※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

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少々オリジナル展開です


ネームド

中央施設で三班に別れると、各々は行動を開始した。

ゴブリンスレイヤー、槍使い、上妖精弓手、魔女は近くの穴から地下へ潜り、まだ地下に居るだろうゴブリンの撃滅。

重剣士と鉱人術士は中央施設の防衛。

そして剣舞士は戦士娘と魔法使い娘。そして令嬢商人と神官娘を連れて、新人の救出に向かった。

神官娘は、もし救出に向かう新人達に怪我人が居たら、奇跡で治癒する為に同行している。

その時

 

「前方、来るぞ」

 

と剣舞士が忠告した直後、茂みから数体のゴブリンが飛び出してきた。それらを剣舞士と戦士娘が素早く撃破したのだが、違和感を覚え

 

「師匠……こいつら」

 

「ああ……襲ってきたというよりも、何かから逃げてきたようだ……」

 

と会話した。

今しがた飛び出してきたゴブリンが、襲い掛かってきたという雰囲気よりも、死に物狂いで逃げてきた(・・・・・・・・・・・)という風に見えたのだ。

その時、魔法使い娘が

 

「前に、何か妙な魔力を感じるわ……気をつけて」

 

と忠告してきて、剣舞士と戦士娘は森の方に視線を向けた。ゴブリン達が飛び出してきた茂みの向こうから、それはまるで闇から滲み出すように現れた。

漆黒の体毛の、馬並みの大きさの狼だった。

 

「な、なに、こいつ……ダイアーウルフなの?」

 

魔法使い娘が困惑しているが、それを聞いた令嬢商人が呆然とした様子で首を左右に振り

 

「違う……こいつは、緊急討伐指定個体(ネームド)……スコル!!」

 

緊急討伐指定個体(ネームド)

それは、過去に様々な理由で討伐依頼が出されて冒険者が向かったが、討伐に失敗し、生き残った個体を指す。

現在までに十数体が確保されており、そのどれもが通常個体を超えた能力を有している。

その内の一体が、スコルである。

遥かに巨大化したダイアーウルフが、討伐を生き残ってきた個体である。

勿論、討伐依頼が出された理由は、巨大化だけではない。

スコルは口に咥えていたゴブリンの上半身を、ペッと吐き捨てた。

恐らくゴブリンは、スコルが寝ていた洞窟にでも出てしまったのか、もしくはスコルを通常のダイアーウルフと同じように調教しようとしてスコルを怒らせて、食い殺されたのだろう。

そして剣舞士と戦士娘に斬られたのは、文字通り命からがら逃げ延びたのだろう。

 

(こいつ……分かっているな(・・・・・・))

 

剣舞士がそう思った時、スコルが吼えた。その直後、剣舞士は神官娘と令嬢商人の前に滑り込み、刀を振り下ろした。すると、何かを弾く音が鳴り響いた。

 

「な、なんですか!?」

 

「確か、スコルの特殊能力は……風!」

 

今しがた剣舞士が弾いたのは、スコルが放った風の刃である。

スコルは、神官娘が一番弱いと感じて(・・・・・・・・・・・・)、優先して攻撃したのだ(・・・・・・・・・)。

もし剣舞士が弾いていなかったら、神官娘は風の刃で切り裂かれていただろう。

剣舞士は、スコルを睨みながら

 

「……こいつは俺が引き受ける……お前達は先に行け」

 

と告げた。

 

「しかし、師匠!」

 

「人数居た方が……」

 

「庇いきれるか分からん……不可視では、弾ききる自信がない。先ほどのは、たまたまだ……行け」

 

剣舞士がそう言うと、令嬢商人が戦士娘と魔法使い娘の肩を掴んで

 

「はっきり言って、銀等級以上じゃないと太刀打ち出来ないわ。私達じゃ、足手まといにしかならない。行くわよ」

 

と促した。それを聞いた二人は、少し迷ってから

 

「先に行きます!」

 

「無事を祈ってるわ!」

 

と言って、神官娘を守る為に挟むように布陣して走り出した。それを見たスコルは、攻撃しようとしたのか頭を四人の方に向けて口を開こうとしたが

 

「余所見してる余裕があるのか?」

 

気付けば剣舞士が肉薄していて、刀を振り上げていた。そして振り下ろした時、スコルの姿は無く、剣舞士の後ろに居た。

その巨体に似合わぬ俊敏さに、剣舞士は

 

(やはり、風牙に似ている能力か……やりようはあるか……)

 

と考えながら、交戦を開始した。

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