それは、四人への指名依頼だった。
西の街冒険者ギルド最優の銀等級、ゴブリンスレイヤー、重剣士、槍使いの三人に加えて、剣舞士の計四人。
依頼内容は、ある日突然出現した巨塔への対処。
森に入り歩いていた四人は、その巨塔を見つけて
「あれか?」
「……だろうな」
「いや、高いだろ……何階あるんだよ」
「まあ、20や30は下らないな」
四人は見つけた巨塔を見ながら、そんな会話をした。特に槍使いは
「登るの面倒そうだな……
と肩を竦めた。槍使いと一緒に一党を組んでいる魔女だが、最初は一緒に行くと言っていたのだが、槍使いが残るように念押ししたのだ。
「俺もだな」
そんな槍使いに同意したのは、重剣士である。
女聖騎士だが、月経が重かったが行くと聞かなかったので、一党を組んでいる子供達に看病を任せてきたのだ。
「んで、ゴブリンスレイヤー。お前、誰が好きなんだ? 剣舞士もだ」
好奇心からか、槍使いが黙っていた二人に視線を向けながら問い掛けた。すると重剣士が
「お前、下世話だぞ」
「いいじゃねぇか、気になるんだよ」
重剣士に諌められたが、槍使いは二人に視線を向けた。因みに槍使いとしては、自分が狙っている受付嬢が気にしているゴブリンスレイヤーの反応が知りたいのである。
「……興味ない……」
「俺は、恋愛感情というのはよく分からん」
ゴブリンスレイヤーと剣舞士の言葉に、槍使いは空を仰ぎながら額に手を当てて
「マジかよ、お前ら!? それでも男かよ!?」
と驚いていた。
「まあ、剣舞士は分かるがな……戦場育ちって聞いてるからな」
重剣士は剣舞士には理解を示していた。
そんな会話をしている内に、巨塔の根本に到着し、改めて純白の巨塔を見上げた。
中々見ない高さに、首が痛くなりそうである。
すると、重剣士が巨塔の表面に触れて
「どんな建材なんだかな……普通のではなさそうだが」
「恐らく、魔法等で強化してあるんだろう……」
「どうやって登るよ? 普通に行ったら、中は魔物や罠だらけなのはが確実だぞ?」
重剣士に続いて触った剣舞士と槍使いが、議論を始めた。その時、ゴブリンスレイヤーが背負っていた雑嚢を下ろして
「……登攀はどうだ?」
と言って、雑嚢の中から楔と金槌を取り出した。
「なるほど……この壁にそいつを打ち込んで、登るのか」
「確かに、それなら最短距離だな」
暴論だが、普通に中を進むよりかは確かに最短距離ではある。
すると、重剣士が
「貸してみな。俺がやる」
とゴブリンスレイヤーから、楔と金槌を受け取った。確かに、今居る面子の中で一番力があるのは重剣士なのは間違いない。
一本手に取り、金槌で巨塔に打ってみたが
「硬いな、こりゃ……普通にやったら無理だな」
甲高い音がして弾かれ、重剣士は金槌を持っていた手を軽く振った。よく見れば、僅かに傷が出来ている。
すると重剣士は、両腕の籠手を外して指輪を装着した。
「お、剛力の指輪か」
「ああ。普段は熟達の籠手を装備して、剣技を強化してるがな。単純な力任せなら、こっちの方が良い。それに……」
槍使いに返答しながら、重剣士は腰の雑嚢から水薬を2本取り出して飲み干し
「筋力強化にスタミナのポーションで倍だ」
さっきと同じように、金槌で楔を打ち付けた。すると、先程とは違って打ち込めている。
「よし、これで行けるぞ」
そして、四人による壁登りが始まった。
一本ずつ打ち込んでは登っていくなか
「しかし、俺がどんじりかよ」
「文句あるなら、代わるか?」
「
因みに、上から順番に重剣士、ゴブリンスレイヤー、剣舞士に槍使いという順番である。
その時、ゴブリンスレイヤーが
「……石で出来た魔物だ……西から来るぞ。数は四」
と指差した。そちらを見れば、石の体の魔物、ガーゴイルが飛んできていた。
「ちっ。一体や二体だったら、魔術で対処出来たが」
ガーゴイルを見た槍使いは、舌打ちした。
実は槍使いだが、槍を使った戦いだけでなく、多少だが魔術も使えるのだ。
とは言え、本職よりかは回数も使える種類も少ない。
すると、剣舞士が
「俺が対処する」
と雑嚢から、飛燕刃を取り出して投擲。飛燕刃は複雑な軌道を描きながら、ガーゴイル四体の翼の根元を切断。翼を斬られたガーゴイルは落下し、地面に叩きつけられて粉砕された。
「便利だな、その投げ物」
「使うには神経が必要だがな」
飛燕刃を仕舞った剣舞士は、また登り始めた。
そうして登り始めて、数十分後。ようやく最上階に到達した。
「んで、あれがボスか?」
「だろうな」
四人の視線の先には、漆黒のロープを身に纏った人物が居た。
「おのれ……! 愚かなる
何かを言い始めたボスだったが、首にはゴブリンスレイヤーが投げた投剣が刺さり、更に胸と頭を剣舞士が投げた投剣が突き刺さった。
「おいおい……いきなり
槍使いがそう言うが
「……付きやってやる理由が無い」
「右に同じ……それにどうやら、普通ではないようだ」
ゴブリンスレイヤーと剣舞士がそう言っている間に、ボスは刺さっていた投剣を引き抜き
「馬鹿め! 我は儀式を完遂させ、言葉を持つ者共の攻擊では死なぬ!!」
と告げた。その直後、剣舞士が投げた餓狼が喉に刺さり、そのまま壁に張り付けにした。
「魔術師ならば、喋らせなければ問題あるまい」
剣舞士はそう言って、刀を引き抜こうとしたボスの両目を斬った。
「だが、どうやら死なないのは確かみたいだぜ?」
「どうするかな……流石に、死なない奴の倒し方は……」
重剣士と槍使いが首を傾げていると、投剣を回収したゴブリンスレイヤーが
「……突き落とすのはどうだ?」
と外を指差した。
その後、縄で縛ったボスをテラスから外に蹴り飛ばした。
そうして落ちていくボスを、四人で見守り
「お、弾けた」
「再生……しないな。死んだか」
地面に叩きつけられて弾けて死んだのを確認し、四人は広間と扉の先にあった部屋の確認を始めた。
そして、ある部屋で大量の財宝を見つけたのだった。