※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

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川辺での戦い

筏が森に入り渓谷を進んでいた時、先に反応したのは大妖精と剣舞士だった。

二人は岸壁の上の方を見始めた。その僅か後に、ゴブリンスレイヤーも木材を削って作った簡易槍を、投石紐のような物に掛けた。

それを見て、鉱人術士が

 

「……来るのか?」

 

とゴブリンスレイヤーに問い掛けた。

 

「……来るぞ」

 

「そんじゃあ、帆を畳むかの」

 

「手伝います」

 

鉱人術士はゴブリンスレイヤーの端的な言葉を聞いて、筏の帆を畳む為に腰を上げて、それを手伝う為に魔法使い娘が近寄った。

すると、神官娘が木箱の中から大きい布を取り出して

 

「お二人は、これを被ってください」

 

と牛飼い娘と受付嬢に被せた。そして神官娘は、素早く杖を掴んで詠唱を始めた。

その直後、崖の上から何かが大量に降ってきた。

 

「聖壁(プロテクション)!!」

 

当たる直前、ギリギリだったが神官娘が発動した聖壁で防がれた。その時、弓を構えながら上妖精弓手が

 

「ごめん! 川の音で気付くのが遅れた! ゴブリンライダーよ!」

 

告げると同時に、弓を放った。

崖上に居た多数のゴブリン達は狼に跨がり、駆けていた。

上妖精弓手が放った矢は一度狼の横を通り過ぎて、それを見たゴブリンは笑うが、落ちてきた矢は狼の頭を貫き、狼から落ちたゴブリンはそのまま崖から川に落ちて流された。

するとゴブリンスレイヤーは、槍を投擲し、一体のゴブリンの胴体を貫いた。

 

「オルクボルグ!」

 

「ああ……狙い難いな……」

 

上妖精弓手の意図に気付き、ゴブリンスレイヤーは頷きながら二本目の投槍を放った。

しかし、二本目は狼に当たるに留まった。

ゴブリンスレイヤーは、三本目を用意しながら

 

「……保つか?」

 

「もう少し保ちますが……次の用意をします……!」

 

ゴブリンスレイヤーの問い掛けに、聖壁の展開を維持しながら次の聖壁の準備を始めた。

 

「小鬼殺し殿!」

 

「……早く抜けるしかない……」

 

筏の操舵をしていた蜥蜴人僧侶からの呼び掛けに、ゴブリンスレイヤーは牛飼い娘と受付嬢に向かって落ちてきた瓦礫を弾きながら答えた。

幾らゴブリンスレイヤーとはいっても、現状ではそれ以外の手が無かったらしい。

だが、剣舞士は

 

「白雪」

 

と白雪を呼び出し、僅かに腰を落とした。

剣舞士の意図を察したのか、大妖精が

 

「移動力強化」

 

と剣舞士に、強化魔法を発動した。

 

「感謝する」

 

剣舞士は一言呟くと、高く跳躍した。すると白雪はそれに合わせ、空中に氷で足場を形成し、それらを次々と蹴って剣舞士は崖上に着地し、姿が消えた。

 

「彼一人で、大丈夫なんですか?」

 

支援したとはいっても、やはり単独で多数のゴブリン達を相手というのが不安だったのか、大妖精が心配そうにした。

しかし

 

「問題ないわ」

 

「師匠なら、大丈夫です」

 

令嬢商人と戦士娘は、自信満々に宣言した。

少しすると、上から降ってきていた瓦礫や石が止まった。それだけで、剣舞士が崖上から瓦礫や石を投げていたゴブリンを殲滅したと分かる。

暫く進むと、上陸出来そうな川辺を見つけたので、上陸する事にしたのだが

 

「……見るな」

 

とゴブリンスレイヤーが、牛飼い娘と受付嬢の視界を楯で塞いだ。二人は直ぐに視界を塞がれたので見えなかったが、川辺には串刺しにされた人間の遺体が晒されていた。

 

「うぇ……悪趣味……」

 

「ゴブリンですかな……酷い事を……」

 

「冒険者、みたいです……」

 

先に上陸した蜥蜴人僧侶は、一本ずつ杭を倒し、神官娘はドックタグを回収してから祈りを捧げた。そこに、木をつたって降りてきた剣舞士が合流し

 

「奥からまだ来るぞ。最低でも、20は居る」

 

と、刀を構えた。

 

「……迎撃するぞ。二人はそのまま、隠れていろ」

 

「まったく……里の戦士達は何してるのよ!」

 

ゴブリンスレイヤーは剣を抜き、上妖精弓手は悪態を吐きながら矢をつがえた。

そして、森の中からゴブリンが姿を現し、戦闘が始まった。

先に攻撃したのは、上妖精弓手だった。

彼女が放った矢は、一番後ろに居たゴブリンシャーマンの眉間に命中。その直後に、ゴブリン達からの矢が来たが

 

「矢避け(リフレクトミサイル)」

 

それは、魔法使い娘が発動した魔法で、あらぬ方向にそれていった。

 

「いぃぃぃぃやあぁぁぁぁ!」

 

「……フッ!」

 

「せっ!」

 

「はっ!」

 

そこに前衛組が突撃し、次々と斬り捨てていく。

左右は硬い岸壁な為に、掘られる心配は無い。つまり、目の前のゴブリンを倒せば終わる筈である。

対ゴブリン戦に慣れている一党は次々とゴブリンを倒していき、最後の一匹が逃げようとした。

すると、ゴブリンスレイヤーが

 

「……鏃を緩めろ!」

 

と上妖精弓手に指示した。

 

「これ、結構陰湿よね!」

 

文句を言いながらも上妖精弓手は鏃を緩め、それをゴブリンの肩を狙って放った。

矢は狙い違わずに逃げるゴブリンの肩に命中し、ゴブリンは逃げ去った。

 

「あのゴブリン、逃がしちゃうの?」

 

「……抜こうとしたら鏃が体内に残り、ゴブリンの巣で疫病を流行らせる為だ……」

 

「本当に、いろいろな手をやってますね」

 

牛飼い娘からの問い掛けに答えながら、ゴブリンスレイヤーは荷物の中からスコップを幾つか取り出し、一党で遺体を埋葬した。

その後、上妖精弓手の案内で隠れ里に進み始めた。

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