夏の日差しがきつい。
頭がくらくらして、水分が身体中から吸い取られる。
やっとのことで家につく。
ガチャガチャして鍵を開ける。
古いアパートは、鍵などあっても無いようなもので、ドアノブのガチャガチャと、ドアを揺すると鍵があく。
「あじぃーーー。」
冷蔵庫に2リットルのペットボトルがあったはず。
ピコンピコン.
うぅ、頭がくらくらだ、もしや、熱中症では?明日会社休もうかな。
ピカンピカン、
ゴクッゴクッゴクッ、、、、、
ぷはぁ!、
うまい。
おもわず、口から漏れていたが、関係ない。こんなにも体を満たす飲み物があっていいのか。
しょっぱい液体は、俺の体を潤していく。
あ、うがいしてなかったな。
かーちゃんに、おこられそ。
今でも、実家で聞こえてくる、声が懐かしい。
蛇口を捻り、冷たい水を頭から浴びる。
「うっほぉぉぉぉお!!」
気持ちいい、こんなにも体が熱かったのか、水を被って気づく事もあるのだ。
充分に冷えたので、バスタオルであたまをガシガシと雑にふく。
そのままシャワーでも浴びるか。
ふと、鏡を見る。
「うっわ!やつれてるなー。あ!ここにまた、ニキビ!」
顔をペタペタしながら肩まで水で湿ったので、タオルでポンポンする。
「風邪ひくよ。」
母さんの声が聞こえた気がして、むなしくなった。
そして。部屋には、唐突に消えた男が使っていたバスタオルが宙に投げ出され、
パサッと音をたてて落ちた。
鏡は、光を反射せず、鈍いすりガラスのようになっていた。
ピカンピカンピコンピコン.。
ん?寝てたのか?
冷たい床に寝そべっていた。
腰がそのせいで滅茶苦茶痛い。
「いたたた。」
まだ20代がオッサンのように呟く。
回りを見渡して
「あれ?ここどこ?」
家にあるはずのテレビ、パソコン、布団、冷蔵庫、マジ小さいキッチン、どれもなくて、どこの部屋でもない。
床もコンクリートっぽい。
え?どこ?
「ま、いっか。」
「夢の中だったらさ、仕事のこと忘れられるし。」
これが明晰夢というやつか。まあ、とりあえずこの部屋を出てみよう。
夢の突拍子さには慣れている。
前には、自衛隊のお父さん(本職)が俺に手榴弾の使い方教えてくれたし。
全く違う方法だったがな!
あれで俺はよく、信じたものだ。
まぁすぐに目が覚めたから、続きが知りたいと思うのは、俺が読書家であったからだろう。
夢でなかったら絶望ものだ。
夢の話を夢の中でするもんじゃないな。
気づかなかったがドアがあったのでそこからでよう。
扉を開けると、どうやらトイレのようだ。
個室の前に立っていた。
個室のドアを開けてもさっきの部屋はなく、和式のトイレだ。
「へー、ワープするんだ。」
るんるんで、トイレからでると、どうやら駅のトイレらしい。
駅の改札がある。のでたぶんそうだ。
「駅名は?」
「Bってなんだよ!」
と、大阪人ばりのツッコミをいれたが何かが返ってくるわけもなく。むなしくなった。
そう、駅の名前が書いてあるところは、ただただBと書いてあるだけだった。
そうだ、駅員室、みたいなとこ入れるんじゃないか?
思い立って、受付のとこから入って、資料を読む。
へーーーー、こんなマニュアルあるのか、
ふむふむ。
なるほど。
ん?
ちょうど駅名が書いてあるところが全部抜けている。
それを裏付けるのが、路線表が意味をなしておらず、虫食いの状態だったからだ。
なるほどなるほど。こんな現実っぽいのに、駅名は匿名ね。
部屋を出て、
駅の隣のコンビニがあったので、入る。
テレレンレレレレン。
「おじゃましまーーす。」
そーーっとドアを開けて入ったのは、コンビニの電気がついておらず薄暗く、人が居なそうだったからだ。
「無人か?」
夢ってのはキャパが少ないのか?
「へぇー。」
ちゃんと陳列された商品があるが、大事な従業員という要素がないせいか、もはや、コンビニではない。
昔みたアニメの映画でも無人コンビニにたむろうやつらは居たな。
なんだっけ?クレパスてんちゃんか。
あ、喉乾いたな。ジュースジュース。
そこで初めて違和感に気づく。
本来ジュースが入っている冷蔵庫の扉はガラス張りとか中が透けているはず。
しかし、ここでは、全部すりガラスのように映すものをぼやけさせている。
入ってきた扉もそうだ。
ロゴシールが強調されてて見ても違和感がなかったが、薄暗いのは昼の太陽をあんまり通していないからだ。
他に調べていると、新聞、ポスター、雑誌漫画。全てがない。
たまたま、在庫切れな訳がないし、そもそも無人たがらか?
気味が悪くなって、外に出ると、あまりにも外が眩しく、手で傘をした。
「見つけた。探したよ。」
「うぁあ!ビックリしたあ!!」
眩しくてよく見えないが、今まで誰一人として人に会っていなかったのだ、いきなり声をかけられてビックリしないわけがない。
「そんなに驚かなくてもねぇ。」
「どちらか存じませんが、ここはどこ?」
「私は君だよ?」
「は?」
目が合う。
癖毛は直されているが、目の開き具合、輪郭、左の泣きぼくろと、その他もろもろ。
「なんで?」
「なんでか、そっか、まだなんだな。」
驚いているけど夢だしね。
「じゃあ、今がチャンス!だね!」
どっかのcmみたいにポーズをとったのは自分がキモいと思い、どこか悲しくなった。
そいつは、左手をロングコートのポッケに突っ込んでおもむろにそれを取り出した。
それは、BB弾でうつあのプラスチックの拳銃だ。オモチャなのに、
この場で出すのはなんか、
ちゃっちく見えなくて。
嘘だろ?
嘘だと言ってくれ。
まさか、そんなんで殺せる展開か?
ニコッと俺は笑いかけ、ためらいもなく
ガチャツ
パンっ
音はしょうもないのに、顔の前に掲げた手が震え出した。
「あ」
「あ」
「ああ」
「あああがああああああああああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
最初に右手が焼けるような熱さな痛みに襲われ。
激痛とともに、喉が枯れるぐらいの声が自然とでた。
手首を押さえて、床を転がる転がる。
痛みで何をされたのか、何が起こったのか、全てがわからない。
考えれない。
「いいいいいいいいいいだぁぁぁいいいい」
一番近い指のどれかの感覚がなく、小指には力が入らず。
目から涙が、口から唾液が、鼻からは汗と混じったものが口のなかに入ってくる。
「うるさいんだな。
まぁ、恨むんだったら、俺は恨まないでよ。
そもそも、そういうものなんだからさ。」
また、俺の鼻近くに銃をもってくる。
危険だ、危険だ危険だ危険だ危険だ。
「いいいいいやゃあぁぁぁぁああぁぁああ!!!」
足をばたつかせなんとか立って腹にタックルし、そのまま外へ出て、
こけそうになりながら走った。
だ。だすけて。
まず、おかしかったんだ。
もう一人の俺がいるなんても、お決まりじゃないか、夢なら絶対俺が好きそうな設定だ、
後ろを振り返る。
だいぶ走った。おってきてない。
相手は飛び道具。曲がり角まで走ろう。
あの角で休もう、もう、疲れた。なんか頭がぼーっとする気がする。
「はぁっ!はぁっ!、、、、ごほっごほっごほっ。」
色んなところから、体に汁がでてきていて、気持ち悪い。
鉄砲、でもたぶんBB弾だ。
夢だから強化されたのか?
実弾じゃないのは俺のイメージがないからか?
離れるように息を整えつつ歩き出す。
「どーーーこいくの?」
「!!!!!」
ソイツは、真顔で鼻先に銃口を向けている。
「残念だったね?逃がさないよ。僕が本物になるんだ。そのために君はいらない。」
引き金に触れた中指が動く。
「しね」
「あ、あああ」
もう体が動かない。
妙にリアルな走馬灯と、あれ?鏡の前で髪を乾かしてただけじゃないか?
と思ってしまった。
ぱんっ!
うっ!と顔をそらす。
が特に何もなく、奴が持っていた銃は、地面に落ちていた。
「う。う、う、うあああああああああああああぁぁァアァァァァァァァーーーー!!!!!!」
耳が切れそうなほどの高温で叫ぶ奴は右手を抱えていた。
いや、右手は無く、手首から銃を持ったまま切り離されており、切断面から紅い液体と、紅いどろどろしたものがとめどなく流れている。
「あああああああああああいいいいいいいいいいいいいいイイイイイイ!!!!」
助かったのか?でも、誰が?
「こっち、来て。」
多分女の子に連れられて今走っているんだと思う。
だが、思うように足は動かない。
もつれてもつれて、最後には頭から倒れ込んだが、、、、、、
つづく。