ちなみにエロシーンはないです。
満足するまでセックスした俺は、有栖と共にベッドで横になっている。
有栖は何回も絶頂に達したためか、まだ身体を震わせていた。
体力がない有栖にとって、何回もするのは相当しんどいようだ。
「大丈夫?」
「はい。でも少し休ませてくれると嬉しいです」
俺は頷いてお風呂や夕飯の準備をする。
今の有栖に何かする体力は残ってないだろうし、またしたくなった時のために、少しでも体力を回復してもらわないといけない。
今日は俺も疲れているので、夕ご飯は簡単なものにいておく。
とは言っても、俺は料理が得意というわけでもなく、この寮に入ってから作るようになっただけだ。
コンビニやファミレスなんかの料理だけでは栄養が偏ってしまうために、なるべく自分で作った方がいい。
「大丈夫?」
「はい」
俺は未だに裸のままの有栖に服を着せてあげる。
「ありがとうございます」
ここは俺の部屋なので、有栖が持っている服は学校の制服しかない。
同じ寮だから服を持ってくることはできるが、まだ体力が戻っていない有栖には酷だろう。
「もし、よろしければ、今日は遼くんの部屋に泊めてもらえませんか?」
「いいよ」
特に断る理由もない。
それに今日は金曜日で、明日と明後日は学校が休みだ。
だから俺がしたくなったらいつでもできるように、その間は有栖のことを俺の側に置いておく。
「ただし、俺がしたくなったら体力なくてもしてもらうけどね」
「ふふ、大丈夫ですよ。私は遼くんの命令には絶対に従うと決めましたから」
流石に壊れるまでする気はないけど、今の有栖なら本当にどんな命令でも聞くだろう。
「それにしても皮肉なものですね。生まれ持った才能には、人は絶対に勝てないと思っていたのですが、遼くんにあっさりと覆されてしまいました」
そういえば、そんなことを出会った頃に言っていたな。
ホワイトルームは持たざる者が天才となるべきために作られた施設で、天才として生まれた人間には不要な場所だと。
事実、ホワイトルームを運営しているあの男の信念はこうだ。
遺伝子上優秀かどうかは関係ない。生まれた時から徹底した教育を受けさせ、睡眠時間から食べる物までありとあらゆるものを管理していくことで、最高の人間が完成する。
それが日本を支える優秀な人材を生み出すたったひとつの方法だと。
「遼くんを叩き潰して、どんなに努力しても埋められない差は存在するという、私の信条を証明したかったのです」
それも聞いた。
毎日のように俺に挑発をしてきて、どうにかして勝負しようとした。
その結果、俺は有栖の挑発に乗り対戦して勝利をものにし、有栖の全てを手に入れることになったわけだが。
「それで何でチェスだったんだ? 他にも色々とできるだろうに」
学校なんだし単純にテストの点数勝負にすることだってできる。
でも有栖はどうしてもチェスで勝負したかったように思えたのだ。
「それはホワイトルームであなたを見た時にチェスで他の人を圧倒したからですよ」
どうやらチェスをしていた時に俺を初めて見たのだろう。
「そして私がチェスを覚えるきっかけになりました。遼くんのことは、あの日から1日たりとも忘れたことはありませんよ」
忘れたことがないとは、俺と勝負したいのを願ってのと、一目惚れしましたから。
勝負には負けてしまったが、俺と身体を重ねることができたから有栖は幸せな気持ちでいっぱいなはずだ。
そして唯一、自分に勝った存在に支配されたいという欲求まで出てきてしまっている。
それは今までの有栖を見ていたら想像すらつかない。
それほどにチェスでの敗北は有栖の心に変化をもたらしたのだ。
「ちなみに有栖が勝ったら、俺をどうするつもりだったの?」
「ふふ、そうですね……」
有栖は意味深に笑い、ベッドの横に置いてある鞄からある物を取り出した。
「考えていることは一緒……てわけか」
「そうですね」
有栖が取り出した物は、自分が付けることになってしまったチョーカーだ。
「これは他に使う時のためにとっておいてください」
そう言い、俺にチョーカーを渡してくる有栖。
今、付けているのが壊れた時のための予備ってことだろうか?
「本当は使って欲しくないのですけど、他の子を支配する時のために必要ではないですか?」
「有栖はいいの?」
「良いか嫌かと言われたら嫌ですけど、私は遼くんに逆らうことができませんから」
凄い忠実心だなと、思い、俺はチョーカーを机の引き出しにしまう。
「まあ、俺がどう思おうが、しばらくは使うことはないかな。だって有栖がいるからね」
俺は有栖のことを引き寄せて、思い切り抱き締めた。
それにより有栖は緩みきった顔をする。
自分を支配する人にそんなことを言われたのだし、嬉しい気持ちでいっぱいになったのだろう。
「ちなみに俺とまた勝負したい?」
勝負するという願いは叶ったが、敗北するという結果に終わってしまった。
だからリベンジしたいという気持ちがあってもおかしくはない。
「いえ、もう大丈夫です。私はあなたのことを偽りの天才ではなくて、本物の天才と認めましたから」
ホワイトルームで作られたのは、あくまでも偽りの天才。そう思っていたいだろう。
でも今回のことで俺を認めてくれた。
「じゃあ、俺が有栖に命令するね。俺のものになれ」
「はい」