…心外だなぁ。舐めないでよね」

 

前と後ろに配置した二人に拳を構え敵意を向ける。いくら戦闘面での力が著しく向上したとはいえ、『経験』まではそうはいかない。

『化け物』に特化している彼女たちと『対人』に特化している私。この場においてはこのアドバンテージは何より影響する────はずなのに。

 

(覆せないっ!? どうして……それにこの感覚)

 

歯ぎしりしながら私は二人の攻撃を捌いていく。

二人との戦闘が始まってから感じ始めたある『感覚』。それは私がとてもよく知っているモノで、そしてそれは同時にあり得ないものだった。

 

少しづつ、詰め将棋のようにじりじり追い詰められていく状況に私は焦り始めていた。

まだ負けるわけにはいかない。この正体を探るまでは。

 

『ハアァ!!』

 

しかし二人の圧に私は押し負けてしまった。吹き飛ばされて宙を舞う。

身動きが取れない自分に白鳥歌野の鞭が私を捉えようと伸ばされる。捕まる────その瞬間、

 

「……はっ!? 歌野ッ!!」

「犬吠埼さん!?」

 

犬吠埼風の顔色が変わる。彼女が叫ぶと同時に白鳥歌野も反射的に身を躱そうと動き出すが、それよりも早く『ナニカ』が更に上空から飛来した。

目にも留まらぬスピードで迫りくる黒い影を間に合った彼女の大剣が受け止める。

 

『きゃあー!?』

「あれは……わわっ」

 

金属がぶつかる音とともに二人が落下していった。

そのうちに私は別の『ナニカ』に身体を支えられる。

 

「──ごめんね。助かったよ」

 

その正体を知った私は抱えられながら謝罪する。下では他の勇者たちに助けられながらもなんとか生還を果たした姿が見えた。

恨めしそうにこちらを睨んでくる。

 

「…今日はここまでにしておくよ。じゃあね。みんな」

『…………。』

 

ひらひらと手を振っていつものように私たち(、、、)は姿をくらました。

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

私は根城にしている拠点に戻って備え付けてあったソファに身体を投げた。その際に勇者服を解除して私服に身を包む。

腕で顔を覆って先ほどの戦闘を振り返っていた。

 

(…あの二人以外は今までとそう変わらない感じだ。でもあり得ない。『アレ』は──あの二人は持っているものではないから)

 

下で戦っていた他の面子は今まで通りの様子だった。突出していたのがあの二人だけ。こんなことは造反神側からもなにもアクションがないので、余計に理解の苦しむ一戦であったことは間違いない。

 

「はぁ。まったく御役目ってやつはいつの時代も大変だねぇ……んー?」

 

ため息を吐いて電灯の明かりをぼーっと眺めていると、私の前に影が覆う。

視線をそちらに移すと、先ほど助けてきてくれた人物がそこにいた。

 

大赦の被る面と同じものを装着してその素顔は伺うことはできない。私はその中身を知ってはいるが、拠点にいるぐらいはしなくてもよかろうに。

 

『……ほら。激しい運動したあとは水分補給』

「あー……ありがとう。んく、ぷはぁー」

『冷蔵庫の中身が炭酸飲料だけってのはどうかと思うよ』

「いいんだってば。せっかく色々と豊かな世界に喚ばれたんだから、これぐらいのことは多めにみてよ」

『…別にいいけど。食事はちゃんととってる?』

「きちんと食べてまーす」

 

ひらひらと手を振って言葉を返す。

矢継ぎ早に返される言葉にあんたはお母さんか、とツッコミを入れたくなる。私の考えを感じ取ったのか、その者はそれ以上は言わずに踵を返して室内を出て行ってしまった。

…怒らせちゃったかな。

 

(まぁいいか……所詮今の私たちは目的が同じ『共犯者』ってワケだし。それ以上でも以下でも……ないし)

 

うつらうつらと眠りの舟をこぎ始める。どうやら自分の思ってた以上に先の戦闘の疲労がたまっていたようだ。朧げな思考の中で私はそんなことを考えて眠りについた────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてしばらく。暗闇の中で眠りについていた私は身体を揺らされて意識がゆっくりと覚醒していく。

揺すられている。そう感じて私は瞼を上げていくと、次に鼻腔を美味しそうな香りで満たされた。

 

ソファから身を起こし、眠気まなこのまま私は視線をその先に向ける。

 

────テーブルの上には色とりどりの料理が並べられていた。

 

「……なにコレ?」

 

思わずそんなことを口にしてしまうのも無理はないだろう。隣にいた……出ていったはずのその者に訊ねる。

 

『食材がなにもなかったから商店街で買ってきた。あとキッチンも借りた。あなた、全然食べてないでしょ』

「…いやいや。だからって意味わからないし。え、これ全部キミが作ったの??」

『──料理はよくやってたから味は保証する。さあ、その口元から垂れてるよだれを拭いて食べちゃいましょう』

「……ななっ!? それを早く言ってよ、もう!」

 

顔を赤くして私は口元を拭う。むっと不満顔をその者に向けるが特に意に返すことなく、私の対面に腰を下ろした。

納得がいかないが、確かにこの匂いを嗅いだら腹の虫が思い出したようで仕方なく私も座りなおして座る。

 

『…いただきます』

「…………いただ、きます」

 

そういえば目の前の人はどうやって食べるのだろうと少しだけ疑問を抱いた。興味があり動向を見守っていると、その者は顔に手をやると特に気にすることなくその面を外してしまった。

思わずズッコケてしまいそうになるがグッと堪えた。

 

「…なに? 顔になにかついてる?」

「いやぁ別にー。そのお面に何か細工がしてあってつけたままの状態でも食べられるのかなぁなんて思ってただけ。普通に外すんだね?」

「当たり前でしょう。じゃなきゃ食べれないし……そんなこと気にしてないで温かいうちに食べなさい」

「毒とか盛ってたり?」

「そんなことしたら料理に失礼。教えてくれた人にも申し訳が立たなくなる」

「ふぅーん?」

 

そこまでは問いただしてはないのだが、かの者は無自覚に言葉にしていた。

私は視線をテーブルに移す。ほかほかと湯気立っている料理に思わず喉を鳴らしてしまう。

 

箸を持って掴むと、料理を口に運んだ。和食の煮魚でちゃんと味が染み込んでいて驚いてしまう。

 

「んぐ。はむ……おいしー。私びっくりしたよ」

「意外かしら?」

「まぁー…誰が見てもあの子がまさかこうなるとは思わないでしょ。恐らくあっちも同じ感想を抱くと思うよ…はむ♪」

「たしかに、そう…ね」

 

歯切れの悪い反応を他所に私は箸を進めていく。ここにきてからはあまり目立たないように活動していたので主な食事はお察しなのだ。

先ほどのその者の言葉もその通りだったのだが、まんまと当てられてしまうのが気にくわないので意地を張っていた部分もある。

 

美味しい食事に喉や胃袋が喜んでいて、疲れも吹っ飛んでいく気がした。

 

「おかわりもらってもいいかな?」

「はいはい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

食事もほどほどに私はお茶を啜りながらぽつりと話し始める。

先ほどの戦闘のこと。二人の勇者の戦闘力の極端な上がり方。その時にあった出来事を目の前の者に伝えていく。

 

『……なるほど。あなたが追い詰められていた理由が理解できました。確かにあのまま戦闘を続行していたらあなたは負けてましたね』

「耳が痛いなぁー。で、キミの見解を聞きたいんだけど、いいかな?」

 

律儀に食事が終わると面を被り直したその者に問いかける。

しばし顎に手を当てて考えるそぶりをみせと、

 

『…あの中に身体能力を向上させる勇者がいる線は?』

「いないね。これはハッキリしてる。もしそんなことが出来る勇者がいるなら、あの場全員に同じことをすればいいだけ。わざわざあの二人に絞る必要性も見られない」

『それもそうだ。まぁ確かにあの性能は眼を見張るものがある。どうあれアタシの一撃を受けて見せたんだから』

「…で。どうなのかな?」

『勇者の中に要因がないのだとしたら後は後衛(バック)──巫女やそこらへんに原因があるのでは?』

「だよね。それは私も考えた」

 

やはり考えは一致する。あの場にいなければ後はその辺りしか見当がつかないからだ。神樹様や造反神自らが介入することがないことは裏がとれているので、大方の方針が決まった私はソファから立ち上がった。

 

面の者もこちらを見上げる。

 

『どちらへ?』

「そうと決まればさっそく潜入捜査だよ。情報は鮮度が大事ってね♪ ごはんご馳走様。とっても美味しかった」

『アタシも一緒に行こうか?』

 

端末を操作して変身をした私は振り返って応える。

 

「今日は様子見。そこから動くからその時まで待機しててよ……この世界での相棒サン♪」

『了解…。────この世界の相棒』

「くすっ♪」

 

手を振って私は拠点を後にする。さぁて、何が見つかるかな────。

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

────という経過を得て私は今讃州中学、正確にはその寄宿舎に足を運んでいた。

時刻は夜。辺りは真っ暗で闇に紛れながら私は明かりのついている部屋を一つずつ確認していく。

 

(あの二人は既に就寝中だった。特に何かをしていたわけでもなし……時間帯がよくなかったかなぁ)

 

木々や建物を跳び移りながらあらゆる視点で監視しているととある部屋で足を止めた。

おかしい。あの部屋は確かついこの間までは無人だった。勇者たちの情報はそれなりに集めてきていた中で記憶違いでなければそうであったはず。

 

あの部屋に何かがある。そう確信した私は慎重に近づいていく。

 

「…っ。あれは」

 

丁度カーテンの隙間から中の様子を確認できた。そこで見たものがとても信じられない光景だった。

 

────一糸まとわぬ姿の郡千景と高嶋友奈の姿を確認したからだ。

 

しかもこの二人お互いに口づけ……もといキスをしているではないか。そのあられもない姿に流石の私も驚いて身を隠してしまう。

 

「えー…まさかあの二人そんな関係だったとは。これは流石の赤嶺さんも驚きを隠せないよ」

 

そういう行為(プレイ)があることは私も把握しているし、知識もある。だけどまさか……と思うばかりなのが正直なところだった。

しかしこれが一つの情報であることは間違いないと考え、改めて私はその部屋を覗いていく。

 

「……ひやー。高嶋先輩もけっこう積極的だなぁ。────ん? 他に誰か」

 

丁度高嶋友奈が体位を変えたところで変化があった。二人以外に誰かがいる。目を凝らして確認したところで私は再び驚愕に曝されてしまう。

 

(う、そ……え、なんで──?)

 

まさか部員の誰かが、と思っていたがそうではなかった。言葉を失うとはこのことかと。

 

────そこには男がいた。彼女たちと同様に裸でその行為に交わっている姿が。

 

そしてその顔を私はよく(、、)知っている。けれどそれはあり得ないはずの姿だ。この世界に喚ばれるはずのない存在。

…いや、可能性はゼロではないのだがまさか彼がいようとは。そしてまさか交わって(セックス)していようとは色々と衝撃を受けた場面である。

 

「…ふぅーん。そういうコト」

 

頭を冷やすためにも一度離れる。屋上に飛び降りた私は夜風に身を当てた。

 

「なるほど。あの子たちの猛威はこういうことだったのかー。ふーん……へぇー」

 

色々と私の中で散らばっていたピースが合致する。

神樹様(そっち)がその気なら、私はうまく利用させてもらうとしましょうか。

端末を操作して通話をする。月を見上げながら私はコールを待っているとすぐに相手が出た。

 

『…なにか見つかったのかしら?』

「うん、面白いものが見つかったよ。私にとってもキミにとっても(、、、、、、、、、、、、、)、ね」

 

ちらりと部屋の方に視線を向けながら通話を続ける。

 

『アタシ? それはどういうこと』

「私の口から言っても面白くないし、そうだねー……近いうちに襲撃をかけよう。そこでキミも一緒にくればいい」

『……それ、は』

 

そこで電話口で向こうが口籠った。こういう反応することは容易に想像できたので特に思うことはない。

 

「ならこうしよう。私が目的を達成したときに恐らくあの子たちは文字通り死に物狂いで止めにくるだろうから、それをキミが少しの間だけ抑えてくれればいい。どう?」

『時間はかからない?』

「うん。手短に済まして、早々に離脱する。そしたらキミを私の『カガミブネ』で回収するからそんな感じで」

『なら受けよう』

「ありがとう。そしたらもう今日の用事は済んだから帰るね」

『ああ。お風呂は沸かしてあるから帰ったらちゃんと入るように』

「そ、そんなことまで面倒見ようとしなくていいから! じゃあね! ……もー」

 

世話焼きの相棒に悪態つきながら私は通話を切る。

なるほど、楽しくなってきたではないか。

 

「──また会えて嬉しいよ。祐クン♪」

 

自然と口角が上がってしまうのを自覚しながら私はこの場を立ち去った────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして数日後のある日。勇者たちとの戦闘の隙をついて私は計画を実行した。

 

────結果は、成功することとなる。

 

 

 

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