「ん……っ、ぅあっ、……あっ」
静かな密室の中で、粘り気のある水音が響いていた。
それと、鈴を転がしたような可憐な少女の押し殺した声。
「ん……く……っ、は、気持ちぃっ……!」
くち、くちゅっ。
ぬめり気を帯びた淫猥な音が、がらんどうな独りの小部屋で少女の鼓膜を震わせ、犯す。
自らの肉体から出た音で、自らの耳を犯している感覚に陥る。
それは、興奮だった。
熱い、熱い、とろけるような情欲の滾りだった。
「んあぁっ! あっ、んっ、んぅぅぅぅっ!」
その少女は自慰にふけっている。
下腹部のその下の突起を、割れ目を、一心不乱に撫で続けている。
ぐりぐり、くちゃ、くちゅっ。
徐々に、徐々に、しかし確実に早くなっていく指の動き。
少女の全意識は“ソコ”に集中されている。
ナニカを昇り詰めてゆくような、そんな加速。
「ああああっ! もうっ……もうダメッ……! イッ——!」
いや、今まさに、昇り詰めた。
ビクッ! ビクッビクッ! ビクンッ!
ぐったりと、しかし多幸に包まれた様子で脱力をする少女。
そこには、酸素を取り込もうと激しく上下する胸と、蕩けきった甘い瞳と、時折名残惜しそうに痙攣する蠱惑的な肢体があった。
少女は濡れて淫らに光を反射する指を掲げ、見つめ、ほうっと独り言ちる。
「……やっちゃった。俺、男なのに……っ」
そういうが、その肉体は間違いなく10代半ばの少女である。
加えて、濡れた指を見つめて頬を紅潮させて恥じらう姿など、年頃の少女にしか見えぬ。
少女はもうひとつ、ほうと熱を孕んだ溜め息を吐くと、乱れた長髪をさらりと払った。
「……気持ち、よかった……これが、女の子の——」
——濡羽色の烏のように美しい長髪。その黒髪の裏側は、鮮血のように真っ赤に染まっている。
黒に赤の美しいメッシュが、同じく鮮血のような赤い瞳によく映える。
「もう、いっかい……っ」
——少女の名はレン。
一日前までは男だった、美しく可愛らしい女体化少女である。
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「いやしかし、どうしよう」
少女——レンは、体格に全く合っていないぶかぶかな洋服を身に着けながら、そう独白した。
彼女は前日まではれっきとした少年だったのだ。
それが、壮絶とした灼熱の夢から目が覚めてからは、身体が完全に少女のモノとなってしまっていた。
一夜にして完全に性別が入れ替わるなど、全く以てあり得ないこと。
自分が自分だと身分証明もできない、おまけに夢の内容も、ただの夢と笑うには悲惨でリアリティーのあるものであり、少女と化したことと関連がありそうなもの。
故に、行動を迷った。
すると、ベッドの脇に青いバットが転がっているのが見えた。
これは夢に出てきたバットと全くそっくりな代物である。
現状、この異常事態の数少ない手掛かりと言えた。
そして、もうひとつの数少ない手掛かり。夢の舞台となった場所、研究センター。
夢の中でレンは、そこで事件に巻き込まれていた。
なら、今そこはどうなっているのか。行けば何かが分かるのではないか。
そんな期待を抱いて、レンは黒と赤の美しい長髪を揺らしながら向かうのだった。
——そこで、さらにもうひとつの手掛かりであるマリル・フォン・ブラウンという女性から、たいへんえっちな目に遭わされるとも知らないで。
かくして、女体化少女レンちゃんの、性に戸惑うえっちな物語が始まった。