※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

87 / 105
……なんか、賛否別れそうな予感がする……


到着と引渡し

翌朝、解毒剤を飲ませた事で起きた一同は、堕天使の二人が居ない事を起きていた剣舞士に訪ねたのだが

 

『昨夜、巡回に行ってから戻ってきてない』

 

という言葉を聞いて、二人は未帰還で戦死と判断。一同は納期もあるので、水の都へ出発した。その道中、剣舞士と令嬢商人は

 

「やはり、あの二人組が……」

 

「堕天使のようだな……あれから追撃は無し……本命が負けたから手を引いたか、それとも戦力が足りないと判断されたか……まあ、どちらにせよ、街に入ってまで手出しはしないだろう…市街地戦専門か、戦争の覚悟でもしない限りはな」

 

と語っていた。

だがよく見れば、何やら令嬢商人の顔が赤く、息づかいが熱っぽく荒い。それに気付いた剣舞士は

 

「大丈夫か? 風邪引いたのなら、いい薬があるが」

 

と令嬢商人の肩に触れた。

 

「ひうっ! だ、大丈夫です! お気遣いなく!」

 

「……そうか……」

 

令嬢商人の勢いに気圧されて、剣舞士は手を離した。

この時、令嬢商人は大混乱に陥っていた。

 

(なに!? 何が起きてるの!? 目覚めてから、ずっと体が熱いし、疼いてる!?)

 

初めての感覚に大混乱の令嬢商人だったが、分からないのも無理はない。これは、堕天使ですら把握していない薬の副作用(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)が有ったからだ。

詳しくは、今は割愛させていただく。

出発した一同は、魔物や盗賊に出くわす事なく、無事に水の都に到着した。

商人達が荷物の積み降ろしを始めたのを確認し、剣舞士は

 

「すまんが、俺は一度神殿に行ってくる」

 

と言って、その場を離れた。

そして至高の神殿に到着すると、剣の乙女に面会を求めた。それから少しして

 

「お待たせしました。お話しとは……」

 

と剣の乙女が従者と共に現れた。

 

「俺を狙った暗殺者が来てな……暗殺者は生け捕りにしたんだが、恐らく良い情報が手に入るぞ」 

 

剣舞士はそう言って、懐から闇の童夢を取り出したのだが、少し間を置いて

 

「人目に付かず、洗うのが簡単な場所はあるか?」

 

と問い掛けた。

案内されたのは、至高の神殿の外れ、敷地内でも外れの方の水路近く。

そして剣舞士は、改めて闇の童夢を掲げて

 

「多分、色々と悲惨な奴らが出てくるぞ……解放(アンテ)」

 

と闇の童夢から、堕天使の二人を解放した。その瞬間、従者の顔が険しいものへ変わった。

しかし、それも無理は無い。堕天使の二人は、目からは涙、鼻からは鼻水、股の間からは尿を垂れ流している。

 

「何をしたんですか?」

 

「なに……終わらない悪夢を見せただけだ……内容は知らんがな」

 

剣の乙女からの問い掛けに答えながら、剣舞士は水路に流れる水を操って、堕天使の二人に水を掛けた。

すると、堕天使の二人は闇の童夢から解放されたと気付き、剣舞士に近寄り

 

「何でも話す! お願い!」

 

「だから、もう悪夢は嫌!!」

 

と土下座してきた。その態度と言葉から、剣舞士は大丈夫と判断したのか

 

「だそうだ。情報の聞き出しはそちらに任せてもいいか?」

 

「ええ、お任せを……恐らく、邪神に連なる者達を引きずり出せるでしょう」

 

剣舞士の言葉に剣の乙女は頷くと、従者に何か耳打ちして、それを聞いた従者は神殿に入っていった。

見送った剣舞士は、二三回程水を掛けた後

 

「俺は二三日はこの宿に居る……何かしてほしいなら、連絡を」

 

と剣の乙女に一枚の羊皮紙を差し出して、神殿を出た。

そして剣舞士は、宿への道を歩きながら

 

「……仮眠位は出来るかな」

 

と呟いた。

闇の童夢だが、発動すれば相手に終わらない悪夢を見せ、副作用は発動者を眠れなくしてしまう。

しかし今回、解毒剤を飲ませたとはいっても、堕天使が混ぜた睡眠毒薬により、剣舞士以外は全員朝まで寝ていたのだから、寝ずの番には不都合無かった。

一応剣舞士は、二三日は寝ないでも活動出来るようには訓練している。だがやはり、基本的には休んだ方が動きは良いのは確かだ。

 

「宿に戻る前に、多少買い物だな……食糧や武器の手入れをしなければな……」

 

剣舞士はそう呟き、先に買い物をすることにした。

そうして宿に到着したのは夕方になった頃で、食堂の一つの机に令嬢商人以外は全員居た。

剣舞士はその机に近寄り

 

「彼女はどうした?」

 

「ああ、嬢ちゃんか? なんだか体調が悪そうでな、部屋で休むと言ってたぞ」

 

剣舞士からの問い掛けに、初老の男商人が天井を指差しながら答えた。部屋、という意味だろう。

 

「そうか……すまないが、俺も先に寝させてもらう……」

 

「ああ、俺達がずっと寝てたからな……悪かったな」

 

「いや、問題ない……一応確認するが、この後はどうするつもりだ?」

 

剣舞士のその問い掛けに、若い冒険者が

 

「夜の街に繰り出して……お楽しみだ」

 

と告げた。恐らく、歓楽街の娼館に行くのだろう。

 

「そうか……ではな」

 

「ああ、おやすみ」

 

そこで剣舞士は別れ、宿屋の主人からお湯の入った桶を受け取って、部屋に戻った。

そして、部屋で装備を脱いで体を拭いて、一息ついた時ドアがノックされた。

開けると、少し俯いた令嬢商人が居た。

 

「動いて大丈夫か? 体調が悪いと聞いたが……」

 

「……ごめんなさい……」

 

剣舞士は令嬢商人を部屋に招き入れながら、壁際に置いた雑嚢から薬の入った瓶を一つ取り出していたが、令嬢商人は小さく呟いてから、剣舞士に飛び付いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。