さて。Kenshi世界で生きるために必要なのはなにか。
答えはお金だ。単位は
ゲームが公式で日本語化されてなかった頃には猫とか呼ばれていた。
一部の人は未だに
では次。猫……お金を集めるにはどうするのが良いか。
いくつか方法はあるが基本的には、店に物を売り付けることで入手できる。
遺跡やその他の場所にある金庫などにそのまま現猫……現金が入っていることもあるが、一度取ったらおしまいなので主な収入源にするつもりはない。
拾った人間を奴隷商に売る事でも入手できるが……一人あたりの値段が安いし、ここから買い取りできる奴隷商まで遠いし、この廃墟街から離れる気もないしと、使わない選択肢と化している。
場所によっては怪我をして倒れた賞猫首が転がっていたりして序盤の収入に貢献するが、あいにくこの廃墟街近辺に転がってるところを見たことがない。
あ、そうそう。
廃墟街廃墟街と言ってるけど、この町の名前はハブ。
三大勢力のどれかが滅ぼしたと推測される町で、ホーリーネーションから追放された者が住んでいる。
ゲーム開始時に種族スケルトンで設定が放浪者の場合に、スタート地点となる場所だ。
いや、私はスケルトン以外でスタートしたことないから知らんが。
ということは今、私は放浪者スタートをしたのだろうか。
ここどこって疑問に思ってたから周りの様子探ってたけど、所持品と持ち猫……所持金を確認するのが先だったやもしれぬ。
えーっと、所持品はどうなってるんだろう。
異世界転生したなろう小説の主人公がステータスオープンを念じるノリで、インベントリを開くよう念じる。
ゲームのときと同じUIでインベントリウィンドウが開く。
……えー、ウィンドウが目の前に開いた。
ウィンドウが目の前に開いた。
最近のVRすごいですね。
それほどでもない。
……謙虚言ってる場合じゃねぇ。
まあうん、私の知ってる現実とは違う現象が起きたけども、まあ、わかりやすくて便利そうなのには違いない。
リアルで見るウィンドウとかちょっと、2Dが現実化したというかポリゴンが目の前に浮いてるというか、なんか不思議だ。
せっかくだし使ってみよう。
……使って安全なのかどうか調べるとも言う。
インベントリウィンドウによると、布切れじみた腰巻きを身につけるほかにはサビサビな鉄棍を装備しており、それ以外に物は持っていないらしい。
実際今私は、ボロい腰巻きをはいてて鉄棍を腰に身に着けている。
インベントリの鉄棍を装備欄から所持品欄に移すと、腰に装備されていた鉄棍が何処かに消える。
消えると言うかまあ、インベントリにあるが。
同じくインベントリの鉄棍を装備欄に戻すと、腰に鉄棍が装備される。
ふむ、異常なしと。
更に実験。
ウィンドウで装備の着脱ができるのはわかったが、自分の手で装備の着脱はできるのだろうか。
鉄棍を腰から取り外して手に持つ。
ああうん、ウィンドウの表示的にはマウスでアイテム掴んだ状態になるのか。
そして手に持った鉄棍を、自分の手作業で腰に装備する。
んー、うん? ああうん、よし。
どうやって腰に装備してたのかわからなかったから手間取ったが、なんとかインベントリの機能ではなく自分の手で装備ができた……と思う。
インベントリウィンドウを見ると、ちゃんと武器の装備欄に鉄棍がある。
なるほど、手作業でも装備できるということだね。
まとめると、インベントリウィンドウを使ってゲームと同じように装備着脱ができる。
また、自分の手で装備の着脱を行うとインベントリウィンドウにも認識される。
なるほど、なるほど。
ところで。
ゲームではマウスカーソルは一つしかないので、アイテムは一つしかつまみ上げられなかったわけですが。
私の腕は二本あります。
右手と左手、両方欠損なくあります。
……試さねば。
右手と左手両方にアイテムを持った時インベントリがどう表示をするのか、試さねば。
試せ試せと、好奇心が叫びだす。
実にうるさい。
さて。試すにはアイテムが2つ必要、と。
だからといってボロ布を脱ぐつもりはない。
突然脱ぐとか、変態みたいなことはしたくないからね。
なので鉄棍の他にアイテムがほしいところだがさてはて。
ゲームではaltキーを押すと、その場に落ちているアイテムがピックアップして表示されたものだがはてさて。
頭にaltキーを念じると、見える範囲で地面に落ちているアイテムの名前が表示される。
ゲームバンザイご都合主義バンザイKenshiを作ったクリスハント氏バンザイ。
これはとても便利な機能だ。
落ちてるアイテムがわかるというのは、探索漏れが減るということ。
この機能が使えるのはありがたい。
ゲームではこのアイテム名をクリックすることでキャラにアイテムを拾うよう指示できたけれど、ここは現実。
素直に歩いて拾いましたとさ。
壁と天井が開放感溢れている建物内で拾ったのは、木のボウル。
ゲーム的には効果のないアイテムで、せいぜい換猫……換金するぐらいにしか使わないアイテムだ。
そして実験実行。
右手に木のボウルを持つ。
そして同時に、左手に鉄棍を持つ……ことはできなかった。
左手に物を持った瞬間、右手に持った木のボウルが手をすり抜けて落下したのだ。
……何だこれ面白い。
左手に鉄棍を持ったまま、右手で木のボウルを拾おうとする。
鉄棍が左手をすり抜けて右手に木のボウルが握られる。
私の知ってる物理法則と違う。
しばし、アイテムを拾っては手をすり抜ける感覚を楽しむ。
拾ってはすり抜け、すり抜けたら拾っている。
傍から見たらバグったスケルトンのようにしか見えないだろう行動だが、やっている本人はすごく楽しい。
すり抜けては拾って、拾ってはすり抜け……。
はっ! こんなことに時間を使ってる場合じゃない。
我らがこよなく愛するKenshi世界を楽しむため、些細な物理現象の謎の一つごときにかかずらってばかりいられまい。
もっとこう、効率的な大規模拠点の建築とか、際限も上限もないスキル上げとか、数あまたある勢力とより多く友好を育むとか、そういった有益なことに時間を使いたい。使うべきだ。
というわけなので木のボウルさんには私の懐もといインベントリにお越しいただいて、後で猫(お金)に化けてもらいましょう。
ぶっちゃけほとんど交易にも使えないほど安いけど、0やマイナスではないから酒場に売りつけます。
ちゃんと売れるかな?
変な愛着湧いて売りたくなくなったりしてないだろうか。
「おい、そこのあんた」
びっくり。突然背後から声をかけられた。
驚きを微塵も感じさせない動作で振り向くと、ボロ布を身体に巻いた人がこちらを見ている。
数は6人。
声をかけたリーダーらしき人物は錆びたサーベルを、それ以外の人は赤く錆びた鉄棍を装備していて、まるでこの建物の出口を塞ぐかのように立っている。
穏やかではない……と感じたのが勘違いだったら恥ずかしいし失礼だよね。
どのように応対するべきかな。
私が少し考える間に、謎の人物たちは話を進める。
「選んでくれ。
おとなしく食料を渡すか、あるいは酷い目にあって食べ物を奪われるか」
その言葉で私は彼らの正体がわかった。
こいつら飢えた野盗だ!
飢えた野盗とは、飢餓状態でステータスが下がっている上に判断力も失くして門番などに襲いかかって倒され、よく街に転がっている人たちのことである。
さらに言うなら、最序盤にまったく育っていないキャラの戦闘訓練相手に使うこともある。
しかしそれは一対一で戦えるように立ち回った上で戦うのであって、外壁の上で景色眺めて廃品漁ってただけのスケルトン1体が6人も相手することは想定されていない。
数が多いのであれば、街の門番や憲兵などになすりつければいいだけなのだが。
この町の名前はハブ。
三大勢力のどれかが滅ぼしたと推測される町で、ホーリーネーションから追放された者が住んでいる。
つまりここは廃墟街な訳で。
廃墟街に、門番はもちろん憲兵なんて。
い る わ け が な い 。