※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

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閉幕

勇者の一撃を喰らい、ニーズヘッグは大きな音を立てながら倒れ伏した。そして念のために少し待ったが、動く気配は無い。それを確認した勇者は

 

「うん……もう、大丈夫そうだね」

 

そう言いながら、聖剣を鞘に納めた。それを見た他のメンバーも、戦闘態勢を解除した。

 

「第一封印……結」

 

剣舞士がそう呟くと、黒椿から伸びていた影が収まっていく。そして収まった直後、剣舞士がカクンッと膝を突き、黒椿を手から落とした。

 

「剣舞士殿!?」

 

「ちょっ、お兄さん!?」

 

そんな剣舞士を、剣聖と勇者が慌てて支えた。だが、直ぐに気付いた。

 

「右腕が!?」

 

「攻撃を受けていたのか!?」

 

剣舞士の右腕が、真っ赤に染まっていたのだ。しかもよく見れば、幾つか穴が空いている。剣舞士は、荒く呼吸しながら

 

「黒椿の……副作用だ……」

 

そう言って、白雪が鞘に納めた黒椿を受け取った。それを聞いた勇者が

 

「副作用って、どういう……」

 

と困惑していた。そこに、監査嬢が駆け寄ってきて

 

「治療します!」

 

と言って、腰の雑嚢から包帯や傷薬を取り出して治療を始めた。やはり神官としての修行の成果なのか、治療の手際はかなりいい。

そして、治療しながら

 

「剣舞士さん……その刀……呪われてるんですか? 先ほどそれから放たれていた禍々しい雰囲気……そうでないと、説明出来ません」

 

と問い掛けてきた。

流石は神官か、そういう気配には敏感らしい。剣舞士は、治療を受けながら

 

「呪装具と言ってな……」

 

と呪装具の説明を始めた。様々な材料により、千変万化の能力を得ること。しかし同時に、大きなリスクを背負うことも説明した。

 

「そんな武器が……」

 

「……もしかして、この白雪って子も?」

 

剣聖が腕組みしていると、賢者がそう問い掛けてきた。どうやら、確信に近いらしい。

 

「……そうだ。白雪は、俺の妹を素材にした呪装具だ」

 

「妹……を……?」

 

剣舞士の説明を聞いて、勇者は呆然としながら剣舞士が撫でている白雪を見た。撫でられている白雪は、目を細めている。

 

「それが、剣舞士さんが戦争に参加した理由なんですか……?」

 

「……そうだ……俺のたった一人残された家族を取り戻すために、宗教に対する戦争に参加した……」

 

監査嬢からの問い掛けに、剣舞士はそう肯定した。

 

「戦争……」

 

「宗教との戦争……」

 

「その戦争で、呪装具が編み出され、運用されたのか……」

 

「そういうことだ……最初は宗教側が採用したと聞いたが、俺には分からない……」

 

剣舞士が説明している間も、監査嬢は黙々と治療を続けた。そして、一段落したのか

 

「その刀のデメリットは……貴方の血……ですか?」

 

と問い掛けた。すると剣舞士は、少し驚いた様子で

 

「ああ……黒椿は鬼神を素材にしていてな……効果は、一時的な鬼神化と魔力を使った斬撃が出来る……デメリットがそちらの推測通りに、血と殺戮衝動だ」

 

と説明した。

 

「血は分かるが、殺戮衝動……?」

 

「素材になった鬼神は、怨みで人間の殺戮を行っていた……その鬼神一体に、街が一つ消えた位だ……」

 

「たった一体に、街が……」

 

「よっぽど、人間が憎かったのかな……」

 

「その鬼神を素材にしたから、殺戮衝動……」

 

治療が終わると、剣舞士は白雪に目を向けて

 

「白雪、しばらくは休んでいろ……お疲れ」

 

剣舞士の言葉を聞いて、白雪は頷いた後に姿を消した。

 

「消えた……」

 

「白雪は、周囲への影響が強いからな……普段は、異空間に封印しているんだ……さて、あのデカブツはどうするか」

 

剣舞士はそう言って、ニーズヘッグの死骸を見た。放置したら、それはそれで面倒である。

 

「アレは、僕達の方で何とかするよ」

 

「……試したい魔法もあるし」

 

勇者が快諾すると、賢者が何処か好奇心に満ちた目で頷いた。どうやら、新しい魔法を使いたいらしい。

 

「それなら任せるが……」

 

「剣舞士さんは、今は休んでください」

 

「確かに……貴殿は、休むことを優先した方がいい」

 

剣舞士が動こうとしたら、監査嬢と剣聖に引き留められた。誰が見ても、今の剣舞士は重傷者であり、休んだ方がいいのは確実である。

そう言われたら、剣舞士も休まない訳にはいかない。剣舞士は、戦闘の余波で薙ぎ倒された木に腰掛けた。

そして剣舞士は、西の方に視線を向けて

 

「まあ、あちらは大丈夫か……」

 

と何処か確信した様子で呟いた。

この少し後、ゴブリンスレイヤー達が闇人とその闇人が召喚した百手神とやらを討伐し、西の街に迫っていた危機は去り、後に西の街事変と呼ばれる事件は幕を下ろした。

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