剣舞士の耳にキナ臭い話が舞い込んできたのは、ある情報屋からだった。
「暗殺依頼……俺を狙ってか」
「ああ……お前さんが、何回も邪神信奉者達の邪魔をしたからだな。入手した話じゃ、金貨500枚の値段で依頼されたようだぜ? んで、受けたのは……堕天使と呼ばれる二人組の女だそうだ」
剣舞士からしたら、狙って妨害した訳では無いのだが、邪神信奉者からしたらどうでもいいのだろう。
そして剣舞士としては、暗殺者など慣れている。
「他には?」
「お前さんとよく一緒に居るゴブリンスレイヤー一党、あいつらも狙われてるって噂だ。そっちはまだ、暗殺依頼は出されていないらしい」
そこまで聞いた剣舞士は、去り際にその情報屋の前に金貨が入った袋を置いてから、バーを出た。
そして数日後
「剣舞士さん、指名依頼が来てます」
ギルドに来た剣舞士を見て、受付嬢が告げた。
「……依頼内容は?」
「商隊の護衛依頼です。報酬は金貨200枚となってます」
報酬を聞きながら、剣舞士は受付嬢から依頼内容が書かれた羊皮紙を受け取り、確認する。
ルートは訓練所から水の都までの往復で、商隊の一人には令嬢商人の名前もある。
どうやら商隊は訓練所に武器を輸送する為に、一度水の都に行き、武器を受け取り次第、また訓練所に戻るようだ。
それを確認した剣舞士は
「わかった、引き受けよう……待ち合わせは、訓練所で良いんだな?」
と受付嬢に確認した。
「はい。訓練所で商隊が準備している筈ですので、その準備が出来次第出発すると聞いてます」
そこまで確認した剣舞士は、羊皮紙を受付嬢に返しながら
「手続きは頼む……俺は行く」
「はい! ご無事を祈ります!」
と仲間や受付嬢達に見送られながら、ギルドを後にした。そして、道具類を用意してから、訓練所に向かう剣舞士。
「……さて、闇ギルドには……二度と手出し出来なくなるように……徹底的に……狩るか……!」
剣舞士はそう言って、西の街の門から出たと同時に駆け出した。
実は剣舞士は、門に近付いた辺りから殺気を感じていたのだ。その時、数本の矢が剣舞士に飛来してくるが
「一直線に飛んでくるだけなど……!」
その矢は全て、叩き落とした。そして、走りながら足元の石を蹴りあげて
「そら……お返しだ……!!」
と刀で弾き飛ばした。剣舞士が飛ばした石は、一直線に生け垣に突っ込み
「ぐがっ!?」
と一人の男が、姿を表した。男は額を抑えながら起き上がろうとしたが、いつの間にか剣舞士が跳躍していて
「そのまま寝てろ!!」
男の顔面を、容赦なく足裏で蹴り、そのまま地面に頭がめり込む程に踏んだ。そして剣舞士は、その男が落とした矢を掴み
「そら、そこっ!」
とほぼ真上に投げた。
「ぎゃあっ!」
剣舞士が投げた矢は真上の枝の上に居た別の男の足を貫き、男が枝から落ちた。その男はすぐに逃げようとしたが
「逃がすかっ!」
と剣舞士は、最初に気絶させた男の腰にあった剣を投げて、男の肩を刺し貫いて、木に縫い付けた。
そして、逆手持ちで脇差しを抜き
「お前は……殺気を消せっ!」
と後ろから来ていた敵を斬った。
そうして剣舞士は、もう気配が無いのを確認してから
「……前座だな……他愛ない……」
と呟き、駆け寄ってきた衛兵に対処は任せて、訓練所に向かった。