「まさか、初めての
通路を進みながら、魔法使い娘は小さく呟いていた。
死の迷宮に突入した一党は、剣の乙女から受け取った地図を元に、慎重に探索をしていた。
今回は広大な地下迷宮の中から、一人の皇女と黒幕を探し出さなければならない。
はっきり言って、簡単ではない。
地図で見る限り、一階層の部屋は大小合わせて20を超える。その中から見つけないといけないのだ。砂漠の中から、一つの石を見つけろ、と言われている事に等しい。
「何処に居るのか、分かれば話は早いんですが……」
「……最奥だろう」
神官娘の言葉に、ゴブリンスレイヤーは断定しながら地下四階の一番広い部屋を指差した。
「小鬼殺し殿、その理由は?」
「……この部屋、どうやら祭壇になっているようだ……」
蜥蜴人僧侶の問い掛けに、ゴブリンスレイヤーはその部屋に関する注意書きの部分を指差した。
確かにそこには、祭壇になっている旨が書かれてある。
もし皇女を攫った黒幕が、邪神復活の為に皇女を生け贄にするならば、その部屋は最善の部屋になる。
「なら、その部屋に最短ルートで行きましょう!」
「……ああ……道中見つけたゴブリン共は、皆殺しだ……!」
上妖精弓手の言葉にゴブリンスレイヤーは頷き、奥へと歩み出した。
まずは、一階から三階へ降りる。
地図を見ると、一階から二階、三階までは普通に行けるが、三階から四階に行く道が無いのだ。
ならば、どうやって四階に行くのか。
その答えが、一階の一角にある大穴だった。
そこから梯子で三階まで降りると、四階に行く為の階段が有る事が、地図に記載されていた。
まず、その梯子がある大穴を目指すが、道中には大量に魔物が配置されていた。
大半はゴブリンで、何体かオークとコボルトだった。
コボルトは犬頭の魔物で、ゴブリンより少し強い位の魔物で、素早さが厄介だが、ゴブリンと同じく最下位の魔物だ。
「私達も、投石紐で援護します」
「幸い、石ならそこら辺に転がってるしね」
神官娘と魔法使い娘は、後々を考えて奇跡と魔法を控えて、投石紐で瓦礫を投擲し、前衛組が前に出て戦闘。後衛の上妖精弓手と大妖精が、弓で援護する。というのが、半ばこの一党の戦闘陣形になってきていた。
大妖精は支援魔法と弓の使い分けで、一党の支援を行い、上妖精弓手は最近、武器工房の親方が作った新しい矢も使っている。
先端の矢じりが十字型になった貫通性強化型と、鳴鏑矢、火矢、爆裂矢だ。
貫通強化型は上妖精弓手から高評価で、偶にいる盾持ちや外殻が堅い魔物相手に有効らしい。
鳴鏑矢は主に連絡用で、こちらは西の街の関所や途中の農村等に置いて、何らかの緊急時に高く飛ばすように決まった。
爆裂矢は魔法使い教会が開発した爆裂筒という魔道具を矢に加工したもので、重量が増す為に射程距離が短くなるのがネックだが、爆発の威力が強い為に密集してる集団や、狭い場所に撃ち込めば効果は高いと上妖精弓手は評価していた。
「奥から、ゴブリンの大集団が来るわ! 爆裂矢を使うから、注意して!!」
上妖精弓手は忠告すると、矢筒から爆裂矢を抜いて、放った。放たれた爆裂矢は、最初のゴブリンやオーク、コボルトの頭上を超えていき、暗闇の奥で大爆発を起こした。
その爆発に最初の集団が驚いている隙に、前衛組が一気に斬り込んで殲滅した。
「……急ぐぞ。間に合わなければ、意味が無い」
ゴブリンスレイヤーの一言で、一党は奥に向かって移動を再開した。
そして、大穴の手前に来たが
「……チャンピオンか」
ゴブリンチャンピオンが入り口に陣取っていた。
「時間が無いからな……俺が斬る」
剣舞士がそう言って、刀を抜きながら縮地でゴブリンチャンピオンに肉薄し、首を斬り飛ばした。
そして、件の大穴の部屋に入ると
「本当に大きいわね……」
「底が見えません……」
大広間並の穴が空いていて、一か所に金属製の梯子が2つと部屋の端に縄梯子が入った箱が置いてあった。
「……降りるぞ」
そして、一党は第三階層に降りていった。