※この作品はR-18です。

グレイブディガー   作:歌川

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昼下がりの寝所で

 朝日に照らされて目が覚める。

いつの間に眠ってしまったのだろう。そんな事を考えながら重い頭を持ち上げる。

比喩では無く、今の妾にとっては本当に重い。体全体が重いので起き上がるのも一苦労だった。

日が大分登っているというのに青花はまだぐっすりと眠っている。3日間あまり眠れていなかったのだからしょうがない事だろう。

こっそりとベッドから抜け出して綺麗なドレスに袖を通してからキッチン向かった。

 調理道具もろくに扱えそうにないので粉のスープとトーストで朝食を済ませようと思い、今はトーストが焼きあがるのをボーッと待っている。

「奇妙な物じゃのう」

いつからだったか、友だった青花に対して特別な気持ちを持ち始めたのは。置き所が無く、宙に浮いた様だった想いを持ち始めたのは。

行き先の分からないふわふわとした想いの正体は青花から告白を受けるまで自分でも分かっていなかった。

宙に浮いていたその想いは青花に渡した事で落ち着いた様に思っていたのだが、また似たような想いが心の中でそわそわとし始めて落ち着かない。

「恋しいとはこう言う気持ちの事なのかのう」

少しの時間離れただけで焦らされた気持ちになる自分をバカらしく思っていると、パンの焼き上がった事を知らせる電子音に現実に戻される。

朝食の準備が終わり、青花に会いにいける口実が出来ると嬉しそうに寝室へ向かった。

 

 青花と朝を共にするのはこれで何度目かだが、今日の青花は今までに無く寝起きが悪かった。

妾の言葉にも反応せず、力ずくで起こそうにもそれをする力も無い。根気良く揺すり続けるとようやく目を覚ました。

「あーー………もうちょっとだけ………」

「もう十分寝たじゃろう、早く起きねば朝食が冷めてしまうぞ」

「あっ、用意してくれたんだ………じゃあ起きる………」

青花はのそのそと目を擦りながらベッドが抜けだしアクビをしながらこちらを向いた。

「おはよ、ヒイラギさん」

気の抜け切った笑顔で挨拶をする。

「おはよう」

ダラシない顔だ。そう内心で笑いながらフラフラと歩く青花に手を貸してリビングへつれていった。

 

 のんびりと朝食を食べ終えると二人でテーブルに座ったままのんびりとしていた。

青花はまだ気の抜けた顔でボーッとしているし、取り立てて話す事も思いつかないのでテレビをつけて暇を潰す。

『止まらない出生率の低下』というテロップで朝から見るには重苦しいニュースが流れていたが、頭の中を滑って行くだけで内容は頭に残らなかった。

それは仕方の無い事だと思う。愛する人が側にいる幸福、

会話がなくてもお互いに意識できる距離にいる事が嬉しくてそれ以外の事なんてどうでも良くなってしまうのだから。

 小難しいニュースが終わると、今話題の観光地の紹介が始まる。そんななおさら妾達には関係ない特集を見ていると青花が口を開く。

「そういえば、ヒイラギさんはいつから私の事が好きだったの?」

穏やかな空気に浸り、若干眠気を覚え始めた所だったが一気に目が覚めた。

「いつから……さあ?気にした事もない話じゃのう」

顔がなんだか熱いが、気にしない様につとめてごまかす。

「え〜、なんか嘘くさい感じですね。……そうですね。恥ずかしい質問ですし、私が最初に答えます。

それならヒイラギさんも答えやすいですよね」

名案だと言わんばかりに顔の前で手を打ち、青花は話を続けた。

「そう言っても私がヒイラギさんに惚れたのがいつなのかって話すまでもないですかね?」

「いや、存分に語ってくれて構わんのじゃ」

「それじゃあ告白しますね。私は一目惚れでした。貴方に助けてもらったあの日、ヒイラギさんに手を差し伸べられてから、ずっと好きでした」

感づいてはいたが、改めて本人から告白を受けると堪らなく来るモノがある。思わず上がってしまう口角隠す為に手で隠した。

「うむ…わかってはいたが、改めて言われると悪い気はしないのじゃ……」

「はい!でも1つだけ付け足して置くとですね、それを抜きにしても私はヒイラギさんを愛してますよ。

さり気ない気づかいとか、優しい人なんだなって感心してます」

「止めろ!止めろ!小っ恥ずかしくなる事を言うでない!さり気ないと思っておるなら口にするな!」

椅子から転げ落ちそうになる程、悶絶していると青花は楽しそうに笑っていた。

気を落ち着けて、今度は妾が喋る順番になる。

「だがしかしのう、青花ほどどのタイミングで、というのは妾にはないぞ?」

「なんとなくで良いんですよ、ただ気持ちを知りたいなってだけの話ですから」

「それが難しいのじゃ。お主を好いている気持ちに気づいたのは多分、お主に告白された時じゃからな」

青花は驚いたような顔になり、それから微笑みを浮かべながら話した。

「ヒイラギさんって……鈍感ですね」

「待て待て!そうは言うがしょうがないじゃろ?妾はまだ生まれて数ヶ月、人間で言えば赤ん坊じゃ!自分の感情と言えど把握出来る訳がないじゃろう?」

「そういえばそうでしたね、それじゃあしょうがないのかなあ」

青花は少し残念そうにしている、その様子を見て口が滑りそうになるがグッと抑えた。

「まあこの話はもういいじゃろう、ところで不便じゃから出力を成人並みに動ける位にはしてほしいのじゃけど」

「じゃあメンテナンスルームに行きましょう、様子を見てみないと何とも言えませんから。歩けます?辛いならおんぶしますけど」

「ああ、頼む」

そう頼むと青花は嬉しそうに妾をお姫様抱っこで地下に連れて行った。

 本当の所は妾は青花をいつ好きになったのか、思い返してみるとハッキリと答えは見つかっていた。

この地に人間がいる。その事を知ってからずっと気になって仕方がなかった。言ってしまえば出会う前から恋い焦がれていたのだ。

そんな事を言える訳が無い。『出会う前から愛していました』そんな事を伝えたら妾の方が恥ずかしく死んでしまう。

だからこの事は伝えずにいよう。恥ずかしいというのもあるが弱みを見せすぎている気がしてなんとなく悔しいから。

 

 検査の結果、少しだけエネルギーの出力を上げてもらえる事になった。

エネルギーパイプに漏れがないかを目視で確認する為に腹を開く事になったが、これが中々に恥ずかしかった。

「修理の時に一度、全身くまなく見てるので大丈夫ですよ」と言われたが自発的に晒すとなると別問題だ。

それに腹部のパーツを外す時の青花の目線が熱く、それが一番躊躇した点だった。

 とりあえず人並みには歩ける様になったので、今出来る作業に手を付ける事にした。

「今日くらい休んでもいいのに」青花は不満そうにしていたが手伝って欲しいと頼んだら喜んで承諾してくれた。

家の外に出ると見覚えの無い3メートルほどのロボットがズンとたたずんでいた。

「うお!アレはなんじゃ?」

「ああ、アレは私が乗って来たパワースーツです。本当は自衛用なんですけど、力仕事の時に便利なんですよ」

「便利って……何に使うのじゃあんな物」

「コンバインダーが壊れた時とか、人間の力じゃどうしようもない時に使うんですよ。

規模が規模だから年に何回かあるんですよね、そういう機会が」

「はああ、なるほどのう。そういえば畑の方は大丈夫なのか?今日で4日はこっちにいる事になるぞ?」

「異常が有れば通知が来るので大丈夫ですよ。収穫以外はもう機械のメンテナンスが仕事みたいなものですから」

「それなら良いんじゃが」

青花が良いなら気にする必要は無いのだろうか?ガレージの扉を開き中に入った。

 

 ガレージの中は寒々しい空気がこもっていてはあまり好みではない。

実質死体置き場なのだから明るい雰囲気にはならないのもしょうがない話なのだが。

ポッドの中で再起動をかけられたが目覚める事なく眠り続けるのらきゃっとが5人。

ポッドの中ののらきゃっとのステータスを示すモニターには何時も通りの起動不可の文字が浮かんでいた。

青花に手伝ってもらいながら普段通りの処理を行う、頭を外し、開き、記憶回路取り除いてから元に戻す。

身を綺麗にしてあげてから運び出し用のコンテナに連れて行こうとした時、青花の顔が少し青くなっているのに気がつく。

「どうかしたか?具合が悪いなら休んでいていいのじゃぞ」

「ごめんなさい、ちょっとだけ気持ち悪くなっちゃって……

ヒイラギさんは大丈夫なんですか?自分と同じ顔の死体を相手にしていて気分が悪くなったりしないんですか?」

「ああ、多分じゃが生れつきこういう事を気にしないように作られているみたいでな。嫌悪や不快感はあまり感じないのじゃ」

「アンドロイドならでは、ですね…羨ましいようなそうでも無いような」

青花はなんでも無い様にてますふるまっているが、顔色は悪いままだった。

「無理に付き合わなくても良いぞ、こんな事は平気な方がおかしいのじゃ」

「いえ、手伝うと言ったのは私の方です!細かい作業は無理ですけど力仕事なら任せて下さい!」

その言葉に甘えて力仕事は青花に任せる事にした。

作業を分担したお陰でずいぶん楽に予定にあった作業を終わらせる事ができた。

 

 家に戻り簡単に昼食を済ませて、のんびりと二人でテレビを見ていた。

恋人になったといっても特別何か変化がある訳でもない、いつも通り映画やドラマを見る位しか娯楽は無い。

妾の家にはゲーム機や遊具が無いので、青花の家で過ごす以上に選択肢は減っているのだが。

 時間は3時を回り、お茶を淹れようと思い立ち上がった時、青花が不安そうな顔で妾を見つめているのに気がついた。

「どうかしたか?」

「どうかしたってほどの話じゃないんですけど……頭にチラついて気になっちゃうんですよ、

あの死んでしまったのらきゃっと達とヒイラギさんの姿が重なって見えてしまって……」

「そうは言うが、妾を修理する時にもあそこに入ったのだろう?妾に合うパーツなぞあそこにしかないからのう」

「あの時は必死だったから気になりませんでした、だけど落ち着いて見渡して見ると結構辛い場所だったなって……

やっぱり貴方と同じ顔の死体ですから、気にならない方が嘘ですよ」

「そうか……」

妾としてはあまりに理解出来ない感情だった。あの死体達は妾にとって片付けなければ行けない仕事相手であって、憂いを覚える様な存在では無いからだ。

我が事ながら墓掘りがそんな態度なのはどうかと思うが、あいつらに悪感情を覚えないよう作られているのだかしょうがないという諦めの感情はある。

しかし物言わぬ奴らへの感情など、今はどうでもいい事だ。悲しむ恋人を慰める方が大事な事だ。

青花の肩に手を乗せて語りかけた。

「青花よ、お主の気持ちはありがたい。しかしよく見るのじゃ。この赤い片目をくれたのはお主じゃろ?

ここに倒れた者達との1番の違いをくれたのは紛れも無いお主なのじゃ」

抱き寄せてそっと唇を重ねて離す。わずかに潤んだ青花の瞳には妾の赤い瞳が反射して見えた。

「………足りない」

「え?」

「キスだけじゃ足りない……」

 

 押し切られたな、ベッドの上に座りながらそう思った。

なんやかんやと断ろうと言葉を探していると青花は「汗流してくるのでベッドで準備して待ってて下さい!」と強引に話を進めてさっと行ってしまった。

とりあえず寝室に移動してみたが『キスだけじゃ足りない』と言う言葉から考えるに何をされるのか容易に考えられる。

そもそも自分の体のそういった機能はどの程度の物なのだろうか?そんな疑問を考えていると、廊下の方からぺたぺたと軽い足音が聞こえてくる。

足音は部屋の前に来るとそこで止まり、ギィと少しだけ扉を開くと、青花はそこから顔だけを覗かせた。

「あの……よく考えたら私の下着、昨日で代えのヤツも全部使ってて……」

「別に気にしなくても良い、それを言ったら妾の方こそ下着なぞ着けてないからのう」

青花は顔を赤らめ、恥ずかしそうに部屋に入ってくるとバスタオルを巻いただけの簡素な姿で妾の横に腰を下ろす。

お互い緊張のせいなのかどちらも干渉はせず、青花は前髪を指先でいじりながら暇を潰していた。

青く発色の綺麗な髪は湿り気を帯び、いつもよりも妖しく輝いて見える。

髪の先から落ちた滴りがポタリと太ももに落ちる。青花の全身がわずかに紅潮しているのはシャワーを浴びた事だけが原因では無いだろう。

うなじからこぼれた水の塊が、汗ばんだ首元に一筋の跡をつけた。ただそこに座る彼女が妾には完成された芸術の様に見えた。

「見ているだけでいいんですか?」

その一言で妾の思考回路は殴られたような衝撃を受ける。グルグルと駆け回る感情と緊張で目眩すら感じている。

「分からんのじゃ、何をしたらよいのか」

なんとも情けない本音が口から溢れる。

「初めてですからね、私もそこは同じですけど……まあ知識がある方が先導するべきですよね」

青花の指が妾の首元のリボンに触れるとスルリと外された。そのまま胸元のボタンを一つ一つ外していく。

「待ってくれ、自分で脱げるから……」

青花の腕を掴み、静止する。自分で脱ごうと服に手をかけるが恥ずかしさはドンドンと強くなり、この場から逃げ出したくなる。

「すまんが……やはり今度にしてくれぬか!」

どこでも良いから逃げようとベッドから飛び出したが、片腕を掴まれ思い切り引っ張られるとベッドの上まで引き戻されてしまった。

「逃がしませんよ、絶対に」

馬乗りになった青花の腕が服まで伸びて来るのでとっさにそれを止める。しかし、何故か青花の腕を止める事が出来なかった。

「うぐぐ……なぜじゃ、何故ビクともせん!」

「嫌ですねぇ、今のヒイラギさんが私に勝てる訳無いじゃないですか。誰が貴方の動力の設定したと思ってるんですか?」

「クッ!逃してはくれぬか」

「別に酷い事をする訳じゃないのに……そんなに嫌そうな顔しなくてもいいじゃないですか」

止める為に伸ばした両手はベッドの上で完全に押さえ込まれてしまった。いくら力を込めても動くそうにない。

青花は勝ちを確信した様に不敵な笑みを浮かべている。

「はぁ……まあしょうがないのう……もう大人しくお主とまぐわえば良いのだろう」

「あれ?案外あっさり諦めますね」

なぜか青花は拍子抜けした様に手を離す。

「何を期待しておったんじゃ、お主は」

「こう……『戦闘兵器である妾がただの小娘に負けるなんて!』みたいに悔しがるみたいな?」

「何を言っておるのじゃ……」

「まあおふざけは置いておいて、嫌だったら今日でなくてもいいんですよ?私だってお互い乗り気でないセックスとかやる気はないですし、

それだったら、からかって終わりにしようかなって思ってましたし」

別に無理矢理でも嫌な気はしないと思ったが、それは口に出さずに心にしまっておく。

「何、冷静に考えてみただけじゃ。頭の中まで見られた相手に何を隠す事があるのか、とのう」

青花に退いてもらうと、妾は服を脱ぎ始めた。

 

 

 

 

「あまりジロジロと見ないでほしいのう」

最後まで身を包んでいたインナーを脱いで床に落とす。服を脱ぐ様子を青花は目に焼き付ける様に見ていたが、極力気にしないようにした。

「減るものでもないし、いいじゃないですか。ヒイラギさんの体、凄く綺麗だから恥ずかしがる必要なんて有りませんよ!」

「この場合恥じる気持ちに、綺麗だとかそういうのは関係ないじゃろ」

改めて全身を確認してみる。傷を直した継ぎ目は一切なく、修復の後が目立つ事なく綺麗に修復されている。

「しかしまあ、綺麗に修復してくれたのだな。改めて礼を言うぞ。ありがとう、青花」

「どういたしまして、手の器用さには自信がありますから!」

妾がベッドの上に座り向き合うと、青花は待ち構えていた様に妾を押し倒す。

再び馬乗りになった青花は身に付けていたタオルを脱ぎ捨てると妾の手を取り、指を絡ませた。

今まで何度か裸を見る機会は有ったがしっかりと見るのは初めてだった。

妾より二回りは大きい乳房は均整がとれていて美しい形をしていた。乳首の色も綺麗なピンク色をしている。

「どうですか?私のおっぱい。結構自信あるんですけど、ここだけはヒイラギさんにも負けてないと思いません?」

「比較する対象を他に知らぬ妾に聞かれても分かるわけがないじゃろう。……綺麗だとは思うが……

それよりもわざわざ押さえ込まなくて良いじゃろう。もう逃げたりはせんぞ」

「気分ですよ、気分。ヒイラギさんが私のモノになったんだって言う征服感を味わいたいんです」

空いた手は妾の胸の膨らみに指を立てていた。指に力は込められておらず、優しく表面を撫で回す。

「別にお主の物になった訳ではないぞ、あくまでも関係は対等、んっ……」

撫で回されている胸かた少しづつ登ってくる感覚に思わず声を漏らす。

「まだ撫でてるだけなのに…ヒイラギさん、感じやすいんですね」

「生まれつきじゃからしょうがないじゃろう……元々のらきゃっとモデルの運用の1つは……戦場の兵士の士気の向上もあったと聞くからのう……」

「なんか少し変態っぽい話ですね。乳首や局部はないのに人間以上に敏感にされてるって」

「ん……まあっ……実際の所はそういう風に使われたデータはほとんど無いみたいだがのう………

アンドロイドが……のらきゃっとタイプしか存在せずに………しかもそいつらは戦闘が仕事と来たものだ……

いくら見た目が良くとも、制欲を抱き発散しようとするのは少ないじゃろ………」

気をやらない様に会話に集中するが、それを分かっているように青花は攻める手を休めなかった。

彼女の指が胸の膨らみに沈む度に腰がわずかに震える。声が上擦り、言葉が途切れそうになる。

顔が熱い。前戯にも及ばぬ、じゃれ合いとでも言うような浅い触れ合いだが妾の体は火が灯ったみたいに熱を感じている。

言葉を発しようと口を開くが熱のこもった息が溢れるだけ。幸福感に包まれた頭は思考を鈍らせる。

天にでも登ってしまいそうな浮遊感すら感じてしまう、現実感を失っていくなかで繋がれた手だけが妾をこの世界に繋ぎ止めている気さえした。

「まだ遊びのつもりでしたけど、随分出来上がったてるみたいですね」

妾の熱に当てられたのか、青花も息を荒げている。

「こっちの方も、もう良いですよね」

今まで胸を揉んでいた手を秘所に、繋いでいた手を離し胸に持っていく。

「嫌じゃ……寂しい……しっかり抱いていてほしいのじゃ……」

我慢できず青花に抱きつく。一瞬驚いていたようだが、妾の胸に当てられていた手を後ろに回してギュッと抱きしめてくれた。

「案外、寂しがりなんですね」

「お主にだけじゃ………」

抱きしめる手に力を込めると、お互いの双丘が擦れ合いそれがまた甘い響きを体に走らせる。

秘所に当てられた指はゆっくりと探るような手つきで股座を這い回る。

「どんな感じですか?こっちの方は人間よりシンプル過ぎて分からないんですけど」

「正直言えば、今の妾は変なスイッチでも入っているみたいでな……どこを触られても気持ちが良いと言うかだな……

分からないのじゃ、しかしそう人間と違うとは思えないのじゃがっ!!」

「ああ、分かりやすい反応で助かります。何も無い様に見えてしっかりポイントが用意されてるんですね」

「いやぁ…あぁ……声があぁ…んっ!抑えられない……んあっ……」

青花の指が股座を擦る度に強い刺激が頭に登ってくる。

人間ならば秘所に値するその場所に指が埋まると体は跳ね上がり、言葉にならない嬌声を口にしてしまう。

指の当たる位置により体に走る衝撃の強さが違う事に気づくと、

この体の基礎設定をした人物がどれほどの変態だったのかと疑問が頭をよぎるが、そんな考えはすぐさま霧散する。

「あっ……もう……無理っっ!気持ち良いのでどうにかなる………」

浅ましく、制欲を満たすために腰が跳ねる。青花の動きの邪魔にならない様に足は開かれ、彼女の手を迎入れる。

恥も外見もなく、ただ彼女から与えられる快楽を享受するだけの存在になっていた。

「そろそろイキそうなんじゃないですか?」

「わからんっ!はぁ…っ…ただもう……なにか一杯になりそうで……」

「不安ですか?」

心配そうに語りかけて来るが、妾を攻める手を緩めてはくれない。

「ああ…どうにかなりそうじゃ……青花よ………キスをしてくれぬか?」

「はい。いくらでも、喜んで」

青花の舌が妾の口の中まで入ってくる。二人の舌が絡み合う感覚はこのまま二人で溶け合ってしまうのではないかと思える程に熱かった。

口が塞がれた事で部屋に響いていた嬌声は静まり、口から漏れる息づかいとベッドの軋む音だけが部屋に響いていた。

 青花の激しい責めを受けていると体に快楽の波が弾ける。

全身が激しく震えて頭の中が真っ白になる。抱きしめる腕には力がこもり、更に青花と密着する。

キスをしていなければ恥ずかしい声を上げていたのだろうが、キスをしていたので「んぅ」と小さな声が溢れただけで済んだのは幸いだった。

妾の体の震えが収まると、青花はゆっくりと唇を離した。

「どうでした?」

どうと言うのが何を指しているのか分からない位に好き勝手やられた様な気がするが、口に付いた青花の涎を手で拭ってから答える。

「悪い物ではなかったのう……」

「なんかさっぱりした感想ですね、本当はもっと言いたい事あるんじゃないですか?」

いたずらな笑みを浮かべて妾の頬をつついて来た、青花の方もずいぶんと浮かれている感じがする。

ゴロンと横に寝転がると満足そうに天井を見上げていた。

「言葉にするのは恥ずかしいが……なんじゃろうな、嬉しかった?むむ?それは違うか」

「無理に言わなくても良いですよ、嫌じゃ無いなら私はそれで満足です」

「いや、言わせてくれ。そうじゃな、愛してくれている。与えてもらっている。

それを直接体感出来て妾は幸せだったぞ」

青花は赤くなる顔を手で隠して口をつぐんだ。今日、ここに来てようやく一手返してやった気持ちになった。

「ヒイラギさんがそう言うなら私からはもう言う事なんてないですね……

でも、まだ終わりじゃないですよね?」

「えぇ?流石に勘弁してくれ、そう何度もやられるのは少々勘弁してほしいのじゃ」

「いえいえ、私はもう手出ししませんよ。今度はヒイラギさんが私を抱く番です」

 

 ギブ&テイクを愛と語ったのは何の漫画だったか。

現実逃避に記憶を辿ろうとしたが、それはまずいと思い現実と向き合う。

目の前で内股で座っている青花は体を隠す事なく、妾が手を出すのを待っている。

赤面し、チラチラと妾の顔をうかがう様子はなんとも愛らしく思うが、それと同時に緊張感も湧き出して来る。

「あまり緊張しなくても大丈夫ですよ。舐めたり揉んだり……思うままに触ってもらえれば……」

うじうじと悩んでいると、青花に気を使わせてしまった。恋人に向けてとは言え随分恥ずかしい事を口にさせてしまった様に感じる。

「すまない、どうも緊張してしまってな」

「それは私も同じです!恋人とは言えこんな風に体を晒すのは恥ずかしいんですからね!」

妾の方を向き声を上げるが、赤くなった顔を更に紅潮させてすぐに目を背けた。

先ほどまで楽しそうに妾の体を貪っていた人と同じ人物だとは思えないしおらしさだ。

 緊張は解けないが意を決して青花の胸に手を伸ばした。あまり力を込めず、そっと青花の胸を掴む。

やわらかい。とてもやわらかかった。指に力を入れると心地の良い抵抗を感じさせながら指が沈み、指を離すとすぐにその形を元に戻す。

妾の体も自信がない訳ではないが、一回揉んだだけでこうも引き込まれる物だとは思えない。ボリュームのなせる技なのだろうか。

好奇心から、胸を手の甲で軽く叩いてみると衝撃を逃がす為にぷるぷると見事に震える。

「ほう……」

下から持ち上げて離すと、より大きく胸はそれはまた別の趣を感じさせて妾を楽しませた。

「あの……人のおっぱいで遊ぶのやめてくれませんか?」

「おっと、すまんのう。ついつい気になってしまったのじゃ」

「別に人の胸を羨むほどの大きさじゃないですよね?」

「ははは、まあそうはむくれるな。お主の体が素晴らしいと褒めておるのじゃ」

緊張が解けると、青花への愛撫を再開した。

 

 知識は曖昧、経験も無い。愛情だけでカバー出来れば世の中に苦労する事などなくなるだろう

大分長い時間青花の体を触り続けたが、満足させる事が出来ずに時間が過ぎていった。

妾の不甲斐なさから落ち込んでいると、

「私は結構オナニーしてて慣れてるから!」という意味不明な励ましで青花が自爆するとそこで完全に空気が緩み、休憩する事になった。

 休憩と言っても先ほどの光景からあまり変わらず、二人とも裸でベッドの上で寝転がっている。

「さっき言った事は忘れて下さいね……というより私が一番に忘れたい……」

妾の腕に抱きつき、その腕に顔を埋めながら泣き言を言う。

「そう落ち込まずとも青花くらいの歳なら普通の事じゃろう?あまり気にするな」

励ましながらも口からは思わず笑いがこぼれてしまう。その笑いが聞こえていたのか青花は足をバタバタと暴れさせた。

 

 

 初めての情事から数日後。

妾が地球に落ちて来た時に強度に難が有ると伝えたはずの運送方法で妾のパーツが届き、ようやく修理が完了した。

「帰りたく無い……」

数日間の愛に溢れた生活、悪く言えば爛れた生活の終わりに青花はかなり渋っていた。

「そうは言うがな、お主が仕事をしなければどれだけの人が困るか分かっているじゃろう?」

「分かってる、けどやっぱりヒイラギさんとは離れたく無い……」

わがままを言う、気持ちは同じなのは分かっているだろうに。

「しょうがない奴じゃのう。まあ確かに妾としてもあまり今回の礼を返せたとは思っておらんのじゃ。

だからお主の畑の収穫を手伝うと約束しよう」

青花のイジケテいた顔が少し明るくなる。

「本当ですか!日曜日以外でも?」

「当然じゃ、いつでも手伝いに駆けつけるぞ」

約束を取り付けると青花は元気よくパワースーツに乗り込み、家に帰っていった。

 数日振りに訪れる完全な静寂は心に冷たい風を差し込んでくるが、それを振り払う様に今しなければいけない事に取り掛かる。

「良し!まずは行方不明になったブレードの捜索じゃ!」

気合いを入れてスクラップの山の中を歩き回るが結局見つからず、

捜索に時間を注ぎ込むよりも素直に謝って新しいブレードを用意してもらう事にするまで3日掛かったのだった。

 

 

ーーーーー

 

 

 閃光が私の胸を貫いた時、やっと終わるのだと思いながら意識を失ったのは覚えている。

しかし私は今、生きている事に喜びを覚えながら目を覚ました。

「おぉ、ようやく目を覚ましたか。無駄に時間を取らせおって、お主は妾に迷惑をかけてばかりじゃな」

妙な喋り方をするネコミミの少女が私の目の前で座っていた。その姿と喋り方に違和感を覚えると、刹那に私の敵だった存在を思い出す。

「お前は……いや、それよりも私は一体どうしたんだ?私は確かにお前に殺された筈だ」

敵意は無いようで、彼女はゆったりとしながら答える。

「ん……まあそれはじゃな、妾としても目覚めが悪くてのう。お主に戦う選択を選ばせたのは妾が原因ではある訳じゃし……」

少女は恥ずかしそうに頭を掻くと言葉を続ける。

「だからお主を直してやった。妾と違って旧式のパーツでも問題なかったしのう」

「分からないな、わざわざお前を殺そうとした相手を蘇らせるなんて」

分からない、彼女の考えは理解出来ないが、胸に残る修理の痕を触ると心がくすぐられた様な気持ちになり笑いが溢れた。

「殺した妾が言うのもなんじゃが、良いことじゃろう?生きているのは」

「ああ、良いものだな」

「それだけじゃよ」

素っ気なくそう言い捨てると、私に色々と計測用の機器と取り付け、今日は一日そこで眠っていろと命令して彼女は去って行った。

ゴチャゴチャと色々付けられたせいで動くと周囲の機械を壊してしまいそうなので大人しく横になり目を瞑った。

彼女の考えは分からない、だけど明日が有る。それだけで私は堪らなく嬉しかった。

 

 

「それとお主の目のことなんじゃが、片方貰ったぞ」

「視界が狭いと思ったら本当に狭くなってたのか……」

「敗北の証という事で諦めてほしいのじゃ」

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