氷堂美智留の犯しかた
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親愛なる君へ。
昨日のライブお疲れ様です。
ボクは後ろの方で見ていたんだけど、美智留ちゃん分かったかなあ?
毎回行ってるしそろそろ誰がボクが分かるんじゃないかな?
もし誰がボクか分かったら…その、ライブ中にボクに何かしてほしいなぁ、なんて…
美智留ちゃんは今度高校3年生だよね。
初めてライブ見に行った時よりずっと大人っぽくなったように見えるよ。
これから大学行って、色んな出逢いを経て、恋人なんかも作っちゃったりするのかなあ?
やだよおそんなのやだよお!
美智留ちゃんはいつまでもピュアなままの美智留ちゃんでいてほしいよぉ。
でも美智留ちゃん可愛いからなぁ…スタイルも抜群だし、大学なんて行ったらすぐに
ビリビリビリーッ!
「また来てるし…」
くしゃくしゃとその"ラブレター"をハートのシールのついた封筒ごと握り潰して、ごみ箱に放り込む。
ベッドに倒れ込むように横になり「はぁっ」と息を漏らす美智留。
1枚目の途中までしか読んでいないが、あの内容で便箋3枚分ずらーっと長文を毎日書いているのかと思うと、その労力と執着心にゾッとするような思いになる。
文字の一つ一つから自身への執着心が滲み出ているようで。
これはもう立派なストーカーと言える域に来ているのではないか。
美智留がicy tailの一員としてバンド活動を始めてからの事であった。
最初はライブ後にしれっと自分宛の手紙を置いていったり他のファンと同じように差し入れをくれたり、と一般的なものであったのだが、その行為は急にエスカレートしていき、自宅の特定、さらには盗撮行為とおぼしき事もされていた。
「…ミッチー、それ警察に相談した方が良いよ」
icy tailのメンバーにそれを打ち明けた際、深刻そうな表情をしながらトキこと姫川時乃がそう返す。
毎日自宅へ投函される"ラブレター"、時折それに同封されている盗撮写真、さらには…
裏で何をしているか分からないというおぞましさが根底にあった。
そもそも美智留はそのストーカーの顔も知らないのだ。
ライブには毎回来ているという事で、それはicy tailとしては嬉しい事なのだけれども…でも、ステージ上のミッチーとしての自分と日常の氷堂美智留としての自分、そこに確かに引いてある一線をちゃんと踏まえてほしいものだ。
警察に相談。
果たして親身になって対応してくれるだろうか?
証拠なら毎日自宅へ送られてくる"ラブレター"がある。
気持ち悪くて全部捨ててるけど。
自宅がこういったストーカー被害に遭う事は初めてであった。
警察を信用していない訳ではない。
だが、美智留からすれば、現にストーカー被害に遭っている自分もそれが警察の案件になる事もイメージできなかった。
そもそもその"ラブレター"が証拠になるのか?
ただのファンレターとして捉えられ、物的証拠にならないのかもしれない。
今となってはあの気持ち悪くてしょうがない写真もとっておけば良かったかもしれない。
でも、果たして、そんな気持ち悪いストーカーからの一方的な想いを保管していられるだろうか?
ゴミ箱にあるというだけでも気持ち悪くてしょうがないのに。
(あれこれ考えるの、面倒臭いな)
曇天のような雑然とした想いを胸に、美智留は布団に潜り込んでしまった。
ベッドに潜り込んだ美智留が眠りについたちょうどその頃――
薄暗い六畳間で独り。
ノートパソコンに照らされた一人の男の横顔がぼうっと暗がりに浮き出ていた。
「ぶふふっ…」
でっぷりとした頬を揺らして凝視するその液晶には、少女の写真が散りばめられていた。
ゴザに据えた腰にはびっしりと体毛が生えているのが見える。
下着とズボンは足首まで下され、股間から屹立するペニスを右手で扱いていた。
「ぶふっ…!美智留た~ん」
液晶に映る少女にまるで語り掛けるかのように、その名を呼ぶとよりいっそう右手の速度が上がっていく。
そして部屋を支配する男の荒い息遣いも。
どうやって撮ったのかは分からないが、『美智留』と呼ばれた写真の少女はそれもカメラの方を向いていないように見える。
どれ一つとしてカメラ目線で撮られている写真がないのだ。
それに、中には顔が映っておらず下半身だけ映っているものも数多い。
スカートの中のどアップまで。
「ぶひいぃぃ~っ!!いぐーーーっ」
そう叫んだかと思えば、ペニスから黄ばんだ精液が迸る。
ドピュッ!ドピュッ!ドピュッ!ドピュッ!
ティッシュ5枚で先端をつまんでいたものの、男の射精の勢いは止められず重ねたティッシュを突き破る。
「くっ…!うぅ…」
一瞬苦しげな声を漏らす。
手や股にかかってしまった精液を拭い取った後も、ペニスの怒張は全く収まっていなかった。
液晶の向こう側にいる彼女を凝視して、弛んだ笑みを浮かべ続ける。
「ふぅ…ふぅ…美智留たんがっ!美智留たんが可愛すぎるから…ハァハァ」
彼女との出会いはほんの数か月前であった。
たまたまアニソンライブをやっている女子高生がいると聞いて覗いてみたところ、小さなライブハウスのステージで歌う彼女に出会ったのだ。
整った顔立ちは言うまでもないが、豊満な胸、すらりと伸びた美しい脚、そしてそれらを総括してモデルのような抜群のスタイル。
一目惚れだった。
今まで地下アイドルやガールズバンドは彼も細かくチェックしてきたつもりだった。
勿論、それは彼女達の楽曲やパフォーマンスを素直に堪能するためではない。
独り六畳間のアパートの一室で"夜のお供"になってくれる少女がいないか探しているのだ。
ステージの最前列に行っては超小型カメラでスカートの中を盗撮したり、個人情報を調べ上げてプライベートにまで執着したり。
地下アイドルやそのファン達の界隈では彼は気持ち悪い存在として少し有名人だったりする事も、彼自身知っていた。
そして、そんな彼の前に現れてしまった、急成長中の女子高生バンド『icy tail』。
土日になれば毎週のようにライブをする人気・知名度急上昇中の彼女達は格好の餌食であった。
「ぶひっ…!み・ち・る・たぁ~ん!好きぃ…」
液晶に彼女の笑顔をアップで映すと、それを舐め始める。
まだ誰も触れた事のない無垢な唇に自身の唇を重ね合わせるとブチュウウウッ!と音が出るほどに吸い上げた。
プハァッ…ミチル…スキ…ウッ
部屋には聞くに耐えない音声で満ち溢れる。
52歳独身女性経験無し。
現在は働いていた食肉工場をクビになり、絶賛ニート中。
今も家賃を払えず大家から隠れるように部屋の電気を付けず暮らしていた。
しかし、美智留に対しての執着心は誰よりも強く、そして誰よりも―――