変に名前を付けても、男時の名前を〇〇にしても、なんか興ざめな気がして。
だから最初からレンちゃんはレンちゃんです。
では、本編どぞー。
「——少なくとも『イージス』にとって、お前は男だ」
そう、燃え上がる赤髪の女——マリルに、レンは男であると告げられたのだった。
『イージス』と呼ばれる異質物、ソフトウェアシステムの“魂”を識別する機能によって、レンは見事、元男であることを証明できたのであった。
「やった……!」
男としての尊厳を取り戻すことができる、と喜びを露わに——
「まあ、お前はもう男として生きていけないけどな」
「……へっ?」
したところで、冷水のように心無い言葉が掛けられてしまった。
思わず呆けた顔を晒すレン。
「機密情報を知ってしまったら……どうなるかお前でも分かるだろう?」
ずいっ。
そう言って突如、迫るマリル。
どことなく楽しそうに嗜虐的な微笑みを浮かべる彼女に、レンは無意識のうちに後ずさりをしてしまう。
それもすぐに壁に追い詰められ、逃げ場を失った。
そう、機密情報なのである。『イージスの魂の識別システム』は。
一般公開されていないそれを、一般人のレンが知ってしまえば……。
それが分かってしまったレンは顔を青ざめている。
だがマリルはそんなことお構いなしに、壁に手を突いてレンを押し付けた。
ぐいと顔を寄せ、まつげとまつげが触れてしまいそうなくらい、ふたりの距離が縮まる。
(か、顔が近いってっ!)
それのせいで、レンは顔を青ざめさせながらも紅潮するという器用な真似をしていた。
マリルは相当な美形だ。先日まで健全な男子であったレンが緊張するなど当然の帰結である。
心臓が破裂しそうなほど踊っているレンに、マリルは熱っぽい囁き声で語り掛ける。
「そう。だから今から、お前は私のモノになるんだぞ~?」
「ふあっ——」
熱にあてられ、意思とは関係なく勝手に“反応”してしまったレンに、マリルはこう続ける。
「IDは2519G1911、15歳。身長165……いや、今は161か。体重も結構軽くなってるから、こっちも更新しよっと」
「——ん?」
想像していた言葉とは違うものが出て、レンは正気に戻ってマリルの顔に目を向けなおした。
そうしたら、彼女の手元から軽快な電子音が聞こえた。
それは、タブレットに情報を入力している音だった。
「ネット通販の履歴に面白いのがあるな。『俺の妹がアイドルなわけがない』『魔愛H』。それに抱き枕まで購入済み……スペシャル版だと?」
「おっろろろろあああああああぁぁぁぁッッ!!! 見るなッ!! こらぁぁ、見るなああああぁぁぁッッッ!!!!」
それは唐突な公開処刑であった。
「くくくっ、レベル5権限を持っていてこんなに面白い事は初めてだな……。さて……データ編集開始……性別を『女性』に変更!」
そしてレンの男としての矜持の拠り所に、あっけなく終わりの一手を打ったのだった。
「そ……、そんな簡単に……?」
「ふぅ~(いい汗)。全行政システムにあるお前の記録を修正したぞ。これでもう、法律上じゃお前は女・の・子。女性専用車両に乗っても大丈夫だぞ~♡」
「なんてッ! なんて簡単なんだッ!!」
あまりに簡単に他人の人生を変えられることに、レンは大きくショックを受ける。
男であると証明されたそばから、お前は今日から法律上でも女と言われるこの仕打ち。
悔しさ、という感情が湧き、それは涙へと変換されてゆく。
次から次に、変換される。
「ぐすっ、ううぅぅぅ……」
突然レンが泣き出したことに、マリルは僅かに目を見開いた。
「えっ、まさか泣いちゃった? ははは、よしよし……」
「ううううぅぅぅ……」
泣きじゃくるレンの頭を優しく撫でて、悪かったとばかりにあやすマリル。
だが、レンは気づいていないが、その目にはゾクゾクとした悦が見え隠れしている。
だが、レンへの態度そのものは愛らしいものを愛でるそれなので、優しくはある。
「あぁ、その泣き顔、可憐で愛おしくて、本当いじらしいなぁ」
「ぐすっ……」
「ほらほら、もう泣かないでね~レンちゃ~~~ん。……そうだ、保護者だが……うん、私でいいか」
「い……いやだッ!」
が、それもこの拒絶を聞くまでであった。
突如としてマリルの纏う雰囲気が針のような鋭いものに変わり、口調も厳しいものとなる。
「ほう? 反抗期か? 少し優しくしてやったからといって、私が話せば分かってくれる人間と……思い違いをしているんじゃないだろうな?」
「すみませんっ! マリル様っ! 俺が悪かったですっ!!」
「あ~あ~、今のような態度を考えると~、やっぱりお前を監禁しておくべきかな~」
「かんきっ……っ!? なっ、何を言って……っ!」
と、“監禁”という言葉に反応して、レンは薄っすら顔を赤くして動揺した。
もちろん、その様子の変化に気づかないマリルではない。
「ん? 顔を赤くしてどうした……はは~ん? さてはお前、“期待”したなぁ~?」
「しっ! しししししっ、してないッ!! ぜんぜん期待なんてっ、してないッッ!!!!」
——嘘。ホントウはしてた。
つい先ほどまで、あれだけ女の良さを叩きこまれていたのだ。
未だにカラダの火照りは冷めやらぬ。
その火が再度点火するなど、いとも易いことであった。
レンは、無意識のうちにスカートの上から股を押さえ、切なそうに両の太ももを擦り合わせている。
「——本当、いじらしい……」
そんな、大いにそそられるレンの姿に、マリルはあてられて——
ピピッ。
「む……機密通信か。……対応しなければならんな。すまんが、お前は大広間で待っていてくれ」
「あ……うん……」
そう言うと、マリルはさっと……いや、若干名残惜しそうに端末を持って身を翻したのだった。
一気に霧散した妖しい空気に、レンは戸惑いながらも素直にうなずくのだった。
△▼△▼△▼△▼△▼
少しして、大広間。
未だじんわりと涙が滲む状態で、レンはそこにある鏡の前で、自らの容姿を眺めては複雑な思いを感じていた。
(はぁ……まるで俺、本当の女の子みたいだ……。下もスースーするし。……ん? これって、トイレはどうすれば……)
それと同時に、尿意も感じていた。
もぞもぞ、とスカートの裾を握りしめると……
「何をしている?」
「うわああぁぁーっ! ああぁぁぁ――っ!!!」
マリルがぬっと現れた。
飛び上がり悲鳴を上げたレンは、ざわつく気持ちのまま何かへの言い訳を始める。
「違うんだ……っ!! 変な事とか考えてないから……」
「ははは、お前は誰に謝っているんだ? もしかして……自分の身体にか? ……まだ涙がまつ毛にかかっているな。ほら、ハンカチだ」
「あ……ありがとう……」
(ど、ど、ど、どうしよう……?)
女性特有の甘い匂いのするハンカチを受け取りながら、レンは今、羞恥と戦っていた。それと男としてのプライドとも。
あれだけ女としてよがり狂ったとしても、自分は男であるという認識は断固としてあるからだ。
つまり、男でありながら女のトイレのやり方を教わることに強い抵抗がある。
……ついでに、マリルに聞くというのも抵抗を覚える理由のひとつだ。
だが、そんなこと膀胱さんには全く以て関係のない話。
早くしてくれよと急かす膀胱さんの圧力に、あっけなく折れてしまうレンであった。
「マリル……あの……お、お、女の子って……」
「なんだなんだ……人に物事を聞く時は、はっきり言え」
「……どうやってトイレを使えばいいの!?」
意を決して言い放ったが、マリルにとってはいささかその質問は唐突に過ぎた。
「……は——!?」
一瞬呆気に取られ、その後。
マリルは腹を抱えて噴き出した。
「ぶぁっはっはははは~~~~ッッ!!」
(こんな、こんな質問をしちゃうなんて……っ! またからかわれる……だけど我慢の……限界……)
すでに津波はすぐそこまで押し寄せてきている。
肉体構造が変わって柔らかくなったダムの堤防は、いつ決壊してもおかしくはなかった。
「わ、笑うなよッ!!」
「まあ……普段通り座ってやればいいさ。女子トイレは廊下の向こうだ、早く行け」
「分かった……その、ありがと……っ」
恥ずかしさで赤面しながら、涙目で礼を言い、ぴゅ~っと走り去るレン。
一旦女子トイレの前で男としてのプライドとバトルになったが、一瞬で尿意の方が勝ったようだ。
それはそうだ、男として以前に理性ある人間としての尊厳の方が大事だ。
人前で漏らすくらいなら女にもなろうというもの。
(ぷっ! アイツ。結局は涙目になりながら女子トイレに駆け込んでいったではないか……なんだ……あの可愛い生き物はッ!!)
マリルはマリルでなにやら悶えていた。
△▼△▼△▼△▼△▼
「間に合った~~ッ!!」
そんな安堵が多分に込められた言葉と共に、レンは女子トイレの個室に入っていた。
急いでスカートを下ろし、可愛らしいピンクの下着も下ろして、ストンと便座へと小ぶりなお尻を落とした。
「ん——」
ぶるる、と身体が震えたと同時——
シャ————。
「んあ……ふぁぁ……」
妙に甘い声と共に、我慢していたものが解放された。
ふるふると震えながら口を半開きにし、潤んだ瞳はどこか遠くを見やり。
背筋をエビのように反り返して、しかしお尻は突き出すような格好をするレンは、見る者が見れば強い興奮を抱くほどに艶めかしかった。
「は……ふぅ……スッキリした……」
失敗することなくきちんと女の子としてトイレが出来たレンは、ペーパーを千切って濡れたそこを拭く。
……が、そこでとあることに気づく。
(ちょっと待って……なんか……まだ……残ってる感が……?)
そう——女は、男と比べて肉体構造的に残尿感を感じやすい。
男から女へと変化したレンは、より顕著にそれを感じていた。
一度感じた残尿感は、中々消えてくれない。
レンはペーパーで拭うループへと陥ったのであった。
「ああ、もう。何度キバっても残ってる感が……」
拭えば、ちょっとだけ雫を吸い取る。
吸い取ることが無くなるまで、拭いたくなるのが人間というもの。
レンは何度も、ソコを拭っていた。
「…………。……あっ……」
拭う行為とは、見方を変えれば擦っているということ。
散々マリル達に弄ばれたレンのソコは、少し触れば反応してしまう程度には、未だ敏感であった。
「んっ……ふぁっ……あっ、ん……」
くちっ、くちっ。
もうあまり濡れなくなっていたペーパーが、どうしてか、じわじわと濡れが広がっていく。
それはやけにぬるぬるしていて、ペーパーとの間に銀の糸を引いていて。
膀胱という器官から生成される液体とは、明らかに違うナニカが溢れ始めていた。
「んぁっ、はぁっ……はぁっ……んっ」
くちゅっ、くちゅっ、ぐちゅ。
段々と水気が強くなってきた。
先ほどよりも明らかにぬるぬるの分泌量が増している。
もう言葉も濁す必要もない。
レンは性器弄り——自慰を始めた。
全く綺麗なピンク色をしている小さな豆を、“いぢめる”ことに夢中になっていた。
(気持ちいい、気持ちいい……気持ちいい! ——でも、足りない……っ)
思い返すは、先ほどのマリルからの悪戯。
あれは、自分では得られることのできない凄まじき快感であった。少なくとも、今のレンでは。
まず、指の使い方に差がありすぎる。
生まれた時から女である彼女と、今朝女になったレンとでは、経験値に差があるのも当然の話ではあるのだが。
絶対に認めないであろうが、すっかりあの女の快楽の虜になってしまった様子のレン。
だがひとりではどうしても得られることはない、あの快楽。
ならばどうにかしてアレに近づけようと考えて——不意に、甘い匂いが鼻腔をくすぐった。
(あ——ハンカチ)
そう、レンはトイレに行く直前に、マリルからハンカチを受け取っていたのである。
それは、至近距離で嗅いだ彼女の女性特有の甘い匂いそのもので。
つまりは、マリルがココ(ハンカチ)にいた。
「んんぅうううぅぅぅうううぅぅぅぅッッッ!?」
ビクッ! ビクッ、ビクンッ!
そう認識した瞬間、レンは一度絶頂した。
ボンヤリとする思考の中、レンは確かにあの時の幸福感に届きそうな快感を得た。
これだ——
そう思った次の瞬間には、レンはハンカチを鼻にあて、胸が膨らむほどいっぱいに鼻から酸素を取り込んだ。
途端、ペーパーは紙としての機能を失うほどに愛蜜に濡れた。
もはや滴っているほどである。
吸って、吐いて。吸って、吐いて。吸って、吐いて。
すーはー、すーはー、すーはー、すーはー。
指の動きが激しくなる。
何度も何度も何度も、可愛らしくも淫らな突起に指の腹をあてて上下する。
さながら、マリルの情け容赦ない愛撫のように。
「マリル、マリルっ、マリルッ、マリルッッ!!」
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃぐちゃぐちゃ。
普段の自分からは考えられないほど夢中になって、一心不乱にソコをいぢめ抜くレン。
いっそ異様なほどの興奮のあまり、集中しすぎてここがトイレであることを忘れている。
音など、外に漏れてしまっているのではないかというほどだ。
「あああああああああああッッッ!! ダメっ、イッくぅぅぅッッ!!!」
そしてそれほど興奮していれば、限界が早いのも自明の理。
あっという間の早さで、レンは快楽の頂へと昇り詰め、噴火する。
すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!
トドメとばかりに、マリルの匂いを肺いっぱいに詰め込んだ。
——そして、再度の絶頂を迎える。
「イッ——くううううううううぅぅぅぅぅぅッッッ!!!」
レンの意識は、白一色に染まった——
△▼△▼△▼△▼△▼
「おかえり、ずいぶん遅かったな? で、『どうだった?』」
「こ……こういう事の感想を……聞かないで……っ。ぁぅ……っ」
そう消えてしまいそうなか細い声で言うレンの顔は、茹でダコよりも真っ赤だ。
その様子に何があったか瞬時に察したマリルは、愉快そうなにやけ顔を顔に張り付かせている。
「あ~そうだ。私のハンカチだが、女としての人生を歩みだしたお前にプレゼントしてやる。女として生活するなら、ひとつくらい女らしい物は持っておいた方がいいだろう? なあ、レンちゃ~~ん」
「~~~~っ!! 絶対分かって言ってるだろッッ!!」
「何の事だ~? 別に、やけに甘~い悲鳴が聞こえたとか、何度も私を呼ぶ声がしたとか、妙な水音がずっとしてたとか、そんなことは全然ないぞ~~?」
「う、うあああああああああぁぁあぁぁああぁああぁぁッッッ!!??」
ばっちり丸聞こえである。
首筋どころか全身が真っ赤なペンキで塗ったようになるレンだが、そもそもあんなトイレでおっぱじめる自分が悪い。
唯一の救いと言えば——
「……安心しろ。この辺りには私しかおらんよ。他の誰にも聞こえていない……はずだ」
偶然にも誰も近くを通らなかったことか。
いや、それでも最も厄介な人物には聞かれてしまっているのだが。
(し、死にたい……ッ!! 匂いなんか嗅いで興奮して……これじゃあ、アニーの言った通りの変態じゃないか……ッッ!!)
「そんなに私が恋しかったのか? 可愛いな~~レンちゃんは~♡」
「……くそくそくそっ!! 必ず! 一刻も早く男に戻ってやるっ!!」
男に戻ったところで、変態オナニー野郎の汚名が払拭されることは無さそうなレンであった。
感想、誤字脱字報告受け付けておりま~す。
TSバンザイ! 女体化バンザイ!