※この作品はR-18です。

ゴブリンスレイヤー・剣で舞う者   作:京勇樹

98 / 105
ミノタウロス・アステリオス

 

 

 

長い長い梯子を降りると、その先には巨大な門が有った。しかしその前には、巨体が居た。

 

「あれは……」

 

「み、ミノタウロス……!」

 

ミノタウロス

約3mに迫る巨体に、途轍もない膂力。そして何より、生半可な刃物では傷すら付かない高い防御力を誇る、当に魔物の中の魔物だろう。

しかしそのミノタウロスは、通常のミノタウロスとは違かった。

 

「ねえ……確かミノタウロスって、赤い肌じゃなかった?」

 

「黒い……わね……」

 

「それに、大きくないですか? 優に4mはありますよ?」

 

そう、門の前に居たミノタウロスは、通常より大きく黒い肌だった。それに、その手には雷を纏う大剣が握られていた。

 

「あれはまさか……ネームド!?」

 

「ミノタウロスのネームドといやあ……黒雷(アステリオス)か!?」

 

緊急討伐指定個体(ネームド)、アステリオス

今から少し前にあった戦争の時、たった一体で軍隊の大隊規模を壊滅させた規格外のミノタウロス。

一度は有名な冒険者達と交戦し負傷させる事には成功したが、討伐には失敗。逆にその冒険者達は全滅し、頭目(リーダー)が持っていた魔剣が奪取されたという。

その後、最新のネームドとして黒雷(アステリオス)の名前が与えられた。

 

「二体目ですね、ネームドと交戦するのは……」

 

「確かアステリオスは……岩すら砕く拳に、鉄より硬い肌って聞きましたが……」

 

「それだけではないな……明らかに、戦闘勘も高い」

 

神官娘の後、剣舞士は白髪剣姫と一緒に前に出た。

ここまで会話していたが、アステリオスは一歩も動かなかった。

それは恐らく、剣舞士と白髪剣姫を警戒したから。

下手に踏み込み攻擊したら、手痛い反撃を受けると察したからだろう。

 

「……こいつは、俺達三人で引き受ける……」

 

剣舞士がそう言うと、白髪剣姫と大妖精が構えた。

 

「そんな!?」

 

「師匠! ここは、全員で戦った方が!」

 

「いや……こいつは下手に大勢で挑んだら、被害が大きくなる……それに、時間の余裕も無い……安心しろ……こいつは、絶対に追わせない」

 

剣舞士はそう言って、餓狼だけでなく黒椿も抜いた。

それに合わせて、白髪剣姫も剣を抜いた。

ほぼ同時に、大妖精が

 

「斬撃強化、攻擊力強化」

 

とまずは、剣舞士と白髪剣姫を強化した。

更に

 

「全体強化……俊敏強化、防御力強化」

 

と全員を強化した。

 

「……私達でも、僅かな隙を作るのが限界だと思います……その隙を逃さず、門を通り抜けてください」

 

「……分かった……後で必ず会おう……」

 

大妖精の言葉に、ゴブリンスレイヤーは僅かに迷ってから頷いた。

 

「じゃあ……行くぞ……!」

 

その言葉と同時に、剣舞士と白髪剣姫が駆け出した。

二人は強化された機動性を活かし、二人が交互になるように撹乱しながらアステリオスに接近し、左右から一閃したが、二人の攻擊でも薄皮が少し削れた程度でしかない。

だがその時には、既に剣舞士が策を発動していた。

気付けばアステリオスの顔の高さに、着火した導火線が着いた竹筒があった。

アステリオスは爆弾かと考え、範囲外に出ようと横にジャンプしていた。次の瞬間、凄まじい閃光が放たれアステリオスの視界が真っ白に染まった。

 

「今だ! 行け!!」

 

剣舞士が合図したら、一党は全速力で駆け出した。

目的の門は昔の戦闘の余波か、右側が崩れている。そこを一党は駆け抜け

 

「ご武運を!!」

 

最後に戦士娘が、駆け抜けながら三人に声援を送った。

そして、アステリオスの視界が戻ると、三人以外は居なかった。

 

「さっきのは……」

 

「令嬢商人が魔法使い協会から仕入れた閃光筒だ……俺も原理はよく分からん」

 

大妖精からの問い掛けに答えながら、剣舞士は餓狼の刀身を見た。

今のところ刃毀れはしていないが、アステリオスの硬さを考えると、折れる可能性すらあり得る。

それは白髪剣姫も同じらしく、剣の様子を軽く見ている。

大妖精の支援魔法で斬撃強化されているが、それでも僅かに削った程度。

となれば、致命傷を狙うしか勝つ方法は無いだろう。

更に、魔剣が気になる。

冒険者達が死んでしまった為に、魔剣の詳しい効果は不明。しかし、ギルドに残っていた資料からは、雷を発生させ、操る魔剣となっている。

迂闊に受け止めたら、雷撃で内部からダメージを負うだろう。

だから、極力回避しながら攻擊していき、倒すしかない。

 

「いくぞ……あいつらを、追わせる訳にはいかない」

 

「はい!!」

 

剣舞士の言葉に、大妖精と白髪剣姫は頷いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。