※この作品はR-18です。

勇者パーティーの性処理係   作:悪友

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第十一話 鉄の魔女 後編

「このっ!」

 

 弓勇者の取り乱したような声が聞こえた。

 見ると、彼は私に向かって弓を引こうとしていた。

 それは困る。私の肉体は所詮一般人、勇者の矢に当たったら一瞬でお陀仏だ。

 

「“アイテムボックス”」

 

 未だ縛られたままの手の中に煙玉を出し、地面に叩きつけた。 辺りを黒煙が包み込み、夜の闇も合わさって視界が完全に封じられる。

 まぁ私には猫耳があるから、呼吸音を聞き分けることで誰がどこにいるかくらいなら把握できるけど。

 

 さて、どうしようか。

 先ほど騎士団長に銃弾を撃ち込むことに成功した。おそらく致命傷にはなっていないが、それでも結構なダメージを与えられただろう。

 

 しかし、一番の敵は騎士団長ではない。いや、確かに彼は強いのだけれど、煙幕などで目眩ましをしてしまえば完封できる。鎧を着込んでいるせいで動きも遅いから、もしかしたら走って逃げ切ることもできるかもしれない。

 

 問題は弓勇者の方だ。彼にはなにか“私達の脱走を見抜くことができる”能力があるらしい。彼がいる限り、私達はこの王都から離れることは不可能だろう。

 弓勇者はここで殺しておかなければならない。

 

「“装填(アイテムボックス)”」

 

 そう唱えながら、私は体内の魔力が半分を切ったことを感じた。

 

 

 

 

 勇者だけが使えると言(・)わ(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)魔法、アイテムボックス。

 

 それが私にも使えると知ったのは、転生してから三年が経過したときのことだった。

 自分の近くにある無生物を異空間に収納し、いつでも取り出すことができる魔法だ。

 

 初めてこの魔法を使ったとき、私は感動した。自分こそが勇者だと、自分こそがこの世界の主人公だと思ったからだ。

 でもまぁ、実際には魔法の才も武術の才もない一般人だったけど。

 

 その後私は『戦う才能がないなら、知識で無双しよう』と様々な前世の道具を作り出した。

 

 幸いなことに、私の魔法属性は“雷”。いくら凡人な私でも、“雷魔法”なら少しだけ使うことができるのだ。

 

 雷魔法とはすなわち“電子を操る”魔法。

 

 私は気がついた。

 これを利用すれば、自由に化学反応を起こすことができることに。

 化学物質を思うがままに形成できれば、現代の武器や兵器も簡単に作れることに。

 

 そして私の暴走は始まった。

 村の生活を助けるために肥料やら薬やらを作りつつ、陰で爆弾や銃、煙玉などの兵器を生み出しまくったのだ。

 

 まぁ結局は兵器を作ってることがバレてしまい、騎士団が私を捕らえにきてしまったが。

 ちなみにそのとき銃弾で抵抗したことで、私は“鉄の魔女”なんて大層な名前をつけられてしまっている。

 

 騎士団と交戦したせいでほとんどの兵器を失ったとはいえ、まだアイテムボックスの中には少しだけ火器が残っている。王城の全員を倒せるとは言わないまでも、騎士団長と弓勇者を殺すく・ら・い・ならなんとかなる筈だ。

 

 

 私は隠し持っていたナイフで縄を解きつつ、弓勇者の方向へと走った。

 弓勇者のメインウェポンはおそらく弓。ならば、辺りが煙に包まれた今ならまともに戦えないはず。

 

「どこへいった、鉄の魔女ぉぉ!」

 

 後ろから騎士団長の叫びが聞こえた。

 銃で撃たれたくせに随分と元気だ。これは弓勇者を倒すのを急いだ方がいいな。

 

「“点火(ショック)”」

 

 弓勇者がいると思われる方向に拳銃を向けつつ、初級の雷魔法で銃の中の火薬に引火させる。すると、『パァン』という高い音と共に銃口から鉛玉が発射された。

 

「──うぅ゛!」

 

 弓勇者のうめき声。命中したみたいだ。

 多分まだ生きてるけど、動きを鈍らせることは出来たはず。

 

「“装填(アイテムボックス)”」

 

 そう唱えると、また銃の中に火薬と銃弾が込められる。

 

 私の銃に引き金はない。なぜなら必要がないからだ。

 アイテムボックスで銃筒の中に火薬と弾丸を出し、雷魔法で火薬に引火させ発泡する。それが私の銃の仕組み。

 弾を込めるのにも撃つのにも魔力を消費するので、なるべく銃は温存していきたいが、今回は仕方ない。

 

 私は再度銃を構えた。

 狙いは勿論、弓勇者の方向だ。

 次で仕留めようと、私は“ショック”を唱えようとして────

 

「させるかぁ!!」

「──ちっ!」

 

 騎士団長の足音が急速に近づいてきたのを感じ、舌打ちしながらその場を離れる。

 さっきの銃声で私の場所がばれたのだろう。煙で何も見えないはずなのに、こちらに真っ直ぐ走ってきた。

 

「くそ。ヨーイチ殿、大丈夫か!」

「だ、大丈夫です。それよりも早く魔女を⋯⋯」

 

 弓勇者の声は弱々しいものの、まだ余裕があるようだ。

 

 騎士団長も思ったより厄介だ。前に戦ったときにも感じたのだが、彼は生命力が高すぎる。多少銃弾を受けても普通に立ち上がることができるほどのタフネスを持っているのだ。

 

 どうやって騎士団長を攻略しようか⋯⋯。

 私がそんなことを考えていた時だった。

 

 

「“ウィンドウェーブ”」

 

 

 弓勇者のものでも、騎士団長のものでもない声。そしてその声と共に、私の体を強風が襲った。

 あまりの風圧で体が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 口の中に血の味が広がった。

 一体何が起きたのか、わけが分からない。

 

 

「あれ、ヒナタの髪の色が変わってる。これも魔法かな?」

 

 顔を上げると、もう周囲に煙はなかった。先ほどの魔法で吹き飛ばされてしまったみたいだ。

 少し離れたところで両腕を縛られたヒナタがもがいており、噴水の近くには騎士団長と弓勇者が。

 

 そしてお城の方向に────

 

「魔勇者⋯⋯!」

 思わず声漏れた。

 どうしてここに魔勇者が⋯⋯。

 

 いや、彼だけじゃない。魔勇者は、騎士団と思われる人間を10人ほど引き連れていた。

 いつのまにか、援軍を呼ばれていたらしい。

 

 あり得ない。私は心の底からそう思った。

 援軍を呼ぶとなると、普通は通信の魔道具を使うだろう。しかし、通信の魔道具はいわば電話のようなもの。もし使ったら私の猫耳が必ずその声を察知するはず。

 

 それだけじゃない。これだけの人数が近くに来ていたのに、私は全く気づくことが出来なかった。

 よく耳を澄ましても、彼らからは音が聞こえない。足音どころか、息づかい一つ聞こえないのだ。

 

 ──まさか、これも勇者達の能力⋯⋯?

 

 私は勇者を軽視していたのかもしれない。

 とにかく、ただでさえ最悪だった状況が更に悪くなった。このままだと私どころか、ヒナタまで処刑されてしまう。

 

 小さく「“ショック”」と唱えて魔勇者に発砲しつつ、ヒナタの方向へと走る。

 弓勇者を殺すのは諦めた。とにかく今は、生き残ることが最優先だ。

 

「アリア、わたしのことはいいから──」

「ごちゃごちゃうるさいです! 逃げますよ!!」

 

 私は急いでヒナタの縄を切ろうとする。

 早く逃げなけば。私だけならともかく、ヒナタを死なせるわけにはいかない。

 

「させるかよ!」

 

 聞き慣れない声が私に向けられた。

 そちらを向くと、黒髪の青年が剣を構えてこっちに走ってきている。彼が噂に聞く剣勇者か。

 

 剣勇者、魔勇者、弓勇者、騎士団長。

 私達を捕まえるために、王城の最高戦力達が終結してしまったらしい。おまけに騎士もたくさん。

 

 

 それでも。

 それでも、私は諦めるわけにはいかない。ヒナタを巻き添えに死ぬことなんて絶対にできない。

 

「“アイテムボックス”!!」

 

 ヒナタの縄を切るのを中断し、右手にバスケットボール程の大きさの爆弾を出す。重いものを取り出したせいで、魔力がごっそりと持っていかれたのが分かった。

 

 私はその爆弾を剣勇者に向かって思いっきり投げつけた。お前にはここで死んでもらう。

 

「ケンヤ殿!!」

 

 爆弾が当たる直前に、横から駆けてきた騎士団長がケンヤを横に突き飛ばした。

 

「──ガァァ!!」

 

 爆発。

 私の20メートルほど先で、騎士団長を巻き込みながら。その風圧に、投げた私もよろけた。爆炎の中心からは騎士団長のうめき声が聞こえた。

 

 でも、剣勇者は吹き飛ばされただけで軽傷だ。騎士団長に庇われたお陰だろう。

 

 その瞬間、私の肩に鋭い痛みが走る。

 

「い゛ッ!!」

 

 見ると、肩から矢が生えていた。弓勇者の仕業か。

 あまりの激痛で、思わず倒れこんでしまう。

 

「アリア! “リカバリー”!!」

 

 しかし、ヒナタがすぐに私に近づいて、矢を抜いて回復魔法を使った。激痛が消えはしなかったものの、傷口が塞がってきている気がする。

 

「往生際が悪いね。もう逃げられないことくらい分かってるでしょ。“アースゴーレム”」

 

 魔勇者の見下したような声が遠くで聞こえた。

 

 見上げると、地面の土が蜂の大群のように空を飛び、大きな人型を作り初めた。

 全長は三メートルほどだろうか。土で形作られた人型の化け物が悠然とこちらを見ていた。

 

 ゴーレム⋯⋯か。土属性の上級魔法だったはず。

 正直、倒せる気がしない。

 

 

「“装填(アイテムボックス)”」

 

 私は無我夢中で銃に弾を込めた。魔力はほとんど残ってないので、さっきのような爆弾はもう出せない。あとは銃でなんとかするしか⋯⋯。

 

「邪淫の勇者、覚悟!」

 

 騎士達がこちらに突っ込んで来た。数は五人。とても銃弾一発でなんとかなる数ではない。

 

「このぉ!!」

 

 ヒナタが迎え撃つ。

 剣を両手で持ち、叫ぶ。

 

 騎士達の剣はヒナタの肩や腹に当たった。でも、ヒナタはそれをもろともせずに斬りかかる。

 さっきから、ヒナタは傷ついても傷ついてもすぐに治っているようだ。見ていて危なっかしい戦い方で、そんな戦法はすぐに止めてもらいたいが、今は仕方がない。

 

 矢のダメージで伏せていた私は、立ち上がってまた銃を構える。狙いはヒナタを襲う騎士。

 

「ヒナタから離れろ! 離れなかったら撃つ」

 

 私の声が効いたかは知らないが、騎士は躊躇いがちに後ろへと下がった。元々五人いた彼らは、ヒナタとの戦闘で三人に減っていた。

 

 

 私は銃を構えながら周りを見渡す。

 どこかに突破口はないか。

 逃げ道を作ることができないかどうか。

 

 目の前には騎士が三人。

 その騎士の後ろに巨大な土人形と魔勇者。

 後ろには弓勇者。今も弓をこちらに向けている。

 右手には剣勇者と、騎士が三人。更に傷だらけの騎士団長がいる。

 左手は一番敵が少ない。とはいっても、騎士が二人いるけど。

 

 なら、私達の行くべき方向は左だ。

 ヒナタに目配せする。彼女も一瞬左の方を見ていたので、考えてることは同じだろう。

 

 一か八か、やってやる。

 

 

「“点火(ショック)”ッ!!」

 

 後ろを振り向き、弓勇者へと発砲。

 足の辺りに命中し、弓勇者は声を上げてうずくまった。

 

 銃声と共に、私達は左側へと走った。ヒナタが剣を振り回し、二人の騎士へと突撃する。

 

「く、この!」

 

 騎士は抵抗するものの、ヒナタに押しきられる。戦闘が得意では無いと言ってもやはり勇者。ヒナタも結構強い。

 

 ヒナタの開けた道を駆け抜ける。こうなったら、走って逃げるしかない

 

 騎士を蹴り飛ばし、ヒナタも走り出す。

 このまま逃げ切れれば⋯⋯。

 

 しかし、そうは上手くいかなかった。

 

「“バインド”」

 

 落ち着いた声。魔勇者のものだ。

 

 後ろから鎖が蛇のように伸びてきて、ヒナタに絡み付く。

 確か敵を拘束する魔法だ。それにより、ヒナタは魔力の鎖でがんじがらめになって動けなくなってしまった。

 

「──っ! な、なにこれ!?」

「ヒナタっ!」

 

 ヤバい ヤバい ヤバい。

 

 もう魔力は残ってない。私の武器は、あとはナイフしかない。

 

 

 でも⋯⋯。

 それでも、私はヒナタを逃がさなきゃ。

 

「このぉ!!」

 

 ナイフで鎖に斬りかかる。

 傷一つついた様子はないが、それでもなんとかするしかない。

 

「無駄だよ」

 

 魔勇者が杖を引くのに合わせて、ヒナタが引きずられて行く。凄い力だ。私とヒナタが踏ん張っても、どんどん魔勇者の方向へと近づいてしまう。

 

「さあ。アースゴーレム、ヒナタを捕まえろ」

 

 魔勇者の命令に応じて、ゴーレムの両手がヒナタを包み込む。私は土で出来た手を破壊しようとナイフで斬りつけるが、効果はない。

 

「アリア、私は大丈夫だから! だから、早く────」

「大丈夫じゃないよ? 分かるよね、鉄の魔女。ヒナタが大事なら、そこでじっとしてるんだね」

 

 ヒナタの言葉を魔勇者の脅しが遮った。

 そう言われては、私は何も出来ない。土人形への攻撃を止める。

 

 

 ────ああ、これで終わりか。

 

 

 ここで初めて、私の心の中に諦めの感情が生まれた。周りを騎士と勇者に取り囲まれ、ヒナタを人質に取られて。その上魔力も底を尽きてる。

 

 もう無理だ。降参するしかない。

 

「ヒナタは私とは無関係。私がヒナタを唆してここまで連れてきたの。ヒナタに罪はない」

 

 だから私に出来ることは、こうしてヒナタの無罪を主張することだけだ。

 

「違う! わたしがアリアを無理やり連れ出したの! 悪いのはわたしなの、アリアは何にも悪いことしてないの! 」

 

 でも、そんなわたしの唯一の希望も消えかけている。

 分かっていたことだ。ヒナタは私を見捨てようとはしない。私が自分一人で罪を被ろうとしても、ヒナタはそれを認めないだろう。

 

「いやー、美しい友情だね。良かったねぇヒナタ。お前みたいなヤツにも友達が出来て」

「違います! 私とヒナタな友達じゃない! だから──」

 

 どうしていつもこうなんだろう。

 

 何か希望が生まれたら、その度に大きな絶望が全てを呑み込む。

 まるで私に“幸せは勿体無い”とばかりに。

 

「でもね。そういう“美しい友情”っていうのを見てるとさ、何だか壊したくなっちゃうんだよねぇ~」

 

 魔勇者の声音が変わった。

 

「ねぇ、ヒナタ。僕は最近“デスペル”っていう魔法効果を打ち消すことができる魔法を覚えてね。例えばこれをヒナタにかけると、“リカバリー”を消すことが出来るんだよね」

「──ッッ!! ま、まさか」

「うん。鉄の魔女に君の本性を見て貰おうと思ってさ」

 

 魔勇者の言葉に、場がざわついたのが分かった。

 

 剣勇者は「悪ふざけもほどほどにしろ」と怒り、一部の騎士達は「さすが魔勇者殿。それは最高のショーになりそうですな」と囃し立てる。

 ヒナタは顔を青ざめさせ、ゴーレムの手から逃れようと全力でもがいている。

 

 なんのこと⋯⋯?

 何が始まるの?

 

「さて、鉄の魔女。ヒナタの正体を見る準備は出来た?」

 

 魔勇者はこちらに近づいてきた。隣には、ヒナタを抱えたままのゴーレムを控えさせている。

 

「だめ、マホト! やめて、おねがい⋯⋯!」

「何言ってるの? 友達に隠し事なんてだめだよ」

 

 ゴーレムが私の目の前でヒナタを下ろした。

 すると、ヒナタは魔勇者の足にすがり付きながら懇願する。

 

「ごめんなさい! 本当にごめんなさい! なんでもするから、それだけは⋯⋯」

「ひ、ヒナタ⋯⋯?」

 

 どうみてもヒナタの様子がおかしい。

 あんなに嫌ってた魔勇者に許しを乞うなんて、どうかしている。

 魔勇者に弱みを握られているってこと?

 

「だーめ。君の本性、見て貰おうね」

 

 そう言って、魔勇者はヒナタの頭に触れた。ヒナタは絶望したように目に涙を溜めている。

 

「いくよ。“デスペル”!」

 

 ────魔勇者が、そう唱えた瞬間。

 

 

「あ、ああ」

 

 ヒナタの様子が変わった。

 

 

 声が艶を帯び。

 

 眉が垂れ下がり。

 

 口元が緩み。

 

 眼球が空を泳ぎ。

 

 

 

 

 そして、叫んだ。

 

 

 

 

「う゛あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!♥️♥️♥️♥️♥️」

 

 

 

 

 獣のような、叫び。

 

 拷問されているような悲痛と、絶頂しているような官能を混ぜたような絶叫。

 

 

「アハハハハッ! さすがは邪淫の勇者!! 惨めだねぇ」

 

「あああああああ!!!♥️♥️♥️♥️ いああああああああああああ!!!♥️♥️♥️」

 

 

 急速に辺りを異臭が包んだ。

 

 私にとって嗅ぎ慣れた匂い。

 それはまるで、精液のような⋯⋯。

 

 

「ほら、その怪物みたいな身体も、鉄の魔女に見せてあげないと」

「ああああああああううううう!!!♥️♥️♥️ やめへぇ!!♥️♥️ やめてぇええええええ!!!!♥️♥️♥️」

 

 

 ヒナタが叫び続ける中、魔勇者がヒナタのズボンを破った。

 

 するとそこには────

 

 

「⋯⋯え?」

 

 

 あれ? これって⋯⋯男性器、だよね。

 ヒナタに、男性用?

 

 

 ヒナタは男? いや、でも胸が⋯⋯。

 

 

 ああ、そっか。

 

 

 ふたなり、か。

 

 

 

 

 なるほどね。

 

 ヒナタの秘密ってそういうこと。

 

 

 

 

「あああああああ!!!♥️♥️♥️ みないれええええ!♥️♥️ うあああああああ!!!♥️♥️♥️♥️」

 

 

 

 ヒナタの男性器は、先程からずっと射精し続けている。よく分からないけど、ヒナタはずっと、こうなることを恐れていたみたいだ。

 

 多分、ヒナタが周りから避けられている本当の理由がこれなのだろう。

 

 

 そんなヒナタに、私は────

 

 

「れろ♥️」

 

 肉棒を、舐めた。

 看守のものよりもずっと暖かく、なんだかおいしいような気がした。

 

 周りのざわめきが更に大きくなる。

 皆、私のことを指差して「淫売だ」とか「イカれてる」とか言っている。

 

 

 でも構わない。

 

 

 ヒナタの表情が変わった。

 デスペルされてから、初めてこちらを見た。

 

 

 快感が強すぎるのか目の焦点が合って無かったけど、それでもヒナタが驚いているのが分かった。

 

 

 叫び続けるヒナタに、私は語りかける。

 

 

 

 

 

 

「ヒナタ。

 ヒナタは可愛いです。とっても可愛らしい人です。

 しかも優しい。お日さまのように優しくて、暖かい。

 

 私は、貴方が大好きです。

 この世で一番、大好きです。

 

 貴方は私を救ってくれました。

 暗い檻から、光の差す地上へと連れ出してくれました。

 

 そのとき、決めたんです。

 例えどんなことが起ころうと、私はヒナタについていこうって。

 

 ヒナタはふたなりで、ちょっとエッチな子かもしれません。

 でも、そんなことどうでもいいです。

 

 エッチなレベルで言ったら、多分私も負けてませんし。

 

 ヒナタ、私は貴方が大好きです。

 

 だから、安心して下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 私はヒナタを抱き締めた。

 体に大量の精液がかかるが、気にならない。

 

 だってこれはヒナタの精液だから。

 

 むしろ嬉しいくらいだ。

 

 

 

 

「ちっ、面白くないなぁ。もういいよ。ゴーレム、殺っちゃって」

 

 

 

 

 どこか遠くで、魔勇者の声。

 

 

 

 そっか。

 

 ここで私達は死ぬのか。

 

 

 

 私はヒナタの顔を見た。

 

 

 口からは快楽の嗚咽を漏らし、何かに耐えているような表情をしている。

 

 

 多分、私とセックスしたいんだろうな。

 

 さっきから手が私の腰の辺りをさわさわしてるし。

 

 

 でも、ヒナタは耐えてくれているらしい。私を気遣っているのだろう。自分がこんなに苦しんでるのに。

 

 

「いいですよ、挿れて」

 

 

 ヒナタの顔がさらに歪む。

 顔をイヤイヤと横に振り、必死に衝動と戦っているようだ。

 

 

「一緒に気持ちよくなりましょう。私も、ヒナタと繋がりたいんです」

 

 

 ゴーレムがすぐ近くまでやって来た。

 もう、時間がない。

 

 

「愛してます、ヒナタ♥️」

 

 

 その言葉を最後に、私はヒナタの耳を塞いだ。

 

 

 周りの騒音をヒナタに聞かせたくなかったから。

 

 ヒナタを、少しでも安心させたかったから。

 

 

 そしてヒナタの目をじっと見つめる。

 

 ヒナタの注意を、私に惹き付ける。

 

 

 

 

 ここは私とヒナタだけの世界を

 

 他のものはいらない。必要ない。

 

 

 私は素早くズボンを脱ぎ捨てた。

 そして、ヒナタの肉棒に秘所をこすりつけた。

 

 

 大丈夫、大丈夫ですよ。

 

 私はそんな思いを視線に込めた。

 

 

 ヒナタは衝動に耐えきらなくなったのか、肉棒を挿れようとしてくる。

 

 

 そう。

 それでいい。

 

 

 私はヒナタにおでこを押し付ける。

 

 すぐそこで、ゴーレムが手を振り上げていたから。そんな光景をヒナタに見せるわけにはいかない。

 

 ヒナタは、私だけを見てればいい。

 

 

 

 

「ヒナタ。私は今、とっても幸せです」

 

 

 私はヒナタに話しかけた。

 

 

「ヒナタ、これはバッドエンドではありません。ハッピーエンドです。だって私は幸せですから」

 

 

 気がつけば、私もヒナタも泣いている。

 

 

「私は今、愛する人と二人だけの世界にいるんです。お日さまのように優しくて暖かい、二人だけの世界に」

 

 

 ヒナタの肉棒が私の中に入り始めた。

 同時に、ゴーレムの腕が振り下ろされる。

 

 

「だから、私は幸せです。世界で一番、幸せな人間です」

 

 

 ヒナタの目を見続ける。絶対に反らさない。

 最期の瞬間まで、私はヒナタと共に居たいから。

 

 ヒナタも同じことを考えてくれてるのか、私の目を見続けている。

 

 

「ヒナタ。私にハッピーエンドをくれて、ありがとうございます」

 

 

 私はヒナタにキスをした。

 

 ヒナタの肉棒が、私の奥に届いた。

 

 

 体がお日さまに包まれるような、甘い幸せが胸に広がる。

 

 ゴーレムの腕が間近に迫る。もうすぐ私達はペチャンコになって死ぬのだろう。

 

 でも構わない。

 

 

 だって私達は、幸せなのだから。

 

 

 

 

 

 

 だからこれは、ハッピーエンドだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これをハッピーエンドと言うのは流石に無理があると思いますの」

 

 赤髪が風に揺れる。

 見覚えのある少女は、土巨人の豪腕を片(・)手(・)で(・)受(・)け(・)止(・)め(・)た(・)。

 

 

 

 

 

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