※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

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訓練開始

「わ、わあぁぁぁあぁぁぁ!?」

 

「そんなへっぴり腰で、前衛が務まるか!! 楯を下げるな!!」

 

陵墓から帰還した翌日。

少年魔法使いは同年代の新人冒険者達と一緒に、訓練所に来ていた。

今は自分の番になるまで待ちながら、女聖騎士にボコボコにされてる圓人少女剣士を見ていた。

 

「なあ……もうすぐで俺達だぜ……?」

 

「言うなよ……現実逃避してたのに……」

 

隣に座っていた少年剣士の言葉に、少年魔法使いは震えた。しかし、現実逃避しても自分の番は来るのだ。

 

「おら、次はお前らだ」

 

その証拠に、私服だが槍使いが現れた。

 

「げっ……」

 

「早かった……」

 

「受付嬢さんからは、お前らの事を頼まれてるからな……厳しく行くぞ」

 

槍使いの言葉を聞いた二人は、顔を見合わせて

 

「逃げるぞ!!」

 

「お、おう!!」

 

「逃がすかぁ!!」

 

無駄な悪あがきを始めた。そして、少し離れた場所では

 

「……これで、完成だ」

 

「わ、簡単ですね!」

 

「それに、材料も簡単に手に入るから、無くしても、直ぐに作れるわね」

 

ゴブリンスレイヤーが、新人聖女と鉱人巫女にスリングの作り方を教えていた。

 

「ああ……何なら、そこら辺に生えてる蔦や動物の革を使ってもいい……覚えておいて、損は無い……」

 

ゴブリンスレイヤーの言葉を聞いた二人は、早速スリングを作り始めた。また別の場所では、剣士志望の新人達に、剣舞士が剣の振り方を教えていた。

 

「いいか。剣というのは、ただ振れば良い。という訳ではない。足から腰、腰から上半身、上半身から腕へと上手く力を連動させ、更には斬る角度も重要になる。でなければ、剣は直ぐに刃零れしたり折れてしまうし、どんな名剣だろうが、斬れない事にも繋がる。流石に、直ぐに出来るようになれ、とは言わない。最初は下手でも構わないから、生き残る為に訓練を重ねろ。いいな?」

 

『はいっ!!』

 

剣舞士の言葉に、新人達は頷いた。それを確認した剣舞士は、頷いた後

 

「今から、軽く実演を見せる……よく見ていろ」

 

と言って、親方が鍛えた刀を抜いた。今回の訓練所の建設にあたり、定期的に武器の供与がされる事が決まった。お金はギルドと西の街が運営費として支払い、新人冒険者達は訓練所に通っている間は使えるようになっているし、もし西の街に緊急事態が起きた際には街の防衛の為に使われる事になっている。

これは、以前にゴブリンロードの襲撃と闇人達の襲撃が有った為に決まった事だ。

それはさておき、剣舞士は刀を構えた。

狙いは、巻き藁になる。

因みに何故巻き藁なのかと言うと、力強く巻いた藁は斬った際の感触が肉に近いからだ、とされている。

そして真ん中の木は、骨に近い為にちょうど獲物を斬った感触になるとのこと。

刀を構えた剣舞士は、僅かな時間巻き藁を見つめていた。だが、その気配は凄まじい。それが伝わっていた新人達は、緊張感で喉を鳴らした。

その瞬間

 

「ふっ」

 

と軽い呼吸音と共に、剣舞士が動いた。

一瞬にして巻き藁に肉薄したかと思えば、既に巻き藁の上半分が宙を舞っている。更に次の瞬間

 

「はっ!」

 

という気合いと共に刀が振り下ろされ、宙を舞っていた巻き藁の上半分が更に両断された。

あっという間の早業に、新人達が固まっていると

 

「……とまあ、慣れればこの位出来る。言っておくが、剣というのは使い方で直ぐに鈍(なまくら)になる。それを忘れるな。それじゃあ、訓練を開始する」

 

『は、はい!!』

 

剣舞士の言葉に頷き、新人達は次々と巻き藁の前に立って剣を振り始めた。

剣舞士は刀を軽く抱くようにしながら、手頃な切り株に座った。そこに、ギルド長がやってきて

 

「順調そうですな」

 

と剣舞士に声を掛けた。剣舞士は、振り向いて

 

「ギルド長殿か……忙しいと聞いていたが……」

 

「ええ。此方に来たのも、工事の進捗の確認と責任者の方々との会議の帰りです」

 

確かに、よく見れば足下には鞄が置いてある。その中に、それらの書類が入っているのだろう。

 

「それで、新人達の様子はどうですかな?」

 

「……まだ、よくは分からない……だが、生き残ってほしいとは思う……だが生き残れば、機会に繋がるからな……今のうちに、覚えてくれればいい」

 

ギルド長からの問い掛けに、剣舞士はそう答えた。

ギルド長も、剣舞士が戦場帰りというのは知っている為に剣舞士の言葉に重さを感じた。

 

「それでは、私はこれで」

 

「ああ……時間を取らせて、すまない」

 

ギルド長を見送った剣舞士は、新人達への教導に意識を戻した。

新人達は四苦八苦しながらも、剣を振っている。それを見ながら剣舞士は、過去を思い出した。

剣舞士は若いながらも剣では比類なき実力者となり、何時しか隊長格に任命され、新人達に剣の教導をしたことがあった。しかし、最終決戦までにその殆どが戦死。

生き残ったのは、僅か数人足らずだった。

 

「……俺より若いのが死ぬのは、見たくないな……」

 

言って剣舞士もまだまだ若い方だが、そこは実戦経験の差だろう。

とりあえず、教えられる事は教えるつもりではあるが、自分が使う一部剣技は教えるつもりは無い。

何せ、目的が違う(・・・・・)。

剣舞士が使うのは、殺し合いで培った殺す為の技(・・・・・)。

しかし新人達に必要なのは、生き残る為の技(・・・・・・・)。

根本的に、理念が違うのだ。

 

「……まあ、今は基本動作だな」

 

そう結論着けた剣舞士は、個別指導する為に立ち上がった。

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