口に含むと、優しくとけて甘さが広がる 。
一欠片食べるごとに糖分が脳に渡って、暖かい気持ちになってくる。
「⋯⋯おいしい」
正気を失ったときに感じたおいしさとは違う、本当の美味しさ。とろけるような幸せの味。
「だから言ったのに。美味しいよって」
久しぶりのチョコレートを味わっていると、鉄格子の向こうで黒髪の少女がこちらを睨んでくる。もう泣き止んではいるものの、目を赤くして鼻をすすっている。いかにも“ついさっきまで泣いてました”という様子だ。
「すごく美味しかったです。ごちそうさまでした」
「急に素直になったね。さっきまで凄い怖い顔してたのに」
「それはお互い様ですよ、勇者様」
この人だってついさっきまでは酷い顔をしていた。この世の悪いものを全て背負ったみたいな表情をしていたのだ。人のこと言えないと思う。
チョコを食べ終わった私に向き直り、勇者様はこう切り出した。
「あらためて、わたしの名前は立川たちかわ日向ひなた。こっちの世界では“勇者ヒナタ”って呼ばれてる」
勇者ヒナタ、ねぇ。
普通勇者ってのは英雄みたいな存在で、こんな女の子にはなんだか似合わない気がする。そもそもこの人弱そうだし。
「私の名前はアリアです。姓はありません。猫人族の集落出身で転生者です」
「やっぱりその猫耳って本物なんだ?」
「はい、もちろんですよ。初めて見ました?」
「うんっ!」
キラキラした視線が頭の辺りに注がれる。まぁ、地球から来たばっかりならそういうの反応になるよね。
「モフらせて!」
「嫌です」
「えぇ!? だめなの?」
そんなに触りたかったんだ。目に見えてガッカリしているのを見ると、なんだかこちらが悪いことをしている気分になる。
「勇者様、一つ言っておきますが」
「ヒナタって呼んで?」
「⋯⋯勇者様、お言葉ですが」
「ヒナタ!」
「⋯⋯⋯⋯あのですね、勇者様」
「ヒ、ナ、タ!!」
今度は子供のように頑なに名前呼びを要求してくる。こちらから顔をそらして、“ヒナタって呼んでくれないと返事しません”のポーズをとった勇者様。
ホントに年上だよね、この人。もしかして違うの?
「分かりました。ではヒナタ」
「うん! なに?」
良い笑顔でヒナタはこちらに振り向く。なんだか子犬みたいだ。
「猫人族の耳としっぽを気安く触ってはだめですよ? これは好きな人にしか触らせてはいけないことになってるんです」
まぁ、私は看守に触られまくってるけど。
「えー! ちょっとくらいダメ?」
「だめです。あと、猫人族にそういうこと聞くのこの世界ではセクハラですから。気をつけて下さいよ?」
「せ、セクハラ? なんで?」
「猫人族にとって耳としっぽを触られることは、いわば胸を触られるようなものですから」
私の答えに不服そうな顔をするヒナタ。こりゃ納得してないな。
でもまさか、“猫人族の耳としっぽは性感帯なので触っちゃいけません”なんて理由を正直に教えるのもなぁ⋯⋯。
とりあえず話題を変えるために、適当に質問する。
「ところでヒナタはいくつなんですか?」
「18歳。アリアは? 見た目的にはまだ子供だよね」
「14歳ですね。前世合わせると29ですけど」
そういうと、ヒナタはショックを受けたような顔をする。多分29歳という言葉に驚いたのだろう。転生者なんだし、前世も入れるとそのくらいいくのは当然だと思うんだけど⋯⋯。
あ、そういえばこの人バカなんだった。さてはそこまで考えてなかったな。
「えー、精神年齢じゃ年上なんだ⋯⋯ 敬語とか使った方が良い?」
「別に大丈夫です。今の人生を重視する派なんで、年下だと思って接して下さい」
実際私もヒナタのことは年上として扱うつもりだ。なにせ精神的には30年生きているといっても、所詮10代前半までの人生を二回繰り返しただけなのだ。あくまで私のした経験は14、15歳の域をでない。
さて。しばらく駄弁っていたけど、そろそろ本題に入ろう。
正座に座り直して、体をヒナタの方に向ける。ヒナタも私の緊張感を感じ取ったのか、真面目な顔をしてこちらを見た。
「ヒナタさんは、どうしてここに戻って来たんですか?」
「えー、言わなきゃダメかな」
「できれば教えて欲しいです」
彼女は何かを企んでここに来たわけじゃないと思う。
あの泣き顔や絶望を孕んだ笑顔は、何かを企んでいる人の顔ではなかった。おそらく、何かしらの辛い事情があって私に会いに来たのだと思う。
でも、それだけじゃ足りない。
怖がりな私は、彼女に明確な根拠を求める。
“彼女が本当に私の敵ではない”という根拠を。
「わたしだってなんでアリアが捕まってるか聞かないであげてるんだけど。君もワケアリなんでしょ?」
「別に私は教えてもいいですよ。なんで捕まってるか」
別に私が捕まってる理由は話しても構わない。知識チートで失敗したってだけなんだから。
しかし、”毎日看守に犯されている”ということはヒナタには話したくない。いくらヒナタが私と似ていて、私に匹敵する辛さを味わっているかもしれないとしても、まだヒナタに対する妬みが消えたわけではない。少なくとも彼女は表・面・上・は幸せそうなのだ。そんな人に、私の一番暗いところを見せたくはない。
自分勝手かも知れないけど、正直なところ私はまだヒナタを信用しきっていないのだ。
「ヒナタ、教えてくれませんか?」
ヒナタはかなり悩んでいるようだ。手で髪を弄りながら、真剣な顔をして考え始めた。
そして10分ほど悩んだあと、意を決したように口を開いた。
◆◆◆
ヒナタが帰ってからしばらくたった後。
いつものように看守はやって来た。
看守の肉棒を両手で握り、亀頭を口に含む。唇でカリを刺激しながらチロチロと舌を這わせる。
「おい、今日の飯は上手かったろ。俺が手作りしてやったんだぜ」
あぐらをかいている看守の声が、四つん這いでフェラする私の頭の上から聞こえてきた。看守の手が伸びてきて、私の髪を触る。
「んぐ、んむぅ⋯⋯っぷは。はい、おいしかったです」
ヒナタのことについて考えていた私は、適当に答える。そうすると看守が目に見えて狼狽えたのが分かった。
「は? うまかった?」
「はい。とっても美味しかったですけど」
髪を弄る手が固まったので、不思議に思い顔を上げる。そこには、キョトンとした顔でこちらを見つめる看守の顔があった。
「⋯⋯そうか、うまかったのか」
得たいの知れないものを見るような目がこちらに注がれる。しかしヒナタの話で頭がいっぱいになっている私には、どうして彼がそんな目をするのか思い当たらない。
「フェラはもういい。横になれ」
私は看守に言われた通りに仰向けで寝転ぶ。
足を広げられて、秘所がさらけ出される。
「ああ? あんまり濡れてねぇな⋯⋯」
ホントだ。何でだろう。看守は挿入の前に毎回フェラをさせるので、私はある程度肉棒を舐めると自然と濡れてしまう癖がついていたはずだ。
なのに何故か今日は濡れない。
「くそッ。濡れてねぇのに入れても気持ちよくねぇんだよ! なんでちゃんと濡らさねぇ!」
なんか理不尽なことで怒られている気がする。
そういえばヒナタは昨日“怒られる”という言葉に過剰に反応していた。彼女は何か怒られることに対するトラウマでもあるのだろうか。
看守の指が乳首をつねる。
「んううッ!」
「早く濡らせよ、淫売のくせに!」
痛い。これで濡れるわけない。
手加減してつねってるんだろうけど、そもそも乳首は優しく触らないと気持ちよくないし。発情してたり、エッチな気分になってたら別だけど。
「気持ちいいんだろ? 我慢してんじゃねえよ」
「ひゃあん、 ああぅ♥️」
今度は陰核を触られる。慣れ親しんだ、電流のような快感。
でも、なんだろう⋯⋯。なんとなく余裕がある。いつもみたいに、快楽にされるがままな感じはしない。
「チッ⋯⋯! もういい、挿れるぞ!」
看守は苛立たしげに陰部に肉棒を当てた。
ゆっくりと中に侵入されているのがわかる。奥に進んでいくのに合わせて、腰の奥に快楽の波が響く。
「ふうぅん、んぅうう♥️」
「オラ、感じやがれ! オラ!」
「ひゃああ♥️ うああっ」
正常位なので看守の必死な表情がよく見える。
勿論私の余裕も消えてきたし、揺さぶられる度に脊髄にピリピリする快感が広がってきた。
しかし普段ほど激しいものではない。まだ頭の片隅で他のことを考えるだけの余力がある。
私のそんな様子が看守にも分かるのだろう。悔しそうな顔をしながらピストンを早める。
「イけッ、イけっ、イけぇぇ!」
「ぁあああ!♥️ ひゃううん⋯⋯♥️ んんぅぅ!!♥️♥️」
「イけぇぇえええッッ!!!」
お腹の中にジュワァァと熱が広がる。中に出されたようだ。
しかし別に問題はない。看守がいつも行為の後に避妊の魔法をかけているからだ。彼にとっても、私が妊娠するのは都合が悪いのだろう。
「はぁ、はぁ、くそッッ!!」
「ふうぅぅ♥️ ふぅぅ⋯⋯っ♥️」
珍しく私よりも早く看守がイったなぁ。
いつも私は看守の射精よりも先に失神しちゃうから、なんだか変な感じだ。
「ちょっと待ってろ」
私から陰茎を抜き、鍵もかけずに檻から出ていく看守。
あれ? これ脱走のチャンスじゃん。いや、流石に無計画に逃げても捕まりそうだから逃げないけど。
看守がどこかにいくと、自然と頭の中に昼のことが思い出される。
ヒナタが私に会いに来た理由を話したときの記憶だ。
彼女は私に、ゆっくりと話し始めた。
『わたしはね、落ちこぼれの勇者なんだよ』
そう言ったヒナタの顔は、どこか悲しげな雰囲気を纏っていた。
『今回召喚された勇者はわたし以外にも3人いるの。みんな同じ日本人とは思えないくらい強くて、召喚されてからすぐに魔物と戦えたんだ』
『でもね、わたしだけは違った。剣を握るのだって怖いような臆病な人間だった。役立たずな勇者だったの。他の勇者に毎日バカにされるし、お城で働く人達もわたしのことを鬱陶しがるの』
『わたしが歩いてるとね、みんなこっちに指をさして言うんだ。気持ち悪い、近づかないでって。』
『あの城にわたしの居場所はないの。だから、ここに逃げてきたんだよ。ここには私のことをバカにする人がいないから』
「ちゃんと逃げなかったみたいだな」
看守が帰って来たみたいだ。手には男性器を模した張り型が握られている。
「もう一回だ。仰向けで寝転べ」
言われた通りにすると、看守の手が私の足を開かせた。
「まだ濡れてるな。手間が省けた」
看守は張り型に秘所から溢れる愛液を塗りつけ、私のお尻の穴にあてがった。
「力を抜け。挿れるぞ!」
「んううぅぁ♥️ 」
菊門をこじ開け、直径3㎝ほどの張り型が侵入してくる。私の嫌いなアナルを弄るつもりらしい。
しかし、看守の行動は私の予想を裏切るものだった。
張り型をお尻に突っ込んだまま、肉棒の先を陰部に押し付けたのだ。
「へ?」
「2穴プレイってやつだ。存分に味わえ」
2穴って⋯⋯。
うそ、え、そういうこと? 本気なの!?
「だめ、それはだめ、絶対ムリっ!」
入るわけがない。
いつも片方だけでもキツいのだ。二本も入れたら、確実にやばい。
しかし青ざめる私を見て、看守は“その顔が見たかった”とばかりにニヤリと笑う。
「いくぞ。⋯⋯ぅおおぉっ!」
「くううううぅぅッ!!♥️♥️ んあああ♥️♥️♥️」
内蔵が、押し潰される。
苦しい。さっきまでの余裕が嘘のように、苦しい。
でも、散々開発された私の身体はそれすら快感と認識する。
二つの棒が奥の方で擦れ会うのがとてつもなく気持ちいい。
「ぁあああ!♥️ ぬいてッ♥️ ぬいてぇえええ!!♥️♥️」
「バカ言え、誰が抜くかっ⋯⋯よ!」
「ひぎぃいいいいいいッッ!!!♥️♥️♥️」
容赦のない前後運動。
内蔵が外に引きずり出されて、また戻されるような感覚。
鈍くて重い、身体全体に響くような快楽。
「やああああッ♥️♥️ くるじいのッ!♥️ つらいのぉぉ!♥️♥️」
「ハハハッ、そうだ、鳴け! 思いっきり鳴きわめけ!!」
「うああああああああああああッッ!!♥️♥️♥️」
ヨダレを撒き散らし、愛液と腸液でべちゃべちゃになりながら、私の快楽は最高潮を迎える。
腰が跳ね回って、女に生まれたことを後悔したくなるほどの快感苦痛。
「ぅああッ!♥️ ひあああああッ!!♥️♥️」
いつまでたっても絶頂から降りてこられない。
全身の筋肉が硬直し、快感が指の先まで駆け巡る。
「まだへばってんじゃねぇぞッ! おらっ!!」
「ッッ~~~~~~!!♥️♥️♥️」
肺の空気を出しきってもまだ叫び足りない。口をパクパクさせながら声にならない悲鳴をあげる。酸素がたりなくて、酷い頭痛とめまいに襲われる。記憶が飛びかけ、看守が何を言っているのかもわからない。
私はここで、意識を手放した。
ヒナタの話を聞いてるときに、私は思った。
“この話には違和感がある”と。
ヒナタの言葉にはどこか嘘がある。
いや、もしかしたら嘘というほどのものじゃないかもしれない。
しかし彼女が何かを隠しているのは確かだ。
勇者として召喚されたのは本当だろう。
剣を握るのが怖い、戦うのが怖いのも本当なのだと思う。
だが、ヒナタが最後に言ったこの言葉──
『わたしが歩いてるとね、みんな指をさして来て言うんだ。気持ち悪い、近づかないでって。』
ヒナタの話だと、彼女は戦うのが怖いだけでそれ以外に問題はないはず。
でも、戦うのが怖いというだけで気持ち悪がられるものなのだろうか。
ましてや、”近づくな”なんて言われるのだろうか。
仮にも異世界からわざわざ召喚した勇者なのだ。
臆病というだけでそこまで迫害するのは不自然だと思う。
ヒナタには、何かがある。
他の勇者や、お城で働く人達に差別されるだけの何かが。