※この作品はR-18です。

本棚の赤い実 女性side   作:茅野 紫簠


原作:オリジナル作品
タグ:R-18 R-15
彼の部屋に誘われた私。
本棚の隅に見つけた赤い実。

彼にやられてばっかりの私じゃない!
今度こそ目に物を見せてやる!

そんな私の掌編。

本棚の赤い実の女性サイドです。

1 / 1
本棚の赤い実 女性side

…お邪魔しまぁす……

 

家主が招き入れてくれているのに、

なんだか申し訳なくなって萎縮してしまうのは、私の昔からの癖だ。

 

一歩部屋に入ると、今まで彼が構築して来たであろう物達に囲まれた。

 

 

 

 

今日はやっと彼の仕事が落ち着いたので、

初めて「お家デート」とやらをする。

 

この日の為に、服を30分かけて悩み、下着を新調したのは内緒だ。

 

 

綺麗好きの彼らしく、

部屋は男性の一人暮らしのにも関わらず片付いており、

床のホコリなども気になることはない。

 

彼の仕事の関係か、インテリアや雑貨は統一感があり

見方によっては、ちょっとしたショールームのようでもあった。

 

しかし私はそれに興味はない。

なので、一瞥しただけで足は他の場所に向いた。

 

 

 

そう、本棚へ。

 

 

 

「これ、なんだっけな。こっちのは見たことある。これ知らないな」

 

私はぶつぶつ呟きながら、本を漁る。

 

 

 

本は、読んだ人を構築する1部になる。そう私は考える。

さらにこうも考える。

彼の読んだ本を知ることは、彼の知識や関心、すなわち彼自身を知るのと同意義だ、と。

 

だから彼の読んだ本を知りたいのだ。

 

 

「なんか面白いものあった?」

 

後ろから彼の気怠げな問いかけが聞こえる。

 

「こっちのは、限定版とかかな。あ、同人誌もある」

 

突然背後から声をかけられるのは苦手だ。

抵抗できないから。

でもこの場には愛しい彼しかいないのだから、怖がる必要はない。

そのまま捜索を続ける。

 

そして見つけてしまった。

 

「これ、これって、ねぇ、これ!」

 

私は知っている。どうやって、誰が使うのか。

 

でも、どうしてこんなところに………?

 

「うん、前に行った商談会で、何故かブースがあってな、もらった」

 

前に彼から聞いたことがある。

ソレが、本来の目的だけでなく、インテリアとして扱われることもあるのだ。ということを。

まさかここで実践されるとは

やはり策士だ。

 

「そっか、これが何か、知ってるんだ。なんの目的で、どんな風に使うのかも、わかるんだ」

 

意地悪く、それでいて優しく問いかける彼は、確信を持って問いかける。

 

「…知らない、知らないんだから、ばか」

 

否定はする。

でも、彼が確信を持って問いかけた事にも気が付いている。

私がどう答えようと、知識があることなど彼にはお見通しなのだ。

 

そう理解した途端、顔が熱くなってくるのが分かる。

 

「これは、貰い物だし、持て余してたからなぁ。欲しいんなら、あげようか?」

 

彼は恐らく、私にこう言って困らせるつもりなのだろう。

 

だから敢えて――

「…貰う」

 

彼が驚いている気配が伝わってくる。

 

振り向いて、彼の目を真っ直ぐ見る。

だって人にお願いをする時はそうしろって言われたから。

 

「ちょうだい、お願い」

 

策士を策に溺れさせる為、私はにこやかに笑いながらおねだりをした。

 

「いや、いやいや、これ男向けだし、あげても使い道ないぞ。それに、部屋のインテリアにするにもこれは」

「貰うの。使うの、今」

「今って、まてまてまて、今とかどう言うこと」

 

溺死させられそうになった策士。もとい彼は矢継ぎ早に質問を繰り返す。

 

いつもの大人な彼がまるで同世代のように慌てるのが可愛い。

そして、いつもの余裕を保った顔を崩したくて、彼ににじり寄る。

 

「うちが、今からこれ、使ってあげるんだから」

 

私がニヤリと笑ったのが引き金になったのか、

彼はベッドにストンと腰を落とした。

 

私は抵抗しない彼を観察しながら、その膝の上に乗る。

 

「いつもの仕返し。今日はうちが、するんだから」

 

そう言いながら彼を押し倒してキスをする。

彼の身が強張るのを感じる。

 

今度は彼が羞恥に顔を染めるのだ。

 

「なら、お願い」

 

彼は強がりながらそう言う。

 

気に入らない。今は私が主導権を握る番なのに。

 

「うちが、壊してあげる」

 

気に入らない。だからそう宣言する。

 

策に溺れた策士は諦めたように笑った気がした。

 

 

 

手の中には赤い実。

これを使って、どう壊そうか。

それはまた別のお話

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。