日本の村に眠る淫習を訪ねて、柳沢研究室レポート 今に残る日本の村のエロ風習 ⭐︎各話読み切り 新作はイラスト付き 作:みなぽん
冬の朝の空気は鋭く冷たかった。
新当流道場――九条道場。
古びた木造の建物の正面に掲げられた看板は、先代が自ら筆を執ったものだった。
『新当流 九条道場』
九条夢沙詩は、今日も父の遺影に向かって頭を下げる。
「おはようございます、お父さん。」
写真の中の父は、いつものように厳しくも優しい顔で笑っていた。
半年前。
父、九条源之介は癌でこの世を去った。
最後まで病床で道場のことを案じていた父は、夢沙詩の手を握り、静かに言った。
「夢沙詩……道場を頼む。」
その言葉だけを残して。
夢沙詩はまだ十九歳だった。
剣の才は決して高くない。
父のような圧倒的な強さもない。
門弟たちをまとめる器量も、師範としての貫禄も足りない。
それでも。
それでも父の残した道場を守りたかった。
「よろしくお願いします、師範!」
「はい! 今日も頑張りましょう!」
門弟たちはそんな彼女を支えてくれた。
夢沙詩が技を間違えれば、古参の門弟がそっと補足する。
夢沙詩が落ち込めば、年下の門弟たちが励ましてくれる。
決して強い道場ではない。
それでも温かい道場だった。
父が遺した場所だった。
だからこそ――。
その男が現れた日のことを、夢沙詩は一生忘れないだろう。
昼下がり。
道場の引き戸が勢いよく開かれた。
「ここが新当流か。」
低い声だった。
三十代半ばほどの男。
旅装束に古びた刀。
鋭い目つき。
その場にいた誰もが、ただならぬ気配を感じ取った。
「俺は各地の道場を巡っている。負けた道場の看板を貰うのが趣味でな。」
道場の空気が凍る。
「つまり……道場破り、ということですか。」
夢沙詩が問う。
「そういうことだ。」
男は道場の看板を見上げた。
「勝てば貰っていく。」
門弟たちの表情が変わる。
怒り。
悔しさ。
恐怖。
その中で、一人の青年が前に出た。
「俺がやります。」
夢沙詩の一番弟子。
二十四歳の佐伯慎吾だった。
「慎吾さん……!」
「師範が出る必要はありません。」
木刀を構える。
「九条道場、一番弟子の佐伯慎吾。参ります!」
鋭い踏み込み。
見事な面打ち。
父から教わった新当流の技。
しかし。
男は紙一重でかわした。
「遅い。」
鈍い音。
慎吾の体が床を滑る。
「ぐっ……!」
立ち上がる。
再び挑む。
だが結果は同じだった。
打ち込む。
かわされる。
崩される。
転がされる。
何度目かの打突のあと、慎吾は膝をついた。
「終わりだ。」
男の木刀が喉元で止まる。
敗北だった。
静まり返る道場。
男は無造作に振り返る。
「約束通り看板を――」
「待ってください。」
夢沙詩だった。
男が振り向く。
「まだ……終わっていません。」
「ほう?」
「私は、この道場の師範です。」
夢沙詩は父の木刀を握った。
「私が負けるまで、九条道場は負けではありません。」
慎吾が叫ぶ。
「駄目です師範!」
「お願いします、下がってください。」
夢沙詩は微笑んだ。
「師範代として戦うのがあなたの役目なら、道場を守るのは私の役目です。」
父の言葉が蘇る。
――道場を頼む。
「九条夢沙詩。」
木刀を構える。
「参ります。」
男がわずかに目を細めた。
「いい目だ。」
次の瞬間。
夢沙詩は飛び込んだ。
鋭い一撃。
しかし届かない。
弾かれる。
体勢が崩れる。
床に転がる。
「くっ……!」
立ち上がる。
再び踏み込む。
打ち込む。
受け流される。
肩を打たれる。
手が痺れる。
木刀を落としそうになる。
それでも握り直す。
「まだです!」
また向かう。
また倒れる。
膝をつく。
息が苦しい。
腕が上がらない。
視界が揺れる。
それでも。
それでも立ち上がる。
父が守った道場だから。
門弟たちがいる場所だから。
ここを失うわけにはいかなかった。
「うああああっ!」
渾身の一撃。
男が受ける。
衝撃。
そして。
夢沙詩の体が宙を舞った。
床に倒れる。
木刀が転がる。
立とうとする。
腕が震える。
足に力が入らない。
「まだ……。」
膝をつく。
「まだ……終わってません……。」
立ち上がろうとする。
だが体は言うことを聞かない。
再び崩れ落ちる。
それでも床に手をつく。
歯を食いしばる。
涙が落ちる。
「お父さん……。」
守りたかった。
本当に守りたかった。
父の道場を。
みんなの居場所を。
男は黙って見ていた。
夢沙詩は最後の力を振り絞る。
だが。
足は立ち上がることができなかった。
床に崩れ落ちる。
静寂。
道場に響くのは荒い呼吸だけ。
「……勝負ありだ。」
男の声が響く。
夢沙詩は動けなかった。
悔しさで唇を噛む。
涙が止まらない。
看板を守れなかった。
父との約束を守れなかった。
その事実だけが胸を締め付けた。
男はしばらく看板を見上げていた。
そして。
夢沙詩へ視線を向ける。
「お前は弱い。」
夢沙詩は俯く。
「だが。」
男は静かに続けた。
「最後まで逃げなかった。」
夢沙詩は顔を上げる。
「道場を守る覚悟だけなら、俺が見てきたどの師範よりも立派だった。武士の情というのをかけるべきなんだろうなぁ。条件を飲むなら、1ヵ月後に再戦してやっても良い」
「条件……!」
夢沙詩の肩が震えた。
男の言葉は、絶望の淵にいた彼女にとって、あまりにも甘美な響きを持っていた。
たとえそれが、どれほど過酷なものであっても。
道場を守れるのなら。
父との約束を果たせるのなら。
夢沙詩は震える腕で体を支えようとした。
だが、立ち上がることはできなかった。
だから、彼女は迷わず選んだ。
九条夢沙詩としての、究極の決意を。
がくりと。夢沙詩は床に額を擦り付けた。
土下座だった。「お願いします……!」
声が震える。
涙が床を濡らす。
「どんな条件でも……! どんな無理でも……!」
慎吾が悲痛な声を上げる。
「師範! やめてください! そんなこと……!」
だが夢沙詩は止まらない。
プライドも、羞恥も、もう関係なかった。
ただ守りたい、この場所だけは。
「再戦を……! 看板を守らせてください……!」
静まり返る道場。
男は無言で見下ろしていた。
長い沈黙。やがて、男は短く息を吐いた。
「……いいだろう。」低い声が響く。
夢沙詩が顔を上げる。涙と汗と埃にまみれた顔だった。
だが、その瞳だけは真っ直ぐに男を見ていた。
男は懐から何かを取り出す。宿のパンフだった。
無造作に夢沙詩の前に放る。
そこには『湯屋 石楠花』と記されていた。
街はずれにある、寂れた温泉宿の名前だった。
「俺の泊まっている宿だ。」男は背を向ける。
引き戸に手をかける。
「今夜、来い。」振り返らないまま、男は言った。
「その気があるなら、だ。」条件の詳細は語られなかった。
だが、それが生半可な覚悟では受けられないものであることだけは明白だった。
男は去った。後に残されたのは、パンフと、そして倒れたままの夢沙詩。
慎吾たちが駆け寄る。
夢沙詩は震える手で、パンフを握りしめた。
それは、新たな戦いの始まりを告げていた。
街はずれの温泉宿『湯屋 石楠花』は、古い木造の建物がひっそりと佇んでいた。
冬の夜気は容赦なく肌を刺す。
夢沙詩は、道着の上に羽織ったコートの前を強く握りしめ、宿の入り口に立った。
引き戸を開けると、古い木材と湯の香りが混じり合った匂いが鼻腔をくすぐる。
「お客様かい? こんな時間に」
女将らしい年配の女性が出てきたが、夢沙詩は首を振った。
「あの方に……呼ばれて来ました」
それだけで女将は察したように頷き、「奥の離れだよ」と案内してくれた。
廊下の板張りが、自分の足音以外に何も聞こえないほどに軋む。
離れの襖の前で、夢沙詩は息を深く吸い込んだ。
震える指先で、襖に触れる。
「……失礼します」
低い声で告げ、襖を開けた。
部屋の中は、行灯の薄明かりが揺らめいていた。
男は上座に座り、一人で酒を傾けている。
旅装束は脱ぎ捨てられ、着流しの姿だった。
その鋭い目が、夢沙詩を捉える。
「来たか」
酒杯を置く乾いた音が、静寂の中で響いた。
夢沙詩は畳に膝をつき、深く頭を下げた。
「九条夢沙詩です。お言葉に従い、参りました」
額が畳に触れるほどの深さだった。
男は鼻を鳴らし、酒瓶を傾ける。
「土下座までして望んだ再戦だ。逃げ出さずに来たことだけは褒めてやる」
「……条件を。お聞かせください」
夢沙詩は顔を上げなかった。ただ畳の目を見つめる。
男は立ち上がり、ゆっくりと夢沙詩に近づいた。
草履の音が止まる。目の前に男の影が落ちた。
「1ヶ月後の今日」男は静かに言った。
「その日に再戦してやる。貴様か門弟のいずれかが、未熟な剣で、俺に挑む機会をやろう」
夢沙詩の肩が揺れる。希望の光が差し込んだようだった。
「しかし、ただでチャンスをやるわけにはいかない」
男は屈み込み、夢沙詩の顔を覗き込んだ。
酒の匂いが鼻先を掠める。
男の手が伸び、夢沙詩の顎を強引に持ち上げた。
無理やり上を向かされた夢沙詩の瞳と、男の冷徹な目が交わる。
「その1ヶ月間」
男は一字一句、噛みしめるように告げた。
「一カ月間 俺の夜伽をしろ」
時が止まったかと思われた。
行灯の炎が揺らめき、影が歪む。
夢沙詩の呼吸が止まる。
「よ……とぎ……?」
かすれた声が漏れた。
男は顎を掴む手に力を込める。
「聞こえなかったか?夜伽だ。女として俺に奉仕しろと言っている」
男の目には、武人としての鋭さとは別の、どす黒い欲望が滲んでいた。
「断るなら今すぐ帰れ。明日の朝、俺が看板を外しに向かうまでだ」
夢沙詩の脳裏に、父の顔がよぎる。
『道場を頼む』
看板を外される光景。
慎吾たち門弟の絶望する顔。
道場がなくなり、皆がバラバラになる未来。
それらと、自分の体のどちらが重いか。
答えは、最初から決まっていた。
「……承知しました」
震える声だった。
顎を解放され、夢沙詩は再び深く頭を下げた。
「1ヶ月後の再戦。その機会を頂けるなら……私の体を、お好きなようにお使いください」
男は無言で見下ろしていた。
やがて、着流しの帯に手をかけながら、冷笑を浮かべた。
「ならば、始めるぞ。最初の夜伽だ」
着物が落ちる衣擦れの音が、夢沙詩の心臓を鷲掴みにした。
「脱げ」
短い命令だった。
夢沙詩は震える手で道着の襟に手をかけた。
だが、指に力が入らない。
男は苛立つことなく、酒杯を置くとゆっくりと近づいてきた。
「初めてだから手順がわからんか。俺が脱がせてやる」
男の手が、夢沙詩の道着の紐にかけられた。
無骨で節くれだった指が、白い襟元を割っていく。
ささくれだった皮膚が肌を擦り、背筋が粟立つ。
紐が解かれ、着物が肩から滑り落ちる。
肌着の紐も、下着の布地も、全てが男の手によって剥ぎ取られていった。
最後の一片が床に落ちたとき、夢沙詩は本能的に腕で体を隠そうと身を縮めた。
「隠すな」
男の声は低く、絶対的な響きを持っていた。
「俺のものだと言っただろう。その体の隅々まで、俺に見せる義務がある」
夢沙詩は唇を噛み締め、震える腕をゆっくりと下ろした。
行灯の頼りない光の下、十九歳の白く滑らかな肌が露わになる。
未発達な曲線。
剣士特有の引き締まった腹と、鍛えられた足の筋肉。
そして、まだ誰にも触れられたことのない秘められた場所。
男は酒瓶を手に取り、元の位置に戻った。
そして、まるで美術品を品定めするかのように、夢沙詩の体を舐めるように見つめた。
上から下へ。
鎖骨の窪み。
小さく控えめな乳房と、その先端の薄い桜色。
わずかに凹んだへそ。
そして茂みの下の割れ目。
視線が触れるたびに、その部分の皮膚が熱を持ったように焼けるようだった。
「……細いな」
男は独り言のように呟いた。
「剣士としてはともかく、女としては貧相だ。だが……」
男は酒をあおり、再び夢沙詩に近づいた。
「初物の匂いがする」
男の指先が、夢沙詩の鎖骨に触れた。
冷たい指だった。
その指が、ゆっくりと這い降りる。
胸の谷間を通り、膨らみの側面をなぞり、先端の突起を掠めた。
「っ……!」
ビクンと体が跳ねる。
初めて感じる異物の感触に、恐怖と羞恥で目の奥が熱くなった。
男はその反応を見逃さず、突起を指の腹で押し潰すように弄ぶ。
「ここは硬いな。お前のその青臭い剣より余程正直だ」
「やめ……ください……」
「やめてほしいのか? では、どうして硬くなっている?」
事実だった。
心は屈辱に悲鳴を上げているのに、触れられた場所は男の手に馴染もうとするかのように熱く脈打ち、形を変えていた。
男の手が下へと滑る。
脇腹を撫で上げられ、腰骨をなぞられ、太ももの内側へ。
力が抜けていく。
足が震え、立っていられなくなりそうになるのを必死で堪える。
「開けろ」
男の視線が足元に落ちる。
「足を開いて、俺に見せろ」
夢沙詩は顔を真っ赤に染め、涙目になりながらも抵抗した。
「そん……な……」
「見せられないか? なら交渉決裂だ」
「まっ……!」
夢沙詩は悲鳴に近い声を上げた。
看板を失う恐怖が、羞恥を上回る。
震える足を、少しずつ広げていく。
太ももの付け根が露わになり、一番秘めた場所が男の視界に晒された。
男は屈み込み、そこを覗き込んだ。
「ふん……。初々しいな」
男の熱い吐息が直に届く距離。
夢沙詩は死にそうな思いで天井を見上げた。
「だが、嘘をつくなよ」
男の指が、割れ目に沿って上下に擦られた。
「ひぁっ……!」
ヌルリとした感触。
自分でも気づかなかった粘液が、男の指を汚していた。
「嫌だと言う割には、こんなに濡らして。……お前の体は、俺に抱かれたがっているぞ」
「違う……違います……!」
心と体の裏切り。
否定したいのに、触れられるたびに甘い痺れが腰の奥に広がっていく。
男の指が、濡れた入り口をゆっくりと押し開いた。
異物が侵入する感覚。
痛みよりも先に、痺れるような快感が背骨を駆け上がった。
「あっ……あぁ……っ!」
指が中を掻き回す。
汚されている。
侵略されている。
そんな屈辱的な事実なのに、子宮が疼き、奥から蜜が溢れ出す。
夢沙詩は口元に手を当て、漏れる声を殺そうとしたが、熱い吐息は止められなかった。
「声を殺すな。俺に聞かせろ」
男は指の動きを激しくする。
クチュクチュと水音が響き、静かな部屋に響き渡る。
「いやぁ……っ! お願……もう……っ!」
「もう何だ? イキたいのか?」
核心を突かれ、夢沙詩の体が大きく反り返った。
頭の中が真っ白になる。
父の顔も、看板のことも、全てが消し飛んだ。
ただ、男の指がもたらす強烈な快楽だけが、彼女の若い体を支配していった。
「あっ、あっ、あっ……!」
リズムを刻む掠れた声。
夢沙詩は自分の声ではないかと思った。
こんな淫らな音を、自分の喉から絞り出しているのか。
男の指は容赦なかった。
内壁を擦り上げるたびに、背筋を電流が走るような感覚が襲う。
痛みなどとうに消えていた。
あるのは、体の奥底から湧き上がる、どうしようもない熱だけ。
「くっ……うぅ……ッ!」
必死に声を殺そうとするが、唇からは甘い吐息が漏れる。
足の力が完全に抜け、立っていられるのもやっとだった。
膝が笑い、視界が涙で滲む。
男はそんな彼女の反応を楽しむように、さらに深く、激しく指を動かした。
「ほら、どうした。もっと声を出せ」
「いや……ぁ…ッ! そんなこと……!」
言葉は最後まで続かなかった。
男の親指が、一番敏感な突起を強く押し潰した瞬間、世界が弾けた。
「あああああッ!!!」
悲鳴にも似た絶叫。
夢沙詩の体が弓なりに反り返る。
爪先が痙攣し、視界が真っ白に染まった。
今まで感じたことのない圧倒的な快楽の波が、彼女の小さな体を呑み込んでいく。
思考が焼き切れる。
何も考えられない。
ただただ、その快感に身を委ねるしかなかった。
ドクンッ。
腹の奥で何かが爆ぜた。
そして——。
プシャアアアッ!
勢いよく液体が飛び散る音が、静かな部屋に響き渡った。
「ひっ……!?」
夢沙詩は呆然と自分の足元を見た。
男の腕も、畳も、自分の太ももも、びしょ濡れになっていた。
温かい液体が、止めどなく溢れ出している。
失禁……ではない。
あの強烈な快感の余韻で、体が勝手に反応してしまったのだ。
「潮か……」
男が面白そうに呟き、濡れた指を舐め取った。
「初物にしては、感度が良すぎるな」
その言葉が、熱に浮かされていた夢沙詩の意識を冷酷な現実へと引き戻した。
自分は今、何をしたのか。
見知らぬ男に体を開き、その指でイかされ、潮まで吹いてしまったのだ。
しかも、看板を守るためという大義名分のもとに。
「あ……うぅ……」
涙が溢れる。
屈辱だった。
武人としての誇りも、処女としての純潔も、全てが泥にまみれた気がした。
自分の体が信じられなかった。
心はあんなに拒んでいたのに、体は男の与える快楽に溺れ、淫らに喘いでしまった。
夢沙詩は力が入らない体でその場に崩れ落ちた。
濡れた畳の冷たさが頬に伝わる。
自分の放った液体の匂いが鼻をつき、吐き気すら催した。
「惨めな姿だな」
男は見下ろしたまま、着物の袖で濡れた手を拭った。
「だが、これが現実だ。お前は俺に1ヶ月の間、その体で俺に奉仕するんだよ」
夢沙詩は震える手で自分の肩を抱いた。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げることはできなかった。
だが、その胸の奥には、消せない炎が燃えていた。
(見てろ……)
絶対に屈服しない。
この屈辱をバネにする。
1ヶ月後、絶対にお前を倒す。
そのためなら、この体を何度でも汚されてやる。
夢沙詩は歯を食いしばり、嗚咽を噛み殺した。
「いい顔だ!武人の顔だな!なればこそ歪めがいがある!足を開け!貞操を貫いてやる」
男は帯を解き、着流しを肩から滑り落とした。
逞しい躯の中心。
そこから現れた"それ"は、夢沙詩の目を釘付けにした。
「……っ!」
息を呑む。
男の象徴は、怒りに震えるように天を向いて反り返っていた。
見たこともない異形。
血管が浮き出るほどに硬く膨張し、先端からは透明な液体が滲んでいる。
ただの肉の塊のはずなのに、そこから発せられる熱と威圧感が、夢沙詩の本能的な恐怖を煽った。
「これが俺の"剣"だ」
男は自身のモノを手で掴み、夢沙詩の目の前に突き出した。
「お前の其処に収まるんだよ」
夢沙詩は後ずさろうとしたが、腰が抜けて動けない。
恐怖で顔が強張る。
あんなものが入るわけがない。
体が裂けてしまう。
「いや……っ! 無理です……! そんな……!」
「無理じゃない。お前が受け入れるんだ」
男は夢沙詩の足首を掴み、無理やり大きく開かせた。
まだ潮の余韻で潤んでいる秘部が、完全に露わになる。
男は夢沙詩の間に割り込み、硬く猛った先端を濡れた割れ目に押し当てた。
「ひっ……!」
熱い。
鉄のように硬く、しかし焼けた鉄のように熱い感触が、一番柔らかい場所を圧迫する。
夢沙詩は息を止め、迫りくる暴力に身を固くした。
「覚悟はできたか?」
男は腰を沈めた。
ズリュッ、と先端が滑り込み、狭い入口をこじ開ける。
「あぐっ……!」
異物が侵入する感覚。
指とは比べ物にならない圧迫感。
粘膜が引き伸ばされ、悲鳴を上げる。
「くっ……うぅ……ッ!」
「力を抜け。噛みつくな」
「で、できな……っ!」
男は構わず腰を進めた。
メリメリという音が聞こえるかのような、肉が裂ける痛み。
処女の証が引きちぎられる瞬間だった。
「いっ……!!」
夢沙詩の目が見開かれ、口から声にならない悲鳴が漏れた。
体が弓なりに反り返り、爪が畳に食い込む。
激痛が脳髄を走り抜けた。
自分が二つに割れてしまいそうだ。
内臓をかき回されているような、凄まじい侵害。
涙が溢れる。
屈辱と痛みで視界が歪む。
目の前には、自分を犯している男の冷酷な顔がある。
この男は自分から全てを奪おうとしている。
父の遺した看板。
処女。
そして武人としての尊厳。
「くっ……!」
夢沙詩は震える声で呻いた。
殺意が湧いた。
この男が憎かった。
自分をこんな目に遭わせる男が。
道場を人質に体を貪る男が。
「くっ……殺せ……!」
絞り出すような声だった。
「殺して……ください……っ!」
男は眉一つ動かさず、夢沙詩の奥深くまで肉楔を打ち込んだ。
子宮口を殴りつけるような強烈な一突き。
「あぐっ……!」
「殺してほしいか? なら、俺を倒せ」
男は腰を引き、再び奥まで貫いた。
激痛の中に、痺れるような別の感覚が芽生え始めた。
男の硬いモノが内壁を擦るたびに、痛みとは別種の熱が胎内で燻りはじめる。
「今は泣け。啼け。だが必ず再戦する日まで、この身体に覚えさせる」
男の律動が始まった。
引き抜かれ、また深く穿たれる。
結合部から鮮血が溢れ出し、白濁した愛液と混ざり合う。
処女膜を破られたばかりの痛みがまだ残っているのに。
夢沙詩の意思とは裏腹に、体は早くも男を受け入れ始めているのだった。
「くっ……あっ……!」
「くっ殺せ」と呟きながらも。
次第に甘い声が混じり始める自分の喉を、夢沙詩は心底から嫌悪した。
「まだ痛いか?これから毎晩犯してやる。そのうち狂ってしまうかもな?泣いて命乞いしてみろよぉ~!」
夢沙詩は涙で霞む視界のまま、男を睨みつけた。
「……狂うものですか。あなたに弄ばれようと、この魂は屈しない」
「その言葉がどこまで保つか楽しみだ」
男は抽送を速めた。硬い剛直が何度も最奥を叩き、処女膜の破片を巻き込みながら彼女の内部を蹂躙していく。痛みはまだ鮮烈だったが、その痛みの隙間から忍び寄るように甘い痺れが這い上がって来るのを、夢沙詩は必死に押し殺した。
「どうだ? 痛みだけか?」
「……うるさい!」
「そうか」
男は嘲笑うように口角を吊り上げると、角度を変えた。亀頭の先端がちょうど子宮の入り口付近──ポルチオと呼ばれる領域を抉るように穿つ。
「っ⁉」
電流のような快感が背筋を駆け上がり、思わず腰が浮いた。自分でも信じられない反応に夢沙詩は愕然とする。男はそれを見逃さず、狙い澄まして一点を攻め立ててきた。
「ほら見ろ。体の方がよっぽど正直だ」
「やめ……やめてぇっ‼」
激しくかぶりを振って懇願しても男の責めは緩まない。
逆に追い討ちをかけるように腰の動きを早めると同時、左手で無防備な両乳首を捻り上げた。
「あぁあ゛ッ!?」
急所三カ所への同時攻撃に夢沙詩の理性は限界を迎え、堰を切ったように涙腺から大粒の雫が零れ落ちる。屈辱と苦悶と微かに兆す被虐の悦び─相反する感情が混然一体となり脳裏を灼き尽くす。
「泣けば楽になれるとでも思ったか?お前には耐えてもらうよ」
男は耳元に顔を寄せ吐息と共に宣告すると一旦ペニスをギリギリまで引き抜き再び最深部まで打ち込んだ。肉同士がぶつかる乾いた音。同時に全身へ広がった疼痛にも似た衝撃に呼吸さえ忘れかける。
「これでわかったか?誰が主人なのか……理解したら素直になるといい」
「私……わたしは……」
朦朧とした意識の中で呟く言葉に続きはない。ただ無力感だけが彼女の胸中を満たしていくのみであった。
そんな少女の懊悩を見透かすように男は何度目かわからない精を注ぎ込むべくラストスパートに入ったのであった……。
「次は四つん這いになって尻を向けろ。犬みたいにな」
「…………はい」
夢沙詩は屈辱に震えながらも言われるまま従順に動作した。両肘と膝をつけ尻を持ち上げた体勢となる。羞恥心はあるものの最早抵抗する気力もなく唯々諾々と屈服するのみとなっていた。
「いい子だ。褒めてやる」
後ろからの突き上げが始まる刹那背中に覆い被さってきた男が乳房全体を掌で包み込むように揉みしだいた拍子柔らかい皮膚越し伝わってくる鼓動音……
(あぁ……もうダメ……)
抗いきれず遂に臨界点を超えてしまった瞬間凄まじい勢いで白濁色したマグマが迸る感覚とともに意識さえも遠退きそうになる最中最後まで僅かに残った反抗心だけで歯を喰い縛っていたのだが―
「今宵からこの肉体全部俺の所有物だ。分かったな?」
言葉と共にもたらされる絶望的なまでの敗北感の中で少女は闇へ堕ちていった……
⭐️再起
夢沙詩は弟子の佐伯慎吾
に1ヵ月後、男との対戦を託す。愛する夢沙詩のため彼は必勝を誓い、武者修行に行ってくると彼女に伝える。
いいムードで盛り上がっているところに男乱入!ガハハ せいぜい頑張るがいい!オレはその間こいつと夜の肉試合を重ねてやる! 慎吾の前で夢沙詩を辱め犯す。
慎吾は夢沙詩の思いを汲んでその場は抵抗せず1ヵ月後に備える。
屈辱の晒しセックス
「必ず……あなたを超えてみせます!」
「必ず……あなたを超えてみせます!」
佐伯慎吾の力強い宣言に、九条夢沙詩の瞳には涙が滲んでいた。
二人は夕暮れ時の道場で向き合い、互いの拳を重ね合わせていた。
看板を賭けた運命の一戦は1ヶ月後。
その間に男の要求する“夜伽”を耐えなければならない夢沙詩のために、慎吾は己の成長を誓ったのだ。
夢沙詩は震える声で答えた。
「ありがとう……慎吾くん。私は大丈夫だから……お願い」
「はい! 俺は先生の分まで強くなります!」
若き剣士の目に宿る決意。
それを信じるしかない無力感と悲壮感が、夢沙詩の心を締め付けた。
そんな二人の神聖な決意表明を、第三者が許すはずもなかった。
ガラッ!
道場の扉が勢いよく開け放たれる音に、二人は反射的に顔を向けた。
そこに立っていたのは、件の男。
不敵な笑みを浮かべて仁王立ちし、まるで舞台役者のようにゆっくりと室内に入ってきた。
「ほう……随分と良い雰囲気じゃねぇか。恋人たちの逢瀬か? それとも墓場への手向けか?」
男の嘲笑が道場に響き渡る。
慎吾の顔が怒りに歪んだ。
「貴様……!」
慎吾が木刀に手を伸ばすより早く、男は懐から一枚の紙切れを取り出した。
それは夢沙詩がこの数日間、身も心も削られながら誓約した契約書だった。
「待て小僧。この女は俺と約束を交わした身だ。約束違反をして看板を剥がされたくなければ、そこで大人しく見てるんだな」
男の言葉に、慎吾は拳を握りしめたまま立ち尽くした。
夢沙詩がハッとして叫ぶ。
「慎吾くん! やめて! 約束なんです……私は……」
「……先生」
慎吾は苦悶の表情で夢沙詩を見つめた。
彼女の思いを汲み取ることなど、彼にしかできないはずだった。
だが同時に、目の前で彼女が辱められようとしている事実は、彼の心を引き裂いていた。
「ガハハハ! やっと自分の立場がわかったようだな小僧!」
男は高笑いと共に夢沙詩の背後へと回り込んだ。
その巨体が少女の華奢な背中に覆いかぶさる。
「さあ夜伽の時間だぞ。九条夢沙詩」
男の手が夢沙詩の道着を下着ごと一気に引き剥がした。
シルクの衣擦れの音と共に白磁の肌が露わになる。
慎吾の目の前で。
「あっ……!」
夢沙詩は両手で胸を隠そうとしたが、男はそれを許さなかった。
背後から両腕を拘束し、無理やり胸を強調させるような体勢を取らせる。
熟れた果実のように発情した乳房が、慎吾の視界に晒された。
「やめて……お願い……見ないで……」
夢沙詩の懇願など耳に入らない様子で、男は夢沙詩の耳元に唇を寄せた。
「見ろよ。お前の愛しい先生のおっぱいだ。こんなに尖らせてやがる」
男は乳房を鷲掴みにし、乱暴に揉みしだいた。
ビクンと夢沙詩の体が跳ねる。
「あんっ……!」
甘い喘ぎ声が漏れた。
慎吾の前で。
愛する女性が他の男に触れられ、快楽を刻み込まれていく。
慎吾の拳から血が滲むほど爪が食い込んだ。
怒りと悔しさで視界が真っ赤に染まる。
だが動けない。
動けば夢沙詩の覚悟も、道場の未来も、全てが無に帰してしまう。
「ほら見せてやれ。お前の愛しい弟子に。自分が俺の肉便器だってな」
男は夢沙詩を床に押し倒した。
四つん這いにさせ、慎吾に向かって尻を突き出させる体勢。
最も恥ずべき姿。
男は自身のズボンを下ろし、猛った剛直を押し当てた。
「入れぞ。俺の肉剣が」
ズブリッ!
「あああッ!」
容赦ない挿入。
まだ乾ききっていない秘裂をこじ開け、一気に根元まで貫かれた。
激痛と快楽が同時に走り、夢沙詩の喉から悲鳴にも似た喘ぎがほとばしる。
「くっ……うぅ……ッ!」
慎吾は絶句した。
目の前で行われているのは明らかな凌辱だった。
だが夢沙詩の顔は苦痛だけではなかった。
ほころびるような快楽に歪んでいる。
他人の目──しかも愛する弟子の目の前で犯されているという背徳感が、夢沙詩の快楽中枢を狂わせていた。
「あっ、あっ、あっ……!」
男の腰が激しく動く。
肉と肉がぶつかる卑猥な音が、静寂な道場に反響する。
夢沙詩は瞳を潤ませ、慎吾を見つめた。
「見ないで……慎吾くん……見ないで……」
だが慎吾は目を逸らさなかった。
逸らしてはいけないと思った。
彼女が身代わりになっているのだ。
自分が弱いせいで。
ならばせめて、この屈辱の全てを目に焼き付けなければならない。
「せいぜい頑張るがいい小僧! 俺はその間、こいつと夜の肉試合を重ねてやる!」
男は高笑いしながら、夢沙詩の腰を掴んで激しくピストン運動を始めた。
子宮の奥底を幾度も幾度も打ち据えられ、夢沙詩の理性は崩壊していく。
「あぁッ! あぁッ! そこ……そこダメぇッ!」
自ら腰を振り、快楽を貪る淫らな雌の姿がそこにはあった。
慎吾の目の前で。
九条夢沙詩は、武人としての誇りを、女性としての貞操を、弟子の前で踏みにじられ、泥沼の快楽に沈んでいった。
その背中を、慎吾はただ血を流すほど拳を握りしめ、見つめ続けることしかできなかった。
屈辱の晒しセックス。
それは二人にとって、決して忘れられない地獄の幕開けだった。
「ああっ! くっ……あぁッ!」
夢沙詩の嬌声が道場に響く。
背後から貫かれる衝撃で体が仰け反り、慎吾の眼前に豊満な胸が突き出される格好となった。
乳首は硬く屹立し、汗で艶めく双丘が上下に揺れている。
男は夢沙詩の腰をガッチリ固定し、猛然と腰を打ちつけた。
「うぐぅっ!? あっ、ああんっ! 慎吾くん……ごめんなさいぃッ!」
涙を流しながらも、夢沙詩の肢体は男の動きに応じて反応し、媚肉が彼のものを締め付ける。
肉襞が絡みつき、離すまいと蠢いているようだった。
「くっ……くそ……!」
慎吾は歯噛みした。
愛する師匠の痴態を強制的に見せつけられている状況は、拷問以外の何物でもなかった。
だが逃げ出すことはできない。
ここで彼が動けば夢沙詩の犠牲は無意味になってしまう。
「おい小僧。見てるだけじゃなくて加勢しろよ」
突然男が言い放った。
「な……!?」
慎吾が困惑すると同時に、男は夢沙詩の耳元で囁く。
「手を貸せと言っている。先生の乳首を弄ってやれ」
「そ……そんな……」
夢沙詩がか細い声で拒絶するが、男は聞く耳を持たない。
「嫌か? なら俺が止めるまでだ」
男は腰の動きを止めた。
先端だけを入口に残し、夢沙詩を焦らす。
「いや……動いて……ください……」
夢沙詩が無意識に懇願してしまうほどの快楽の魔の手から逃れられない。
「ほらよ」
男はニヤリと笑うと再び奥深くまで一突きし、慎吾に向かって顎をしゃくった。
「やれ」
慎吾は震える手を伸ばした。
目の前で揺れる豊麗な乳房。
本来なら神聖視すべき師匠の肌に触れることなど畏れ多い。
しかし今は……。
慎吾は覚悟を決め、夢沙詩の乳首を摘んだ。
「あんっ!」
電流が走ったかのように夢沙詩の体が跳ねた。
敏感な先端を弟子の指で弄られた背徳感と羞恥心が、既に高まっていた快楽を爆発させそうになる。
「せ……先生……」
慎吾の指が乳輪をなぞり、硬く尖った実を転がす。
「あぁッ! ダメぇ……慎吾くん……そこ……」
夢沙詩は首を振りながら否定するが、体は正直だった。
胸を突き出し、より深い刺激を求めてしまっている。
「ハハッ! いいぞ小僧。その調子だ」
男は再び激しく腰を振り始めた。
前後から同時に攻められ、夢沙詩は成す術もない。
「あっ! ああっ! 慎吾くん……慎吾くんッ!」
慎吾の名を呼びながら、夢沙詩は絶頂へと追い上げられていく。
弟子に見られながら、弟子に触れられながら、他の男に犯されるという異常な状況。
それが夢沙詩の理性を完全に焼き尽くした。
「イクッ! イクッ! イクゥゥゥッ!!」
ドクンッ!
腹の底から熱い奔流が逆流し、夢沙詩は白目を剥いて絶頂した。
ガクガクと全身を痙攣させ、男の楔をきつく締め上げる。
「おおっ……!」
男も限界が近い。
最奥を目掛けて数回突き上げ、ドロリとした精を注ぎ込んだ。
「あぁぁ……」
子宮に直接注がれる精液の熱さ。
夢沙詩は放心状態のまま、床に崩れ落ちた。
白濁した液体が太ももを伝い落ちる。
慎吾の目の前で。
師匠の完全な敗北と雌堕ちが、残酷なまでに描き出されていた。
⭐️一ヶ月
1ヶ月間の記憶は、夢沙詩にとって悪夢のような日々だった。
男は約束通り、毎晩彼女を訪れた。
いや、訪れるだけではなかった。
夜伽という名の凌辱は、日に日にエスカレートし、夢沙詩の体と心を容赦なく汚し尽くしていった。
最初のうちは宿の部屋でのセックスだけだった。
だが男はすぐに飽きた。
「こんな狭い部屋じゃ味気ない」と、ある夜、夢沙詩を連れ出した。
裏山の林道。
夜風が肌を刺すような寒さの中、男は夢沙詩の服を剥ぎ取った。
「ここでやるんだよ」と告げられ、夢沙詩は震えながら従った。
落ち葉の上に押し倒され、冷たい土の感触を背中に感じながら、男に貫かれる。
虫の声と、自分の喘ぎ声だけが響く青姦。
人目があるかもしれない恐怖と、自然の中で犯される背徳感が、夢沙詩の理性をさらに削ぎ落とした。
次は露出プレイだった。
男は夢沙詩にコート一枚だけを着せ、夜の街を歩かせた。
「足を開いて見せろ」と言われ、路地裏でコートの前を開く。
通行人の視線が肌を刺すような屈辱。
だが男はそれを楽しんだ。
「お前の体は誰にでも見せられるんだ」と囁き、その場で指を挿入してきた。
人目を気にしながら声を殺して喘ぐ夢沙詩を、男は嘲笑った。
SMプレイもあった。
男はロープを持ち出し、夢沙詩を縛り上げた。
亀甲縛りで道着を着せられ、道場で正座させられる。
「お前は俺の犬だ」と言われ、首輪をつけられ四つん這いで歩かされた。
尻を叩かれ、「ワンと吠えろ」と命じられる屈辱。
最初は拒絶していた夢沙詩も、次第にその言葉に従うようになった。
抵抗する力がなくなっていたし、何より従順な方が痛みが少なかったからだ。
毎晩のセックスは、夢沙詩の体を確実に変えていった。
最初は痛みだけだった交わりも、次第に快楽を感じるようになった。
男のテクニックなのか、それとも夢沙詩自身が堕落しているのか。
体は男を受け入れ、そして求めるようになった。
自ら腰を振り、「もっとください」と懇願する自分がいる。
その事実が、夢沙詩の心を一番深く傷つけた。
「お前は立派な肉便器になったな」
男は満足げに囁く。
「1ヶ月後にはもう、剣士の顔なんてできないだろうな」
その言葉は的確に夢沙詩の恐怖を突いていた。
毎晩の凌辱は、彼女から武人としての誇りを奪い、ただの雌へと作り変えていた。
慎吾に見せたい顔ではない。
道場に戻りたいとも思えない。
そんな自分が嫌でたまらなかった。
それでも1ヶ月が経ったある日。
男は夢沙詩に告げた。
「今日で夜伽は終わりだ。明日は再戦だ」
その言葉を聞いた瞬間、夢沙詩の中で何かが燃え上がった。
絶望の底にいた心に、微かな光が差し込む。
(慎吾くん……)
1ヶ月前のあの日。
慎吾は「必ず勝ってみせます」と誓ってくれた。
彼は今頃、血の滲むような特訓をしているはずだ。
自分の代わりに戦ってくれる弟子のために。
彼女が耐え抜いた1ヶ月を無駄にしないために。
夢沙詩は震える手で自分の体を抱きしめた。
汚され尽くした体。
でも心だけはまだ死んでいない。
「……負けない」
小さく呟いた言葉は、自分自身への誓いだった。
「明日……必ず勝つ」
その夜、夢沙詩は久しぶりに安らかな眠りについた。
明日が来ることを待ちわびて。
⭐️再戦
道場には独特の緊張が満ちていた。
磨き上げられた床板が朝日を照り返す。
中央で対峙するのは佐伯慎吾とあの男。
道場の隅には門弟たちが固唾を飲んで見守り、一段高い位置では九条夢沙詩が静かに目を閉じていた。
(先生……見ていてください)
慎吾は瞑想を終え、ゆっくりと瞼を開いた。その目に映るのはただ一点、男の存在だけ。
1ヶ月間──地獄のような日々だった。
毎晩、夢沙詩が男に蹂躙される姿をこの目で見せつけられながら、何もできなかった無力感。師匠の屈辱を肴に育まれた劣等感。
それら全てを糧に変え、武者修行の月日を過ごしてきた。
男は余裕の笑みを浮かべ、懐手をしている。
「準備はいいか?小僧。この1ヶ月でお前の師匠は随分と可愛らしくなったぞ」
「黙れ」
慎吾は静かに木刀を構える。
男は鼻を鳴らすと、同じく構えた。
門弟たちの呼吸が一斉に止まる。
「始め!」
審判代わりの老人の声と共に、戦いの火蓋が切られた。
⭐️
慎吾は全力で踏み込んだ。
1ヶ月前とは比較にならない速度で木刀を振るう。
が、男は容易く受け流した。
「甘い!」
返す刃が慎吾の横腹を掠める。
鋭い痛みに顔を顰めるが、怯まず追撃。連撃。更なる連撃。
「どうした小僧。そんなものか?」
男は涼しい顔で捌く。まるで稽古をつける師のように悠然としている。
慎吾の息が上がる。1ヶ月の修行の成果など微塵も及ばない──そんな絶望が脳裏をよぎる。
その時。
(慎吾くん……頑張って……!)
夢沙詩の声が聞こえた気がした。
上座に目を遣る。
彼女は凛とした眼差しでこちらを見つめていた。
1ヶ月の凌辱で心身を蝕まれてもなお、そこには師範としての威厳があった。
その姿に、慎吾の背筋に熱が走る。
(俺が……守らなくては……!)
再び猛攻を仕掛ける慎吾。
だが男は泰然としていた。
「諦めろ。お前の剣では俺を超えられん」
木刀が慎吾の右腕を強打する。
鈍い音と共に骨が軋む。
悲鳴を噛み殺す慎吾の目から、それでも闘志の火は消えない。
その時だった。
男の背後。上座。
夢沙詩が微かに俯いたのが見えた。
恐怖。絶望。
彼女は今まさに、自分の敗北を幻視している──
(させるものか!)
慎吾は叫んだ。
1ヶ月前に目の前で犯されていたあの時と同じ恐怖を、もう一度味わわせたくない。
愛する師匠を。誇り高き女武芸者を。
絶対に。
慎吾の全身に雷光が走ったように力が漲る。
男の目が初めて丸くなる。
「お前……!?」
慎吾は地を蹴った。
木刀の間合いの更に奥へ飛び込み──
男の死角へ潜り込む。
二刀新当流の技ではなく。
ただ本能のままに放った一閃。
パァン!という乾いた音。
男の木刀が吹き飛び床に転がった。
慎吾の木刀が正確に喉元寸前で止まっている。
静寂。
「…………」
男は口を開こうとしたが言葉が出ない。
門弟たちの息を呑む音だけが響く。
夢沙詩がゆっくりと立ち上がった。
その足取りは危なげだったが、確かに慎吾の傍へ歩み寄る。
「勝負あり」
審判の声が淡々と告げる。
道場に喝采が沸き起こる。
慎吾は汗だくで崩れ落ちたが、夢沙詩は優しくその肩を支えた。
男は静かに立ち上がると、拾った木刀を傍らに置き、深く頭を垂れた。
「完敗だ」
それだけ言って去っていく背中を見送りながら、夢沙詩の頬に一筋の涙が伝った。
門弟たちの歓喜の声。
慎吾は疲労困憊で声も出なかったが、夢沙詩の手の温もりだけが確かだった。
(終わった……)
(ようやく……守れた……)
道場の看板が朝日を浴びて輝いている。
九条夢沙詩の誇りと共に。
九条道場の再生はこれからだ。
⭐️契り
夜が更けた。
激闘の疲れもあり、門弟たちは早々に帰路につき、道場内には夢沙詩と慎吾の二人だけが残されていた。
慎吾は怪我の治療を終え、板の間に座り込んでいる。
夢沙詩はそんな彼の隣に寄り添うように座った。
「慎吾くん……」
「先生……」
二人の間に沈黙が流れる。
慎吾が決意したように口を開いた。
「先生。俺は……先生があの男に汚されていくのを黙って見ているしかなかった。無力で情けない男です。でも……先生が1ヶ月間耐えてくれたおかげで、俺は勝てた。本当に……ありがとう」
頭を下げる慎吾に、夢沙詩は首を横に振った。
「私こそ……慎吾くんの闘う姿に救われました。あなたがいなかったら、私はもう……剣士でいられなかったかも」
夢沙詩は慎吾の手をそっと握る。
「ありがとう。私の誇りを守ってくれて」
慎吾はハッとして顔を上げた。
夢沙詩の瞳には涙が光っていた。
「先生……」
「あの1ヶ月間……私はずっと怖かった。でも、慎吾くんの顔を思い浮かべるだけで、踏ん張れた。私が耐えられたのは、あなたがいてくれたから」
夢沙詩は震える声で続ける。
「慎吾くん。私は……あなたのことが……」
言いかけて俯く夢沙詩の顔を、慎吾はそっと両手で包み込んだ。
彼女の涙を指で拭い、真っ直ぐに見つめる。
「先生。俺も……ずっと……」
言葉は必要なかった。
二人は顔を寄せ合い、唇を重ねた。
触れるだけの優しい口づけ。
だが、互いの想いの深さが伝わる確かな温もり。
1ヶ月の恐怖と絶望を埋め合わせるかのような、長い口づけだった。
唇を離すと、夢沙詩の頬は朱に染まっていた。
「慎吾くん……」
「先生……」
慎吾は夢沙詩をそっと抱き寄せた。
1ヶ月前のあの日。
男に辱められていた夢沙詩を助けられなかった自分。
だが今、ようやく彼女をこの腕に抱ける。
「もう誰にも……先生を汚させたりしません」
夢沙詩は慎吾の胸に顔を埋め、小さく頷いた。
「慎吾くん……好きよ」
「俺もです。先生」
慎吾は夢沙詩を優しく床に寝かせた。
道場の冷たい板敷きの上。
だが夢沙詩の体温は慎吾の心を溶かすほど温かい。
「先生。俺と……ひとつになってください」
「はい……」
夢沙詩が帯を解くのを手伝いながら、慎吾は彼女の美しい肌を晒していく。
男に汚された跡。
醜い痣や縄痕が白い肌に刻まれている。
だが慎吾にとっては聖なるものに変わっていた。
(俺が塗り替えてあげる)
慎吾は丁寧に口づけを落としながら、夢沙詩の全てを慈しんでいく。
「あっ……慎吾くん……」
「先生……綺麗ですよ」
夢沙詩の首筋に唇を這わせ、鎖骨を舌先でなぞる。
細い体がピクリと震える。
豊かな胸をそっと揉みしだくと、「んぅっ」と甘い声が漏れた。
慎吾は焦らずゆっくりと愛撫を重ねる。
彼女がこれまで味わわされた粗暴な欲ではなく、真心からの愛を注ぐために。
夢沙詩の体が次第に熱を帯びていくのが分かる。
「慎吾くん……お願い……来て」
涙目で懇願する夢沙詩。
慎吾は頷き、自身の昂りを彼女の中心に押し当てた。
「挿れますね」
「はい……きて……」
ずぷり、という音と共に二人が繋がる。
夢沙詩は息を詰めるが、慎吾は腰の動きを最小限に抑えた。
「大丈夫ですか?痛くありませんか?」
「平気よ……続けて……」
夢沙詩の手が慎吾の背に縋りつく。
慎吾は安心感を与えるように緩やかに腰を動かし始めた。
「あっ……んっ……あんっ」
夢沙詩の声が甘くなっていく。
慎吾は徐々に動きを大胆にしつつも、その都度彼女の反応を確かめた。
「先生……気持ちいいですか?」
「ええ……すごく……慎吾くん……私も……あなたが好きなの」
二人はお互いを見つめ合い、またキスを交わす。
舌と舌を絡め合う濃密な口づけ。
その間も慎吾の腰は規則的に動いている。
夢沙詩の体が反応する箇所を探り当てては集中的に攻める。
「あぁっ!そこ……ダメぇっ!」
「ここですね……先生」
慎吾は夢沙詩の弱点を捉え、執拗に突き上げる。
彼女の足がピンと伸びて快感を表した。
「慎吾くん……私…イっちゃう……!」
「先生と一緒に……」
慎吾は夢沙詩の腰を抱え込み、激しく最奥を目指してピストンする。
「あぁあっ!イクッ!イクぅーーッ!」
夢沙詩が全身を弓なりに反らせ絶頂を迎えると同時に、慎吾も放出する。
二人は強く抱き合いながら互いの熱を分け合った。
⭐️共に生きる
行為を終えても尚、二人はしっかりと抱き合っていた。
慎吾の胸に顔を埋める夢沙詩の髪を梳きながら、慎吾は囁く。
「先生。これからも一緒に……」
「ええ。ずっと一緒よ」
夢沙詩は顔を上げて微笑んだ。
その笑顔は1ヶ月前に見た暗い表情ではなく、晴れやかなものだった。
「私たち……道場を再興しましょう」
「はい。先生の指導があればきっと」
二人は固く誓い合う。
九条道場の未来。
そして二人の未来。
新しい人生がここから始まる。
空が白み始めている。
新しい朝の訪れ。
それは二人にとって祝福の陽射しのように眩しかった。